もし一夏が最強だったら   作:猫林13世

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夜中は凄い降ってたのに、結局あまり雨降らなかったな……


夢の中の一夏

一夏君に手を引かれなだら、私は殆ど変わる事の無い廊下を進んでいく……何で此処まで変化の無いような造りなのかしら?

 

「ねぇ一夏君」

 

「何だ?」

 

「この場所っていったい何があるの?」

 

 

立ち入り禁止区域だって事は分かった。でも、立ち入り禁止区域はこの学園にはかなりあるのだ。それこそ、私たちの部屋だって立ち入り禁止区域だし……

 

「……刀奈」

 

「何?」

 

「此処が立ち入り禁止だって事はさっき言ったよな」

 

「うん、聞いたよ」

 

 

だから気になるんじゃないのよ。

 

「俺は、何で刀奈が此処に来れたのかが分からないんだが」

 

 

走ってたら普通に迷っちゃっただけだよ。何でそんな事聞くの?

 

「本来なら、此処には来られないはずなんだが」

 

 

本来なら?だって私は普通に来られたし、一夏君だって来てるじゃない。

 

「この場所は、此処に何があるか知ってる人間しか来られないはずなんだ」

 

 

何……それ?だって私はこの場所に来たけど、此処に何があるかなんて知らないんだよ?

 

「だから刀奈……すまない」

 

「一夏君、何を……」

 

 

言ってるの、とは続けられなかった。私の意識はそこで途切れ、会話どころか一夏君を見る事すら出来なくなったのだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この場所を誰にも教えてはならない。俺があの場所に出入りする代わりに出された条件だった。

ナターシャさんに許可を貰った後、滅多に学園に現れない学長が俺の前に現れてそう言ったのだ。この場所は知る必要の無い生徒や教師には知られたく無い場所だから、とか言って。

 

「しかし、如何やって刀奈さんは入ってきたんだろうな」

 

 

この場所は存在を知らない人には入れないし、そもそも見えないはずなんだが……仕組みを聞く事は出来なかったが、不思議な力が働いてるのはすぐに分かった。

 

「何でかなんて、考えても仕方ないな」

 

 

刀奈さんが無我夢中で走ってたおかげで、この場所の入り口は覚えて無いのが幸いだったな。戻る時に意識が無ければ覚えられないだろうし、そんなに長い時間意識を失うような衝撃でもなかったはずだから。

 

「とりあえず何処か寝ててもおかしく無い場所に寝かせておこう」

 

 

さすがに廊下に寝転がせておく訳にもいかないし、かと言って部屋まで運んでたら途中で意識が戻ってしまうかもしれないからな。

 

「さて、それじゃあこの前刀奈さんがサボってた時に寝てた場所にでも置いておくか」

 

 

9月も終わりに差し掛かり、さすがに少し肌寒いので制服の上着を掛けておき、刀奈さんを中庭のベンチに寝かせた。

 

「本当に貴女は不思議な人だ」

 

 

入れないはずの場所に入っただけでも驚きだが、あの場所に居て正気を保ってたのも驚きだった。

あの場所は反省させるために造られたため、並大抵の人間なら入っただけで気が滅入るようになっているはずなのだ。だけど刀奈さんは不安になってただけで、はっきりと俺の事を認識出来るくらいの正気は保っていたのだ。やはり更識楯無の名は伊達じゃないのだろうな。

 

「気が付くまで、ゆっくり休んでてくださいね」

 

 

俺は刀奈さんの傍を離れ、本来の目的だった場所へ急いだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

生徒会室にお嬢様が来なかったのは、割と何時もの事なのですが、最後まで来なかったのはさすがに珍しい事です。

今日は一夏さんがもの凄いスピードで仕事を片付けてくれたおかげで、何時もより早く終わったって言う事もあるのでしょうが、それにしてもお嬢様が来る気配も無いと言うのは非常に珍しい事です。

まぁ、そのおかげで一夏さんに呼び捨てにしてもらったり、タメ口で話してもらえたりと私にとっては嬉しい展開だったのですがね。

 

「それにしてもお嬢様はいったい何処に居るんでしょうか」

 

 

校内をくまなく探したが、お嬢様の姿はありませんでした。途中で簪お嬢様たちに会い、お嬢様の事を聞いたら、

 

「脅したら走って何処かに行っちゃった」

 

 

と、教えてくださいました。その場に居た本音が妙に気まずそうだったのは、自分もサボったって事を自覚してるからでしょうね。

 

「それにしても、走って逃げるほど仕事をしたく無いのでしょうか?」

 

 

生徒会長には自分の意思でなったはずなのですが、此処最近サボる割合が前にも増して多い気がします……これは1度長々とお説教しなければいけませんね。

 

「後探してないのはアリーナや中庭くらいですね……」

 

 

まるでかくれんぼの鬼の気分です。お嬢様を探すだけなのに、この学園は広いので時間がかかってしまいます。

 

「一夏さんみたいに、気配を察知出来れば別なのでしょうが、そんな芸当私には出来ませんし、地道に探すしか無さそうですね」

 

 

仕事を終わらせたらすぐに一夏さんは何処かに行ってしまいましたし、その後もお嬢様が来るのを待ってたのですが、結局お嬢様は生徒会室には現れませんでした。サボるならもっと見つけやすい場所でサボってもらいたいものですね、まったく。

 

「一夏さんが居たら、『やっぱり母親みたい』って思われたかもしれませんね」

 

 

相手の表情から気持ちを推理出来る一夏さんの事ですから、今の私の気持ちも気づいてたはずですからね。

私は想像した事によって、思わず笑みがこぼれてしまった。前に私が母親で、一夏さんが父親だと冗談を言われた事があったのを思い出したからだ。あれは本音が言った冗談だったのですが、一瞬私と一夏さんが夫婦だったらと想像してしまったんでしたね。あれは恥ずかしい想像でしたが、本当になれば相当嬉しい事でしょうね。

 

「一夏さんは、いったいどんな父親になるのでしょうね?」

 

 

仕事が出来て家事も出来る……それに躾に厳しそうで結局は甘やかしそうな感じもします。強く優しい一夏さんが育てた子供は、いったいどんな子に成長するのでしょうか……そして母親である私は……って、今はそんな事を想像してる場合じゃ無いでしょうが!

慌てて自分にツッコミを入れて現実世界に戻ってきた。最近私もお嬢様たちの事を言えないくらいに妄想が加速してますね。

 

「これじゃあ一夏さんに怒られてしまいますね」

 

 

苦笑いを浮かべ、私は自分の妄想を頭の中から追いやった。何時までも残しておくと、一夏さんの前でまた妄想してしまうかもしれないので。

 

「まったく、これも全てお嬢様の所為です!」

 

 

半分以上八つ当たり気味だが、発端は間違い無くお嬢様が生徒会の仕事をサボったからだと私は確信していました。お嬢様が仕事をしっかりとしてくれていれば、私は一夏さんから呼び捨てにされる事も、タメ口で話してもらう事も無かったのでしょうから。

 

「お嬢様、居るなら出てきてください」

 

 

1つずつアリーナを見て回ったが、お嬢様の姿はありませんでした……残るは中庭だけですが、あそこはこの間サボりに使ったばかりですからさすがに居ないでしょうね……そうなるとお嬢様は何処に居るのでしょうか?

 

「お嬢様、居ますか?」

 

「うにゅ……」

 

「?」

 

 

ベンチから声が聞こえた気がする……さすがにベンチがしゃべったとは思いませんし、誰かが居るって事でしょうね。

 

「お嬢様?」

 

「一夏君……」

 

「漸く見つけましたよ!」

 

「ん?……虚ちゃん!?」

 

 

お嬢様はベンチでお昼寝をしてたようで、男子の制服の上着を掛けてグッスリ寝ていました。誰だか知りませんが、見つけたなら起こしておいてくだされば……って、男子の制服?

この学園に男子は1人しか在籍してませんし、その1人の事は良く知ってるような気がするんですが……

 

「お嬢様、その上着……」

 

「上着?……あっ、これ一夏君のだ。だから一夏君に抱きしめられてる夢を見たんだ」

 

 

なんて羨ましい夢を見てるのでしょうか、この人は……仕事をサボった挙句に彼氏に抱きしめられている夢を見るなんて!

 

「ところで、一夏さんはどちらに?」

 

「えっと……痛っ!?」

 

「お嬢様!?」

 

 

急に頭を抑えだしたお嬢様に、私は慌てて近づく。忘れがちですが、この方は私の主であり、更識の当主様なのだ。

 

「ちょっと頭が……」

 

「頭……ですか?」

 

「そう言えば一夏君と話してたんだけど、急に意識が遠のいたのよね……」

 

「何か病気なのですか?」

 

「違う……と思う」

 

 

お嬢様の答えは歯切れの悪いものでした。ご自分の事なのにはっきりとしないのは、きっと何か心当たりがあるのかもしれませんね。

 

「一夏君と話してたら急に意思が遠のいたから、きっと一夏君が原因を知ってると思うんだけど、その時の記憶が曖昧なのよね」

 

「一夏さんと話してたのは確かなのですか?」

 

「……多分」

 

「多分、ですか……」

 

 

よっぽどあやふやなのか、お嬢様は首を傾げながら必死に思い出そうと頑張ってましたが、結局は思い出せなかったようでした。

 

「夢だったのかな……」

 

「どんな夢だったんですか?」

 

「何にも無い廊下で私が泣いてる時に一夏君が助けに来てくれた夢」

 

「随分と都合の良い夢ですね……」

 

 

一夏さんならありえそうですが、あまりにも都合が良すぎる気もします。それに、何にも無い廊下なんて、この学園には存在しませんし……

 

「きっとお嬢様が寝てるのを一夏さんが見つけて、その上着を掛けてくれたんですよ。頭はベンチの手摺にでもぶつけたんじゃないですか?」

 

「そうなのかな……でも、あの痛みは手摺にぶつけたくらいじゃ無いと思うんだけど……」

 

 

お嬢様は後頭部をさすりながら考えていましたが、結局何も思い出せずに終わったようでした。

 

「とりあえず、部屋に帰ろっか?」

 

「そうですね。生徒会の仕事は一夏さんがもの凄いスピードで片付けてくれたおかげで終わってますし、今日はお説教は無しでいいです」

 

「やった!……あれ?」

 

「如何かしましたか?」

 

 

喜んだすぐ後に、お嬢様は再び首を傾げました。

 

「生徒会の仕事が終わってる事を、何で私は知ってたんだろう?」

 

「何でって、私がお嬢様を探すのは生徒会の仕事が終わってからだからじゃないんですか?」

 

「う~ん……何か一夏君から聞いた気がするのよね」

 

「一夏さんに?」

 

 

だってお嬢様はずっと中庭でお昼寝をしていたはずですから、一夏さんに聞いたなんて事は無いと思うのですが……それとも上着を掛けていった時に一夏さんが終わった事をお嬢様に言って、その事を眠りながら理解したのでしょうか?

 

「きっと夢で聞いたんじゃないですか?」

 

「そうなのかな……でも、はっきりと覚えてるのよね」

 

「不思議ですね」

 

「うん……」

 

 

お嬢様は何かを探そうとキョロキョロと辺りを見渡しましたが、自分が何を探してるのか分からないままだったようで、諦めて部屋に戻る事にしました。

そう言えば、一夏さんはお嬢様を見つけたのに、如何して寝かせたままで居なくなったのでしょうか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一夏のただならぬプレッシャーに中てられ、僕は全身の力が抜けてしまって、そのまま意識も手放してしまったようだった……次に気が付いた時は、とてつもない異臭と気持ちの悪い感触が僕を覆っていた。如何やら僕は失禁したようで、前も後ろも垂れ流しだった……雑巾があるだけマシなのだろうか。

 

「一回シャワーを浴びたいな……」

 

 

全身を覆う異臭を洗い流したい。服も着替えたいしちゃんと処理したい。だけど僕は今閉じ込められている。ちょっと織斑先生に逆らっただけで、こんな所に閉じ込めるなんて……これは虐待だって訴えたら勝てるんじゃないだろうか。

 

「デュノア、気が付いたのか?」

 

「織斑先生?」

 

 

そう言えば織斑先生も、僕の2つ隣に閉じ込められてたんだっけ……一夏に妙に迫ったせいで、織斑先生も山田先生もこの場所に閉じ込められているのだった。

 

「織斑先生、すっごく臭いです」

 

「それは自分で出したものだろ。自分で何とかしろ」

 

「ですが……」

 

「デュノアさんが散らかしたんですから、頑張ってくださいね」

 

「山田先生まで……」

 

 

僕が散らかしたって言うけど、これを出さなきゃいけなくなった原因を作ったのは一夏じゃないか……一夏があんなプレッシャーを放たなければ僕はこんなに散らかす事はなかったはずじゃないか!

 

「誰か来たな」

 

「織斑君ですかね?」

 

「多分な……放課後にでもなったのだろうな」

 

「まだ、それしか経ってないんですね……」

 

 

山田先生が嘆いたように、まだ1日経ってないのだ……僕は気を失ってたから仕方ないけど、山田先生はずっと起きてたんじゃないのかな。それなのに時間を正確に理解してないって結構ヤバイと思うんだよね。

 

「一夏!」

 

「何だ、騒々しい」

 

「着替えたい、シャワー浴びたい、全身を綺麗に洗いたい!」

 

「デュノア、いくら洗っても貴様の腹は白くならないぞ」

 

「そう言う事じゃ無いです!」

 

「……確かにそのままじゃ汚ねぇな」

 

「じゃ、じゃあ!」

 

 

僕は一筋の光を見た気分になった。ちょっとの間とは言え、この場所から出られるかもしれないのだから。

 

「確かこの部屋には風呂場があったよな」

 

「……え?」

 

「開けてやるからさっさと行ってこい」

 

「部屋に戻れるんじゃないの?」

 

 

この場所からは移動出来ても、結局はこの部屋の中じゃ気分は変わらない……この部屋からさえ出られれば、いくらでも逃げる算段はあったのに……

 

「着替えは……これで良いだろ」

 

「今、何処からだしたの?」

 

 

一夏の手には、女子用の制服が握られている……さっきまで何も持ってなかったはずなのに、あんなものしまえるような場所無いはずなのに、一夏は女子の制服を一瞬で取り出したのだ。

 

「下着は風呂場で自分で洗え、さすがにそれは用意出来ないからな」

 

「うん……僕だって一夏に用意された下着なんて穿けな……」

 

 

いや、ちょっと待て。一夏が僕のために用意してくれた下着なら、僕はどんなにダサくても穿くし、一生大事にする!

 

「一夏、僕は平気だよ?」

 

「……さっさと風呂に入れ」

 

 

一夏は僕から視線を外し、更に鼻を摘んでお風呂の場所まで案内してくれた。やっぱり大浴場には遠く及ばないが、お風呂はさっぱりするから好きだな。

 

「えっと、これがボディソープだよね」

 

 

汚れた下着を洗うついでに自分の身体も洗う……違うな、汚れた身体を洗うついでに下着も洗うって言った方が正しいだろうな。前の言い方だと、僕自身がついでみたいに聞こえちゃうし。

 

「一夏、覗いちゃ嫌だよ?」

 

「馬鹿な事言ってるとぶち込む期間を長引かせるぞ」

 

「ごめんなさい!」

 

 

今一夏の機嫌を損ねたら、本当にこの場所に閉じ込められる期間を延ばされてしまう、それは脅しじゃ無く本気だと本能的に理解した……だって一夏からただならぬプレッシャーが漏れ始めているから。

 

「終わったらそこのボタンを押せ。そうすれば鍵を開けてやるから」

 

「鍵?」

 

 

良く見れば、この場所の扉にも内側からは開けられない鍵が付いていた。やっぱりこの場所は落ち着かないな……

 

「何処で着替えれば良いの?」

 

「廊下で着替えれば良いだろ」

 

「それじゃあ一夏に丸見えじゃないか!?」

 

「見るか、馬鹿者」

 

 

一夏はそれだけ言って織斑先生たちの様子を見に行ったようだった。扉越しに感じていたプレッシャーが遠ざかって行くのを感じてそう思ったのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

デュノアが汚れを落としている間、一夏はデュノアの部屋(?)の汚れをあっさりと片付けてしまった……今、一夏の手から何か出てきたように見えたんだが、きっと見間違いだよな?

 

「さて、これが追加の食料と水だ。考えて食べろよ」

 

「一夏、お前今何処から食料を出した?」

 

「『コレ』結構便利だな」

 

 

一夏の腕には、何かブレスレットのようなものが付けられている……また束が何か作ったのだろうか?

 

「出すだけじゃなくしまえるんだから」

 

「それじゃあデュノアの汚物も……」

 

「あれは水を出して洗い流したんだ」

 

「何処に?」

 

「トイレに」

 

 

なるほど……確かにあの汚物たちは本来トイレに流されるべきの物だし、その処理の仕方がもっとも効率的で簡単だっただろう。だが、一夏はその水を何処に蓄えてたんだろうか、それもあのブレスレットの中なのだろうか。

 

「これが山田先生の分です。少しは反省しましたか?」

 

「自分が何でこの場に閉じ込められてるのか、イマイチ理解出来てないのが現状ですかね」

 

「……まぁ、貴女はただ変態に中てられただけですからね。自覚しろって言う方が無理なのかも知れませんね」

 

「おい一夏、変態って誰の事だ」

 

「そこで反応するんなら、アンタも分かってるんじゃないのか?」

 

「……認めたくは無いが、何となく分かってはいる」

 

 

真耶が中てられるとしたら、私の可能性が高い……だが一夏よ、変態は無いんじゃないか、変態は!

 

「山田先生は2,3日経てば出してあげられるかもしれませんね」

 

「本当ですか!?」

 

「おい一夏、私とデュノアは2,3日じゃ無理だって言うのか!」

 

 

そんなにこんな空間に居たら狂ってしまうではないか……せっかくマドカとも仲直り出来そうだったのに、時間が空いたらまた逆戻りって事になってしまうかもしれないんだぞ!?

 

「アンタらは1週間で出られるか如何かだろうな」

 

「そんなにか!?」

 

「その方が俺の周りが平和になるからな」

 

 

なんて言う理屈だ……そんな理屈でこんな場所に1週間も閉じ込められてなきゃいけないのか、私は!

 

「マドカの事は心配するな。アンタが此処に居ることは知ってるし、心配はしてたが会いに来させる訳にも行かないから来てないだけだから」

 

「そっか……ん?」

 

 

私、マドカの事を口にだしたっけ?

 

「顔に書いてあったからな。アンタは昔から考えがすぐ顔に出るからな」

 

「私の表情の違いを瞬時に理解するのはお前だけだ」

 

「……私なんて、まったく気付きませんよ」

 

 

真耶は私と長い時間一緒に居るが、顔から私の考えを推察する事が出来ないのだ。それはある意味で当然なのだが、真耶は酷く落ち込んでいるようだった。

 

「こんな変態の事を分かろうとするから、貴女は此処に閉じ込められてるんですよ……」

 

「おい一夏、ついに変態って言ったな、変態って!」

 

「さっきから言ってるだろ?」

 

「断定はしてなかったじゃないか!」

 

 

一夏に変態の烙印を押され、私は少し落ち込むと同時に、何故か興奮してきた……一夏が認める変態は私だけだと思うと、これはこれで良いものだと思えてきたからだった。




変態確認、織斑千冬。
一夏に変態だと認定された事で更に興奮するとは……底なしの変態なのだろうな。
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