かんちゃんがおりむ~の部屋に呼ばれて行っちゃたからちょっと残念だけども、隣の部屋に突撃してトランプで遊ぶ事にしたのだ~。
「本音ってこういう事だけは用意が良いよね」
「だってせっかくの旅行だもん~。楽しまなきゃ!」
普段でもこういった遊びは出来るけども、寮で遊んでも織斑先生の見回りとかで遅くまで出来ないし、おりむ~が途中で休憩を挟むように言ってきたりで長時間遊べないんだよね~。
「ところで簪は何で一夏君の部屋に呼ばれたの? 本音は分からない?」
「う~ん……更識の事だって事は分かるんだけども、私はそういったことを教えてもらえないからな~」
「本音ちゃんはすぐに誰かに話すからだよ。虚さんも刀奈お姉ちゃんもそれが分かってるから教えてくれないんだと思うよ」
美紀ちゃんが言ったことに、全員が納得して頷いた。私だって内緒にしておけといわれれば出来るんだけどな~。
「まぁ良いや。とりあえず遊ぼう!」
「この人数ですからね。何やります?」
「大富豪で良いんじゃない?」
「細かいルールを決めないといけないから、ババ抜きとかで良いんじゃない? あれならローカルルールも無いし」
「単純すぎても面白くないよ」
何をやるかでもこれだけ盛り上がるんだから、実際に始まったらもっと盛り上がるだろうな。
「とりあえずババ抜きから始めましょ。それで飽きたら別のものをすれば良いんだから」
「人生ゲームもあるよ~」
「……本音様、やけに荷物が多いと思ったらそんなものまで持ってきてたんですね」
「せっかく皆で遊べるんだから、いろいろ用意するのは当然だよ~」
「私たちは寮生活なんだから、ここまで来て遊ぶ必要はあるの?」
「普段出来ても集まれないでしょ~? だからこういった機会に遊ぶのだ~」
普段は部活や生徒会、自主訓練やでみんな忙しかったりするしね~。だから修学旅行って事でホテルに着いたら特にする事が無い時にこう言った遊びをするのだ~。
「本当はおりむ~と一緒に遊びたかったんだけど、忙しそうだからね~」
「お兄ちゃんが忙しいのは何時もの事だけど、まさかこっちに来てまでも忙しいなんてね」
「まぁ一夏様ですし」
須佐乃男のまとめに、私たちは妙に納得してしまった。おりむ~が忙しいのは何処に居てもしょうがない事なんだろうな。
「それじゃあカード配るね」
トランプゲームなのでそれほど大騒ぎする事も無いだろうし、織斑先生たちの部屋はシノノンたちの部屋の隣……おりむ~の部屋と織斑先生たちの部屋に挟まれる形なんだけど、ラウラウは何であの部屋なんだろう……
「本音、早く準備して」
「ほえ? もう配り終わってたの?」
マドマドに急かされて私は慌ててトランプを持つ。うわ~いきなりババがあるよ~。
「エイミィが怪しそうね」
「何で私? 私はババ持ってないよ」
駆け引きが繰り広げられながら、私たちは順調にカードを減らしていく。何でずっと私のところにババがあるんだろう……
「本音様? 顔色が良く無いですよ」
「そんな事ないよ~?」
「本音、ババ持ってるんでしょ」
「どうかな~?」
マドマドに鋭い視線を向けられて、内心冷や冷やしてるけども顔には出さないように頑張る。これがおりむ~相手だったら隠すのは無理だと諦めるのだけども、マドマドなら何とか隠し通せそうなので頑張るのだ。
「次、美紀さんの番ですよ」
「本音ちゃんが持ってるのよね……」
美紀ちゃんが私のカードを見ながらどれを引くべきか悩んでいる。お願いだからババを引いてくれないかな~。
「これ!」
美紀ちゃんが引いたのはババ、これで私は最後の一枚だ。
「どれにしようかな~……じゃあこれ~」
カスミンからカードを引き、私は手持ちのカードを見比べる。
「やった~上がり~!」
「本音ってこういうのは強いよね。運があるのかしら」
「のほほんとしてますけど、本音様はトランプになると強いんですよね」
上がってしまえば後はみんなが終わるのを待つだけ。私はのんびりみんなが終わるのを待ちながら雑誌を読み始める。これはシズシズのだね。
「これで私も上がり。残りはマドカと須佐乃男だね」
「一夏君の妹VS一夏君の専用機の対決か……面白い二人が残ったね」
マドマドも須佐乃男も、普段ならさっさと上がる二人が残ったので、私は雑誌を置いて二人の勝負を見守る事にした。
「マドカさん……勝負です」
「さぁ須佐乃男……どっちのカードを引くの?」
須佐乃男が残り一枚でマドマドが二枚、ババはマドマドが持ってるのか~……駆け引きとかあるのかな?
「直感勝負!」
須佐乃男が迷わず引いたカードはババ……これでマドマドが有利になった。
「私は負けない!」
「そういってマドカさんはババを引くんですよね」
須佐乃男がシャッフルしたカードを出し、マドマドは吟味するようにカードを眺める。透視能力でもあれば眺めれば眺めるだけカードが分かるんだろうけども、マドマドにそんな能力は無かったような気がするんだよね~。眺めて何か分かるのかな?
「これだ!」
マドマドが長考して引いたカードはババ……往復しても勝負がつかなかった。
「これで再び私が有利ですね」
「如何かな? 須佐乃男はお笑い要員だもん。ここで絶対ババを引くよ」
「お笑い要員ではありません!」
マドマドの精神をかき乱す作戦に嵌り、須佐乃男は平常心を失ってしまった。マドマドもさすがおりむ~の妹だけあって策士だね~。
「……これです!」
目を瞑って考えていた須佐乃男が、目を見開いて引いたカードは再びババ……やっぱりお笑い要員だったんだね~。
「もういい加減決着つけようよ。次で終わらせる」
「マドカさんは最近負け癖が付いてきてますからね。絶対にババを引きますよ」
「対戦相手が強いだけで、負け癖は付いて無いもん!」
マドマドが最近負けたのは、おりむ~やかんちゃん、楯無様と言ったゲームでも実力者の相手だからね~。でも負けてるのは確かなのだ~。
「お兄ちゃん、力を貸して……見えた!」
マドマドが集中して声を高々に上げて引いたカードはやはりババ……この勝負は終わるのかな?
「ねぇまだ~? いい加減退屈だよ~」
「それは本音が早々と上がったからでしょ? いい勝負なんだから黙ってみてなよ」
「第一試合から白熱しすぎ~。もっとあっさり終わるのかと思ってたのに~」
この後ババが五往復して漸く勝負が付いた。結果はマドマドの勝ちだった。
「やっと終わったよ~。てか引きすぎてババが分かるようになっちゃってるんじゃない?」
「そこまで引いてませんよ。それに、まだ一回戦ですしね」
「そろそろ簪が戻ってきてもおかしく無いけどね」
「それだけ白熱した勝負だったもんね」
第二回戦を始める為に、カードをシャッフルする。不正が無いように全員でカードをシャッフルするので、これだけでも結構時間がかかるのだ。
「次は誰が負けるのかな~」
「油断してると本音ちゃんが負けるよ?」
「そんな事無いから大丈夫だよ~」
美紀ちゃんとそんな事を言いながらカードを処理していく。
「ほえ、一枚になっちゃった」
「順番的にマドカが香澄のを引くより先に美紀が本音のを引くから、もう上がり決定!?」
「どんだけ強いのよ……」
またしても一抜けが決定したので、さっきの雑誌の続きを読む事にした。シズシズは雑誌をいっぱい持ってるからこう言ったときに丁度言い暇つぶしになるんだよね~。
暫く雑誌を読んでいると、またしてもマドマドと須佐乃男が残った。
「もう因縁の対決だね」
「これで須佐乃男が負けたら、ババ抜きやめましょうか」
「そうだね~。須佐乃男が二回負けたって事でババ抜きは終了にしよう」
「意地でも負けられませんね」
「今度は私が有利だからね。一発で終わらせる!」
マドマドが須佐乃男の持っているカードを引いたけど、それはババだった。また長い勝負が始まりそうだな~。
「私は絶対に負けません!」
妙に意気込んで須佐乃男が引いたカードはやはりババ……もうこの二人はワザとババを引いてるんじゃないだろうかと思ってるよ~……
今回も白熱したババ抜きが繰り広げられ……ババ抜きってババを引くゲームだったっけと思うくらい二人はババを引きあっている。
「いい加減決着しても良いと思うんだよね~」
「マドカも須佐乃男もここまで来るとある意味才能だよ」
「ババを引く才能なんてババ抜きに必要ないだろうけどね」
「本音ちゃんが強すぎるのもあれだけど、二人は弱すぎだよ」
そういえばかんちゃんが帰って来ないな~。隣の部屋に書きおきをしておいたから戻ってきてればこっちに来るはずなんだけど、まだおりむ~の部屋に居るのかな?
「ちょっとかんちゃんに電話してみるね~」
少し離れたところで携帯を開きかんちゃんに通信を入れる。するとすぐにかんちゃんは通信に出てくれた。
「もしもしかんちゃん? まだおりむ~の部屋なの?」
『うん……ちょっと重要な事を話し合ってるから、消灯時間までは戻れないかもしれない』
「そっか~……今白熱したババ抜きをしてるんだけど、かんちゃんも参加できればと思ってたんだけどね~、残念だね」
『ゴメンね。でも明日もあるから、その時は参加するよ』
「了解だよ~。それじゃあかんちゃん、おりむ~のお話が何なのかは私には分からないけど頑張ってね~」
かんちゃんとの通信を終えて元の位置に戻っても、まだババ抜きは続いていた。
「まだやってるの~?」
「マドカも須佐乃男も本気でババしか狙ってないんじゃないかって思ってくるよ」
「奇遇ね。私もそう思い始めてたのよ」
「実は私も」
見てるこっちは飽きてるのだけど、勝負の真っ最中の二人は未だに集中している。ここまで集中してるのにどうしてババしか引けないんだろう……
「これで終わらせる!」
マドマドが意気込んで引いたカードは漸くババでは無かった。
「須佐乃男の連敗だね」
「よし、ゲームを変えよう」
「そういえば本音、簪は何だって?」
「今日は消灯時間までおりむ~のお部屋で話し合いだってさ~。よっぽど重大な事なんだろうね~」
「そっか……残念だね」
美紀ちゃんがガッカリしてるけども、かんちゃんが交ざると無双しちゃうからな~。かんちゃんはテレビゲーム以外のゲーム……カードゲームやボードゲームも強いんだもんな~。
「で、次は何をするの?」
「運が絡むのはやめよう。須佐乃男とマドカが不利になるから」
「神経衰弱は? あれは運の他にも記憶力が必要だよ?」
「このメンバーを見てそんな提案出来るのは、静寂が勉強出来るからだよ」
おりむ~に勉強を見てもらったメンバーが勢ぞろいしてるんだから、如何考えても神経衰弱はシズシズの一人勝ちだ。
「そうかな? 勉強以外なら大丈夫じゃないの?」
「そんな事ないよ~。だって記憶力はみんな良く無いよ~」
「本音ちゃんに言われたく無いけど、確かに記憶力は良い方じゃないよね」
「だったらポーカーは? 駆け引きありだし楽しいと思うけど」
「賭けは無しだからね」
真面目な静寂は賭け事禁止を申し出たけども、ちょっとくらいなら問題無いと思うんだけどな~。もちろんお金は賭けないけど。
「負けた人が全員にジュース奢りで良いんじゃない? それならそれほど高くないでしょ?」
「でも六人分でしょ? 結構な痛手だと思うけど」
「まぁ負けなければ良いんだから。五回勝負で一番点数が低かった人が奢りね。もちろんおりむ~にバレないようにジュースを買いに行くんだからね~」
おりむ~にバレたら全員が怒られる可能性があるもんね。あくまで自然に買いに行けば問題はないはず。
「それじゃあ配るね。チェンジは一回のみ」
今回は勝つのが目的じゃないからな~。いかに負けを少なくして最下位をのがれるかが勝負のポイントになってくるだろうな。大きい役を狙ってブタになるくらいなら、小さいのをこつこつの方が良いのかな? でもそれだと負けちゃう可能性もあるし……
「二枚チェンジで」
「私は三枚」
この手はマズイな……フラッシュを狙えるんだけども、その種類のカードを引けなければブタにまっしぐらだ。かといって一回目からブタでは幸先が悪すぎるし……ババ抜きで連続トップだった運を信じよう。
「私は一枚で」
私の賭けにみんながざわめく。よほどいい手が来てるんだと勘違いしてるんだろうな……実際はただの勝負なんだけどね。
「(来い……)」
引いたカードを確認する。これがダイアで無ければほぼ確実にブタだ。よくてワンペア……
「(……よし!)」
これで一回目から最下位になる確率は低くなった。後はみんなの手がどんなものかにもよるけども、これなら五回やっても最下位になる可能性はなくなるのかも知れないな~。
「全員OK? まだチェンジしてない人は如何するの?」
この場はシズシズが仕切ってくれるので、私はただ自分の事だけを気にしてれば良いのだ。
「二枚チェンジお願いします」
「私は三枚かな」
「う~ん……一枚で」
美紀ちゃんも一枚チェンジ……かなりいい手なのか、それとも私みたいに勝負に出たのかもしれない……なかなか緊張するゲームだね、ポーカーって。
「私は二枚で」
最後にカルカルがチェンジしてそれぞれの持ち札が確定する。みんな一回目から攻めたのかな。それとも確実に決めてきたのかな?
「私はツーペアかな」
「私はスリーカード」
「ワンペアです……」
シズシズ、カスミン、須佐乃男がカードをオープンする。今のところ最下位は須佐乃男だ。
「私はストレート」
「ツーペアだよ」
マドマドとカルカルもカードをオープン。これで残るは私と美紀ちゃんだけだ。
「私はフラッシュだよ~」
「凄っ、一回目から凄いのだしたね本音」
「えへへ~、それで美紀ちゃんは?」
「ストレートフラッシュ。私の勝ちだね」
「ほえ!? 美紀ちゃん凄すぎだよ~」
まさか一枚チェンジでそんな手が来るなんて……今回は美紀ちゃんが強敵になりそうだなね。
「それじゃあ二回戦と行きましょうか」
白熱したポーカーも四回戦まで終わり、今のところ須佐乃男が最下位、ブービーがカルカルだ。
「美紀ちゃん強すぎだよ~」
「ストレートフラッシュが二回、フォーカードが一回にフルハウスが一回。ギャンブル運ありすぎよね」
「偶々だよ。でも最後も勝ちたいな」
美紀ちゃんは既に最下位の可能性は無いのだ。だから大勝負に出る事も可能なんだよね~。
「でも本音だってずっといい手でしょ? やっぱり勉強は出来なくても得意分野ってのは存在するのね」
「今勉強は関係無いでしょ~。シズシズだって安定してツーペアじゃないか~」
「ホント凄いですよね。私なんて二回ブタですから……」
「私も。最初のツーペアが最高だもんな……」
最終戦で、カルカルがブタで、須佐乃男がフルハウス以上ならカルカルが最下位、それ以外なら須佐乃男が最下位になるのだ。もちろんその二人の上に居るマドマドがブタで、二人が高得点をたたき出したらマドマドが最下位の可能性だってあるんだけどね。
「私と美紀ちゃん、シズシズとカスミンは安心して最終戦に挑めるね~」
「最後くらいは美紀に勝ちたいわね」
カードをシズシズが配り、それぞれ思考を巡らせる。このカードじゃ大きな手は出来ないかもね~。でも既にワンペアあるし、スリーカード狙いで行けば良いか。
「私は三枚チェンジで~」
「じゃあ私は二枚チェンジ」
私の後にシズシズがチェンジを行う。二枚チェンジって結構いい手なんだな~。
「私は一枚で」
「う~ん……三枚チェンジ」
カスミンが悩んで三枚チェンジしたけど、美紀ちゃんはまた一枚だけ……よっぽど引きが強いのかな?
これで残ってるのは最下位の可能性がある三人だけども、それぞれがそれぞれの動きを待ってるような感じがするよ。
「私は三枚チェンジで」
「じゃあ私も三枚で」
「……二枚チェンジでお願いします」
これで全員がチェンジを終えて、今ある手札が最終順位を決める手札になるのだ。
「それじゃあまずは須佐乃男から」
「私はフルハウスです」
「おおぅ、結構頑張った」
これでカルカルがブタなら最下位はカルカルって事になるね~。
「面白くなったからカルカルは最後ね~」
「それじゃあ私が。はい、ツーペア」
「静寂は一貫してツーペアだったね」
「私はスリーカード」
「フラッシュです」
マドマドとカスミンがそれぞれオープンする。ブタじゃなかったからマドマドも最下位の可能性は無くなったね~。
「それじゃあ私も~。フォーカードだよ~」
「本音強すぎ……」
「それで、美紀は?」
シズシズが美紀ちゃんの手札をオープンさせる。もし美紀ちゃんがツーペア以下なら私が優勝なんだけど、美紀ちゃん今回も一枚しかチェンジしてなかったからな~……
「ロイヤルストレートフラッシュ」
「「「「「「えぇ!?」」」」」」
最後の最後でとんでもない手を……美紀ちゃん強すぎ……
「それで、カルカルは?」
「美紀の後に出したくないよ……」
カルカルの手はワンペア、という事は……
「やっぱり最下位は須佐乃男だったね~」
「ジュース買って来ます……」
それにしても、美紀ちゃんポーカー強すぎ。今度おりむ~やおね~ちゃんとも戦って欲しいな~。あの二人も強いし。
ロイヤルストレートフラッシュはありえない……ホントあれは無理。