もし一夏が最強だったら   作:猫林13世

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VTシステム騒動の翌朝です。
まさかここまで長くなるなんて・・・


騒がしい朝

昨日の騒動おかげか、何時もよりゆっくりと眠れた。

アリーナでの騒動もそうだが、風呂での騒動も俺の疲労を増やしていた。

 

「(一夏様が疲れてるので一緒に入ろうとしていたのに、結果的に一夏様を余計に疲れさせては意味が無いですよね。)」

 

 

それはまったくだが、気持ちはありがたかったよ。

 

「(ですけど本当に一夏様の事を思っているのなら一人で入らせるべきだったんですよ。まったく一夏様の彼女なら、それくらいの気遣いが出来て当然ですよ!)」

 

 

・・・嫉妬か?

やけに四人に絡む須佐乃男に俺は聞く。

 

「(ち、違いますよ!そうではなく、一夏様の体が心配ですから言ってるのです!決して羨ましいとかではないですよ。)」

 

 

・・・嫉妬か。

今の反応でハッキリした。

須佐乃男は四人に嫉妬しているのだ。

そもそも人ではない須佐乃男が嫉妬したところで、四人には知る由が無いのだがな・・・。

などと考えていたら、布団の中に違和感を覚えた。

誰か居る・・・。

俺はゆっくりと掛け布団をめくるとそこには・・・

 

「刀奈さん!?」

 

 

刀奈さんが俺の布団でぐっすりと眠っていた。

前に旅館で紛れ込んできた事があったが、あの時は虚さんも一緒だったし、次の日は簪や本音も紛れ込んできていたが、今日は刀奈さん一人だ。

ばれたら刀奈さん怒られないか?

仕方ないので刀奈さんを起こす事にした。

 

「刀奈さん、起きてください。朝ですよ。」

 

 

俺が起きる時間では、普通の人には朝ではなくまだ未明に近いが、今起こさないと後々問題になるからな。

 

「うにゅ~・・・あ、おはよう一夏君。今何時?」

 

「朝の4時ですよ。」

 

「まだ早いよ~・・・お休み。」

 

「寝ないでくださいよ。ここは俺の布団ですよ?後で三人にばれたら大変じゃないですか?」

 

「そう言えば・・・でも眠いよ~。一夏君、運んで~。」

 

「やれやれ・・・しょうがないですね、まったく。」

 

 

俺は刀奈さんを抱き上げ、刀奈さんのベッドに運ぶ。

この行動も後でばれたら問題になりそうなんだがな。

 

「えへへ~・・・一夏君の体、あったか~い。」

 

「俺が温かいんじゃなくて、刀奈さんが少し冷たいんですよ。冷え性ですか?」

 

「ん~、如何なんだろ?」

 

「ちゃんと温かくして寝ててくださいね。風邪なんかひいたら大変ですからね。」

 

 

俺はベッドに刀奈さんを降ろし、布団を掛ける。

 

「わかった~、おやすみ~。」

 

「はい、おやすみなさい。」

 

 

布団に入ってスグ眠ってしまった刀奈さん。

やっぱり早い時間だからか。

 

「(なんで一夏様のベッドに潜り込んだんでしょうね?普段ならそこまで積極的では無いのに・・・一夏様、心当たりはありませんか?)」

 

 

俺が分かるわけ無いだろ。

須佐乃男に尋ねられたが、俺には心当たりが無い。

考えながら部屋を出て自主練をするために外へ向かう。

廊下を歩いていると、知っている気配が二つ。

これは・・・千冬姉と新聞部の黛先輩だな。

気配を消し、何を話しているのかを伺う。

 

「(意外と野次馬根性があるのですね。)」

 

 

こんな時間に黛先輩が起きているんだ。

なにか問題があるのかも知れないだろ?

須佐乃男の冷やかしに思っていることを素直に伝えた。

そろそろ声が聞こえるな。

 

「何をやっているんだ、お前は。」

 

 

想像通り千冬姉に怒られていた黛先輩。

しかし、黛先輩もだが、千冬姉も何してるんだこんな所で?

 

「えーと・・・織斑君の部屋を直撃取材しようと思いまして・・・。」

 

「こんな早朝にか?」

 

「所謂、寝起きドッキリをしようと・・・」

 

「残念だが、この時間じゃ織斑はもう起きているぞ。普段なら自主練で外を走ってる時間だ。」

 

 

・・・良く知ってるな。

確かに千冬姉も早起きだが、この時間には起きてはいないはずだ。

教師になって生活リズムが変わってさらに早くなったのか?

 

「そうなんですか・・・あれ?でも何で織斑先生が知ってるんですか?前に聞いた時には6時起床だって言ってましたよね?」

 

 

何だ、変わってないのか。

千冬姉は基本的には6時起床だった。

その時間に起き、真剣で素振りをして汗を流す。

昔からの習慣なので、おそらくは今も続けているのだろう。

 

「なに、ただ単に織斑の行動などお見通しだ。アイツは昔から私より早く起き、私より多くの時間汗を流すからな。」

 

「そうですか・・・てっきり織斑先生が織斑君の行動を監視しているのかと思いましたよ。」

 

「な、何を言うか!監視ではなく見守ってるだけだ!」

 

「どっちも同じだ、この馬鹿姉が!」

 

 

黙ってこの場を去るはずだったが、あまりにも聞き捨てなら無い事を言った千冬姉に一発喰らわせたくなったのだ。

俺は姿を現すと同時に千冬姉の頭に鉄拳を喰らわせた。

 

「痛いぞ一夏。」

 

「え?織斑君!?」

 

 

殴られた事に文句を言う千冬姉と俺の登場に驚く黛先輩。

 

「おはようございます黛先輩。さっき話してた事は後でゆっくり聞かせてもらうとして、あまり馬鹿なことばっか言ってると本気で殴るぞ。」

 

「さっきのも十分痛そうだったけど・・・てか、さっきの話聞いてたの!?」

 

「ええ、知ってる気配があったものですから・・・コッソリと。」

 

 

あっさりと隠れて聞いてた事をバラす。

もはや隠しても意味は無いからな。

 

「一夏、何でお前が此処に居る!?お前は外で走っているんじゃ?」

 

「外に行こうとしたら気配を感じたからな、もしかしたら何かあったのかと思ったから来てみたら・・・随分とストーカーじみた事を言ってたな、千冬姉。」

 

「ストーカーとは人聞きが悪い!姉が弟の事を心配して何が悪い!」

 

 

もはや開き直った千冬姉に、俺は頭痛を感じた。

 

「此処での貴女は俺の姉の前に教師でしょうが。」

 

 

自分の立場を分からせるためにあえて分かっている事を言う。

 

「それはそうだが、今の時間は大抵の生徒は寝てるからな。だからお前の姉として振舞っても問題あるまい。」

 

「あるだろ!ここは学園の寮なんだぞ!此処に居る以上、なるべくは教師の立場として振舞えよな!」

 

「織斑君、声大きいよ。皆起きちゃう。」

 

 

我慢の限界でつい大きな声を出してしまった俺に黛先輩が注意する。

確かに今はほとんどの生徒が寝てるんだっけ、反省しなくては。

 

「すみません、つい興奮してしまって。」

 

「いやいや、今の織斑君の気持ちはなんとなく分かるからね。しかし、織斑君の特ダネを掴もうしたら、まさか織斑先生の特ダネが手に入るなんて・・・ついてるわ。これで今週の新聞の特集は決まったわ!」

 

 

黛先輩も随分興奮しているな・・・。

だが、忘れてないか?

今此処に鬼が居る事を。

 

「黛、もし今此処での事を新聞に書いたら・・・貴様のみならず、新聞部諸共潰すぞ?」

 

「ひぃ!?」

 

 

鬼・・・もとい千冬姉に脅されてすくみ上がってしまった黛先輩。

 

「ほどほどにな、千冬姉。俺はもう行きますが、黛先輩頑張って下さいね。」

 

 

この場から逃げる事をとは言わなかったが、ちゃんと伝わったらしい。

すがるような目で俺を見ていたが、これに懲りたら必要以上に嗅ぎまわるのを止めてもらいたいものだ。

俺は随分と時間が経っていたことに驚いたが、自主練のメニューを変えるために頭を働かせた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

色々あったため、軽めの自主練で終えた俺は部屋に戻った。

汗をかいたためシャワーを浴びるために風呂場に入ろうとしたが・・・

 

「お帰りなさい、一夏さん。」

 

「虚さん?ただいま戻りました。随分早いですね。」

 

 

まだ6時を少し過ぎたくらいだ。

普段ならまだ寝ているはずの虚さんが俺を迎えてくれた。

まあ、普段なら俺もまだ自主練をしているのだから、この時間に起きていても不思議ではないのかも知れないが、それにしても早い気がする。

 

「ええ、たまたま目が覚めてしまって。一夏さんも今日は早いんですね?」

 

「俺も色々ありまして、今日は軽めにしました。」

 

 

それでも一時間くらい走ってきたのだが、俺にとってはこれくらいは軽い部類だ。

 

「(一夏様は化け物レベルですからね~。)」

 

 

今日は随分と突っかかるな、須佐乃男よ。

 

「(そんなことありませんよ。私は普段通りですよ?)」

 

 

何で疑問系なんだよ・・・。

須佐乃男の態度に若干疲れを覚えた。

 

「色々・・・ですか?」

 

「ええ、色々です。」

 

 

これ以上問題を大きくしたくないので、適当に誤魔化し風呂場に入った。

これ以上朝から疲れるのは勘弁してもらいたい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

シャワーを浴び、風呂場から出てくるとふくれっ面の虚さんが居た。

 

「どうしました?」

 

「何でもありませんよ。」

 

 

そんな顔で言われても説得力無いですよ。

 

「そんなに気になるんですか?」

 

「な、何のことですか?」

 

 

分かりやすく動揺する虚さん。

こういった所は年相応なんだよな。

 

「別に大した事ではないんですよ。朝廊下で千冬姉と黛先輩に会いまして、結構時間を使ってしまったので軽めにしたんですよ。」

 

 

さすがに刀奈さんの事は言えないからな。

話せる範囲で話して納得して貰おう。

 

「織斑先生と黛さん・・・ですか?」

 

「ええ、どうやら黛先輩がこの部屋に突撃するつもりだったらしく、それを織斑先生に見つかった所に出くわしまして。」

 

「黛さんには後で話をきく必要があるようですね。」

 

「俺もそれは思ってましたし、黛先輩にも言っておきました。」

 

「でもそれだけではそんなに時間は掛かりませんよね?」

 

 

さすがにこれだけじゃ納得はしてくれなかったか。

 

「ええ、その後織斑先生が暴走しましてね。それを沈めていたら思いのほか時間が掛かった訳ですよ。」

 

「そうだったんですか・・・教えてくれたありがとうございました。」

 

「いえいえ、別に隠す様な事ではなかったのですけど、さっぱりとしたかったのでさっきは言わなかったんです。嫌な思いをさせたみたいですね、すみませんでした。」

 

「いえ、こちらこそ勝手に気にして、一夏さんに迷惑を掛けてしまってすみませんでした。」

 

「では、お互い様と言う事で、この話はもうお終いにしましょう。」

 

 

俺の提案に頷く虚さん。

本当は俺が悪いのだろうが、それを言ったら虚さんがまた気にしてしまう。

それを避けるために、俺は虚さんの謝罪を受け取った。

 

「そろそろ皆も起きる頃ですかね?」

 

「そうですね。本音はまだでしょうけど、楯無様や簪お嬢様はそろそろ起きるとおもいますよ。」

 

 

虚さんの言葉に内心苦笑いをした。

刀奈さん、あんな時間に起きたからな。

さすがに何時も通りには起きれないかも知れない。

 

「う~ん・・・」

 

 

そんな事を考えていたら刀奈さんが寝返りをうった。

随分とかわいらしい声だな。

 

「(惚気ですか?妬けちゃうますね~。)」

 

 

やっぱ今日のお前はおかしいぞ。

朝も指摘したが今日の須佐乃男はやけに絡んでくる。

もしかして何処か異常があるのかもしれないな。

後で簪と本音に診てもらうか。

もし異常があるのなら早めに修理したほうがいいからな。

 

「寝顔は昔のままなんですけどね・・・。」

 

「ん?何処か変わってる場所があるのですか?」

 

 

前に見せてもらった昔の写真では、刀奈さんも簪もあまり変わってない気がしていたのだが、虚さんには変わった所が分かるようだ・・・さすが専属のメイド、俺なんかとは比べ物にならないくらい一緒にいるのだから小さな違いも分かるのだろう。

 

「ええ、昔のお嬢様はもう少し真面目に仕事をしてくれていたのですけど・・・最近は私に頼るばかりで、なかなか仕事をしてくれないんです。」

 

 

外見ではなく内面だったか。

さすがにそれじゃあ出会う前の事は分からない。

しかし、最近一緒に仕事をして分かったのだが、刀奈さんの仕事の量はハンパ無い。

もし普段からちゃんと仕事をしていたら、俺たちと過ごす時間などほとんど無いだろうと思える量だ。

生徒会の仕事と更識家当主としての仕事もあるのだから仕方ないのかも知れないが、サボりたくなる気持ちも分からなくはない。

 

「虚さんはいったいどれ位の仕事を刀奈さんから任されているんですか?俺が手伝っている以外にもありそうですけど・・・。」

 

「ええ、まあ家の仕事もありますからね。でも、もう慣れましたよ。」

 

 

そう言って苦笑いを浮かべる虚さん。

 

「そうですか・・・お疲れ様です。」

 

 

俺は虚さんの苦労を少しでも減らすためにも、生徒会の手伝いを続けようと思った。

そして虚さんの心労を少しでも癒すために頭を撫でる。

 

「い、一夏さん!?何を!?」

 

 

いきなり撫でられて驚いたような声を出す虚さん。

だが・・・

 

「嫌ですか?」

 

 

俺がこう尋ねると、恥ずかしそうに首を振る虚さん。

妹の本音同様、頭を撫でると気持ち良さそうに目を細め擦り寄ってくる虚さん。

まるで猫だな・・・。

そんな風に虚さんの頭を撫でていると、簪が目を覚ました。

 

「う~ん・・・へっ!一夏、虚さん、何してるの?」

 

「おはよう簪。虚さんの日ごろの働きに対するご褒美?」

 

「なんで疑問系なの?」

 

「これがご褒美になるのかは俺には分からないからな。」

 

 

俺の言葉を聞いて、簪は虚さんに目を向けた。

 

「こんなに気持ち良さそうにしているんだから十分ご褒美だよ。虚さん、何時まで一夏に擦り寄ってるんですか!」

 

「はっ!おはようございます簪お嬢様。」

 

 

我に返ったのだろう。

弾かれたように俺から離れ、簪に挨拶をする虚さん。

 

「うん、おはよう。でも羨ましいな、虚さん。一夏に頭を撫でてもらって。」

 

「簪だって普段から撫でてるだろ?」

 

「わぁーーー言っちゃ駄目!」

 

 

いきなり口を塞がれそれ以上話すことが出来なかった。

それからしばらくして刀奈さんも目を覚ました。

さて、今日は誰が本音のことを起こすのか。

俺たちはジャンケンをして負けた人が本音を起こす、そんな事を毎朝やっている。

 

「今日は一夏君ね。」

 

 

久しぶりに負けたな。

さてと・・・如何起こすか。

 

「本音、起きろ。起きないとお前だけ置いていって皆で出かけるぞ?」

 

 

本音の耳元で堂々と嘯く。

大体今日は平日でこれから授業なのだから出かけようが無い。

だが、本音は起きている時もそうだが、寝ているときにこういった仲間はずれにされそうになると過剰に反応するのだ。

 

「嫌~私も一緒に行く~・・・あれ?」

 

「おはよう。」

 

 

文字通り飛び起きた本音に俺は苦笑いをしながら挨拶をした。

 

「おりむ~嘘ついた~!」

 

 

ポカポカと余った袖で俺の事を叩く本音。

 

「すまなかったな。だが、ああ言えばすぐに起きるだろ?」

 

「そうだけど~・・・」

 

 

不満そうな本音の頭を撫で誤魔化す。

 

 

「むふ~・・・気持ち良いのだ~。」

 

「「ああーーーーーー」」

 

 

本音の気持ち良さそうな顔を見て更識姉妹が大声を上げる。

やれやれ、今日も騒がしいな。

 

「(一夏様が原因ですよ。)」

 

 

・・・分かってるよ。

俺は本音を撫でるのを止め、食堂に向かうことにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そう言えば、もうすぐ一年生は臨海学校で海に行くんだよね?」

 

 

食事を終え、お茶を飲んでいたら突然刀奈さんに言われた。

 

「そう言えばそんなもの有りましたね。」

 

 

あまり興味が無かったのでそれほど気にしてなかったのだが、学校行事だからな・・・サボる訳にもいかないだろうな。

 

「いいな~、海。私も行きたいな~。」

 

「駄目ですよお嬢様。お嬢様にはやらなければいけない仕事が山ほどあるのですから、しっかりと働いてくださいね?」

 

 

笑顔で脅す虚さん。

正直俺でも怖いんだが・・・。

 

「わ、分かってるわよ。言ってみただけよ。」

 

「それなら良いですが。」

 

 

本当は虚さんも海に行きたいのだろうか?

どこかさびしそうな虚さんと明らかに残念がっている刀奈さんに俺は提案した。

 

「それなら夏休みにまた皆で行きましょうよ、海。刀奈さんも、虚さんも少しくらいなら休めますよね?当然俺も手伝いますが、2,3日なら平気でしょ?」

 

 

俺の提案に顔を輝かせる刀奈さんとどこか嬉しそうな虚さん。

 

「約束だよ!」

 

「ええ、そのためにもしっかり仕事してくださいね?」

 

「もちろん!虚ちゃん、頑張るわよ!」

 

「かしこまりました。一夏さん、ありがとうございます。」

 

 

小声でお礼を言う虚さんに頷き、教室に向かうことにした。

さてと、夏の予定が一つ出来たな。

今から楽しみだ。




本当ならSHRまで行くはずだったんですが、きりが良かったので此処までで。
次回は原作で言えばシャルと買い物に行く話ですね。
当然相手はシャルではありません。
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