もし一夏が最強だったら   作:猫林13世

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今回は少しシリアスです


接触と確認

何時もより早い時間に目が覚めた。理由は隣に須佐乃男とマドカが居るからだろうな……寝相が悪いったらないよこの2人は……

 

「マドカはさすが千冬姉の実妹だな、寝ながら人を蹴るのがそっくりだ」

 

 

束さんが実家に泊まった時に夜中にクレームを言いに俺を叩き起こした事があったのを思い出した。それに比べれば大人しい方だが、小刻みに蹴るので性質はマドカの方が悪いかもしれない。

 

「須佐乃男はゴロゴロと転がる癖があるようだな」

 

 

人の上に乗っては降り、また乗っては降りを繰り返すのだ……だが、マドカの方まで転がって行かないのは不思議だ。

 

「さすがに此処で寝る気にはならないな……」

 

 

時間も微妙だし、少し早いが外に出るとするか……この時間なら学園外に出るのにも許可は必要無いし、監視員も寝てるだろうしな。

 

「軽く外周を走るか」

 

 

学内ばっかだと飽きるしそうしよう。俺は頭の中で決心して学外を走る事にした。もちろん監視員が起きる前には学内に戻ってないと色々面倒だから、そう長い時間は外に出れないのだが。

 

「まぁ、顔見知りでだし、俺が外に出ててもそこまで騒ぐ人じゃ無いからな」

 

 

これまでも何回か外周は走ってるし、その都度時間ギリギリに戻ってくるので、場合によっては既に居る時もあったからそこまで心配はしてないがな。

 

「終わったらまた特別指導室に行くか」

 

 

例の変態共の様子も見ておきたいし、本音からの要望で今日は優しく起こさなければいけないからな、時間の事を考えるとそんな悠長にしている場合では無いかもしれない。俺は急いで着替えて音を立てずに部屋から出た。

 

「さすがに暗いな……」

 

 

何時もより早い時間、何時も以上に暗い空、そして何時もは無い気配が外に感じられた。

 

「厄介事は勘弁したいが、そうも行かないだろうな……」

 

 

監視員が居ないからと言って、そんなに簡単に忍び込める場所じゃ無いんだがな……そこは普通の人間じゃ無いって事なんだろうな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

学園の内部を調べたかったので、私はこんな早い時間から忍び込んだのだ。前にオータムが学園祭の時に調べたが、ほしかった情報は手に入らなかったのでこうやって自分で動いているのだ。

 

「さすがにこの時間なら誰も起きてないでしょうからね」

 

 

この学園にはMが、そして一夏が在籍しているが、こんな未明から起きてる訳無いし鉢合わせする心配も無いでしょうね。

 

「Mは兎も角、一夏の顔は見ておきたかったけど、仕方ないわね」

 

 

私たち亡国企業に敵対しうる存在、世界で唯一の男性IS操縦者にして事実上世界最強のIS乗り、そしてあの子の息子……

 

「学園見学なら、正規の手続きをして時間を考えて来てくれないと困るんですがね」

 

「ッ!?」

 

 

何も無かったはずの場所から声を掛けられた……気配を探るのは得意な私だが、まったく気付けないほど完璧に気配を殺していたのね。

 

「いったい何の用だ」

 

「あら、せっかくの再会だって言うのに冷たいわね」

 

「お前との再会を喜ぶ訳無いだろ」

 

「その目、その声、最高に興奮するわね。さすが一夏」

 

「アンタは見た目通りだな、スコール」

 

「見た目通りって、別に私は誰彼構わず見せ付ける訳でも、他の男の視線や声で感じる訳じゃ無いわよ」

 

 

背後から掛けられた声、それはもっとも警戒しなければいけない相手であると同時に、もっとも会いたかった相手の声だった。

 

「こんな時間から忍び込むなんて、よっぽど自信が無いようだな」

 

「省ける手間を省いただけよ」

 

「ふん」

 

 

一夏はつまらなそうに鼻から息を吐き、さっきより鋭い視線を私に向けてきた。

 

「単独行動とは舐められたものだな」

 

「一夏の事を舐める訳無いじゃないの。むしろ、貴方相手に1人で戦いを挑むほど、私は自分の力を過信してないわよ」

 

「なら、味方の1人か2人連れてくれば良かっただろ」

 

「だって足手まといにしかならないでしょ?」

 

「それだけお前が別格って事か」

 

「否定はしないわ」

 

 

一夏は私を捉えようとしてるけど、私だってそんな簡単に捉えられるほど弱くは無いのよ?一夏の間合いからゆっくりと離れ、逃げるタイミングを計る……もう少し内部構造を調べたかったけど、一夏に見つかってしまったらこれ以上探る事は不可能でしょうからね。

 

「ねぇ一夏」

 

「何だ?」

 

「やっぱり貴方は正義側より悪側の方が栄えると思うのだけど」

 

「別に正義を気取っては無いが、悪になるつもりも無い」

 

「見方を変えれば良いのよ」

 

「悪側から見れば自分たちのやってる事は正義だってか?」

 

「別にそこまでは言わないけど、正義の定義なんて人それぞれでしょ?」

 

「なら悪の定義も人それぞれだと」

 

「必要悪だって存在するのよ」

 

「……それに亡国企業が当てはまるとでも言いたいのか?」

 

「そうね……今度じっくりと教えてあげるわね。亡国企業の活動を」

 

「別に聞きたく無いな、そんな事……それにお前を捕まえれば今抱えてる問題の大半は片付くんだ」

 

 

一夏の纏っていた雰囲気が一瞬で変わった。さっきまでも相当な気配だったのが、今の気配を感じれば、さっきまでのは手加減してくれてたんだと分かる。並大抵の人間なら耐える事の出来ないであろうプレッシャーが今の一夏からは放たれているのだ。

 

「あら怖い、そんなプレッシャーを女性に浴びせるのが趣味なのかしら?」

 

「そんな変態的思考は持ち合わせてないが、それでお前を捕まえられるのならいくらでも浴びせさせてやるさ」

 

「残念だけど、私は失禁したりしないわよ……あのフランス娘みたいにはね」

 

「……宇宙規模のストーカーでも知らないはずの事を、何故お前が」

 

「さぁね」

 

 

一夏は私の言った言葉に、ほんの一瞬だけ戸惑いを見せた……その一瞬で私は一夏のプレッシャーから開放されるだけの距離を取ったのだ。

 

「あんまり亡国企業の事を甘く見ない方が良いのよ」

 

「そのようだな……考えを改めるとするよ」

 

「そうして頂戴」

 

 

一夏はさっきまでの恐ろしいプレッシャーを収め、普段纏っているであろう落ち着いた雰囲気を醸し出した。

 

「見逃してくれるって事かしら?」

 

「どうせお前を捕らえてもオータムが来て暴れるだけだろ。片付けるのは面倒だから、今日は帰って良いぞ」

 

「生身でオータムを撃退した一夏が面倒だとはね」

 

「……なぁ、1つ聞きたいんだが」

 

「あら、私に興味があるのかしら?」

 

 

軽口を叩いているが、内心私はドキドキしている。直接話すのは2回目だが、私は一夏の事を本当に幼い時から知っているのだ。その一夏が私に聞きたい事があるなんて……

 

「お前個人では無い……と思うのだが」

 

「随分と歯切れが悪いわね」

 

「此処2日、この学園の事を探ってたのはお前か?」

 

「……如何言う事?」

 

「如何も学園の周りに知らない気配が多かったのだが、お前が部下を使って探ってたのか?」

 

「いえ、私は部下と呼べる人間が居ないもの」

 

「オータムは部下じゃ無いのか?」

 

「彼女は……そうね、肉体関係ってところかしらね」

 

「……変態」

 

 

さっきまでの真面目な雰囲気が一変して、一夏からは呆れと近寄りたくない気持ちが綯い交ぜになった視線を向けられた。

 

「あら、一夏君は以外と初心なのね。こんなの戦場では普通よ」

 

「戦場で生きてないもんでな、そう言う趣味思考の人間が居るのは知ってるが、俺には理解出来ないししたく無い世界なんだよ」

 

「そんなものなの?」

 

「話を逸らすな!」

 

「あら、ばれちゃったわね」

 

 

一夏の事をからかってる間に頭の中を整理しておきたかったのだけど、さすがに一夏はそう長い時間からかわれてはくれないようだしね。

 

「少なくとも私は今日始めてこの学園の事を探りに来たわ」

 

「じゃあ別口なんだな」

 

「『亡国企業』の人間かもしれないけど、『私たち』では無いわ」

 

「……ややこしい事言ってくれるな本当」

 

 

一夏は既に私とオータムが亡国企業本来の目的から逸れてる事に感付いているし、これくらいなら言っても問題無いと判断したので、変に隠す事はしなかった。

 

「それとね一夏、私に居るのは部下では無く仲間よ」

 

「随分と甘い考えだな」

 

「自分でもそう思うわ」

 

 

上司と部下ならしっかりと統制の取れた動きを出来るかもしれないが、仲間同士だとなあなあになって統制が取れなくなる場合があるのだ。だけど私は部下とは思いたくない……私がかつて味わった事を、彼女たちにも経験させたくないから。

 

「アンタ、やっぱり変わってるな」

 

「そうかしら?」

 

「悪役なのかもしれないが、悪人ではなさそうだ」

 

「敵の敵は味方って事かしら?」

 

「少なくとも、今この学園を狙ってる悪人とは違う感じがする」

 

「私は私のしたい事をしてるだけよ」

 

「……何か思ってる事があるのだろう。だが、俺の周りにちょっかいを出すなら容赦しないからな」

 

 

一夏は収めてたプレッシャーを再び私に向けて放ち、すぐにまた収めた。

 

「一夏、やっぱり貴方は此方側の方が栄えるわよ」

 

「言ってろ」

 

「うふ、可愛いボウヤね」

 

 

捕まえる気が無さそうなので、一夏のすぐ隣を通過して帰る事にした。

 

「あぁ、そうだ」

 

「何かしら?」

 

「これはこの間の礼だ」

 

「この間?……あら」

 

 

不意打ちで頬に感じた感触、唇にはしてくれなかったけど、一夏から私にキスをしてくれたのだ。

 

「不意打ちされっぱなしじゃ気分悪いからな」

 

「なら唇にしてくれれば良かったのに」

 

「彼女たちに悪いだろ。それに、頬なら挨拶程度の事だからな」

 

「意外と紳士なのね」

 

「うるせぇ……なぁスコール」

 

「何かしら?」

 

「お前……人間じゃ無いのか?」

 

「ッ!?」

 

 

一夏の発言に思わず身構える……だけどこの行動はマズイと思いすぐに警戒を解いた。

 

「何を言ってるの一夏、私は人間よ」

 

「そう……だよな、俺の勘違いだよな」

 

「変な事言ってるとまた唇を奪っちゃうわよ?」

 

「遠慮願おうか」

 

 

一夏は首を傾げながらだったけど、私の事を見逃してくれた。何処で気付いたのか知らないが、今はまだ全てを話す時では無いのだ。

 

「それじゃあね、一夏。また会いましょ」

 

「出来るなら2度と会いたく無いんだが、そうも行かないだろうからな」

 

「貴方が大人しく私たちの味方になってくれるなら此処には来ないのだけど?」

 

「それは無理だと前に言ったはずだ」

 

「諦めたら可能性を狭めちゃうもの」

 

「ありもしない可能性を追いかけても無駄だぞ」

 

 

捕まえる気は無くとも戦う気はあるみたい……この場で戦えば間違い無く一夏側の増援がくれでしょうから、大人しく逃げる事にしましょう。

 

「それじゃあ一夏、次はお互い得物を持ってきましょうね」

 

「戦うのはそんなに好きじゃ無いんだがな」

 

「知ってるわよ。貴方は心の優しい子だものね」

 

「その言い方気持ち悪いぞ」

 

「そうかしら?」

 

「あぁ、何か親みたいな言い方だから」

 

「親……ね」

 

「?」

 

 

貴方は知らないかも知れないけど、貴方の母親とは知り合いだったのよ……今此処で言えたらどれだけ楽だったか……でも、今はその時では無い。お互いにまだ距離があるので言っても信じてもらえないでしょうからね。

 

「何でも無いわ。それじゃあね」

 

「?……変なの」

 

 

ぼそりとつぶやいた一夏の言葉が、私の耳にははっきりと聞こえた。時々出る一夏の子供っぽさが、たまらなく私を興奮させる。女性としての興奮では無く、母親のような気持ちにさせてくれるのだ。一夏には、本当の事を伝えたい。本当の親の事と私との関係を……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

お兄ちゃんのベッドで目を覚ましたが、そこにはお兄ちゃんは居なかった。何時も私より早く起きているお兄ちゃんが、ベッドに居るわけ無いと分かっていたけど、実際に居ないと寂しいんだな……

 

「でも、外に居るだろうし急いで行こっと」

 

 

昨日は姉さんと一緒だったけど、今日はお兄ちゃんと一緒に出来るかもしれないから。私はそう思って未だかつて無い速さで着替えて部屋から出た。もちろん周りで寝てる他の人を起こさないように配慮しながらだ。

 

「私もお兄ちゃんみたいに気配を探れれば楽なんだけどね」

 

 

気配察知能力の低い私は、お兄ちゃんを探すのに一々歩き回らなければいけないのだ。こんな時に能力の高いお兄ちゃんや姉さんが羨ましく感じるよ……

 

「何処かな~……あっ居た」

 

 

あの後姿は間違い無くお兄ちゃんだ。私はお兄ちゃんを見つけると駆け足で近づいていった。

 

「お兄ちゃん」

 

「マドカか……もうそんな時間なのか」

 

「もうって、お兄ちゃんは何時から起きてるの?」

 

「普段より少し早いくらいだが」

 

「じゃあ結構動いてるんだね」

 

「そう……だな」

 

「?」

 

 

珍しく歯切れの悪いお兄ちゃんの返事。私は首を傾げてお兄ちゃんを見るが、それくらいで動揺するお兄ちゃんでは無いのだ。

 

「マドカ、一緒に走るか?」

 

「うん!」

 

 

むしろ私の方が簡単なのだ……お兄ちゃんの提案に間髪を入れずに答えてしまうほどに、私は簡単に誤魔化されてしまうのだ。

 

「昨日は姉さんと一緒だったけど、今日はお兄ちゃんと一緒に走れる!」

 

「嬉しそうだな」

 

「うん!」

 

「そうか」

 

 

お兄ちゃんは目を細めて私の頭を撫でてくれた。細めたと言っても、何時もみたいに怒ってるから細めたのでは無く、優しい顔になったから目が細まったのだろう。

 

「マドカのペースにあわせるから、マドカは自由に走りな」

 

「うん、分かった」

 

 

お兄ちゃんが一緒なら何処までも走れそう……もちろん錯覚なのだが、それくらい今の私は気合に満ち溢れているのだ。

 

「それじゃあお兄ちゃん、行くよ!」

 

「何時でも良いぞ」

 

 

お兄ちゃんに確認を取り、私はいきなり全力で走り出した。さすがにこれをずっと続けるのは難しいけど、少しはお兄ちゃんを驚かすことは出来たかも。

 

「それが全力か?」

 

「うん……って、お兄ちゃん!?」

 

「何だ?」

 

 

全力で引き離したはずのお兄ちゃんが、涼しい顔をしながら私の真横を並走していた……姉さんもだけどやっぱりお兄ちゃんも化け物だね。

 

「お兄ちゃんを驚かすつもりだったのに、逆に驚かされちゃったよ」

 

「別に俺は驚かすつもりは無かったんだが」

 

「だろうね。私が勝手に驚いただけだもん」

 

「そうか」

 

 

その後は徐々に疲れてきてスピードの落ちていく私に合わせてくれていたお兄ちゃんに、最終的におぶってもらう事になってしまった……急にスピードを出した所為で脚が痙攣してしまったのだ。

 

「ゴメンね、お兄ちゃん……」

 

「気にするな」

 

「でも、重くない?」

 

 

いくらお兄ちゃんが力持ちだからって、最近食べてばっかの私は重いよね……須佐乃男とか本音とか、何処で消化してるんだろう?

 

「重くないし、義妹が遠慮するなこれくらい」

 

「ありがとう、お兄ちゃん」

 

 

緊張と遠慮で伸ばしていた背筋をほぐし、お兄ちゃんにしなだれかかるように体重を移動する……完全にお兄ちゃんに抱きつく形になったが、お兄ちゃんは特に動じる事も無く私を運んでいく。

 

「保健室で少し休んだら部屋に戻りな」

 

「お兄ちゃんは?」

 

「俺は駄姉と他2人の様子を見に行く」

 

「私も行って良い?」

 

 

姉さんの様子は私も気になるし、このままお兄ちゃんにくっついていたかったから聞いたのだが、お兄ちゃんは険しい顔で首を横に振った。

 

「あそこは関係者以外に知られてもいけない場所だからな。マドカを連れて行く訳にはいかないんだ」

 

「そうなんだ……でも、そんな場所があるの?」

 

 

普通に生活していれば、間違って足を踏み入れるなんて事もありそうなんだけど……

 

「この学園は意外と不思議だらけだぞ」

 

「そうなんだ」

 

 

お兄ちゃんは少し楽しそうな顔になっていた……そこらへんはやっぱりお兄ちゃんも男の子なのだろう。不思議と探すのが楽しいのかもしれない。

 

「それじゃあしっかりとマッサージしてから部屋に戻るんだぞ」

 

「分かってるよ。お兄ちゃんは心配性だな~」

 

「小さい頃に心配してやれなかったんだから、少しくらい過剰に心配しても良いだろ」

 

「昔は姉さんの事で大変だったんだもんね」

 

「それ以前に、マドカの事を覚えてなかったんだがな」

 

「私はずっと覚えてたよ」

 

「千冬姉の気遣いなのかは知らないが、記憶を消されてしまったからな」

 

 

姉さんはお兄ちゃんが寂しがらないように記憶を弄ったのだろうが、私の事まで消さなくたって良かったじゃないのよ。

 

「それじゃあマドカ、また後で」

 

「バイバイ、お兄ちゃん」

 

 

私を保健室のベッドに座らせ、お兄ちゃんは保健室から出て行った。ちゃんと治療用具を傍に置いていってくれるあたり、やはりお兄ちゃんは優しいんだなって思えるよ。

 

「でも、痛みも引いてきたし、治療しなくても平気かな」

 

 

軽くマッサージだけして様子を見て部屋に戻る事にしよう。今すぐ保健室から出たらひょっとしたらお兄ちゃんに鉢合わせしちゃうかもしれないからね。あんまり心配させるのも嫌だし、お兄ちゃんには困った義妹だとは思われたくないもんね。

 

「そう言えばお兄ちゃん、何だか嗅いだ事の無い匂いがしてたような……」

 

 

お兄ちゃんは香水はつけないし、あれは女物の香水の匂いだった気が……気のせいだよね、お兄ちゃんから女物の香水の匂いがしたなんて。私は自分に言い聞かせるようにそう結論付けた。お兄ちゃんに限ってそんな事は無いだろうし、あんな朝早くにお兄ちゃんに会いに来る女性なんて居るはずないと思い込む事にした。あの匂いがかつて私の傍にあった事には、今は気付く事が出来なかったのだ……




次回は本音を起こして授業ですかね……
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