もし一夏が最強だったら   作:猫林13世

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伊丹様の案をアレンジして今回の話に盛り込みました。
そして何時の間にかお気に入り登録が600を超えました。
これからも頑張っていきますので、よろしくお願いします。


変わるには変わったが

目を覚ました私は、見覚えの無い天井を眺めている。

周りを見渡し、此処が保健室だと分かった。

ああ・・・私は負けたのか。

更識簪と布仏本音に。

そして私が否定してきた織斑一夏に。

しかし、あれは何だったんだ?

私の意識を乗っ取り暴走したあの化け物は。

あの化け物が力を増していくにつれて、私は、私の命が無くなっていくのを感じていた。

もし織斑一夏があの化け物を倒していなかったら、もう少し遅く倒していたら、今私がこうして物事を考えるなんて出来なくなってたかも知れないのだ。

まさか自分が否定してきた織斑一夏に助けられるなんてな。

私はこの運命の皮肉さに笑みがこぼれた。

あの男自分よりも遥かに強い。

薄れ行く意識の中で見た織斑一夏の強さ。

それは私があこがれた織斑千冬の強さに似ていて、そしてその強さより遥かな高みにある。

 

「おっ、気がついていたか。」

 

「教官・・・。」

 

 

ドアが開き、織斑教官が入室してきた。

 

「学校では織斑先生と・・・まあ、今だけは許してやる。」

 

 

そう言って笑顔を見せる織斑教官。

 

「無事で何よりだ。」

 

「心配して下さったのですか?」

 

「私だって人間だ。目の前で知り合い、しかも教え子に死なれたら精神的にくるものがあっただろう。」

 

「ご心配をおかけしました。」

 

 

私はそう謝る事しか出来なかった。

 

「反省したなら、これからは心配を掛けないように。」

 

「はい!」

 

 

教官の優しさに涙が出そうになった。

あの試合の前の私なら、こんな教官など見たくなかったなどと思うかも知れないが、この教官も私があこがれた教官の一面なのだと今なら理解できるし受け入れられる。

 

「教官、教えていただきたい事があります。あれはいったい・・・」

 

「一応機密事項なのだがな。」

 

 

そう前置きをした。

つまりは他言無用なのだろう。

私は頷き続きを待つ。

 

「VTシステムは知っているな。」

 

「はい。正式名はヴァルキュリー・トレース・システムですよね。ですがあれは・・・」

 

「そうだ。IS条約で現在どの国家、組織、企業において研究、開発、使用全てが禁止されている。それがお前のISに積まれていた。」

 

 

私は言葉を発する事が出来なかった。

シュヴァルツェア・レーゲンは私も開発に携わっていたのに、VTシステムが積まれている事などまったく知らなかったのだ。

 

「巧妙に隠されてはいたがな。操縦者の精神状態、機体の蓄積ダメージ、そして何より操縦者の意思・・・いや願望か。それらの全てが揃うと発動するようになっていたらしい。現在学園はドイツ軍に問い合わせしている。近く、委員会からの強制捜査が入るだろう。」

 

 

私の思考を読んだのか、説明の前に知らなくても仕方が無いと言いたげに私を慰める言葉を言ってくれた。

しかし、今の説明で分かった。

 

「私が望んだからですね・・・。」

 

 

そう、少なくとも前二つは私以外でも有り得たのかも知れない。

更識簪、布仏本音との試合では完全に向こうの方が有利であり精神的に追い詰められていたし、機体の残りエネルギーもほぼゼロだった。

しかし大抵の者は此処で諦める。

だが私は認められなかった。

自分が否定してきたもの、認めようとしなかったものが、自分よりも強いなどと認めたくなかった。

そして望んでしまった。

私が織斑千冬になる事を。

その心の隙を突かれてしまったのだ。

 

「ラウラ・ボーデヴィッヒ!」

 

「は、はい!」

 

 

突然名前を呼ばれたことに驚いて、反応が一瞬遅れた。

 

「お前は誰だ?」

 

「え・・・私は・・・その・・・。」

 

 

しどろもどろに成ってしまった私をみて、教官は優しく微笑んだ。

 

「誰でもないなら丁度良い。これからお前はラウラ・ボーデヴィッヒになるがいい。なに、時間は山のようにあるんだ。なにせ三年間はこの学園に在籍しなければいけないからな。その後も、まあ死ぬまで時間がある。せいぜいたっぷりと悩むことだな、小娘。」

 

 

それだけ言って保健室から去ろうとした教官を私は引きとめた。

 

「教官、それともう一つ聞きたい事が有ります。」

 

「何だ?」

 

 

首だけこちらに向け尋ねてくる教官。

 

「アイツは、織斑一夏は何故あそこまで強いのですか?」

 

 

私は知りたかった。

教官になろうとして事で強くなった気になっていた私に、誰かの真似をしている時点で私は私では無くなっていた事を教えてくれた織斑一夏の強さの源を。

 

「一夏は昔から私より凄かった。武術だけではなく知識や家事一切、全て私などとは比べ物にならない才が有った。」

 

「教官よりも・・・ですか?」

 

 

私は再び驚いた。

教官の武術の才は相当なものだ。

それ以上など、それこそ神か人外のモノでなきゃおかしい。

 

「昔一夏と剣道の試合をしたことがあったんだが、始めたばかりの一夏とすでに師範代クラスの実力を有していた私だ。普通なら試合にすらならない。だが一夏は互角以上に私とやりあった。今じゃ勝てないだろうがな。」

 

「教官と互角以上・・・しかも今は教官以上ですか・・・。」

 

 

正直、教官の言葉だけでは納得出来なかっただろう。

だが、先ほど織斑一夏の実力、その片鱗を私は見たのだ。

いくらコピーとは言え、織斑千冬を相手にヤツはいとも簡単に勝ってしまったのだ。

 

「一夏は、自分が原因で誰かが傷つくのを極端に嫌う。例外もあるが、基本的に優しい子だ。両親に捨てられ、こんな私に育てられたのによくもああ育ったものだと思うよ。だからお前の事も助けたのだろう。」

 

「私が勝手に憎んでいただけで、今回の件に織斑一夏は関係無かったはずですが・・・。」

 

 

試合をしていたのは更識簪と布仏本音で、騒動の原因は私だ。

とても織斑一夏が原因とは思えない。

 

「それでもだ。力を欲したお前の気持ちは、自分を否定したいからだろうとさっき言っていた。」

 

確かにあの時私は織斑一夏を否定していた。

だがそれだけで騒動の原因とまで言えるのだろうか?

 

「お前を助けたのは、お前が考えを改める間もなく死なれては目覚めが悪いと言っていた。曲がりなりにもこの私に勝てるのは私自身か一夏しか居ないだろうしな。お礼を言う必要は無いが、感謝しておくんだな。お前に膨大な時間を与えたのは一夏だからな。」

 

「そうですね・・・織斑一夏は自分が出来る事をして、ついでに私を助けた。そう思うことにします。」

 

 

織斑一夏が何故私を助けたのかは完全には理解出来なかったが、私が生きているのは織斑一夏のおかげなのだ。

だから教官の言う通りお礼はしないが感謝はしよう。

 

「ああ、そう言えばお前は私になりたかったらしいが、お前は私にはなれないぞ。」

 

 

それだけ言ってこんどこそ保健室から出て行った教官。

クソ、姉弟そろってカッコいいじゃないか。

私は誰も居ない保健室で一人大笑いをした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

やれやれ今日も結局疲れたな。

俺は疲れたくないと言う理由で学年別トーナメントに出る事をしなかったのに、結局疲れる事をしてしまった。

 

「(しかし一夏様が止めなければ簪様や本音様が危険な目に遭ってたかもしれないんですよ?それを考えればこれくらい良いじゃないですか。)」

 

 

そうは言ってもな・・・。

須佐乃男の言っていることは確かにそうなのだが、普通に終わっていれば俺は疲れることなく一日を終わらせる事が出来たかも知れないのも事実なのだ。

恨み言の一つや二つ言ったぐらいでバチは当たらないと思うぞ?

 

「(前にも言った通り、一夏様は不幸の星の元に生まれたんですよ。)」

 

 

前にも言ったが、滅んでしまえ、そんな星。

そんなやり取りをしながら部屋に着いた。

今日はもう風呂に入って寝てしまおう。

俺の希望は部屋に入ったとたんに崩れ去った。

 

「お帰り一夏君。お風呂沸いてるから一緒に入ろ♪」

 

 

・・・何て言った?

風呂が沸いているのはありがたい、沸かす手間が省けたからな。

だがその後だ。

俺の耳がおかしくなってないのなら、一緒にって言ったよな。

刀奈さんと誰が一緒に入るんだ?

普通に考えたら虚さんか簪、本音だろうな。

だが、刀奈さんは俺に向かって一緒に入ろうって言ったよな?

つまりはそう言う事なんだろうな。

 

「え~と・・・冗談ですよね?」

 

 

今日はこれ以上疲れたくないのだが。

 

「冗談じゃないよ。一夏君と一緒に入るんだよ?」

 

 

どうやら刀奈さんは本気のようだ。

前に旅館で一緒に入った事はあるが、その時とは状況が違う。

 

「刀奈さん、ここは学園の寮なんですよ。さすがに男女が二人っきりで風呂と言うのは・・・。」

 

「何言ってるの?二人じゃないよ、五人だよ。」

 

「え?五人!?」

 

 

どうやら俺は勘違いしていたようだ。

俺と刀奈さんが一緒に風呂に入るのではなく、虚さん、簪、本音も一緒に入るつもりなのだ。

 

「さすがにこの部屋の浴槽でも五人は入れませんよ。」

 

 

俺は何とか諦めさせようとする。

 

「それは私も分かってる。一夏君が大浴場に入れれば良いんだけど、一夏君入学前から大浴場に入る気は無いって言ってたしね。」

 

 

覚えていたのか。

俺がこの部屋の浴槽を大きく作ってもらった条件は大浴場に入らない事だからな。

 

「分かってるなら何で一緒に入るなんて・・・。」

 

「湯船に入るのは諦めてるけど、一夏君の体を皆で洗ってあげようと思ってね。」

 

「体・・・ですか?背中ではなく?」

 

「うん!もう既に誰が何処を洗うか決まってるんだ。」

 

 

俺が一緒に入らないといった事態を考えてないのか?

 

「え~と今日はさすがに疲れたのでまた今度に・・・」

 

「「「「駄目!!!!」」」」

 

「うぉ!」

 

 

先延ばしにしようとしたが四人に声をそろえて却下されてしまった。

刀奈さんや本音はともかく、まさか虚さんや簪まで・・・。

 

「(愛されている証拠じゃないですか。ここは素直に一緒に入ったら如何ですか?これ以上拒否しても余計に疲れるだけですしね。)」

 

 

・・・確かに疲れてきたがな。

須佐乃男の言っている事は俺にも分かってる。

四人は俺の疲れを癒そうと言ってくれているのだろうが、そう簡単にお願いしますなんて言えるはずが無い。

俺だって思春期真っ只中の少年なんだぞ。

美少女四人と一緒に風呂なんて、下手したら鼻血を出しかねん。

 

「(そう言えば一夏様も思春期でしたね。普段の行動があまりにも年不相応ですから忘れてました。)」

 

 

お前な!

はぁ、もう良いよ。

お前の相手をしてると余計に疲れる。

 

「(酷くないですか!私は一夏様の事を心配しているのに!)」

 

 

気持ちはありがたいが今はお前の冗談に付き合えるほどの気力も体力も残ってない。

俺は須佐乃男の冗談を流し、刀奈さん達と風呂に入る事にした。

 

「分かりました、一緒に入りましょう。その代わり、ちゃんと水着を着てくださいね?冗談でも真っ裸で入ってきたりしたら容赦しませんよ。」

 

「うへぇ、ボケを先に潰されちゃった。」

 

「お姉ちゃん、本当に裸で入るつもりだったの?」

 

「あったりまえじゃない!一夏君の狼狽する姿なんて滅多に見れないんだよ?」

 

「楯無お嬢様、それではお嬢様自信も恥ずかしいのでは?」

 

「・・・あ!!」

 

 

やはり何処か抜けてるな、刀奈さんは。

 

「それじゃあ、俺は先に入ってますから。」

 

 

おれ自身も水着を着て風呂に入らなければ・・・。

それにしても疲れたな。

さっさと温まって疲れをほぐすか。

入浴の準備を済ませ、俺は湯船に入る。

はぁ~気持ち良いな。

 

「(やっぱり年寄りくさいですよ。)」

 

 

・・・五月蝿いな。

そんな事より須佐乃男よ、お前は水にぬれたりしても平気なのか?

 

「(私たちISをそこらへんの機械と一緒にしないでください。完全防水とまでは行かなくとも、お風呂くらいで壊れるようなやわな作りではないですよ。)」

 

 

そうなのか。

何時もはシャワーで済ます事が多かったからな。

付き合いは長いが意外と知らない事もあるんだな。

 

「(そもそも何時もは外して入るくせに、今日に限って忘れるなんて。嫌がらせですか?私は見ている事しか出来ないのを良い事に五人でイチャイチャしている所を見せ付けるつもりですか?相変わらず鬼畜ですね、一夏様は。)」

 

 

別にそんなつもりじゃなく、単純に忘れただけだ。

どうやら不貞腐れてしまった須佐乃男に慰めにならない慰めの言葉を伝える。

 

「(フン、良いですよ。もし私が人間の姿になれるようになったら覚悟してくださいね!今回以上にドキドキさせてあげますよ。そのためにもまずは人間の姿になれるようにならなくては!そうなるとやはり・・・ブツブツ。)」

 

 

また自分の世界に行ってしまった。

 

「おっまたせ~!」

 

「お姉ちゃん、ちょっとは躊躇しないの?」

 

「そうですよ・・・恥ずかしい。」

 

「おりむ~来たよ~。」

 

 

須佐乃男とのやり取りが終わった所で四人が入ってきた。

タイミングが良いのか悪いのか。

 

「じゃあ、一夏君。此処に座って。」

 

 

刀奈さんが椅子を差し出す。

そう言えば体を洗うって言ってたな。

 

「誰が何処を洗うんですか?」

 

 

変な所まで洗うのなら勘弁してもらうのだが。

 

「え~とね、簪ちゃんが背中で虚ちゃんが手足、本音が頭で私が前かな。」

 

「前って・・・胸とかお腹とかですか?」

 

「もちろん・・・って一夏くん、何処を洗わせる気なのかな~?」

 

 

・・・分かってて言わせる気か。

それならこっちにも考えがある。

 

「ただの確認ですよ。それとも刀奈さんは何処のことを言ってると思ったのですか?」

 

「えっと・・・その・・・まさか一夏君にしてやられるとは。」

 

 

俺だって何時までも刀奈さんに振り回されませんよ。

その後はおとなしくなって刀奈さんと他の三人に体を洗ってもらった。

 

「ねえ一夏君。」

 

「何ですか?」

 

「えっとね、今度は全員一緒に湯船に入ろうね。」

 

「だから俺は大浴場使えませんよ。」

 

「そうじゃなくて・・・またどっかの旅館や更識の屋敷でさ。」

 

「・・・考えておきますよ。」

 

 

刀奈さんの提案に俺は少し恥ずかしくなったが、動揺を見せれば付け上がるので普通に答えた。

 

「一夏君ってさ、あまり感情出さないよね?」

 

「そうですかね?俺は出してるつもりなのですけど。」

 

「うん、普段私たちと一緒に居るときは出てるよ。でもこういった場面で何も思って無い訳じゃないでしょ?」

 

「そりゃ、美少女四人に体を洗ってもらってますからね。何も思ってない訳無いじゃないですか。」

 

「美少女って・・・一夏君ったら。」

 

「一夏、恥ずかしいよ。」

 

「私みたいな地味な女に美少女なんて・・・」

 

「お~!!おりむ~、わかってるね~。」

 

 

四者四様の反応をしてくれた。

うん、やっぱり可愛いな。

 

「ともかく、俺がこういった場面で感情を出さないのは、少しでも油断すれば鼻血を出してしまうからですよ。」

 

 

そう言って俺は風呂場を後にする。

これ以上はさすがにキツイからな。

 

「ええーもう出ちゃうの?」

 

「もともとカラスの行水ですからね、俺は。」

 

 

さてと、夕食はいいや、寝てしまおう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日、学年別トーナメントが中止になったことを知った。

さすがにあのような騒動があったからな。

だがクラス中がなにか残念がってるのは何故だ?

そこまでトーナメントをしたかったのか?

 

「優勝・・・チャンス・・・消えた。」

 

「折角織斑君が言う事聞いてくれるって言ったのに・・・」

 

「・・・残念だな。」

 

 

ああ、そんな噂があったな・・・本音のせいで。

そもそも勘違いなのだからそこまで落ち込まなくても・・・。

 

「諸君、おはよう。」

 

「「「「「おはようございます・・・」」」」」

 

「何だ?如何した?元気が無いようだが。」

 

 

織斑先生の登場でもクラスの雰囲気は変わらなかった。

 

「まあいい、今回の事件だが、ボーデヴィッヒの意思とは関係なく起こった事が確認できた。したがってボーデヴィッヒに関しての罰は無しだ。だが迷惑を掛けてしまった事を謝りたいそうだ。入って来い、ボーデヴィッヒ。」

 

「はい!」

 

 

元気な声と一緒に教室に入ってきたボーデヴィッヒ。

本当は少し関係しているのだがな。

あのシステムは個人の願望がなければ発動しない。

だが千冬姉が関係無いと言う判断をしたのなら、それで良いのだろう。

 

「この度は私のせいで多大な迷惑を掛けてしまったことを謝りたい。本当にすまなかった。」

 

 

随分と変わったな。

保健室で何か千冬姉に言われたのだろう。

だが脅しとかではなく普通に諭したのだろうな。

なんだかんだ言って、ボーデヴィッヒには少し甘いのだろうな。

 

「それから織斑一夏。」

 

「ん?何だボーデヴィッヒ。」

 

「これまでは此方が勝手に憎み、散々侮辱した事を謝らしてくれ。すまなかった。」

 

「気にしてない。だからお前も気にするな。」

 

 

俺は心からそう思っているのでそのままをボーデヴィッヒに伝えたのだ。

だが・・・

 

「やはり一夏は優しいのだな。時に厳しく時に優しく、日本ではそう言った男性の事をお兄ちゃんと呼ぶそうだな。だが少し恥ずかしいので兄上と呼ぶ。異論は認めん!」

 

「「はぁ!?」」

 

 

俺と千冬姉の声が重なる。

なんだいきなり。

確かに変わったようだが、ここまで変わるなんて・・・。

 

「認めん!一夏は私の弟だ!」

 

「千冬姉・・・素が出てるぞ。」

 

「いくら教官が認めてくれなくとも一夏は私の兄上です!」

 

「え~とボーデヴィッヒ・・・」

 

「ラウラでいいぞ、兄上。」

 

「・・・じゃあラウラ、誰がそんな事を教えてくれたんだ?」

 

「私の部隊の副官だ!実に頼りになるんだぞ!」

 

 

俺は見たことない副官に怒りを覚えた。

こんな純真無垢の子に何嘘を教えてるのかと。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時は少し遡り騒動後の夜

 

「(一夏、お前は何処までも私の先を行く。だが、私だって一夏の傍に立ちたい。)」

 

 

篠ノ乃箒はあれからずっと考えてきた。

力の意味を、そしてどうすれば自分は力に振り回されなくなるかを。

しかし、まだ答えは出ない。

 

「(不本意だが、あの人に頼るか。)」

 

 

箒は携帯に登録されている数少ない一人に電話を掛けた。

 

「もしも~し、箒ちゃんから電話くれるなんて珍しいね~。それで何かな~?」

 

 

電話の相手は篠ノ乃束、箒の姉だ。

 

「姉さん、力とはなんですか?」

 

「ん~?それは箒ちゃんがいっくんから考えるように言われたんだよね~。」

 

「そうですが・・・」

 

「じゃあヒント、自分に合わない大きな力を手にしたら、いつかその人自身を滅ぼすよ。」

 

「それがヒントですか?」

 

「あくまで私の考えだけどね~。それじゃ~ね箒ちゃん。」

 

 

それだけ言って電話が切れた。

結局分からなかった。

 

「一夏・・・。」

 

 

夜風に私がつぶやいた言葉が消えていった。




本来なら箒の専用機の話になるはずなのですが、この物語の箒にはいまのところ専用機を持たせるつもりはありません。
原作で誰かが言っていたように姉妹ってだけで専用機をもらえるのはあまりにも優遇されていると思うので。
ラウラも嫁じゃなく兄上と呼ばせることにしました。
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