「うーん、なんだか今日はおかしいですよね?」
「どうしたんだ?」
『また交換の時期なの? それなら倉庫に行きましょう』
不思議がっているタチアナに声をかけると、彼女は少しびっくりしたかのような表情をしてから訳を話してくれた。
「いやですね、この前コア抑制? を終わらせたじゃ無いですか。それなのに終わったはずの部門でもクリフォト暴走が起こってるんですよ」
『中央本部はすごく広いから体がいくつあっても足りないわ』
セフィラコア抑制を終わらせた部門は、その後クリフォト暴走が起こらない。それなのに今日は以前抑制の終わった部門でも起こっているのが不思議なんだろう。しかし、そういった施設の異常には原因がある。それは最近入ってきた彼女でも経験があるからわかるだろう。
「それは、やっぱりアレじゃ無いか?」
「えっ? ……あぁ、これもセフィラコア抑制!」
「そう、今回は中央本部みたいだな」
「そうなんですか、私まだ今日は中央本部まで行っていなかったのでしらなかったです」
『あなたにも聞こえるこの歌が鎮魂歌なら……』
彼女は少し恥ずかしそうにしているが、別にそんなに恥ずかしがることでは無い。それに、今日のコア抑制は深夜の試練が出るまで作業をしてエネルギーを溜めるだけなので、コア抑制の中でも比較的簡単なのだ。
……正直、この後これの上位互換のコア抑制が出てくるので、本当に微妙なコア抑制なのだ。職員への危険も一番少ない。深夜の試練だって戦っても良いけど逃げ切ることが出来るのだ。
「ね、ねぇジョシュア、そろそろ仕事しないと」
「おう、悪いなタチアナ、また今度な」
「はい、また今度!」
タチアナと話していると、シロが仕事をするように注意してきた。最近彼女は口数が増えて、話し込んでいるときに注意してくれるようになってきた。今までのことを考えるとかなり成長してきたので、正直に言えばうれしく感じる。なんとなく女性と一緒に話しているときに来る気がするけど、リッチと話しているときも来るから気のせいだよな。
「えっと、この後はどこに行くの?」
「この後は『O-03-i07』*1のところだな。昨日あそこだけ間に合わなくて泣いていたらしいからな」
「そ、そうなんだ…… 気をつけてね」
「おう、お前も気をつけろよ!」
「う、うん! ジョシュアも気をつけて!」
なんというか、本当に最近よく笑顔を見せてくれるようになってきた。他の奴らにもこれくらいと言わずとも、もう少しうまく接してくれるなら嬉しいんだがな。
「さて、それじゃあ頑張ってきますか!」
『次はいいことだらけだって言ったくせに……』
今日はほとんどいつもの業務と変わらず、なんとか被害も出ずに終わることが出来た。
ちなみに、『O-03-i07』は頭を撫でれば機嫌を直してくれた。