今日もまた、いつもの同じ仕事が始まると思っていた。だが、仕事が始まるとそんな考えも吹っ飛んでしまった。
「……これ、アレだよな?」
「あぁ、確実にアレだな」
『管理人、見ててください。私がこの状況を制御してみせます』
コントロール部門のメーンルームの中央、そこには木のような、触手のような邪悪な姿をした不思議な存在がうごめいていた。その手、あるいは触手には機械の残骸のようなものと、彼女が常に持ち歩いていたメモ帳が握られていた。
「くそっ、事前に教えてはくれないものか」
「そうはいっても、なんだか突然来るものみたいだからな。管理人にもわからないことはあるって事だ」
「それもそうだよな……」
『今日は褒めてくれますよね? もっと嬉しくなるように』
「とりあえずここにいても仕方が無いし、作業をしに行くとするか」
「そうだな、互いに頑張るとしよう」
リッチと別れて今日の作業に取りかかることにする。とにかく今日はなるべく早く作業を行っていかなければならない。
規定数までのエネルギーを回収し、その上でクリフォト暴走が6になるまで頑張らなければならない。
「さて、今日の作業はっと…… おいおい、なんだこれは?」
『何が起こるなんて予想できませんよね?』
今日の作業を確認すると、予定が全て白紙であった。これはマルクトのセフィラコア抑制の影響だろうか、たった今作業の指示が入ってきたが、『T-01-i12』*1への抑圧の作業であった。
「あー、今日はこういう感じか。つまり今日は全ての作業が強制されるのね」
管理人からの命令を無視することは、俺たち職員には不可能だ。おそらく俺たちへの指示系統がおかしくなっているのだろう。そう考えると、一番はじめは安全なアブノーマリティーへの作業でどのように指示系統がおかしくなっているのかを確認するのは良い判断である。
「この分なら頑張ればいけそうだな、俺も頑張るとしよう」
管理人の手腕に感心しながら、作業へ向かう。『T-01-i12』相手なら今の俺では驚異では無い、俺に向かわせるよりも他の奴に向かわせる方が良い可能性もあるが、そこは最初だからだろう。
「さて、『T-01-i12』に会うのも久しぶりだな」
『私は十分に出来るんですよ』
久しぶりに会う『T-01-i12』に胸を躍らせながら、彼女の待つ収容室へと入っていった。
「さて、結構セオリー通りだな」
管理人は結構うまくやっているようだ。俺の他にもサラに『T-05-i22』*2の作業をやらせて指示系統を確認しながら育成、男性に『F-04-i27』*3の作業、新人に『T-01-i12』や『O-03-i07』*4への作業を任せるなど、クリフォト暴走が起これば指示系統の混乱を確認し、その後は俺やシロ、リッチと言ったベテランにALEPHやWAWの作業を行わせてエネルギーを溜めていく。
このまま行けば、何事も無く今日という日を終わることが出来そうだ。だからといって最後まで気を抜くことは出来ないが。
「さて、それじゃあ次の作業へと向かおうかな」
おそらく次の作業で終わりだろう。俺は『T-04-i13』*5への作業を行うために収容室に向かい、抑圧の作業を行う。これでエネルギーもたまり、純化が始まる。
『そうか…… 私には才能が無かったんだ……』
「終わったな……」
俺が作業を終えて収容室から出ると同時に、この施設を襲った異常が消え、純化が始まった。
俺は純化に巻き込まれないように急いで職場から離れるのであった……
正直今回は見所がありませんでしたね。
上層のセフィラコア抑制は、見せ場を作るのにあまり向いてない気がします……