もし一夏が最強だったら   作:猫林13世

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今回は番外編です。
竜羽様の作品、二人の生徒会長とのコラボです。
ちゃんと了解は取ってますのでご心配なく。



番外編・叢雲の彼は雷と共に

銀の福音(シルバリオ・ゴスペル)を海に堕とし終わったかと思ったが、どうやらまだ戦えるらしい。

眩い光を放ち、姿の変わった銀の福音が再びこちらに向かってこようとしている。

 

「簪!本音!まだ終わりじゃない!」

 

 

完全に終わったと思っていた簪と本音は慌てて体制を立て直した。

向かってくる銀の福音にこちらも打って出ようとしたが・・・

 

「な、何!?」

 

 

凄まじい轟音と共に一筋の光が落ちてきた。

どうやら雷が銀の福音に落ちたみたいだ。

煙が上がって銀の福音の姿は確認出来ないが、これは好機なんだろう。

 

「どうやらチャンスみたいだな。簪、本音、一気に行くぞ!」

 

 

そう言って銀の福音に攻撃を仕掛けようとしたが、煙が晴れ、そこに居たのは銀の福音だけでは無かった。

 

「別のIS!?何処から来たの!?」

 

 

簪が驚いたように、そこには銀の福音以外のISが存在していた。

見た目こそ騎士のようだが、猛禽類の翼を思わせるような二機のスラスターは恐らく驚異的なスピードを出せるものだろう。

それが無ければ、昔千冬姉が使っていた暮桜に似ても無いかなと思えるほどにあの機体は近接戦闘に特化している。

 

「誰だ、お前は?何しに此処に来た!」

 

 

敵か味方かも分からないので一先ず確認することにした。

 

「織斑?何でお前が・・・それにその機体は何だ?お前の専用機は白式だろ!」

 

「俺の事を知ってるのか?」

 

「いくらそんなに親しくないからと言って、クラスメイトの事くらいは覚えとけ。」

 

「クラスメイト?悪いが俺のクラスには男子は居ない。そもそも学園に男子は俺一人のはずだが?」

 

 

互いに話が噛み合わない。

向こうは俺の事を知っているみたいだが、俺の覚えている限り、彼とは初対面のはずだが。

 

「一夏!銀の福音が!!」

 

 

どうやらゆっくりと記憶を探るのは後にしたほうが良いみたいだ。

 

「悪いが今取り込み中だ。どれくらいの実力があるのか知らないが、手伝う気が無いのなら引っ込んでくれ!だがもし手伝ってくれるのなら手を貸してくれ!」

 

 

いまだに首をかしげている彼に退くか手伝うか早く決めろと伝える。

 

「おいおい、随分と面白いこと言ってんじゃん。俺に負けた分際で偉そうなこと言ってんじゃねえよ!」

 

 

挑発と受け取った彼は此方に挑発を返してきた。

 

「だから俺は貴方に見覚えは無いし、そもそも今の状況が分かっててそんな事言ってんのか?手伝う気が無いのは良いが、邪魔だけはしないでくれ!」

 

 

こっちにはまるで見に覚えが無いのに、彼は俺が負けたと言ってきた。

随分と自身があるようだな。

 

「一夏!危ない!!」

 

 

突如現れた彼に気を向け過ぎていた俺に銀の福音が攻撃を仕掛けてきた。

 

「今話してんだ!邪魔するんじゃねえよ!」

 

「今話してるんだ!邪魔をするな!」

 

 

俺と彼の声が重なる。

互いに剣を展開し、銀の福音に斬りかかった。

 

「!?」

 

 

銀の福音の動きが急に止まり、回避行動に移った。

 

「逃がすか!」

 

 

二機のスラスターを巧みに使い追撃を図る彼。

こっちも追撃といきますか。

 

「はっ!」

 

 

(しろがね)を展開し、斬撃を飛ばす。

 

「へえ~随分と面白い事出来んのな。」

 

 

俺の得意技の一つ、鎌鼬を見て面白そうに笑う彼。

その間に銀の福音は離れてしまった。

 

「こっちばっか見てないで向こうに集中したら如何ですか?まだ終わってませんよ。」

 

 

言外に貴方の実力を見せてみろと挑発する。

恐らく彼は気が付くだろう。

 

「お前面白いな~。俺が知ってる織斑より何倍もおもしれ~よ。いいぜ、こっちの力も見せてやる!」

 

 

そう言って剣先を銀の福音に向ける。

・・・なんだか寒気がするのは気のせいか?

 

「簪、本音。少し離れてたほうが良さそうだ。ヤバイものが来るかも知れない。」

 

 

俺の予感は良く当たるんだ。

彼の周りにバチバチと電気が集まってきている。

 

「いくぜ!簡単に終わってくれるなよ!」

 

 

そう言って銀の福音に電撃を放った。

おいおい、随分と派手だな。

 

「!?」

 

 

銀の福音は危険と判断したのか必死に電撃の軌道上から逃げた。

だが、光の速さで迫り来る電撃を完全に避けきる事は出来なく、少しかすったようだ。

機体から煙が出ている。

 

「チッ、手加減したって言ったって決めるつもりだったんだがな。まさか避けられるとは思ってもみなかったぜ。」

 

 

避けられた事を悔やむより、楽しそうに福音を見ている。

 

「何だが楽しそうだな。」

 

 

だからついこんな事を言ったのだろう。

 

「あっ?楽しいに決まってんだろ。こんなの刀奈や流無と試合して以来だぜ。」

 

「流無さん?刀奈さんは分かるがもう一人は誰だ?」

 

「誰だって、刀奈の双子の妹だろ。」

 

「双子?刀奈さんに妹は簪しか居ないぞ。」

 

 

再び首を傾げあう俺と彼。

どうやら似ているようで違う世界から迷い込んだのだろう。

 

「(そんな事ってあるのですか?)」

 

 

知らん。

須佐乃男の疑問にあっさりと答える。

 

「(ええー!知らないのに決め付けちゃって良いんですか!?まだ彼が味方だと決まったわ訳ではないのですよ!)」

 

 

そんなの今は如何でも良いだろ。

現に一緒に戦ってるんだから。

 

「(そんな暢気な・・・。)」

 

 

俺が須佐乃男と会話しているのと同時に彼もISと会話していたのをこの時は分からなかった。

 

「(なあシャーリー、この認識の違いは何なんだ?)」

 

「(恐らくですけど、此処はマスターが居た世界では無いのではないでしょうか。似た環境の別次元の世界に紛れ込んだのかもしれません。)」

 

「(そんな事ありえるのか?)」

 

「(分かりません。ですが、マスターを知らない織斑さん。存在しない流無さん。これだけでも私の仮説は正しいものだと思えますが・・・。)」

 

「(嘘ついてるようにも思えないしな・・・とにかく今はあれを倒すか。)」

 

「(はい、マスター。)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「随分と長い考え事だな。」

 

「そっちも似たようなものですよ。」

 

 

福音が動けない間、俺と彼は攻撃を簪と本音に任せていた。

 

「どうやら俺はこの世界の人間じゃないみたいだな。」

 

「そうみたいですね。色々と噛み合わないこともありますし、そもそも俺は貴方を知りませんし。」

 

「そうだな。ゆっくりと話したいが、今はアイツを片付けるとするか!」

 

「ええ、そうですね!」

 

 

再び剣先を銀の福音に向ける。

俺は簪と本音に距離を取るように指示して、マシンガンで福音を足止めする。

 

「いくぜー!しっかり足止めしとけよ!」

 

 

そう言って電撃を放ち決めにかかる彼。

だが福音もそう簡単に堕ちてくれない。

 

「チッ、これで決まらねえのかよ!」

 

 

完全に決めにかかった攻撃でも堕ちない福音に舌打ちをする彼。

 

「でもこれで終わりだ!」

 

 

動きが止まっている福音に俺は零落白夜を決める。

 

「何だ、その技はあるのか。」

 

 

とどめを取られて少し不機嫌そうな彼だったが、終わったことには変わりない。

一先ず戻るとするか。

 

「これから報告のために戻るのだが、貴方は如何します?」

 

「ん?俺も行くぜ。お前とはゆっくりと話してみたいしな。」

 

「それはこっちも同じですよ。簪、本音、戻るぞ。他の人には連絡を入れておいたから向こうで合流出来るだろ。」

 

 

そう言って旅館に向かうことになった俺達4人。

だがこの後別の問題が起こるのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それで、福音は倒したのは分かったがそこのお前は誰なんだ?」

 

 

岸に着くなり織斑先生に指差される彼。

 

「お前は酷いですね。いくら知らないって言っても、一応は貴方の生徒なんですけどね。」

 

 

どうやら向こうの世界でも千冬姉は教師らしい。

 

「何のことだ?」

 

「織斑先生、どうやら彼は別次元から来たみたいなんです。」

 

「別次元?一夏、何言ってるんだ。お姉ちゃんに分かるように教えてくれ。」

 

「・・・これが織斑先生だと!?」

 

 

千冬姉の豹変ぶりに若干引いている彼。

・・・そう言えば名前聞いてないや。

彼に名前を尋ねようとしたら・・・

 

「「一夏様(マスター)!私以外に人の姿をしたISが居ますよ!」」

 

 

須佐乃男ともう一人に遮られた。

 

「ん?シャーリーそんなに興奮するなよ。」

 

「落ち着け、須佐乃男。」

 

「「ですが・・・まねしないでください!」」

 

「「プッ。」」

 

 

専用機同士が言い争ってるのを見て笑う操縦者達。

 

「そう言えば名前言ってなかったな。俺は八神和麻だ。」

 

「知ってるみたいですけど一応俺も自己紹介。織斑一夏です。」

 

「「暢気に自己紹介なんてしてる場合ですか!!」」

 

「随分と息が合ってるじゃないかシャーリー?」

 

「須佐乃男もまんざらじゃ無いんじゃないか?」

 

「「そ、そんなことありません!!」」

 

「「ほら、合ってる。」」

 

 

専用機達をからかって遊んでいたが、千冬姉がこっちを睨んでいたので説明に戻る。

 

「えーと、彼は八神和麻さん。別次元から来た俺の知り合いらしい。」

 

「織斑先生とも知り合いなんですけどね。」

 

「まったく分からん。」

 

 

これだけの説明で分かるなら初めから聞かないだろうな。

 

「それで八神さんが別次元から来たって言う根拠だが・・・」

 

「和麻でいいぜ。俺の知ってる織斑ならともかく、お前なら名前呼びを許してやるよ。」

 

「なら俺の事も一夏で良いですよ。」

 

「敬語もよせ。年上だが何か気持ち悪い。」

 

「年上?クラスメイトって言ってましたよね?」

 

「まあ、色々あんだよ。俺にも。」

 

「そうですか・・・じゃあ和麻が別次元から来た根拠だが、さっきから分かるように若干の食い違いがある。それにこの世界でISが使える男は俺だけのはずだ。その点からでも別次元の人間である可能性が大きい。」

 

「しかし一夏、そんな事がありえるのか?私には、一夏がお姉ちゃんの事を嫌いになるくらいあり得ない話しだと思うのだが。」

 

「あっはっは、この織斑先生おもしれー。」

 

「マスター、笑いすぎですよ。」

 

 

シャーリーと呼ばれた彼女に突っ込まれる和麻。

確かに笑いすぎだが、そんなに面白いか?

 

「ちなみに、そっちの世界の千冬姉はどんなんだ?」

 

「あっはっは・・・え?ああ、厳格な雰囲気でお前の事を出席簿で殴ったりしてるぜ。」

 

「殴られてるのか?随分と情けないんだな、そっちの俺は。」

 

「ああ、情けない優男だぜ。」

 

 

俺が俺を殴りたい。

 

「一夏様は優しいですよ?」

 

「そうじゃないんだよ!何かむかつくんだよ!!」

 

「その気持ちは分かる。なんかむかつくんだよな!」

 

「マスター、盛り上がるのは兎も角として、どうやって戻るのか分からないと困りませんか?」

 

 

シャーリーに言われて俺達は失念していた事に気付いた。

 

「そうだったな。だが、これはこれで面白いと思うぜ?」

 

「元の世界に戻らなければ話が進みませんよ!」

 

「・・・何の事だ?」

 

 

随分とメタ発言をしたシャーリーに本気で分からない感じの和麻。

まあ俺も良く分からないんだが。

 

「こんな事をするのはアイツしか居ないだろうな。」

 

「やっぱりそう思うか?」

 

「誰の事だ?」

 

 

俺達姉弟は心当たりがあるが、和麻はそうじゃないらしい。

とりあえずはあの人を探さなければな。

 

「千冬姉、束さんは今何処に居るんだ?」

 

「さあ?篠ノ乃にお前達の戦闘を見せろと言ってどっかに行ってしまったしな。」

 

「心当たりは?」

 

「・・・無い。」

 

 

はぁ、面倒くさいな。

俺は気配を探るために意識を集中し始める。

 

「何だ?何が始まるんだ?」

 

「お静かに!一夏様は気配を探っているのです。」

 

「気配・・・ですか?こっちの世界の織斑さんは凄いのですね。」

 

「まったくだ・・・。」

 

 

なにやら後ろでゴチャゴチャと言っているが、そっちを気にしている余裕は今は無い。

周辺3キロに束さんの気配は無し、もしかしてステルスを使っているのか?

俺は気配探知から空間探知に切り替える。

 

「須佐乃男!さらに集中するから離れててくれ!」

 

「分かりました!和麻様、シャーリーさん、此方へ。」

 

「あ、ああ分かった。」

 

「了解しました。」

 

 

これで集中出来る。

空間探知には気配探知以上の集中力が必要だからな。

まずは範囲を狭めこの辺りを探すか。

俺は半径1キロの範囲の空間に異常がないかを探る。

・・・ここから西に500メートル先の林を抜けた先に異常があるな。

異常を感知した俺はそっちに集中して、さらに詳しい状況を探る。

・・・居た!

完全にその場所に集中すれば完全に相手を見つける事だって出来る。

・・・まあ今回は一人だけを探すから出来るだけだがな。

 

「居たぞ、こっちだ。」

 

 

短く伝え移動する。

 

「おいおい、本当に見つけたのかよ?」

 

「一夏様の空間感知能力は並ではありませんよ。それこそISである私以上の能力と言っても過言ではないほどに。」

 

「・・・マジかよ。」

 

「驚いてる所悪いが、早いとこ行かないと逃げられるぞ?」

 

 

須佐乃男に何か言われて驚いていた和麻だが、元凶が逃げるかもしれないと言われ現実に復帰したみたいだ。

 

「なあシャーリーさん。和麻ってそっちの世界でもこんなのなのか?」

 

 

疑問に思って、俺は和麻の専用機であるシャーリーさんに聞いた。

 

「元の世界ではもっと落ち着いています。それこそ四六時中悪巧みをしていると言っても過言ではないくらいに。」

 

「おい!俺はそこまで悪巧みしてないぞ!」

 

「そうなのか?」

 

「そうだよ!精々脅しくらいだ!」

 

「・・・十分だと思うぞ?」

 

 

俺のツッコミに固まる和麻。

・・・お前の悪巧みの基準は何処だ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

とにかく異常を感知した場所までやって来た。

 

「束さん!居るんでしょ?出てきてください!」

 

 

大声で束さんを呼ぶ。

無理矢理引っ張り出しても良いんだが、それだと問題を解決してくれないかも知れないからな。

 

「やっほ~~いっくん。何か用かな~?」

 

「うぉ!なんだこのウサギ!?」

 

「落ち着け和麻。この人は大天災篠ノ乃束さんだ。」

 

「この人がIS開発者・・・イメージしていたのと違うな。」

 

「まあ、気持ちは分かるが・・・。」

 

 

束さんを前に酷い事を言い合う俺と和麻。

 

「ん?誰かなコイツ。」

 

「別次元の俺の知り合いらしいです。束さんが呼んだんじゃないんですか?」

 

「ん~?私が呼んだのはもう一人の人の姿をしたISなんだけどな~。」

 

「だから彼のISが人の姿をしてるんですよ。ねぇ、シャーリーさん。」

 

 

俺は後ろに居るシャーリーさんを呼ぶ。

 

「そう言うことだったのか~。じゃあコイツがこの子の操縦者なのか~。正直ISだけで良かったんだけどな~。」

 

「そう言わずに・・・。それで束さん、二人を元の世界に戻す方法は分かってるんですか?分かってるんでしょ?早く元の世界に帰してあげてください!」

 

 

俺はこの問題を片付けるために答えを知っているだろう束さんに問い詰める。

 

「おい一夏・・・お前性格変わってないか?」

 

「別に変わってないぞ。この人にはこれぐらいしなきゃ効かないし。」

 

 

和麻が俺の問い詰めを見て若干引いてる。

まあ俺だって出来れば見られたくはなかったがな。

 

「こわいな~いっくんは。もちろん分かってるよ。でももう少しまってね~。この子のこともう少し調べたいし・・・なるほどなるほど。」

 

 

シャーリーさんをじっくりと観察する束さん。

 

「あの・・・恥ずかしいんですが。」

 

「気にしない、気にしな~い。」

 

「少しは遠慮してください!」

 

 

無遠慮にじろじろとシャーリーさんを観察している束さんに拳骨を落とす。

 

「いった~い!いっくんがぶった~。」

 

「もう一発、行きましょうか?」

 

 

ニッコリと笑いながら拳を見せる。

 

「え、遠慮したいかな~。」

 

「それじゃあ早く元の世界に帰してあげてください。」

 

「分かったよ~。それじゃあ君、ISを展開して。それで空に雷を打ち上げて。そのエネルギーを使って元の世界に送るから。」

 

「ああ、分かった。シャーリー!」

 

 

ISを身に纏集中し始める和麻。

 

「じゃあな、一夏。また会えるなら会おうぜ!」

 

「ああ!じゃあな和麻!」

 

 

雷を空に打ち上げ、和麻の姿が消える。

ほんの少しの時間だったが、俺は和麻と仲良くなれると確信していた。

もしまた会えるなら今度はじっくりと話したい、そう思いながら消えていった和麻に向かって心の中で思いを伝えた。




いや~コラボって難しいですね。
何時も以上に色々と考えながら書いていたら疲れました。
次回は本編に戻って福音戦の続きです。
どう終わらせよう・・・。
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