もし一夏が最強だったら   作:猫林13世

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色々やってたら長くなってしまった……


誕生日前日

一夏君は今、出かけている。如何やらシャルロットちゃんを気に入ったお友達に会わせるらしいのだが、一夏君はイマイチ乗り気では無かった。理由を聞くと――

 

「この前も舞台でも思ったんですが、シャルって何処か腹黒い感じがするんですよね……アイツが良いように遊ばれなきゃいいんですが……」

 

 

――などと言っていた。

確かにシャルロットちゃんは腹黒い感じがしなくは無いけども、お友達で遊ぶだけ遊んで捨てるような事にはならないと思う……いや思いたい。

兎に角一夏君が居ない今、私たちで一夏君の誕生日に何をしたらいいか考えようと思う。

 

「私とマドカちゃんで午前中に話し合ったんだけど、イマイチこれだ!って言うのが浮かばなくって」

 

「お兄ちゃんが喜ぶ事が分からなくって」

 

「一夏様に近しい2人が分からないのなら、私たちだって分かりませんよ」

 

 

専用機の須佐乃男に、一夏君に近しいと認識してもらえてるのは嬉しいけど、相談してすぐに匙を投げられても困るのよね~……

 

「やっぱり手作りのケーキとか~?」

 

「一夏さん以上に上手く作れる人なんて此処には居ませんよ……」

 

「一夏、お菓子作りも得意だもんね……」

 

 

私や本音も、ケーキなら作れないことも無いんだけど、虚ちゃんや簪ちゃんの言う通り、一夏君が作った方が美味しいのだ。

 

「でも、プレゼントを買って渡すだけならクラスメイトでも出来ますし」

 

「実際に計画はあるみたいだよ~」

 

「お兄ちゃんは人気者だからね」

 

 

一夏君本人が如何思ってるかは関係無く、1年1組の女子の殆どが一夏君に何かしらの好意を持っている。

 

「義理チョコならぬ義理プレゼント?」

 

「お友達の誕生日を祝う感覚なのかな~?」

 

「多分何人かは本命が居る……」

 

「何でバレンタインの話になってるんですか」

 

 

マドカちゃんの言い方は、まさに本命チョコを義理チョコとして渡す女子が居るって意味に聞こえた……そう言えば一夏君って、チョコもらった事あるのかしら?

 

「ねえ須佐乃男」

 

「何です?」

 

「中学時代の一夏君って、チョコレートもらった事あるの?」

 

「お嬢様も脱線してますよ」

 

「良いじゃん、少しくらい。何時もの事だよ」

 

「自覚してるなら少しは止める努力をしてくださいよ……」

 

 

虚ちゃんは私の物言いにガックリと肩を落とした。……虚ちゃんのこう言う行動って、本当一夏君にそっくりよね~。

 

「それで須佐乃男、一夏って中学の時からあんな感じだったの?」

 

「あんな感じとは?」

 

「表面上は仲良いんだけど、如何も上辺だけって言うか」

 

「大人の付き合いだね~」

 

「それも少し違うと思うけど……」

 

 

私が興味持った事に、簪ちゃんと本音も喰い付いた。虚ちゃんは本格的に脱線すると察知して、盛大にため息を吐いた……これも一夏君、良くやるわね。

 

「私が来る前は知りませんが、一夏様は前からあんな感じでしたよ。数人の友人以外は心を開きすぎないようにしてましたし、ウザイって思ってる相手にも、表面上は仲良い雰囲気を演出してましたし」

 

「何でそうなったのかな……」

 

「恐らくは誘拐事件と千冬様の度重なる行動で、人間不信に陥ってるのでは……」

 

「人間不信までは行ってないけど、それに順ずる事はありそうよね……」

 

 

更識の屋敷に来た時も、何処か他人行儀だったし、今でも形式上必要な時にはしっかりと距離を取っている……昔から出来てたのかしらね……

 

「それで、一夏君は中学時代からモテてたの?」

 

「今以上にモテている訳ではありませんが、それなりにモテてましたね。お2人の友人が可哀想に思うくらいには……」

 

「そう言えばリンリンが昔の告白して振られたって言ってたよ~」

 

「あれは告白だったのでしょうか……」

 

「そろそろ本題に戻りたいのですが?」

 

「ん?……虚ちゃん、ひょっとしてご機嫌斜め?」

 

 

全員で振り返ったら、誰が見ても機嫌が悪そうな虚ちゃんがそこに居た。脱線話で盛り上がり過ぎちゃったか……

 

「やっぱりコスプレするしか無いかな~」

 

「コスプレって言っても、どんな格好するの?」

 

「警察、看護師、CA、ウェイトレス、スク水、ブルマ……」

 

「お嬢様、途中からマニアック過ぎませんか?」

 

「そうかな~……ふんどしにさらしって言うのもあるけど」

 

「お姉ちゃんがするなら良いよ?」

 

「さすがに出来ないよ~」

 

「そ、そうだよね。さすがのお姉ちゃんもそんな格好出来ないよね」

 

「一夏君が逃げちゃうからね~」

 

「「そっち!?」」

 

 

簪ちゃんと須佐乃男が声を揃えて驚く……今のってそんなに驚く事だったのかな?

 

「メイドさんだと文化祭でやってたから、今回は使えないでしょ~」

 

「私と本音と須佐乃男は着てましたからね」

 

「一夏さんも見慣れてるでしょうし」

 

「猫耳メイドは?」

 

「さっきから思考がマニアック過ぎです」

 

「尻尾もつけるとか?」

 

「それは可愛いのですか?」

 

「むしろメイド服を着ないとか!」

 

「露出狂ですよ、それは!」

 

「やだなー、ちゃんと下着はつけてるよー」

 

「そう言う問題では無いでしょうが!」

 

 

私が出す案を、悉く却下する虚ちゃん……何か怨みでもあるのかしら?

結局コスプレをしてお祝いする事になり、衣装は各自好きなものを選ぶ事になった。碧さんにも連絡したし、須佐乃男は自分で衣装を具現化出来るので、衣装の心配はしていない。当日が楽しみね……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

弾と別れ、俺はシャルと学園に戻る電車に乗っていた。弾はシャルと上手くいったと思い込んでたが、シャルの表情を見る限り、弾の勘違いだと言う事が良く分かる……相変わらず思い込みの激しいヤツ。

 

「それで、弾とは如何だった?」

 

「う~ん……悪い人では無いんだろうけど、僕とは合わないかな?」

 

「そうか……」

 

 

この時点で弾の玉砕が決定した。さすがは玉砕王と渾名されただけのヤツだ(中学時代に告白しては振られるというのを繰り返し、クラスの女子が影でそう呼んでいた。弾本人はその事を知らないのだが)。

 

「それより一夏」

 

「何だ?」

 

「随分と長い電話だったね」

 

「ああ、あれは嘘だ」

 

「嘘!?だって一夏は嘘吐きは嫌いだって……」

 

「保身のための嘘は嫌いだが、今回は弾がシャルと一緒に居られるためにも、俺が邪魔だったからな。他に上手い事思いつかなかったから嘘を吐いたって事だ」

 

「なるほど……一夏って意外と友達思いなんだね」

 

「意外と言われるのは不本意だが、俺の知らない所で、アイツの恋路を邪魔してるみたいでな、この前応援しろと言われたんだ」

 

「ああ~なるほど……」

 

「ん?」

 

 

如何やらシャルには、俺が弾の恋路を邪魔していると言う事に心当たりがあるようだ。数馬に聞いても教えてくれなかったし、弾本人に聞いても――

 

「自分で考えやがれっ!」

 

 

――としか言ってくれなかったしな……

 

「それで一夏、悪いんだけど彼にはお断りの連絡をしておいて」

 

「お断り?何を断るって言うんだ」

 

「次の休みに一緒に出かけないかって誘われたんだ」

 

「……こう言う行動だけは早いんだよな」

 

 

相手の都合も考えずに、兎に角、兎も角一緒に出かけようとするのが弾の悪い所であって、積極的だと取れば良い所なのだ。

 

「その場で断る事も出来たんじゃ無いのか?」

 

「だって持ち上げておいてから落とす方が快感じゃない?」

 

「………」

 

 

たった今確信した。シャルロット・デュノアは間違いなく腹黒い……しかもそれを隠そうとしていないのがたちが悪い……

 

「その姿を見れないのが残念だけど、結果だけは教えてね」

 

「あ、ああ分かった……」

 

 

弾よ、やっぱりシャルに惚れるのは間違いだぞ……今度お前に興味があるって言う女性を紹介するから、シャルの事は諦めるんだな……そんな人に心当たりは無いが。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日、授業が終わり生徒会室に行こうとしたら山田先生に呼び止められた……何かまた問題でもあったのだろうか?

 

「榊原先生が織斑君を呼んでましたよ」

 

「榊原先生が?」

 

 

もしかして昨日の事だろうか。結局コーヒー代も払ってしまったし、もしかしてプライドを傷付けてしまったのだろうか……

俺は呼ばれた理由を考えながら職員室に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

真耶に伝言を頼んで、織斑君を職員室に呼んでもらった。用件は昨日の事だ。織斑君と一緒に居た男の子の情報を手に入れるために、織斑君に来てもらったのだが――

 

「昨日はスミマセンでした」

 

 

――目が合うなり謝られた。

 

「えーっと織斑君、何で謝ってるのかな?」

 

「あれ、コーヒー代まで払ったのを怒ってるんじゃ無いのですか?」

 

「ううん、昨日はご馳走様」

 

「いえ、邪魔したお詫びです」

 

 

織斑君には、暫く愚痴に付き合ってもらったが、邪魔されたとは思ってなかったんだけどな……これがモテる男の子なのか。

 

「では、いったい何の用ですか?」

 

「昨日の事で、ちょっと聞きたい事があるんだけど」

 

「はぁ」

 

 

織斑君は首を傾げながら私の言葉を反芻している……心当たりが無かったのか、白旗を揚げて私が聞きたい事を聞こうとしてくれた……すぐに聞かないあたり、自分に非があるのではと思っていたのだろうか?

 

「織斑君と一緒に居た男の子なんだけど……」

 

「一緒に居た男の子……ああ、アイツですか」

 

「そう、その男の子」

 

「アイツが如何かしましたか?……まさか何かされたんですか」

 

「ううん違うの。あの子の事、少し教えてくれない?」

 

「はぁ……先生の噂は本当だったようですね」

 

 

噂と言うと、私が好きになった相手は、悉く駄目男で周りから反対されるって言うあれだろうか……でも、今回はそんなに駄目男には見えなかったし、何より織斑君のお友達なんだからそれ程駄目って事も無いだろう。

 

「まぁ教えろって言われて断る理由はありませんから教えますが……」

 

「何か問題でもあるの?」

 

 

織斑君は少し考えて、何か納得したように首を横に振った。

 

「いえ、俺も大して変わらないなと思いまして……」

 

「?」

 

「こっちの話です。それでアイツの事ですよね?」

 

「うん、そう」

 

 

織斑君は職員室で話す内容では無いと言って部活棟に移動するよう促した。確かに教師が生徒の友達の情報を聞いているとバレたら、色々と問題があるかもしれない……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それで、あの子はいったい如何言う子なの?」

 

 

部活棟の私の部屋に織斑君を通し、彼の事を聞く。……そう言えば私、自分の部屋に男の子を入れたの、初めてだなー……初めては教え子か~。

 

「アイツは俺の悪友の1人で、名前は五反田弾。私立の高校に通う15歳です」

 

「15歳……改めて聞くと若いわね」

 

「でも榊原先生って、まだ30前ですよね?」

 

「うん、一応は……」

 

「それなら問題無いと思いますよ。俺も似たような感じですから」

 

「そうなの?」

 

「なので歳の差はこの際考えないで、先生は弾の事が気になってるんですよね?」

 

「ええ……」

 

 

でも彼はデュノアさんに気があるみたいに見えたし、やっぱり歳の近い娘の方が彼も良いだろうし……

 

「実はシャルに断るように頼まれた用事があるんですが、弾が了承してくれるなら、先生が行きます?」

 

「何処に?」

 

「今度の休みに水族館にシャルを誘ったみたいなんですが、シャルの方に行く気が無いそうなので断ってくれと頼まれてるんです。弾の事だから、既にチケットとか買ったんでしょうし、無駄にするのはもったいないので……」

 

「良いの?」

 

「聞いてみますが、多分平気だと思いますよ?」

 

「そう?……なら、お願い出来る?」

 

「分かりました」

 

 

そう言って織斑君はズボンのポケットから携帯を取り出し、彼に電話を掛ける……別に私が話す訳では無いのに、何でこんなに緊張するんだろう……

 

「あっ、弾か?」

 

 

如何やら彼が電話に出たみたいだ。織斑君は特に緊張した様子も無く(当たり前だが)、用件を淡々と話し始めた。

 

「お前、シャルを水族館に誘ったそうだが、シャルが行きたくないって言っててな……俺は関係無いぞ。……ああ、それでお前に興味がある女性が居るんだが、その人と一緒でも良いか?……いや、千冬姉じゃ無いから安心して良いぞ。……そうか、分かった」

 

 

そう言って織斑君は携帯を私に向けた……これは如何すれば良いのだろうか……

 

「弾が話したいそうです」

 

「えっ、でも……」

 

「大丈夫ですよ」

 

「うん……」

 

 

織斑君に背中を押され、私は彼が待ってるであろう電話を手に取った……

 

「も、もしもし……」

 

『えーっと貴女が一夏の言ってた、俺に興味がある女性ですか?』

 

「え、ええ榊原菜月と言います……」

 

『俺は五反田弾です』

 

「織斑君から聞いてます」

 

『織斑君?……一夏との関係は如何言うものですか?』

 

「きょ……教師と生徒です」

 

 

これで私が結構オバサンだってばれちゃう……織斑君は気にしなくて良いって言ってたけど、心配になるのはしょうがないよね。

 

『先生なんですか?』

 

「え、ええ……」

 

『………』

 

 

向こうの沈黙が怖い……何を言われるのかは分からないけど、こう言う時って何故だかネガティブ思考になっちゃうのよね……

 

『スミマセンが、一夏と換わってもらえますか?』

 

「ええ……織斑君、換わってほしいって」

 

「俺に?」

 

 

織斑君は自分が呼ばれるとは思って無かったようで、部活動を此処から見学していた。それで少し反応が遅れたみたいだけど、それでも慌てないだけの胆力は持ち合わせてるみたいだった。

 

「何だよ?……ああ……相変わらずだな……それで、如何するんだ?……分かった。榊原先生、弾が換わってくれと」

 

「ええ……」

 

 

電話に出るのも緊張するけど、織斑君もあんなしゃべり方するんだな~って少し驚いた。

 

『本当に俺と出かけてくれるんですね?』

 

「ええ。迷惑で無かったら是非に!」

 

『じゃあ詳しい事は一夏の携帯に送りますから。それと、一夏から俺の携帯番号とアドレス聞いてください』

 

「分かりました!」

 

『最後に一夏に換わってください』

 

「ええ!織斑君、換わってほしいと」

 

「またか……」

 

 

織斑君は何処か疲れた感じで携帯を受け取った。……私と話してる時と織斑君と話してる時で、雰囲気でも違うのかしら。

 

「それで?……あっそ分かった。……別に投げやりじゃねぇけど……とりあえずは良かったな。……別に見下してねぇよ。ああ、それじゃあな」

 

 

織斑君は電話を切ると、ため息を吐いた。若いのにため息なんて……織斑君も苦労してるのねー。

 

「弾に頼まれたので送りますが、先生って携帯持ってるんですか?」

 

「持ってますよ、さすがに!」

 

「そうですか……ナターシャさんは持ってなかったので、他の先生も持ってないのかと思いましたよ」

 

「あの人、持ってないの?」

 

「前使ってたのが、軍で配布されたもので、さすがに使い続ける勇気が無いって言ってました」

 

「新しいの買えば良いのに……」

 

「亡命手続きが済んでませんから、まだ携帯を買う事が出来ないんですよ」

 

「何で?」

 

「戸籍が……」

 

「ああ……」

 

 

最近では面倒くさい手続きは無く、戸籍確認だけで携帯会社と契約が出来るのだが、ナターシャ先生には今、登録に必要な戸籍が無い……

 

「だからナターシャさんは1人で行動する事はしてません」

 

「何で?」

 

「緊急の用事があっても、ナターシャさんに連絡する手段がありませんからね」

 

「なるほど……そう言えば織斑君も今、無国籍で戸籍が無いんじゃ?」

 

 

織斑君の国籍は、政府間で行われた話し合いで取り上げられちゃってるし、織斑君が携帯を持ってるのはおかしいんじゃ……

 

「取り上げられる前の携帯をそのまま使ってますから……ですので機種変更とか出来ません」

 

「だからそんなに古い型なんだ」

 

 

疑問も解消したので、私は自分の携帯を取り出して織斑君から五反田弾君の携帯番号とメールアドレスを入手した。

 

「本当に弾に興味があるんですね……」

 

「おかしいかな?」

 

 

私が好きになる相手は、大抵の場合周りから止められる男だが、今回はそこまで酷いとは自分でも思って無いのだけど……

 

「おかしくは無いですが、弾にも春が来たんだなーと思っただけです」

 

「春?……今は秋だよ?」

 

「いえ、そう言った意味では無く……わざとですか?」

 

「さすがに分かるわよ」

 

「ですので、弾の事をよろしくお願いします」

 

 

織斑君は友達のために頭を下げた……おかしいな、私の印象では此処まで友達思いな子じゃなかったんだけど……

 

「でも、向こうが私を見てガッカリしないかな……」

 

「それは無いと思いますよ」

 

「何でそう言い切れるの?」

 

 

私は28だし、織斑君や五反田君から見たら十分オバサンだし、五反田君は私の事見たこと無いし……織斑君が大丈夫だと言い切れる根拠を知りたい。

 

「だって榊原先生、お綺麗ですから」

 

「そ、そう?」

 

「ええ。刀奈……いえ、楯無さんや虚さんも綺麗だって言ってましたよ」

 

「そっか……あれ?織斑君、今刀奈って言わなかった?」

 

 

更識さんの事なんだろうけど、あの子は楯無だよね?間違えるにしてももう少し近い名前で間違えないかな?

 

「それは忘れてください。こう言った場所では『楯無』の名で呼ぶって決めてるんで」

 

「付き合ってるんだっけ?」

 

「ええまあ……」

 

「彼女の名前を間違えちゃ駄目でしょ」

 

 

更識さんに言いつけちゃおうかしら……

 

「間違えては無いんですが……」

 

「でもあの子、楯無って名前よ?」

 

「それは当主が代々襲名する名前で、俺は襲名する前の名前で呼んでるんです。この事は他の生徒には内緒で」

 

「そっか……それじゃあ織斑君には、私と五反田君が上手く行くようにサポートしてもらおうかな?」

 

「何故に……」

 

「黙っててほしいんでしょ?」

 

「うわ、生徒脅してるよ、この人……」

 

 

セリフだけなら嫌なのだろうが、織斑君は笑っている。

 

「悩み相談くらいなら受けますよ」

 

「それじゃ、お願いね」

 

 

織斑君は部屋から出て行き、私は聞いたばかりのアドレスを呼び出す……彼氏が出来ると、親も安心するだろうな……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

IS学園某所

 

「それで束、今回は如何するんだ?」

 

「シュミレーションしたけど、どれもいっくんに滅茶苦茶怒られたんだよねー」

 

「それじゃあ、如何するんだ」

 

「一応するつもりだけど、怒られたくないんだよね~」

 

「でしたら、私も協力しますよ」

 

「お前がか?」

 

「ええ」

 

 

なにやら不穏な話し合いが繰り広げられているが、その事を知っているものはいない……

そして、一夏の誕生日を迎える……




次回こそ、誕生日回です。
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