もし一夏が最強だったら   作:猫林13世

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微妙な天気が続く……洗濯物が鬱陶しい


迷子の楯無

須佐乃男が嫉妬してるって事は、その内触らなくても会話が出来る可能性があるって事だろう。だが、こうやって触れば会話出来るので今はそれで十分だと思ってる。だって俺は打鉄に乗ることは出来ないのだから。

 

「他の打鉄もチェックしたが、損傷は無さそうだな」

 

 

試しにラファールにも触れてみたが、声は聞こえなかった。つまり俺はまだラファールに信用されてないって事なんだろう。

 

「(中途半端に時間が残ったな……食堂に行ってる暇は無さそうだし、あの阿呆共の様子でも見ておくか)」

 

 

本当は放課後の予定だったのだが、さっきの言動から察するに刀奈さんは生徒会室には来ないだろうから、その分の仕事を片付ける時間を考えると、あの場所に行く時間が無くなってしまうだろうからな。

 

「少しは反省してるんだろうな……」

 

 

あの3人がそう簡単に反省するとは思って無いが、まったく反省してないと言う事も無いだろうと思いたい……あの場所なら俗世間から完全に隔離されてるから、少しは悟りでも開けるんじゃないだろうか。そうすれば少しは平和になってくれるんだけどな……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一夏に怒られてこの場所に閉じ込められて、どれくらいの時間が経ったのだろうか……窓も無く、時計も無いこの場所では時間概念を保つ事は難しく、既に自分がどれくらいこの場に居るのかが分からなくなってきている……

 

「真耶、お前はどれくらい此処に居ると思う?」

 

「分かりません……何も無いこの空間では考えようも無いですから」

 

「……デュノアは如何だ?」

 

「えへへ……一夏~助けてよ~」

 

「完全にダメだな、コイツは……」

 

 

一夏にぶち込まれる前に、私に指導されてたデュノアの精神は崩壊気味で、まともに会話が出来なくなってきている……それが演技か如何か確認したくても外に出られないので如何しようも無いのだが。

 

「真耶、隣の気配とか分からないのか?」

 

「千冬さんが私の気配を掴めないんですから、私だって無理ですよ」

 

「そうか……」

 

 

この空間は色々な術が施されてるために空間察知能力も、危機察知能力も衰えているようなのだ……一夏ならこの術にも対抗出来るのかもしれないが、私では術に抗う術無く屈してしまうようだ。

 

「あはは~お母さん、待ってよ~」

 

「……デュノアのヤツ、コレが本当だとしたら相当ヤバイよな」

 

「幻覚でも見えてるんでしょうか?」

 

 

なんて軟い精神なんだと思ったが、閉じ込められる前に私が半壊させていた可能性もあるからな、それにデュノアは実家に居た頃も監禁じみた事をされていたようだから、その時の恐怖も相まって崩壊のスピードが早くなってしまったのかもしれないな。

 

「千冬さん、これから私たちは如何なってしまうんでしょうか?」

 

「分からん……一夏が何時まで私たちを放って置くのかも分からないんだ、これからの事なんて分かる訳無いだろ」

 

 

1日以上経っている気もするし、まだ1時間も経ってない気もする……人間の脳なんていい加減なものだな。

 

「水と食料はまだあるが、これも自分のタイミングで食べてしまうからな。何時までもつやら……」

 

「本能を抑えられなくなってきてますね……」

 

「空腹で死ぬのは嫌だからな」

 

 

真耶と他愛ない話をしているしか暇を潰せないし、話すと喉が渇いてしまう……そして水を飲んでると自分が空腹だと気付いて食料に手を出してしまう……このサイクルは仕組まれたのもなのだろうか、それとも私たちが勝手にしている事なのだろうか?

 

「千冬さん、誰か来ましたよ」

 

「誰だ?」

 

「分かりません、足音だけしか聞こえませんし」

 

「こんな所に来る物好きなんてそう居ないだろうから、きっと一夏だろうな」

 

 

新たな食料を持ってきたのか、それとも開放してくれるか、どちらにしても真耶以外と話せるのは精神的に楽だろうな。

 

「随分と楽しそうに話してるな、アンタら」

 

「一夏!」

 

「何だ?」

 

「お前はどれだけ私たちを放置すれば気が済むんだ!」

 

「どれだけって……まだ半日も経ってないんだが」

 

「……今何時だ?」

 

「もうすぐ昼休みが終わるくらいじゃないか?」

 

 

何だと……まだそんな時間だったのか……

 

「ところで、シャルが見当たらないんだが如何かしたのか?」

 

「デュノアさんは隣に居るはずですけど……」

 

「覗いても居ない……」

 

「一夏!!」

 

「……お前はゾンビかよ」

 

 

私からは見えないが、一夏が覗き穴に飛びついてきたデュノアにドア越しに攻撃した音が聞こえた……やはりデュノアのアレは演技だったのか。

 

「精神崩壊を装って早めに外に出してもらおうとしてたのか!」

 

「デュノアさんはいけない子ですね!」

 

「……僕はお2人と違って普通に生活したいだけです。一夏に会いたいからじゃありません」

 

「反省の色無し、これは暫くは3人共此処で生活をしてもらった方が良さそうだな」

 

「「「何で(ですか)!?」」」

 

「謝罪の言葉でも出てくれば考えたんですが、誰1人として謝るどころか楽しそうだからな」

 

「楽しい訳無いだろ!」

 

「そうですよ、千冬さんの愚痴を聞かされる私の身にもなってくださいよ!」

 

「一夏、僕は良い子にするから!」

 

 

やはりデュノアは腹黒いメス豚だったのか……一夏に媚を売って此処から出してもらおうと言う算段なのだろうが、そんな事私が許さん!

 

「一夏、騙されるな。そいつはただのメス豚だ!」

 

「そうですよ、一夏君。その子は女の子のフリをしたただの豚なんですよ!」

 

「ヒドイや……僕は普通の女の子になりたかっただけなのに」

 

「……シャル、俺に嘘泣きが通用すると思うなよ」

 

「嘘じゃ無いよ!!」

 

 

扉越しに一夏に訴えかけるデュノア……私からは一夏の表情から想像するしか無いが、きっと芝居がかった嘘泣きをしているに違い無い。アイツはそう言うヤツだからな。

 

「2人の発言は兎も角として……シャル、お前は普通の女の子にはなれないだろうな」

 

「何で!?」

 

「だってお前、相当腹黒いだろ」

 

「んな!?」

 

 

一夏にはっきりと言われて、デュノアは絶句した……その顔を見れないのは残念だが、きっとかなり驚いた顔をしているのだろうな。

 

「篠ノ乃が怒られてた時、お前はまるで『ざまあみろ』とでも言いたそうな顔をしてただろ」

 

「し、してないよ?」

 

「それに文化祭の時のあの劇」

 

「それが何か?」

 

「一夏、あの時は私と真耶は舞台奥は良く見えなかったんだが、何かあったのか?」

 

「……何にも無かったです!」

 

 

デュノアが危険を察知したのか大声で否定し始めた。だが逆に私と真耶は何かあったんだと確信する事が出来た……だって覗き穴から見える一夏の顔が更に怖いものになったからだ。

 

「お前は自分が勝てればそれで良いって考えで、俺が投げつけた鈴を殴り捨てたよな?」

 

「何!?」

 

「デュノアさん、貴女……」

 

「してない!一夏、何で嘘吐くの!」

 

「嘘吐いてるのはお前だろ」

 

「「「ッ!?」」」

 

 

デュノアに向けられた殺気だったが、私も真耶も戦慄を覚えた……一夏が容赦無く殺気を放つ事なんて滅多にないので、私でも慣れているとは言えないのだ。

 

「出してやろうかとも思ったが、反省してないようだから当分は出さない」

 

「そんな!?」

 

「お前の専用機は責任もって俺が預かっておくから安心しろ。決して壊したり分解したりはしないから」

 

「……一夏、お前それはするって言ってるようだぞ」

 

「何言ってるんだ千冬姉、俺には須佐乃男以外のISは反応しないんだから分解も破壊もしようが無いだろ」

 

「待機状態のままでも壊せるんですよ?」

 

「……それじゃあISを壊したって気分にはならないでしょうからね。壊すんならシャルごと破壊しますよ」

 

「ヒィ!?」

 

「外に出てきたら覚悟しとくんだな」

 

「あ、あわ、あわわわわ」

 

 

デュノアから悲鳴になりきれなかった言葉が漏れ始めた……一夏の容赦ない怒気に耐えられなかったのだろうな。

 

「シャル、『ソレ』は自分で片付けるんだな」

 

「何かしたのか?」

 

「織斑君、デュノアさんが如何かしたんですか?」

 

 

興味が無くなったように一夏はデュノアの部屋から視線を外してつぶやいたため、私と真耶は何かあったのだと理解出来た……だが、何があったのかは確認出来ないので、一夏に聞くしか方法はなかったのだ。

 

「……気を失って全身の力が抜けたんだろ、前も後ろも漏らしてる」

 

「うわぁ……」

 

「そりゃ災難だな」

 

 

女が一夏の前で漏らしたから、一夏は視線を外したのか……しかしその行動も計算だとしたら、デュノアのヤツは相当な変態だと言う事になるんだろうな。

 

「また時間があったら来る、それまでは大人しく反省してるんだな」

 

「待て!」

 

「……何だ?」

 

 

去ろうとした一夏を引き止めて、私は心からのお願いをする事にした。これは私だけでは無く真耶のためでもあるのだから。

 

「デュノアの部屋の覗き穴、完全に閉めてくれないか?」

 

「何故だ?」

 

「その……匂いがコッチまでくるから」

 

「……分かった」

 

 

そう言って一夏はデュノアの部屋を完全に密封して特別指導室から姿を消した……デュノアが気付いたらその匂いでまた気絶するのではないかと思ったが、人の心配より自分の安全を優先するべきだろうからな、あんな匂いの中でモノを口に入れたくなかったのもあるが。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

午後の授業も終わり、私は何をしようか考えていた。生徒会室に行けば否が応でも仕事をしなければいけないので、あそこには近づかないようにしなきゃね。……でも、行けば一夏君がいるだろうし、何だかんだ言っても虚ちゃんも一夏君も私の仕事を手伝ってくれるのよね。まぁ、本音が一切生徒会の仕事をしないから、その分もやってから手伝ってくれてるんだよね……ちょっと罪悪感を感じるわね。

 

「だけど、最初から行くと全部私がしなきゃいけなくなっちゃうから、行くなら後でだな!」

 

 

自分の仕事だって事は分かってるけど、それでもしたく無いと思ってしまうのだ……だって量は多いし、無駄な事をつらつらと書かれた書類を見てたら眠くなるし、要点がさっぱり分からないやつもあるしで面倒なんだもん!

 

「さてと、今日は何処で遊ぼうかな~」

 

 

昼休みに一夏君が格納庫に居たわね……何か問題でもあったのかしら?

唯単に整備だけならあんなコッソリとする必要はなかっただろうし、問題が起こったのなら報告はしてくれる子だから、問題があったとも思えないのよね~。

 

「ほえ、楯無様だ~」

 

「本音?」

 

 

背後から独特の口調で話しかけてきた女子を、私は見るまでもなく誰だか理解した。だって私の事を楯無と呼び、更に様付けであの口調となると1人しか該当者が居ないからだ。

 

「おりむ~とおね~ちゃんが探してましたよ~?」

 

「何時もの事だからだいじょ~ぶ!」

 

「……大丈夫じゃ無いでしょ、お姉ちゃん」

 

「おや、簪ちゃんも一緒だったの」

 

「私も居ますよ」

 

「須佐乃男も……3人で何処かに行くの?」

 

「ううん、ただぶらぶらとお散歩してただけ」

 

 

簪ちゃんはそう言いながら少し眠そうだった……何時もより早めに寝たのに眠くなるのね。でも、その気持ちは凄く分かる。だって私も眠いもん。

 

「何処かでお昼寝でもする?」

 

「でも、寝てたら一夏様に見つかりますよ」

 

「おりむ~に怒られる~」

 

「それはマズイわね……」

 

「他人事のように言ってるけど、本音だって本来は仕事しなきゃいけない立場でしょ?」

 

「大丈夫、おりむ~もおね~ちゃんも優秀だから」

 

「だよね!」

 

「……一夏も虚さんも自分の仕事だってあるのに」

 

 

簪ちゃんのセリフに、私も本音も揃って生徒会室の方を向き手を合わせた。一夏君と虚ちゃんにお礼をするためだ。

 

「感謝してるなら、少しは自分でしようって思わないの?」

 

「「思わない」」

 

「息ピッタリですね~」

 

「……一夏に電話しようかな」

 

 

簪ちゃんが怖い事をボソッと言ったので、私は逃げ出す事にした。一夏君に電話して迎えに来られたら、私は生徒会の仕事をしなければいけなくなっちゃうじゃないの!

 

「それじゃあ3人共、また後でね~!」

 

「あっ、逃げた」

 

「逃げましたね」

 

「逃げたね~」

 

 

3人がしみじみと私を見送り、そして簪ちゃんは手にしてた携帯をしまった……始めから一夏君に電話をするつもりは無かったのだろうが、万が一を考慮して私は逃げたのだ。

 

「さてと、何処に行こうかな~」

 

 

随分と走って周りに人が居ない事を良い事に、私は大声で独り言を言った。だってあまりにも人が居ないから、逆に不安になってきたからだ。

 

「そう言えば、此処何処?」

 

 

我武者羅に走ったから周りの事を気にしてなかった……場所を確認しようにも目印となるものが一切見当たらないのだ。

 

「あれ、どっちから来たっけ?」

 

 

どっちを向いても同じ景色しか見当たらなく、私は方向感覚を失ってしまった……如何しよう、このまま帰れなかったら。

 

「一夏君……」

 

 

寂しくなって、私は私が知る限りもっとも頼りになる男の子の名前をつぶやいた……こんな思いをするくらいなら、大人しく生徒会室に行ってれば良かったな。

 

「此処って多分、立ち入り禁止区域だよね。生徒会長の私でも入った事無い場所なんて、そこしか考えられないもん」

 

 

私たちの部屋のある場所とはランクが違い、此処は本当に危険だから生徒の立ち入りは原則的に禁止だって聞いた事がある。その時は何が危険なんだろうと思ったけど、これは確かに危険だ……いや、不気味だと言った方が良いかも。

 

「怖い……怖いよ一夏君」

 

 

迷子になった時、自力で帰ろうとして更に迷う事がある。あれは方向が分からないのに無理に動こうとするから迷うのだ。でも今の私は自分で帰り道を探さないと帰れないのだ。携帯も圏外だし、立ち入り禁止区域にまだ探しに来てくれるなんて思えないから。

 

「どっちに進めば良いんだろう……」

 

 

前も後ろもまったくの同じ風景、窓が無いため外の景色で判断する事も出来ないのだ。でもいったい、此処は何なのだろう。

 

「……誰か居る?」

 

 

後ろの方から、誰かの足音が聞こえたような気がした。誰も居ないこの場所で聞く足音は、何故か大きく、そして不気味だった。

 

「もしかして……おばけ?」

 

 

そんな訳が無い。おばけには足が無いんだし、そもそもおばけは歩かないもんね。だとすると妖怪とかそう言ったものなのだろうか?

 

「嫌……怖いよ一夏君!」

 

「……何でこんな所に居るんですか」

 

「え……?」

 

「刀奈?」

 

 

約束通り私の事を呼び捨てにしてくれている一夏君。敬語だったけど、今はそんな事を考える余裕が無いくらい、私はいっぱいいっぱいだった。

 

「ッ!」

 

「おっと……如何した、泣きそうな顔して」

 

「だって!」

 

「やれやれ……此処は立ち入り禁止のはずだが。いくら生徒会長の刀奈でも、簡単に入れる場所じゃ無いぞ」

 

「走ってたら迷っちゃって……」

 

「走ってた?……刀奈、廊下を走るのはダメだぞ」

 

「ゴメンなさい……」

 

 

一夏君に怒られるのはなれているはずなのに、敬語では無く、更に呼び捨てで怒られると、何だか初めて怒られるみたいな気分になる。ちょっとお父さんに怒られてる感じもするけどね。

 

「とりあえず刀奈を普通棟に戻さなきゃな」

 

「……そう言えば一夏君は何で此処に?」

 

 

立ち入り禁止なら、一夏君だって入れないはずじゃ……

 

「この先に野暮用があってな、生徒会の仕事をとっとと終わらせて来てみたら、何故か刀奈が居たって訳だ。刀奈の分も終わらせたから、今日はもう逃げる必要は無いぞ」

 

「そう……ありがとう」

 

 

不謹慎かもしれないが、もう暫くこの場所に居たいと思ってしまった。2人きりなら一夏君は私に対して敬語を使わないし、敬称も付かない。簪ちゃんや本音たちと同じ、同い年の女の子と一緒の話し方をしてくれるから。

 

「ねぇ、その野暮用って私も付いて行ったらダメかな?」

 

「ダメだ。あそこは此処以上に関係者以外の立ち入りを禁じてるからな。刀奈は入ったら怒られる」

 

「誰に?」

 

「まずは学長に」

 

「それは嫌だね……ん、まずは?」

 

 

他にも誰かに怒られるのだろうか。でも、学長以上の人なんて居ないし、複数人居るのなら学長は最後じゃないのかな?

 

「そう。その後に俺と虚さんの説教が待ってるけど、それでも行くか?」

 

「うん、遠慮するよ」

 

「賢明だな」

 

 

学長に怒られるのならまだ良い。轡木さんとは顔見知りだし、あの人、そんなに怒るタイプの人じゃ無いから。でもその後に一夏君と虚ちゃんのツイン説教は勘弁願いたい。下手をすると半日以上正座で怒られ続けなきゃいけないのだ。

 

「それじゃあ先に送る」

 

「ありがとう……そうだ一夏君」

 

「ん、何だ?」

 

 

振り返った一夏君に抱きつき、そのまま顔目掛けて背伸びする。私と一夏君の身長差は25センチくらい。ちょっと伸びないとしたい事が出来ないのだ。

 

「おいおい……」

 

「む~一夏君、しゃがんで!」

 

「はぁ……刀奈」

 

「何……!?」

 

 

私がしたかった事……キスを一夏君からしてくれた。御礼のつもりでしようと思ってたんだけど、一夏君の唇に届かなくて精一杯背伸びしたんだけど、それでも届かずプルプルと震えていた私を見て呆れた一夏君が、自分からキスをしに来てくれたのだ。

 

「今度はジャンプでもするんだな」

 

「……一夏君が座ってる時にするもん!」

 

「やれやれ……ほら、帰るぞ」

 

「あっ、待ってよ!」

 

 

私の事を置いていこうとした一夏君の背中を追いかけるように廊下を走る私……一夏君はその姿を見て苦笑いをしながらも、私の手を握ってくれた。

 

「コレで安心出来るか?」

 

「うん!」

 

 

置いていかれる恐怖が無くなり、代わりにとてつもない安心感が私の中に広がった。一夏君が居れば、私は……私たちはきっと何処でも安心出来るんだろうな。もし一夏君も私たちが居る事で安心出来るのなら、それはとっても嬉しい事なんだけどね、多分私たちじゃ一夏君を安心させる事は出来ないかもしれない。でも何時かはきっと、私たちで一夏君を安心させられるようになりたい、そう思った。




もう少し甘えさせたかったんですが、自分の力じゃコレが限界……
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