・・・とりあえずどうぞ。
更識の屋敷に戻って、俺は細々とした希望を言ってないことに気がついた。
元々女子寮なのだから、俺が入れる風呂などないのだ。
なので、俺は千冬姉に電話をする。
「もしもし一夏、なにかあったか?」
普段俺から掛けることは滅多にないので、千冬姉は少し興奮している・・・なぜしているのかは考えないでおこう。
「いや、部屋のこと。細々としたこと言ってなかったから。」
「ああ、そうだったな。それで一夏、どんな部屋にしたいんだ?」
どんな部屋って・・・別に部屋自体は普通でいいんだがな。
「風呂をな、浴槽を俺が入っても余裕があるくらい大きめに作って欲しいんだが。」
「大きめの浴槽・・・まさか一夏あいつらと一緒に・・・」
何を勘違いしてるんだ。
「違うわ!本来女子寮なんだろ。だから俺が風呂に入るのは無理だろうから部屋についている風呂場を大きくして欲しいだけだ。」
「何だ・・・安心したぞ一夏。」
だからなんで貴女が暴走するんだよ・・・。
「それからキッチンの方もちゃんとしたものにして欲しい。学食ばかりじゃ腕が鈍るからな。」
「了解だ、それから一夏・・・。」
「何だ?」
随分と間が空くな・・・言いにくい事なのか?
「たまには私に弁当を作ってくれると嬉しいんだがな・・・」
なんだそんな事か。
「別に構わないが、何でそんなに言いにくそうにしてるんだ?」
「だって、最近の一夏私に冷たいんだもん。だから断られると思ったんだ。」
いきなり純情乙女モードですか・・・。
正直言って気持ちが悪いからやめてもらいたい。
「(姉に思うことではないのでは?)」
須佐之男にツッコまれる。
そうなんだろうが、俺の精神衛生上よろしくないのも事実なのだから別にいいだろうが・・・。
須佐之男とやり取りをしていたので、千冬姉をほったらかしにしていた。
「おい一夏、どうした?」
ああすまない、忘れてた。
「いや、なんでもない。弁当な、入学したら作ってやるから心配するな。」
「ああ、楽しみだ。」
「だが、好き嫌いせずに残さず食べろよ。」
およそ大人に言う台詞ではないが、千冬姉は好き嫌いが激しいのだ。
例えばセロリ、俺は漬物にして食べるのが好きなのだが、千冬姉は食べられない。
流石に弁当には入れないが、基本漬物を食べないので付け合せを考えるのが面倒くさいのだ。
そしてキュウリもダメなのだ。
代表的なのはこの二つだが、基本工夫しないで野菜を出すと食べないので手間が掛かる。
・・・いい機会だから好き嫌いを減らしてもらおうか。
「い、一夏。好き嫌いは人それぞれなのだから、別に良いんじゃないか?」
「千冬姉は多すぎるんだよ。この際全て生野菜のスペシャル弁当なんて良いな。」
俺は今悪い顔をしているんだろうな。
自分の顔を見れないのが少し残念だ。
「(どんな顔でも一夏様はカッコいいですよ。)」
・・・ありがとな。
須佐之男のベタボレはどうにかならないのかな?
「一夏、それだけは、それだけは勘弁してくれ~~~。」
よほどトラウマなのだろう。
過去一回だけやったことがあるのだが、その時は泣きながら食べてたっけか。
結局全部は食べられず手を加えたのだが・・・。
「分かったから減らす努力はしてくれよ。でないと・・・分かってるな。」
「わ、分かった。努力しよう。」
俺は千冬姉の返事に満足して電話を切った。
週末になり、屋敷に刀奈さんと虚さんが帰ってきた。
俺と顔を会わすなり顔を真っ赤にした。
・・・貴方達もですか。
「そうだ、一夏君。夏休みに旅行に行こうと思ってるうだけどどうかな?」
刀奈さんの提案に俺は少し考え・・・
「良いですね。それで何処に行くんですか?」
「更識の所有してる旅館に泊りがけで行くつもり。海が近いから遊べちゃうぞ。」
「海ですか・・・。去年の水着じゃ小さいかな?」
俺はこの一年でだいぶ成長した。
なので水着を買いに行かなきゃな。
「なら今度の休みに皆で行きましょうか。私達の水着、選ばせてあげる。」
「分かりました・・・ん?皆の水着?」
「そうよ。一夏君責任重大だぞ♪」
俺にセンスを求めないでくださいよ・・・。
とりあえず、俺は実家に向かうことにした。
千冬姉も戻ってくるだろうし、掃除や洗濯をするか。
「(一夏様、私もお手伝いしますよ。)」
須佐之男のセンスに期待するか・・・。
俺は諦め屋敷から出る。
実家に戻り千冬姉の洗濯物を洗濯機に入れ部屋の掃除を始める。
最近の週末はこれで潰れる。
しかし来週は5人で買い物に行くことになった。
だから、千冬姉には自分で洗濯をしてもらいたい。
よし、今日明日で洗濯を叩き込むとするか・・・。
「千冬姉、洗濯を教えるからこっちにきてくれ。」
俺は千冬姉を呼び、洗濯講習を始める。
千冬姉もいい大人なのだから、洗濯くらい出来るようにならなければ嫁の貰い手などないぞ・・・。
「一夏がすればいいじゃないか。」
最初からやる気の無い千冬姉・・・少しは興味を持てよ。
「来週俺は実家に戻ってこないから、自分で洗濯して欲しい。だから覚えてもらう。」
「何、一夏何処か行くのか?」
「何処でもいいだろ。ともかく洗濯だけは覚えてもらうぞ。」
「無理だ!私は洗濯などできん!」
威張って言うことかよ・・・。
ならば、意地でも覚えてもらおう。
「千冬姉、もし覚えられたら今日の晩御飯は千冬姉の好きなもの作ってやる。」
子供にやる気を出させる作戦だが、千冬姉には効果抜群だ。
「何、本当か?よし頑張るぞ。」
自分で言っておいてあれだが・・・ちょろすぎだろ千冬姉よ。
「(一夏様が作る料理が好きなんですね。)」
須佐之男の一言に俺は苦笑いをした。
その間千冬姉は四苦八苦しながら洗濯機を動かそうとしている。
・・・何がそんなに難しいんだ?
「一夏、何処を触れば水が出るんだ?」
おい、そこからかよ!
俺はこの姉が洗濯機を使えるのかと頭を悩ませた。
「水の前に電源を入れろ!今まで何やってたんだよ・・・。」
「電源ってどこだ?」
「そこにあるだろ・・・そうそれ。その後に・・・」
俺はもう面倒くさくなって教える事にした。
・・・だってこのまま一人でやらしたら日が暮れる。
「よし!出来たぞ一夏。」
「・・・ああ、そうだな・・・。」
疲れた・・・。
なんで洗濯機を動かすだけでこんなに疲れるんだよ。
「明日また見てやるから、そこで使えれば問題ないだろう。」
「ああ分かった・・・ところで夕飯の件だが。」
そうだったな・・・。
とりあえず動かせたんだし今回はおまけするか。
「分かったよ。何が食べたいんだ?」
俺はリクエストを聞く。
「一夏特製ハンバーグとカレーがいいぞ!」
ハンバーグとカレーか・・・子供の好きな料理だな。
まあ良いか。
「分かった。じゃあ買い物に行って来るから留守番たのむぞ。」
「一緒に行きたいが・・・待ってる。」
ああ、学習したか。
俺もなるべくなら殴りたくないからな。
スーパーに着き、必要なものだけをかごに入れ会計のためにレジに向かおうとしたが・・・
「あれ?一夏さん、こんなとこで会うなんて奇遇ですね。」
悪友の妹、蘭と出会った。
随分と久しぶりだな・・・。
「蘭か、何時振りだ?」
「半年くらい前にちょっと話して以来です。」
ああ、千冬姉が帰ってきたときか・・・。
「今日はどうしたんですか?」
「千冬姉が実家に帰ってきてるから食材の買い足しにな。」
俺は蘭と軽く話して、分かれた。
ちょっと寂しそうな顔をしていたが、何時までも話してるわけにはいかないだろ。
「おや、一夏君じゃないか。」
「あ、どうも。」
半年前にもこの人のレジに来たような・・・縁があるんだろう。
「一夏君も大変ね~、ISの事こんなとこまで聞きにくるんだから。」
どうやらマスコミは俺の近所にまで聞き込みをしているらしい。
「安心して、私達は一夏君の味方だから。」
泣きそうだ・・・俺はここまで愛されていたのか。
周りのおば様達も俺の心配をしてくれて俺は感謝した。
帰宅した俺を迎えたのは、疲れきった千冬姉だった。
いったい何があった?
「一夏、洗濯物は如何干すんだ?」
「そんな事か・・・何があったかと思ったぞ。」
俺は丁寧に干し方を教え、夕食の準備を始めた。
「一夏、風呂に入ってくるぞ。」
「ああ、分かった。その間に作っとく。」
千冬姉が風呂に入ってる間に食事の準備を終わらせ、お茶を飲み出てくるのを待つ。
後はカレーを煮込むだけだからな・・・。
はぁ、お茶が美味い。
「(一夏様なんだかお年寄りみたいですよ。)」
失礼な、俺はまだ老けてない。
・・・確かに趣味は年寄りくさいかもな。
「一夏、出たぞ。」
千冬姉が風呂から出てきたので仕上げをする。
しっかりと煮込んだカレーを皿によそいテーブルに運ぶ。
ハンバーグもしっかりと作った。
「「いただきます」」
声をそろえて食事開始、いつもの風景だ。
「うむ、美味いな。」
千冬姉の感想を聞き、俺は満足感に浸っていた。
いくら邪険にしていても姉に満足してもらえるのは悪い気がしない。
「「ごちそうさまでした」」
再び声をそろえて食事終了。
これで一日が終わった。
そして次の週、千冬姉は何とか洗濯を出来るようになったので、俺は4人と一緒に買い物に向かうことにした。
はっきりって俺のセンスが4人を満足させる事はないと思っている。
しかし、期待されてるのだなんとかせねば。
「おまたせ、一夏君♪」
刀奈さんが声を掛けてきたので振り返る。
4人とも可愛いな・・・、最近俺おかしい?
「(最近は良い感じですよ。前のヒリヒリ感も良かったですが、今の優しい感じも良いです。)」
やっぱり4人と一緒にいて変わったのか。
まぁいいか、別に困る事ではないのだから。
「一夏、どうしたの?」
「おりむ~どうかした?」
簪と本音に心配されてしまった。
声には出してないが虚さんも心配してくれている。
こんなにも俺は愛されているのか・・・感動だな。
「一夏君、疲れてるの~、おねーさんが癒してあげる。」
刀奈さんが抱きついてきた。
嬉しいけど、人前ですよ・・・。
「お姉ちゃんズルイ・・・。」
「お嬢様ずるいですよ、一夏さん私も癒してあげます。」
「おりむ~わたしも~。」
刀奈さんに対抗してなのか、3人も抱きついてきた。
ははは・・・笑うしかないな。
俺は諦めて開き直った。
一騒動あったが、とりあえず目的地に到着した。
4人とも他人の目を気にしなさすぎですよ・・・。
電車の中は針の筵だったぞ・・・。
「じゃあ一夏君、私達の水着選んでくれる?」
刀奈さんの一言に他の3人が慌てた。
なんだ?3人は聞いてなかったのか。
「おねーちゃん聞いてない。」
「お嬢様聞いてませんよ。」
「楯無様~きいてないよ~。」
「だって言ってないもん。サプライズだよ。」
普通サプライズを仕掛けるなら俺になんじゃないか?
まぁ、仕掛けられても困るんだが・・・。
「とりあえず、自分達で選んでみては如何ですか?その後で俺が感想を言うのでそれを参考にしてください。俺では選ぶことは出来ませんから。」
「む~ちょっと残念だけど、一夏君が見てくれるならそれでも良いか。」
何が残念なんだか・・・。
とりあえず最悪なシナリオにはならなかったな。
「(一夏様、選んであげてもよかったのでは?)」
無茶言うな、俺なんかが選んでも気に入るわけないだろう。
俺は須佐之男と話ながら、自分の水着を買った。
自分の買い物を済ませ、俺は4人の待つ場所へ向かった。
「あ、一夏君。遅かったね。」
すでに選んであるのか、4人は俺を待っていた。
そんなに時間は掛けなかったのだがな・・・。
「すみません、待ちましたか?」
「大丈夫だよ、じゃあ簪ちゃんからだよ。」
「一夏・・・ちょっと待ってて。」
簪が試着室に入っていく。
さて、どんな水着なのかな?
期待半分興味半分の気持ちで待っていると、カーテンが開いた。
「・・・どうかな?」
簪が選んだ水着は、白のワンピースタイプだった。
控えめな簪の性格からは想像できない美しさがある。
周りにスタイルの良い人がいるので目立たないが、簪も決して悪いわけではないのだ。
むしろ、同年代の女子にくらべると、刺激が強い。
「似合ってるぞ。その色と簪の髪の色が良く合っていてきれいだ。」
俺のストレートな感想に顔を真っ赤にしてカーテンを閉めた簪。
似合ってるんだから、何も恥ずかしがる事ないのに・・・俺に見られてるからか。
俺はちょっとずれた考えを自分で改めた。
「つぎは私だよ~。」
どうやら次は本音らしい。
いったいどんな奇抜ファッションでくるのか?
俺は少し期待している。
「(一夏様、本音様が奇抜な水着だと決め付けてますね。)」
須佐之男に突っ込まれたが、あの本音だからな。
普通ではないだろう。
「じゃーん、おりむ~どうかな?」
やはり本音は本音だった。
全身猫みたいな水着だ。
しかし、これが本音には似合っている。
「やっぱりそういう感じの水着か。でも本音にはそれが一番かな?他のが思いつかなかったし。」
「やっぱり~私も気に入ったんだ~。」
本音は上機嫌にカーテンを閉める。
さて、次はどっちだ?
「一夏さん、次は私です・・・。」
どうやら虚さんらしい。
虚さんは普通の感じかな?
あまり柄物や派手目な色は想像できないし・・・。
「おりむ~おねーちゃんの水着みて驚いたらだめだよ~。」
・・・なにを驚くというのか。
そんなやり取りをしていると・・・
「お、お待たせしました。」
虚さんが出てきた。
・・・へ?
そこにいたのは、いつもの虚さんよりも大人感が強い印象をうける感じの水着を着た虚さんだった。
黒いビキニにパレオを着けている。
正直言って似合いすぎている。
落ち着いた感じの虚さんが黒の水着を着るとこうなるのか・・・。
俺は簪と似たようなタイプを想像していたのだが、こっちのほうが良い。
断言できるな。
「如何ですか?」
感動しすぎて、感想を忘れていた。
「似合ってますよ、とっても。想像以上です。綺麗ですよ虚さん。」
俺の感想に他の3人がムッとして虚さんはプシューと音を立てて赤くなっている。
・・・ストレートすぎたかな。
「(でもそこが一夏様の良い所ですよ。普通なら恥ずかしがって言えませんし。)」
そうだな、言う方も恥ずかしいんだ、言われた方も恥ずかしいよな。
「最後は私。一夏君、虚ちゃん以上のすばらしいものを見せてあげるんだから。」
なにやら対抗心バリバリの刀奈さん。
似合ってればそれで良いんじゃないですか・・・なんでそこまで褒められたいのですか?
・・・やっぱり俺のせいか?
「(当然です。ここにいるのは全員一夏様のことが好きな乙女なのですから。)」
分かってるって、でも俺は皆等しく好きなのだが・・・。
須佐之男とのやり取りをしていると・・・
「じゃーん。どうかな一夏君、おねーさんの水着姿は?」
・・・女神がいた。
刀奈さんの水着は水色のビキニだった。
まるで刀奈さんが着るためだけに作られた水着では?と思うぐらいに似合っている。
「よく似合ってますよ、刀奈さんの雰囲気にぴったりで、それでいて可愛さもある。これ以上の水着はチョッと思いつきませんね。」
またもや思った通りに感想をいったら顔を真っ赤にして照れている。
「もう、一夏君ったら。そんなことはっきり言われたらこっちが恥ずかしいんだぞ。・・・でも嬉しい。」
それだけ言って中に戻っていった。
・・・こっちだって恥ずかしいんですが。
全員の水着をみて、会計のためにレジに向かう・・・。
「俺が払いますよ。」
良いものをみせてくれたお礼にここは俺が払おう。
俺の気持ちが分かったのか、4人ははにかみながら笑って頷いた。
本当にこの4人は俺の癒しだな・・・。
俺は心底この4人にほれているのだろう。
そんなことを考えながらこれからの旅行に気持ちを弾ませ、更識の屋敷に帰るのであった。
イチャイチャの前に千冬姉の努力、それによりハーレムデートの実現。
一夏の苦労も報われました。
次回は旅行編を書きます、お楽しみに。
p.s.
堂虎様
緋弾のアリアですか?
でもキンジって弾そらしただけじゃ・・・?
すみませんちょっとあやふやです。
ironmanfk様
原作であれだけ苦労しているんですから、この作品の中ぐらいは良い思いさせてあげたいのです。
ご容赦ください。
このあいだ感想にあった、箒の専用機ですがいくつか案があるのでご意見をお聞かせください。
1.紅椿の性能を落としたもの
2.白式の性能を落としたもの
3.そもそも専用機は出さない
4.その他
自分でも考えますが、皆様のご意見お待ちしております。