もし一夏が最強だったら   作:猫林13世

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一夏じゃ無いですが、徹夜してしまった……


甘い誘惑

 見回りに出たタイミングで、私は気になってる事を聞く事にした。

 

「隊長とナターシャ先生って、仲が悪いんですか?」

 

「如何したの急に。別に仲が悪いって事では無いけど」

 

 

 明らかに嘘を吐いている様子の小鳥遊隊長、さっきから視線が泳ぎまくっている。何故そんな嘘を吐くのかも疑問だけど、それ以上に疑問なのは同じ教師なのに何故あそこまで相手を嫌っているかだ。

 大人の付き合いとしては、あの二人は実に幼稚だと思う。好き嫌いは誰にでもあるだろうけど、それを表に出さないのが大人なんだと、私は思っている。

 

「一夏様の恋人なんですよね? ナターシャ先生も」

 

「そうね。一番後に一夏さんと付き合いだしたのが彼女よ」

 

「そうなんですね。ですが、一夏様と恋人関係では無い付き合いはナターシャ先生の方が長いんですよね?」

 

「そうね。私は夏休み中から親しくさせてもらってるし、その前から一応の面識はあったけど、彼女の方が一夏さんとの付き合いは長いわね。何せアメリカ軍からかくまってもらうのにも、一夏さんは一枚噛んでるって噂だし」

 

 

 表向きは織斑先生一人でナターシャ先生をかくまい、IS学園で働けるようにしたとなっているが、その実は一夏様も協力してるらしい……普通なら驚きの事実なのだろうけども、私たちのようにそれなりに一夏様と親しくさせてもらってる人間からすれば、それくらいは普通なんだろうなという感覚になっている。

 

「一夏さんも色々と大変だったのに、何で余計な事まで背負い込んだんだろう……あの時点でだって問題は山積みだったのに……」

 

「一夏様は理不尽な事を嫌いますから。資料を見た限りではナターシャ先生はあのままアメリカ軍に戻ってたら消されてたでしょうね」

 

「そうね。それは一夏さんや織斑先生が見抜いた通りだろうけども、他にやり方はあったんじゃないかしら? それこそ一夏さんと織斑先生の二人だったら、アメリカ軍を壊滅に追いやるくらい楽勝だっただろうに……」

 

「それはかなり危険な思想だと思いますけど……」

 

 

 世界の警察を名乗ってるアメリカ軍を壊滅させたとしたら、さすがの一夏様や織斑先生だってただでは済まないでしょうし……それにアメリカ軍が機能しないとなると、他国がアメリカの領地に攻め入ってくる可能性だってあるのだ。世界情勢が変わりかねない事は恐らく避けたんでしょうね。

 

「せっかく一夏さんと同じ部屋で生活出来てる大人は私だけだったのに……」

 

「えっ、まさか敵意剥き出しの理由はそれですか?」

 

「別にこれだけでは無いけど」

 

 

 敵意を向けている理由としては、あまりにも子供じみていた。小鳥遊隊長もナターシャ先生も、私たちから見れば十分大人であり、世間から見ても同様だ。その小鳥遊隊長がそんな理由でナターシャ先生に敵意を向けているとは思っても無かったな……

 

「……美紀ちゃん、感じてる?」

 

「はい、一応は……ですが、随分と早いですね」

 

 

 学園の周りに亡国企業の人間が数人居る。恐らくは一夏様や織斑先生も感じ取ってはいるのでしょうが、それにしても回復が早すぎる。

 

「無傷だった工作員たちでしょうか?」

 

「いや、この気配は女ね。使い捨ての駒では無さそう」

 

「駒……ですか?」

 

「あっ、美紀ちゃんはまだ学生だもんね。こう言った汚い大人の考えは持ってないわよね」

 

 

 小鳥遊隊長が慌てて右手を左右に振って忘れろと言外に言ってきた。駒と言う単語の意味は私でも分かる。でも実際にそんな考えが普通にある世界が私にはまだ受け入れられない。暗部に身を置いてるにも関わらずだ。

 恐らく刀奈お姉ちゃんや虚さんにもそんな考えは無いんだろうけども、いざとなれば私たちはその駒になる可能性があるのだ。

 

「とりあえず後で一夏さんに報告だけはしておきましょう。既に知ってるとは思うけどね」

 

「そうですね。でも、数人だけならまだそれほど警戒する必要は無いのでは?」

 

「昨日までは一人も居なかったのが、今日は少しだけとは言え居るのだから。それだけでも警戒に値するわ」

 

「それは……確かにそうですね。私の考えが甘かったです」

 

 

 いくら相手が少数とは言え、それが全てでは無いのだ。此方が無警戒だと判断すれば、すぐにでも大軍を率いて再び襲ってくるだろう。

 そうなると此方としては非常に不利だ。一夏様はまだ完全には回復してらっしゃいませんし、一夏様が整備を担当している私の機体とエイミィの機体もまた、完全では無いのだ。それだけでも十分に戦力ダウンだが、それ以上にマズイのは向こうにも此方の戦力が知られてしまってる事だ。

 一度戦った事で、IS学園の戦力の大体は相手にも把握されたと見るのが普通だ。そして警戒すべき相手を押さえると言う作戦に来られたら、こちらは対処しようが無い。実戦経験がある亡国企業の精鋭を、学生が大半の此方が押し返せるとは到底思えない。

 

「色々と考えてるわね。でも、そこまで悲観的になる事は無いわよ。今回は織斑先生も居るし」

 

「ですが、一夏様が万全では無い以上、それだけで大分厳しいと思いますけど」

 

「そうね。でも、一夏さんなら工作員くらいなら蹴散らせるだけの動きは出来ると思うわよ」

 

「それで再び怪我を悪化させてしまったら……」

 

「最初から須佐乃男を使える状況なら大丈夫だと思うわよ」

 

 

 この前は一夏様と須佐乃男が離れてる時を狙われたから、一夏様は生身で亡国企業の精鋭二人を相手にしなくてはいけなかったのだ。だからとりあえず須佐乃男さえ傍に居れば一夏様の安全は確保出来る。

 

「あの二人がなるべく別行動しないように進言しておきましょう」

 

「う~ん……一夏さんが大人しくその事を認めてくれるかしら……基本あの二人は別行動だしね……」

 

「念話で繋がってるからと安心してるのでしょうか?」

 

「それもあるんだろうけど、一番の原因は一夏さんの忙しさだと思うの」

 

 

 確かにこの一ヶ月、一夏様の学園生活を拝見して思ったのは、一夏様は普通の学生の倍は動いてると言う事でした。

 生徒会の仕事もそうですが、一夏様はISの整備も担当していらっしゃるので、学生が訓練、または自由時間の間もISに携わっていらっしゃるようでした。

 

「それに加えて今は皆の勉強も見てるしね」

 

「それは私には何とも……今見捨てられると非常に困りますし……」

 

 

 私だけでは無く、他の五人も非常に困るだろう……あの中ではトップの香澄だって、全体で見たらまだまだ下から数えた方が早いでしょうし、本音ちゃんなんかは本当にマズイ事になりそうだ。

 

「だから一夏君もナターシャ先生を部屋に呼んだんでしょうけど、彼女じゃあまり当てにならないんじゃないかしら」

 

「それでも、居ないよりはマシなのでは? 一応座学も担当しようとすれば出来るようですし」

 

 

 それでも一夏様の助けがあってならなのですがね……一夏様は本当に優秀な方です。

 

「さて、そろそろ見回りも終わりにして部屋に戻りましょうか。いい加減寒くなってきたし」

 

「そうですね……」

 

 

 そろそろ秋から冬に移る頃ですし、確かに何時までも外に居ると寒くはなってくるのですが、見回りを終わらせる理由としては如何なんでしょうか……

 

「それじゃあ運動も兼ねて部屋までダッシュ!」

 

「えっ? ちょっと隊長!? 自分だけスタートダッシュ決めるのはズルイですよ!」

 

 

 勉強ばかりで身体が鈍ってるのは確かなのですが、いきなりダッシュと言われても……それに何の合図も無く隊長が走り出したので、まずはそれに追いつかなくては……

 

「負けた方は勝った方の言う事を聞くって事で」

 

「だからズルイですよ! そもそも隊長の方が足速いんですし、スタートも隊長の方が良かったんですから!」

 

 

 部屋までの距離を考えても、隊長に追いつくのは難しいだろう。瞬発力では勝てるかもしれないけど、持久力では隊長の方が数段上だ。何せ一夏様にも対抗出来るかもしれないと噂されているほどなのだから。もちろん実際に一夏様と隊長が持久力で勝負した事など無いので、あくまでも噂だが。

 

「やる前から諦めちゃって良いの? 勝てれば何でも言う事を聞かせられるのに」

 

「ですから! 隊長に有利な勝負で勝てる訳無いじゃないですか! 私と隊長の力の差を考えてくださいよ!」

 

 

 例えるなら本音ちゃんと虚さんが同じ量の仕事を処理する時間で対決するくらい無謀なのだ。そんな勝負はする前から結果が見えている。

 

「さ~て、美紀ちゃんに何をやってもらおうかな~」

 

「私はその勝負を承諾してませんからね!」

 

 

 走りながら隊長に抗議するが、一向にその差は縮まらないし隊長は言う事を聞いてくれない。何でこうなるんだろうな……

 

「おっと」

 

「? 如何かしましたか?」

 

「いや、今誰かが見てたような……気のせい?」

 

 

 隊長が辺りを見渡し、再び首を傾げました。

 

「やっぱり誰も居ないわね。気のせいだったみたい」

 

「ですが隊長、気配を殺すのが得意な相手だったら、隊長からでも隠れ通せるのでは無いでしょうか」

 

「それは確かにそうだけど……そんな事が出来るのは織斑先生クラスの人間よ。どっちみち私たちじゃ対処出来ないわ」

 

「そのレベルまで行かないと隊長からは隠れ通せないんですか……隊長もなかなかの人外ですよ」

 

 

 この学園には人外だと称される人が多すぎる……その中で生活してると、だんだんやる気が削がれてくんだが……

 

「私はまだ人間レベルよ。これくらいなら努力で如何とでもなるもの。だけど、それ以上を目指すとなると、努力だけでは如何しようもなくなってくるわね」

 

「才能も関係してくると言う事ですか?」

 

「そうね。生まれ持っての才能の差は、努力だけでは埋まらない。もちろん才能の上に胡坐を掻いて努力してない天才なら負かせるんだけどね」

 

「そんな人は居ないと思いますが……特に私たちの周りには」

 

 

 織斑先生や一夏様だって、人知れず努力はしてるでしょうし、刀奈お姉ちゃんだって遊んでるだけに見えて、その実生徒会長としてしっかりと働いてるんでしょうしね。もちろん一夏様や虚さんの支えがあってこその事なんでしょうが……

 

「この事も一夏さんには報告しておきましょう。何だか嫌な予感がするわ」

 

「そう…ですね……一夏様なら何か掴んでるかもしれませんし」

 

 

 気配察知も気配を殺すのも、私たちよりも一夏様の方が得意ですし、気配察知の範囲も一夏様ならこの学園全てを網羅出来ますしね。

 

「それじゃあ勝負再開!」

 

「ちょっと! ですから私は勝負を受けてませんってば!」

 

 

 そして再び不意に始められる理不尽な勝負。隊長は自分のタイミングで始められるからいいでしょうけども、私は隊長の突然の合図で始めるものですから、全然対等では無いんですよね。

 結局部屋に着くまで抗議しながら走りましたが、隊長に追いつくことは出来ず、勝負も成立してる事にされてしまいました……世の中ってかなり理不尽……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 一夏の部屋に静寂が泊まってる事が面白く無く、私は消灯時間ギリギリまで部屋に戻らずに素振りをしていた。

 

「全く一夏のヤツ、幼馴染の私では無く静寂を部屋に招き入れるなど……けしからんな! 今度一夏にキツイ一撃を喰らわせてやらねば」

 

 

 私の攻撃が一夏に通用するとは思って無いが、それくらい腹立たしいのだ。一夏め、何時からあんなに女誑しになったんだ……

 

「アイツらよりも私の方が大きいと思うんだがな……」

 

 

 自分の胸に視線を向け、一夏の部屋の方角に視線を移す。今頃一夏の部屋では破廉恥な行為が行われてるのかもしれない。そう思うとますます腹が立ってきた。

 

「高校生の分際でそのような事を! 一夏、お前は堕落したな!」

 

 

 この場には居ない一夏を見据え、私は竹刀を振り下ろす。最近編入してきた四月一日とか言う女も、一夏に色目を使ったようで今は一夏の部屋に居る。しかも千冬さんが一夏に逆らえ無い事を良い事に、「正式な許可」と称して居座っているのだ。

 

「千冬さんだってアイツらの事を認めてる訳が無いんだ。一夏が圧力をかけたから仕方なく認めたに違い無い!」

 

 

 千冬さんから真相を聞きだして、一人ずつ成敗してやろうかとも思ったが、そんな事しても私が一夏に勝てる訳は無いのだ……怪我人であろうとも、私と一夏との力の差は歴然、大人と子供が勝負するようなものだ。

 

「気に食わないな!」

 

 

 一夏の顔を思い出すとより腹が立ってきた。一夏が不埒な行為にふけってる証拠を押さえ、この学園から追放してやろうか。

 

「だが、アイツは気配を探るのが異常に上手いからな……近付いた時点で不埒な行為は中止するだろうな」

 

 

 いっそ姉さんにでも頼るか? だが携帯は通じないし、姉さんの居場所すら把握していないのだ。頼ろうにも頼れない……

 

「クソ! これも全て一夏の所為だ!」

 

 

 イライラが募り、私は更に激しく竹刀を振り下ろした。勢い余って地面に叩きつけてしまい、その衝撃で竹刀が半分に折れてしまった。

 

「あらあら、嫉妬は醜いわよ」

 

「誰だ!」

 

 

 声のした方に折れた竹刀を投げつけたが、全く手応えは無かった。それどころか、投げた方に気配は全く無かったのだ。

 

「何処に……」

 

「こんばんは、篠ノ乃箒」

 

「お前は!?」

 

 

 明らかにIS学園の関係者では無い。だが相手の顔は何となく見た事があった。IS学園新聞に掲載されていた写真、その中に写っていた亡国企業の幹部……

 

「私の事を知ってるのかしら?」

 

「確か……スコールとか言ったか」

 

「知ってるようね。それで、貴女は一夏の何?」

 

 

 コイツ、馴れ馴れしく一夏の事を……

 

「私は一夏の幼馴染で婚約者だ!」

 

「へ~、知らないと思って平然と嘘を言うのね。貴女が一夏の婚約者な訳無いでしょ」

 

「グッ……」

 

 

 あっさりと嘘だと見抜かれたのもそうだが、何故この女は私に接触してきたんだ……

 

「貴女を使えば篠ノ乃束を呼び寄せられると思ってね」

 

「ッ!?」

 

 

 何も言ってないのにも関わらず、スコールは私の疑問に答えてきた。コイツも一夏同様相手の思考を読み取れるのだろうか。

 

「私は一夏ほど正確には読み取れないけどね。だけど貴女はとても分かりやすいもの」

 

 

 またしても……だが、これで私の疑問は解決した。相手は思考を読めるようだから、無言で対処したところで意味は無いのだ。

 

「そうね。だから大人しく私の言う事に従ってくれない? 貴女では私には勝てないもの」

 

「あまり舐めないで貰いたい。これでも中学時代には……」

 

「剣道で全国一位になったんでしょ? でも、一夏には全然敵わない」

 

「アイツに敵う人間などこの世に存在しない」

 

 

 それくらいの力が一夏にはある。その事は私も分かっているのだ。

 

「そうね、普通の人間なら一夏には敵わないでしょうね。でも、改造人間なら如何かしら?」

 

「何?」

 

「私たちの組織で改造されてみない? そうすれば一夏に勝てるかも知れないわよ?」

 

「馬鹿にするな! 私だってそんな簡単に力を欲したりはしない!」

 

「専用機に拘ってたのに? 力、ほしいんでしょ」

 

「グッ……」

 

 

 確かに力はほしい。それも一夏に勝てるかもしれない力だ。だがそれは同時に普通の人間では無くなると言う事らしいのだ。

 

「考えるくらいならさっさと私たちのところに来なさい。貴女はそのままでは一夏にもその周りの人間にも勝てないわ」

 

「……お前たちのところに行けば勝てるんだな?」

 

「ええ。もちろん、貴女にそれだけの力があればだけどね」

 

「如何言う事だ?」

 

 

 意味深に笑うだけで、スコールは私の疑問に答えない。コイツ、まだ何か隠してるのか……

 

「貴女に全てを話す訳無いでしょ。貴女、私と対等だと思ってるの?」

 

「貴様ッ!」

 

 

折れた竹刀の先を拾い、スコールに殴りかかる……が、突っ込んだ先にスコールは居なかった。

 

「何処狙ってるの? こっちよこっち」

 

「チッ」

 

 

 完全に弄ばれてるのが分かったが、頭に血が上ってるので冷静な対処が出来ない。一夏も千冬さんもその事を何度も指摘してきたが、その都度私は反省せずにそのまま突っ込んでたのだ。それが今顕著に出てしまっている……

 

「やっぱり貴女は所詮篠ノ乃束を釣る為の餌でしか無さそうね」

 

「私は! あの人とは関係無い!」

 

「いくら貴女が否定しようとも、あの大天災が貴女の実の姉である事には変わり無いのよ」

 

 

 闇雲に殴りかかるが、当然それではスコールに攻撃を当てる事は出来ない。それどころか、私の息が上がってきてるのに対し、スコールは全く息を乱してない。

 

「私と貴女にも当然戦力差はあるのよ。それを冷静に判断出来ないのは、貴女が弱いから」

 

 

 肉体的にではなく、精神的にダメージを負った私は、更に動きを鈍くする。いくら否定しようとも力の差は歴然なのだ。それに抗ったところで意味は無い。否定するのではなく受け入れ、そして追いつこうとして居ない時点で、私は成長しないのだ。

 

「やっぱり貴女じゃつまらないわね」

 

「だろうな。勝手に敷地に入ってきて暴れるなんてお前らしく無い!」

 

「時間掛けすぎたかしら?」

 

 

 横から声が飛んできたと思ったら、その次の瞬間にはスコールは私に視線を向けていなかった。

 

「消灯時間を過ぎてるのに外に気配があると思って来てみれば、何してるんだ篠ノ乃」

 

「一夏? お前如何して……不埒な行為に興じてるんじゃないのか!?」

 

「……勉強会だって言っただろうが」

 

「貴方彼女に勘違いされてるわよ」

 

「五月蝿い、篠ノ乃の思い込み癖は今に始まった事じゃねぇよ!」

 

「一夏が来ちゃ作戦は失敗ね。私は引くわ」

 

「フン、万全なら捕まえてやるんだがな」

 

 

 大人しくスコールを逃がした一夏は、私に視線を向けた。

 

「消灯時間を過ぎて外出してたお前は、織斑先生の説教対象だからな」

 

「あっ……」

 

 

 助けてくれた訳では無く、別の相手に殺されろと言いたかったのだろうか……一夏はそれだけ言うと携帯を取り出して何処かに電話をし始めた。

 そしてその後、私の許に千冬さんがやってきて、そのまま寮長室に連行された。もちろん一夏はその場には居なかったが……




碧が感じ取った気配はスコールです
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