もし一夏が最強だったら   作:猫林13世

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サイトが重いのか、何回かブロックくらった……


簪の独自理論

簪はお兄ちゃんが楯無さんや虚さんにだけ甘いって思ってるっぽいけど、私から見ればお兄ちゃんは気を許してる相手にはかなり甘い……つまり簪にも相当甘いのだ。

 

「(まぁ、本人は気付いてないみたいだけどね)」

 

 

自分の姉に嫉妬して意味あるのかな……あれ、自分の姉……何処かで似たような状況があったような気がする……

 

「マドカ、如何かしたの?」

 

「えっ……何で?」

 

「さっきから私の事ジッと見てる」

 

「気になる?」

 

「うん、ちょっと……」

 

 

そりゃそうだよね……誰だってジッと見られたら気になるよね……でも、そんなに見てたかな?私はそんなにジッと見てたつもりは無いんだけど……でも簪が見てたって事はきっと見てたんだろうな……反省。

 

「マドマドがかんちゃんをジッと見てた……ひょっとして禁断の……」

 

「いやそれは無い」

 

「分かってるよ~。ボケたんだからもう少しツッコんでほしかったよ~……」

 

「本音のボケは分かりにくいからね。本気だと思っちゃった」

 

「だってマドマドもおりむ~ラブでしょ~?」

 

「……うん///」

 

 

本音って、本当にはっきりと言う娘だなぁ~……そんなストレートに言われたら私の方が恥ずかしいって。

 

「でも、お兄ちゃんは私の事は妹としか見てくれてないから……」

 

「おお!禁断の……」

 

「だから違うってば!」

 

 

本音って私とお兄ちゃんが血が繋がってないって知らないんだっけ?楯無さんや虚さんは知ってるっぽいし、簪も理解してるっぽい……お兄ちゃんが教えたのだろうか?

 

「そっか~……おりむ~はマドマドの事を大事にしてると思うよ、それも私たち彼女以上にね」

 

「え?」

 

「本音?」

 

 

急に真面目なトーンで言ったから私も簪も思わず耳を疑った……だってこんなに真面目なトーンの本音なんて初めて見たかもしれないから。

 

「えへへ~。さぁ、おりむ~とお風呂だ!」

 

「「?」」

 

 

だが次に口を開けば何時もの本音……いったいさっきのは何だったんだろう……本当に一瞬だけ本音が寂しそうな顔をしたような……

 

「楯無様~、おりむ~に突撃を仕掛けたいと思いま~す!」

 

「よし!2人で突撃よ!!」

 

「いえ楯無様、3人です!!」

 

「……一夏さんに怒られても知りませんからね」

 

 

普段通りのあっけらかんとした雰囲気、周りまで明るくなるような笑顔、これが普段の本音なのだから、やっぱりさっきのは見間違い……って感じでも無いよね……簪も見てるっぽいし。

 

「ねぇマドカ……本音は何を言いたかったんだと思う?」

 

「分からない……嫉妬じゃ無さそうだったけど……」

 

「だよね……本音はあまり嫉妬するような娘じゃ無いもんね……」

 

 

本音の見せた表情に戸惑いながらも、とりあえずは普段通りに振舞おうと簪と2人で決めた。でもきっと、お兄ちゃんには無理してるのバレバレだろうな……あの人一瞬で理解しちゃうから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

このドアの先には一夏君が居る……しかも水着1枚で後は裸だ……今日も間近で見たけど、一夏君の水着姿は何度見ても良い!

 

「さぁ、突撃用意!」

 

「「ラジャ!」」

 

「……何で気合入ってるの、この3人……」

 

「……私には理解出来ませんでした……」

 

「……多分本人たちにしか理解出来ない事なんだよ……」

 

 

簪ちゃんたちが呆れてるけども、私たちには関係無い。私たちの頭の中には一夏君を驚かせる事でいっぱいなのだから。

 

「虚ちゃん、ドア開けよろしく!」

 

「嫌です」

 

「そこを何とか!」

 

「ハァ……本当に如何なっても知りませんからね」

 

 

ため息1つ吐いて虚ちゃんはお風呂場と脱衣所を隔てているドアを開ける……本音、須佐乃男、準備は良い?

 

「突撃!」

 

「「うおぉぉぉぉぉぉ」」

 

「……バカだろ」

 

「「うにゅ……」」

 

「あ、あれ?」

 

 

突撃を仕掛けた本音と須佐乃男が揃って目を回してその場に倒れこんだ。合図を送ったため私は一呼吸遅れてたので何とか助かったようだった。

 

「デカイ声だして、気付かれてないとでも思ってたんですか?」

 

「あ、あはは~……そんなに大きな声出してたかな~?」

 

「普通に聞こえるくらいの音量でしたよ」

 

「……一夏君、怒ってる?」

 

 

一夏君の手には風呂桶……2人はこれで叩かれたようだ。もしかして私も叩かれるのかな……叩かれるんだろうな……せめて痛くないように願おう。

 

「ほら、何時までも気絶したフリしてないでさっさと起きろ!」

 

「えっ、フリ!?」

 

 

結構良い音してたけど……一夏君が呼びかけると2人が大慌てで立ち上がった。

 

「ほらやっぱり」

 

「失敗失敗……」

 

「本気で殴る訳ないでしょ……」

 

「え……あれ?」

 

 

叩かれた2人は気まずそうに頭を掻いていて、一夏君は呆れ気味に2人を見てて……何が如何なったの?

 

「俺にじゃなくて刀奈さんにドッキリを仕掛けたんですよ……須佐乃男の発案で」

 

「偶には良いかな~って私もその計画に乗ったんですよ~」

 

「何時の間に……」

 

「脳内会話で一夏様には筒抜けですよ」

 

「あっ!」

 

 

そうか、須佐乃男は直接声に出さなくても一夏君と意思疎通が可能だったんだっけ……すっかり忘れてたわ。

 

「ビックリしましたか?」

 

「うんかなり……」

 

「それにしても一夏様、もう少し手加減してくれても良いんじゃないですか?」

 

「そうだよ~。かなり痛かったよ~」

 

「手加減したさ。もししてなかったらお前たちの顔は跡形も無く潰れてただろうな」

 

「「手加減してくれてありがとございます!」」

 

 

一夏君が見せた不敵な笑みで震え上がって声を揃えて一夏君にお礼を言う2人……協力者なのに完全に上司と部下みたいな関係ね……なんか逆らえないような感じとかそっくりね。

 

「虚さんも途中から分かってたみたいですけど」

 

「えっ!」

 

「だって本音も須佐乃男も声を潜めないんですもの」

 

「そう言えば……」

 

 

私も忘れてたけど、本音と須佐乃男まで声を潜めるのを忘れるなんて事は今まで無かったはずだ……それだけでおかしいと気付ける虚ちゃんも、やっぱり只者じゃないわね。

 

「兎も角、バカやるなら一緒に入りませんからね?」

 

「それじゃあお姉ちゃんと本音、須佐乃男はお風呂から出て行ってね」

 

「お兄ちゃんは私と簪と虚さんで綺麗にしとくから」

 

「「「ズルイ!」」」

 

 

追い出されそうになったけど、一夏君と虚ちゃんが揃って笑ってるのを見ると、一夏君の言った事は冗談だって事が分かった……相変わらず一夏君の冗談は分かりにくいわね……

 

「ですが、あんまりのんびり入る気も無いですがね」

 

「そうなの?」

 

「今日は疲れましたから」

 

「じゃあお風呂に入ってる間に1個質問」

 

「ん?」

 

 

簪ちゃんが一夏君に手を上げて質問をする……恐らくは車の中で話した事に対する質問だろうな。

 

「亡国企業の幹部が一夏に接触して来たって本当なの?」

 

「その事か……本当だ」

 

「何が目的で?」

 

「組織全体の目的は知らない。だがその幹部の目的は俺のようだ」

 

「一夏さんを捕まえて何をするつもりだと思います?」

 

 

簪ちゃんの質問の流れに沿って虚ちゃんが質問をする……みんなあの事が気になってるのだろうな。

 

「今回は相手から情報を引き出す事が出来なかったので憶測ですが、反乱でしょうね」

 

「反乱?」

 

 

声を出したのは虚ちゃんだけだけど、他の皆も同じ様な顔をしている……私だってその発言にかなり驚いているのだし……

 

「今日接触して来た幹部は、組織全体の動きに納得してない印象を持ちました。多分マドカの方がその幹部の事を知ってるんだろうが、会わせるつもりは無い。だからマドカ、そんな顔するな」

 

「え?」

 

「恐怖と絶望が入り混じったような顔だよ」

 

「私、そんな顔してた?」

 

「少なくとも俺にはそう見えた」

 

 

一夏君だけじゃなく、私にもそう見えた。よっぽどあの女幹部には会いたく無いのだろう……会っていきなり一夏君の唇を奪うような人に、会う必要なんて無いと私は思うけどね。

 

「この前此処を襲ったオータムはあの幹部……スコールの仲間なのだろう」

 

「ッ!?」

 

「名前も聞きたくないか……」

 

「ゴメン……」

 

「いや、謝る必要は無い」

 

 

一夏君はマドカちゃんを抱き寄せてあやすように頭を撫でる……震えていたマドカちゃんは一夏君に抱き寄せられ頭を撫でられた事によって落ち着きを取り戻したようだ。

 

「それにしても一夏様、ISを持ってなかったにしてもその幹部を取り押さえる事は出来たのでは無いですか?」

 

「街中で暴れられたら面倒だからな、今回は見逃したんだ。もちろん、次は逃がすつもりは無いがな」

 

「一夏君、油断しちゃダメだよ?」

 

「そうですよ、いきなりキスされるなんて一夏さんらしく無いですよ」

 

「あぁ、その事……あれは完全に油断してましたね」

 

 

一夏君はあの事を思い出して苦い顔をした……まったく、普段は慎重過ぎってくらい慎重なのに、如何して今日のあの時だけは油断してたのよ……

 

「黛さんの無茶に付き合った後で疲れてたのもありますが、まさかあんな事されるなんて思って無かったもので」

 

「インタビューってそんなに大変だったの?」

 

「あ、あはは////」

 

「お姉ちゃん?」

 

 

ついつい思い出してしまった……あれって今思うと相当恥ずかしい写真よね……

 

「あれが販売されるのよね……」

 

「編集長が言ってた通りの人ならそうでしょうね……」

 

「真面目な人の可能性は無い……よね」

 

「あの場面で嘘吐くメリットが無いですからね……」

 

「「「「?」」」」

 

 

編集長さんは渚子さんに丸め込まれるだろうし、あの雑誌社ってまともな人は居ないのかしらね……ってそう言えば!

 

「刀奈さん?」

 

「一夏君、違う!違うからね!!」

 

「何がですか?」

 

「私は誘われるだけで誘ってなんか無いから!それに付き合っても無いからね!!」

 

「は、はぁ」

 

「本当に本当だから!!」

 

「そんな必死にならなくても分かってますって」

 

「本当?」

 

「刀奈さんがそんな趣味じゃ無いって事は分かってますし、黛姉よりも刀奈さんの方を信じますよ、俺は」

 

「良かった~」

 

 

もし一夏君に疑われて、それで距離を取られたら私はきっと落ち込んじゃっただろうな……それで傷心中に誘われてついつい付き合っちゃってその気になっちゃったりしたかも知れないわね……私はノーマルだし、ついでに言えば一夏君が大好きだもん。絶対にそっちの気になんかならないんだもんね!

 

「ねぇ一夏」

 

「何だ、簪?」

 

 

私との会話がひと段落したのを見計らって、簪ちゃんが一夏君に話しかける。何だか簪ちゃんの顔が赤いような気が……

 

「キス」

 

「ん?」

 

「だからキス!」

 

「……何が『だから』なのかさっぱりなんだが」

 

 

確かに……何の流れで『だから』なのか、私にもさっぱり分からない。

 

「だって一夏は今日亡国企業の幹部にキスされて、さっきお姉ちゃんにキスされて、兎に角一夏はずっと受身なんだよ!」

 

「言われればそうだな……」

 

「だから今度は一夏からキスするんだよ!」

 

「……その理屈はおかしい」

 

 

簪ちゃんの独自理論にタジタジの一夏君……そう言えば簪ちゃんからキスしてるのって見た事無いかも。

 

「そうですよ!」

 

「虚さん?」

 

 

あらら……虚ちゃんも簪ちゃんの理論に乗っかっちゃったか……変なところそっくりだもんね、簪ちゃんと虚ちゃんって。

 

「受身ばっかでは無く一夏さんも攻めなくては!」

 

「は、はぁ」

 

「ですので、キスを!」

 

「……何が『ですので』なのかさっぱりなんですが」

 

「「さぁ!!」」

 

 

簪ちゃんと虚ちゃんの2人に迫られ一夏君が後ずさる……でもソッチには本音と須佐乃男とマドカちゃんが待ち構えてるわよ。

 

「えへへ~捕まえた~」

 

「お兄ちゃん、覚悟を決めて!」

 

「諦めも肝心ですよ、一夏様」

 

「お前ら!」

 

 

1人なら振りほどく事も簡単に出来ただろうけど、3人で抱きつけばいくら一夏君だからって簡単には振りほどけないでしょうね……

 

「えい!」

 

「ちょっと刀奈さん!?」

 

「私が抑えてるから今のうちに!」

 

「えっと、それじゃあまずは私から……」

 

「結局受身だろ、これじゃ」

 

「「「「「!」」」」」

 

「なら一夏君からしてあげる?」

 

「……仕方ないですね」

 

「「「「「!!」」」」」

 

 

一夏君の身体から力が抜けるのが分かる……でも今抜かれると寄りかかってる私はその支えを失う訳であって……つまり何を言いたいのかと言うと……

 

「倒れる!」

 

「おっと」

 

 

ぐらついた私とは対象に、一夏君は涼しい顔して私を受け止める……そっか、私くらいの体重なら一夏君にとっては力を入れる事無く受け止められるのか。

 

「大丈夫ですか?」

 

「うん、ありがとう……」

 

「じゃあ順番に並んでください」

 

「「「「「「は~い!」」」」」」

 

「ん?」

 

 

一夏君は何か不審な事を見つけたように目を細めた……何が不審なのよ。

 

「今、1人多かった気が……」

 

「お姉ちゃん、何しれっと加わろうとしてるの」

 

「あら~バレちゃったわね~」

 

「あと、マドカもおかしいだろ」

 

「ええー!」

 

「お前は妹なんだから……」

 

「兄妹でキスしてもおかしく無いよ!」

 

「いや、おかしいだろ……」

 

 

マドカちゃんが必死に交渉しているが、一夏君の首が縦に振られる事は無かった……その後簪ちゃん、虚ちゃん、本音、須佐乃男の順番で一夏君にキスをしてもらってた……羨ましいわね。

 

「先に出る」

 

「じゃあ私たちもすぐ出るわね」

 

「いや、ゆっくりしててください。ちょっと出るんで」

 

「何処に行くの?」

 

「寮長室」

 

「ッ!?」

 

「何を勘違いしてるかは知らんが、お前が思ってるような事じゃ無いぞ」

 

「マドマドは何を思ったのかな~?」

 

「知らない!」

 

 

一夏君に指摘され、本音に茶化されてマドカちゃんは不貞腐れたように湯船に飛び込んだ……微笑ましいけど危ないわよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

簪と虚さんのおかしなスイッチの所為でえらい目に遭ったが、とりあえず全員の機嫌は直ったようだし、別に良いか……

 

「一夏?」

 

「ん?」

 

「何か考え事か?」

 

「考える事なんて山積みだろうが」

 

「それもそうか……」

 

 

顔に出てたのか。千冬姉に指摘され、俺はとりあえず誤魔化した……この人に言えば、また別の面倒に発展するだろうからな。

 

「それで、何か分かったか?」

 

「さすがにこの短時間じゃ分からん」

 

「それもそうか」

 

「真耶も頑張ってるがな」

 

 

情報収集は山田先生の仕事だそうだ。この姉はそう言った細かい(?)作業が苦手だし、逆に相手に気取られる可能性もあるのでやらないらしい。

 

「それにしても、束のヤツも知らないなんてな……」

 

「そう言えば監視されてる雰囲気は無かったが、何かあったのか?」

 

「如何やら『クーちゃん』と言うヤツが倒れたらしい」

 

「ふ~ん……」

 

「何者なんだ?その『クーちゃん』とやらは」

 

「珍しいな、嫉妬か?」

 

「ち、違う!」

 

 

クロエさんに束さんを取られた風で嫉妬してるのか、この姉は……何だかんだ言って仲良いんだよな。

 

「束さんの身の回りの世話をしてる人だよ。一応聞いてるだろ?」

 

「聞いてはいたが、愛称までは聞いてなかったから」

 

「やっぱり嫉妬か」

 

「だから違うと言ってるだろ!!」

 

「そうやってムキになってるから指摘するんだぞ?」

 

「グッ……」

 

「分かりやすい事で」

 

 

別に嫉妬しようがしましが関係無いが、そんなにムキになる必要なんてあるんかねぇ?

 

「束さんも知らないとなると難しいか」

 

「そうだな……」

 

「今度は不貞腐れてるのかよ……」

 

「だって一夏が苛めるんだもん」

 

「ハァ……」

 

 

これが義姉だと思うとため息も吐きたくなるよな……今のは我慢すると思う間も無く出たため息だった。

 

「兎に角、一夏は単独行動は控えた方が良いだろうな」

 

「武装さえしてれば問題無いが……」

 

「須佐乃男は人型になってしまってからは待機状態にはなれないんだろ?」

 

「そうみたいだな」

 

 

何回か試したが、須佐乃男が再び腕時計になる事は無かった……持ち歩けない専用機って不便だよな。

 

「そうなると一夏の武装はISでは無くなる訳で……」

 

「さすがに帯刀なんてしないからな」

 

「分かってる……束なら何とか出来るか?」

 

「何とかって?」

 

「須佐乃男を如何にかする方法だ」

 

 

恐らくは無理だろうな……前に見てもらった時もその事は触れてなったし、束さんだって出来る事ど出来ない事があるんだ。

 

「兎に角電話だ!」

 

「焦ってするような内容じゃ無いだろ……」

 

 

やはり嫉妬してるのだろうな。

 

『やっほ~ちーちゃん、何か用かな?』

 

「一夏の専用機の事だが……」

 

『ゴメン、さすがの束さんもお手上げ状態なのだ~』

 

「そうか……って、また監視してたな!」

 

『へっへ~ん、ちーちゃんはクーちゃんに束さんが取られると思っちゃったの~?』

 

「そんな訳あるか!」

 

『今更誤魔化しても無駄だよ~』

 

「束!!」

 

 

束さんが何話してるのかは聞こえないが、想像するのは難しく無い……千冬姉の反応を見れば一目瞭然だ。

 

「貸せ」

 

「あ、おい!」

 

「束さん、簡単な武装を作れませんか?」

 

『う~ん……いっくんが使うとすぐに壊れちゃうからな~』

 

「人を怪力みたいに言わんでください」

 

『だってそうでしょ?』

 

「……否定したいが出来ない自分が情けない」

 

 

確かに簡単な武装だと耐久力が無く壊れてしまう……やはり須佐乃男を如何にかした方が良いのか?

 

『それはこっちで考えるから良いよ~』

 

「お願いします」

 

『いっくんの頼みだもんね~』

 

「襲われないのが1番なのでしょうが、そんなの確証出来ませんからね」

 

『この人気者~』

 

「だれの所為だと思ってるんですか、まったく」

 

『そうだ、クーちゃんにおかゆ作ろうと思ってるんだけど……』

 

「止めてください、殺す気ですか」

 

『だって苦しそうだし……』

 

「束さんが作れば確かに楽になるでしょう……でもそれじゃあ『楽』の意味が違う」

 

『じゃあいっくん、お願いね~』

 

「……何処ですか?」

 

『前と同じだよ~』

 

「ハァ……」

 

 

束さんには世話になる予定だし、これくらいは仕方ないか……

 

「ちょっと出てくる」

 

「分かった」

 

 

寮長に外出許可を貰い束さんの下へ行く……どうやら今日1日楽は出来ないようだな。




受身ばっかだからって攻めろとは……その発想は無かった
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