もし一夏が最強だったら   作:猫林13世

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そして漸く3巻が終わりました。


福音戦後

 

部屋に戻りゆっくりとしようとしたが、気になる事がるのを思い出し再び部屋を出る。

 

「何処に行くんですか?」

 

 

戻ったばかりなのにすぐに部屋を出るのを不審に思い須佐乃男が尋ねてきた。

 

「ちょっとな。すぐに戻れるか分からんが気にするな。」

 

「気になりますよ!私も行きます!」

 

 

心配するのは分かるが、俺一人で行かないと意味無いんだよな・・・。

 

「須佐乃男、悪いが少し一人にしてくれ。」

 

「しかし・・・」

 

「頼む。」

 

「・・・分かりました。ですが何か甘いものを食べさせてください。」

 

 

ついてくるのは諦めてくれたが、ちゃっかりと交換条件を出してきた。

 

「さっきも思ったが、ISも甘いもの好きなんだな・・・」

 

「当然です!なんてったって女の子ですからね!」

 

「・・・色々と突っ込みたいが今は良いや。甘いものだな、分かった。金は渡すから好きなもの食べてこい。」

 

 

財布から1,000札を2枚取り出し須佐乃男に渡す。

 

「ありがとうございます!これで念願のスイーツを食べられます!」

 

「・・・よかったな。」

 

 

たしかこの旅館には甘いものってアイスくらいしかなかった気がするんだが、それもスイーツって言うのか?

俺は疑問に思ったが、自分の用を済ませるために外に出る事にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「束さん、居るんでしょ?出てきてください。」

 

 

ついさっきまで居た場所に向かい、普通にみた限り誰も居ない場所に呼びかける。

 

「いっくん、こっちこっち。入ってきて。」

 

 

何も無い場所から手が出てきて、こっちに来るように手招いている。

・・・普通の感性だったら恐怖を感じるような光景だ。

 

「別に聞かれても良い話なんですけどね。」

 

 

別段秘密話をするつもりは無いのだが、束さんが出てくるつもりが無いので仕方がない。

俺はステルスの中に入り、束さんと向かい合う。

 

「やあやあいっくん、束さんに何か用かな~?須佐乃男も連れてこないで来たとこを見ると・・・まさかついにいっくんが束さんのことを・・・」

 

「違いますよ。少なくとも束さんが妄想している事では無いので、一先ず落ち着いてください。」

 

「ちぇ~、つまんないの~。」

 

 

本当にこの人は・・・。

疲れている所にこの態度だ。

これ以上疲れるのは御免なので、さっさと本題に入ることにした。

 

「あの銀の福音を暴走させたのは束さんですよね。」

 

 

疑問系ではなく断定した口調で束さんに尋ねる。

 

「そうだよ~。さっすがいっくん、わかっちゃった~?」

 

「分かりますよ・・・てかバレないと思ってたんですか?」

 

「いや~、もしかしたらバレないかな~って思ってたけど、やっぱりバレちゃったか。」

 

 

偶々暴走したISが偶々この近くを通り、これまた偶々居合わせた俺達が問題を片付ける。

これが偶然であるはずが無い。

完全に何者かの作為がある。

これだけの事を他の人間が仕組めるはずが無い。

 

「むしろバレないと思ってた事に驚きですよ。」

 

「えへへ~。」

 

「褒めてはないですよ。」

 

 

何故か照れている束さんにつっこむ。

 

「それぐらい分かってるよ~。でもでもいっくんを驚かせたのは良かったかな~。」

 

「・・・何でこんな事したんですか?また世界がつまらないからですか?それとも篠ノ乃の為ですか?」

 

「・・・凄いねいっくん。本当に凄い。いっくんは箒ちゃんが作戦室のモニターでいっくん達の戦闘を見ていたのを知らないはずなのに、何で箒ちゃんの為だって分かったの?」

 

 

俺の問いかけに驚いている束さん。

別に確信があった訳ではないが、この人が行動する時は大抵身内が絡んでいるからな。

 

「俺や千冬姉の為では無いのなら、後は束さん自身か篠ノ乃以外に原因がありませんし。」

 

「そっか・・・そう言えばそうだね~。でもいっくん。私も篠ノ乃なんだけど~?」

 

 

言外に箒と呼べといってくる束さん。

 

「悪いですけど、俺は束さんのことを篠ノ乃と呼んだこと無いですし、これからも呼ぶつもりはありません。そして篠ノ乃箒の事も名前で呼ぶつもりもありません。」

 

「そっか・・・こりゃ箒ちゃんに勝ち目は無いな。」

 

「勝ち目?なんのです?」

 

 

別に篠ノ乃とは戦うつもりはないし、挑まれても負けるつもりも無い。

 

「いっくんと戦うんじゃなくて、他の女共とだよ!」

 

「ああ、そう言う事ですか・・・。」

 

 

つまりは俺と付き合いたいと言う事なのか。

 

「普通に仲良くする分には構いませんが、それもアイツがちゃんと反省して自分が出来る事をしっかりと見つめなおしたらですけどね。」

 

「それは多分だいじょ~ぶだと思うよ~。いっくんの戦闘を見て箒ちゃんも気付いたでしょ。自分がいかに力を制出来てなかったか。」

 

「俺の戦闘を見て分かるならとっくに分かってるはずなんですけど・・・」

 

 

これまでも篠ノ乃の前で戦闘を行ったことはあった。

だがアイツは理解した感じは無かった。

それなのにさっきの戦闘を見たから理解できたはずだと束さんは言う。

 

「違うよ~。今日のいっくんは、完全に本気だったでしょ~?だから箒ちゃんも分かったはずなんだ。大きな力を持ってなお、その力に屈せずに制御出来ているいっくんを見て自分に足りないものが何かをさ。」

 

「・・・アイツは力のみを追い求めてましたからね。」

 

 

力を求める事は悪い事ではないが、自分が制御できる以上の力を追い求めても結局は持て余すだけだ。

まずは自分にあった力の量を見極め、それを制御出来るように努力する。

それが出来たら、今度は今まで自分が制御出来なかった力を制御出来るように努力する。

こうやって少しずつ強くなるのだ。

それを篠ノ乃はいきなり自分が制御できる力以上を求め、その力に振り回されたのだ。

 

「確かに箒ちゃんは強いよ。でもそれは本当の強さではないんだ。力を制御出来ない人は、それ以上強くなる事は出来ない。力は手に入れることは出来ても使いこなせない。だからいっくんの本気を箒ちゃんに見せることにしたんだ。ごめんねいっくん、こんな事に巻き込んで・・・。」

 

「・・・今更ですね。俺はとっくに束さんに巻き込まれてますよ。白騎士事件のあの日から俺は束さんの作った筋書きに巻き込まれてるんです。だから今更謝られても困りますよ。」

 

「そうだったね・・・束さんはとっくにいっくんの事を巻き込んでたね。あはは、ごめんねいっくん、今更謝ったりして。」

 

「まったくです。でもこれ以上面倒くさいことは御免ですよ?」

 

「それは約束できないな~。」

 

 

何時もの調子を取り戻し、軽口を叩き合う俺と束さん。

俺が疲れたことで篠ノ乃が成長できるなら、今回の騒動に収穫はあったのだろう。

そう思う事にして俺は束さんと別れ、旅館に戻る事にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「一夏様!この旅館にはスイーツがありませんでした!」

 

 

部屋に戻っていきなり須佐乃男の愚痴に付き合わされた。

 

「アイスがあったろ。それで我慢しろよ。」

 

「確かに甘いですけど、アイスじゃないんです!私が食べたかったのは違うんですよ!」

 

「なら寮に戻るまで我慢しろ。食堂にはケーキでもパフェでもあるだろ。」

 

 

なんせ行事の優勝商品が学食スイーツのフリーパスなんだから、それくらいあるだろ。

 

「ならこのお金はどうしたら・・・」

 

「持ってればいいだろ?何でそんな事聞くんだ?」

 

 

学食でスイーツを食べる時に使うんだから、当然お金は必要だろ。

 

「一夏様がおごってくれるんじゃないんですか!?」

 

「なんでだよ!そもそもその金は俺の自由に出来る金の内から出してるんだぞ!」

 

 

千冬姉の給料から必要な分を計算してあちこちに移し、余った分を俺と千冬姉の小遣いにあてている。

昔は千冬姉の小遣いは無かったのだが、普段から監視出来るようになったので、この春復活した。

もちろん何か必要になった時のために貯金もしてあるし、普段の食材を買わなくなった分お金に余裕はある。

それに学費も免除だからそのことを心配する必要も無い。

無いのだが別にその分を小遣いにしようとは考えて無いし、出来るならバイトだってしたいと思っている。

したがって俺が自由に出来る金など他の生徒に比べれば少ない方なんだろう。

なのに何故俺がおごらなければいけないんだよ!

 

「じゃあ私もお小遣いが欲しいです!」

 

「・・・人の姿になったらお前も食事しなければいけないのか。」

 

「そうですね。食事をするためにはお金が必要ですし、その他にも色々お金がかかります。ですので私にもお小遣いを!」

 

「・・・千冬姉に相談してからな。」

 

「はい!」

 

 

給料の管理は俺がしているが、基本この金は千冬姉のものだ。

俺の独断で決めるのはまずいだろうから、この場は保留した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さっすがいっくんだな~。」

 

 

私は空を見上げつぶやいた。

私が本気を出してもいっくんには勝てないだろうな。

初めて会った時からいっくんは強かった。

だけどいっくんはそれで満足はしなかったのだ。

強くなるために努力して少しずつ力を高めていった。

だが限界が見えない。

今でも十分強いのに、まだ強くなりそうなのだ。

 

「ちーちゃんも凄いけど、やっぱりいっくんは別次元の強さだよ~。でも、まだまだ成長するんだろうな~。」

 

 

もしいっくんを敵にしたら、勝てる見込みは限りなくゼロだろう。

 

「当然だ!何せ一夏は私の弟だからな!」

 

 

答えを期待していなかったつぶやきに返答があった。

 

「おや?ちーちゃん、如何したの?いっくんにお菓子禁止されてへこんでたんじゃないの?」

 

「何故知っている!?・・・いやお前の事だ、どうせ何処かで聞いていたんだろ。」

 

「えへへ~せいか~い!」

 

 

いっくんは気付いていたが、いっくん達が帰還してきた時からあの場所に居たのだ。

したがってあの騒動は見ていた。

 

「ねえちーちゃん、いっくんに白騎士の事話したの?」

 

「ん?・・・いや、話してはないが。」

 

 

それが?と目で聞いてくるちーちゃん。

 

「いっくん、白騎士の正体わかってるみたいだったし。」

 

「それは私が一夏の姉だからだろう。どんなに姿を隠しても一夏には分かるのだろうな!」

 

「まあちーちゃんの妄言は兎も角として、いっくんの観察眼は凄いからね~。」

 

「妄言とは何だ!」

 

「あはは~。」

 

 

私は笑って誤魔化し、真剣な表情を作った。

 

「如何した?」

 

「ねえちーちゃん、この世界は楽しい?」

 

 

いっくんに言われた私の創った世界。

だけど私はまだ楽しみたい。

だからあれこれといっくんの周りに問題を起こすのだ。

そのことはいっくんは分かってる。

分かってって今は見逃してくれている。

でもしばらくは大人しくしてよう。

さすがにいっくんを怒らせたら私でも対処出来ないし。

 

「何だいきなり。まあそこそこは楽しんでるがな。」

 

「そこそこか~。ちーちゃんももっと楽しまないと!私はもっと楽しみたいんだ~!」

 

 

そう言って崖から飛び降りる。

もちろん本当に飛び降りた訳ではなく、隠していた移動型ラボに乗って移動したのだ。

 

 

 

 

 

 

「やれやれ、相変わらずだな。」

 

 

束が消え、私はため息と共にそうつぶやいた。

今回の騒動は妹のためだと言っていたが、恐らくは自分が楽しむためでもあったのだろう。

付き合いが長いのでそれくらいの予想はつく。

だが・・・一夏に迷惑を掛けるのはやめろ!

一夏がイラつけば、私に迷惑が掛かる。

今回だって一夏にお菓子を我慢しろと言われてしまった。

束のやつがこんな事件を起こさなければ、私はお菓子を存分に食べれたのに!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あの騒動の翌日、朝食を済ませ学園に戻るためにバスに乗り込んだ。

行きは隣がセシリアだったが、須佐乃男が人の姿になったため俺の隣に座っている。

 

「これがバスなんですね~。行きは一夏様の腕に居ましたけど、こうして乗ってみるとなかなか良いものですね~。」

 

「やけにテンションが高いな。」

 

「だってお小遣いも認めてもらいましたし、初めて自分の目線で車移動するのですよ?テンション上がるにきまってるじゃないですか~。」

 

 

昨日の夜、千冬姉が戻ってきてから須佐乃男に小遣いをどうするか話し合った。

千冬姉は意外とあっさり須佐乃男に小遣いを渡す事を認めた。

理由を聞くと・・・

 

「こうして女の子の姿になったのだ。甘いものや色々食べたいだろうしな。」

 

 

とのこと。

 

「まあ良いが、調子に乗ってバス酔いなんてするなよ。」

 

「しませんよ~。そもそも私はISですからね~。乗り物酔いなんて縁がないですよ~。」

 

「その原理で言うなら食にも縁がないはずなんだが・・・」

 

「それは別です!」

 

 

力強く言われ、俺は

 

「そうか・・・」

 

 

としか言えなかった。

 

「ねえ、織斑一夏君って居る?」

 

 

須佐乃男と話していたら名前を呼ばれた。

 

「織斑一夏は俺ですけど・・・貴女は確か。」

 

「ええ、銀の福音を操縦者のナターシャ・ファイルスよ。」

 

「もう平気なんですか?」

 

「心配してくれてありがとう。でも平気よ!」

 

 

平気だとアピールするためにその場でジャンプするナターシャさん。

俺が聞いてるのは怪我ではないのだがな。

 

「そうじゃなくて貴女の立場の事ですよ。」

 

 

俺は近づき耳元で話す。

 

「え?何のこと?」

 

 

言われた事が本気で分からないようだ。

仕方ないな・・・。

 

「一旦降りましょう。聞かれたらまずいですからね。」

 

「え、ええ。」

 

 

そう言ってバスから降りる。

 

「一夏様?もうすぐ出発ですよ?」

 

「分かってる。すぐに戻るさ。」

 

 

心配している須佐乃男に心配するなと伝え外に出る。

 

「どうした織斑。忘れ物か?」

 

 

入り口付近に居た織斑先生が話しかけてきた。

 

「丁度良かった。織斑先生も来て下さい。」

 

 

今から話すことにはこの人も関わってくるからな。

 

「何だ?」

 

 

他の人に聞こえないように距離を取り話し始める。

 

「ナターシャさんの今後について千冬姉に相談をしようと思ってな。」

 

「私の今後?」

 

「ええ。アメリカから来た報告書には貴女のことは書いてありませんでした。それどころか銀の福音を破壊しても構わないと書いてありました。」

 

「え・・・そんな・・・」

 

 

つまり最悪彼女は死んでいたかも知れないのだ。

 

「暴走したのは他の人間か関係しているのかもしれませんが、アメリカ軍はこの事を隠そうとしています。」

 

「それは当然ですよね?問題を自分から公表なんてしたくないですし・・・。」

 

「そうですが、もし当事者が居たら安心出来ない。だから無人機にして破壊させようしたのでしょう。コアさえ回収できればISは造れますし、操縦者は育てれば良い。」

 

「そうだな。このままアメリカ軍に戻ればどうなるか分からないな。」

 

「私は如何すれば・・・私はただこの子と一緒に空を飛びたかっただけなのに・・・。」

 

 

自分が殺されるかもしれないと言われ困惑するナターシャさん。

俺はもしこうなったらと計画していた事を千冬姉に話す。

 

「なあ千冬姉、ナターシャさんをIS学園で匿えないかな。」

 

「え・・・どう言う事ですか?」

 

 

俺の提案にナターシャさんは更に困惑した。

 

「なるほど・・・それは面白いな。」

 

 

だがさすがに教師、俺の言いたいことがすぐに分かったようだ。

 

「面白いとは酷いな。本気で安全を考えてるのに。」

 

 

口ではこう言っているが、俺も半分笑っている。

 

「え?え?」

 

ナターシャさんは事態が飲み込めずに困惑し続けている。

 

「ようするにナターシャさんの身柄をIS学園が預かる形にするんですよ。報告書には無人機と書いてあるんだ、表立って身柄をよこせとは言えないでしょう。」

 

「でも福音のことがあるし、そう簡単にはいかないと思うけど・・・」

 

「ああ、その点は問題ないですよ。暴走した原因を探すとか言って既に此方で預かると国際IS委員会に許可は取りましたから。」

 

「何時の間に・・・」

 

 

まあブリュンヒルデと世界で唯一ISが使える男である俺達が言いだした事だから、IS委員会も認めざるを得ないんだがな。

別にコアを日本のものにするとは言ってないからあっさり認めてはくれたが。

 

「でも返せと言われたら如何するの?」

 

「何時返すとは言ってませんし、そもそも人の命を蔑ろにした連中の言う事なんて聞きません。訴えてきたら此方も手段は選びません。世界の警察といっているアメリカが虚偽の報告をして、自分達の失態を隠そうとした事を公開してやりますよ。」

 

「それも面白そうだな。おい一夏、今からやらないか?」

 

「遊びじゃないんだから・・・」

 

 

俺達のやり取りを呆然と見ていたナターシャさんが突然笑い出した。

 

「あはは、貴方達最高ね!分かったわ、IS学園でお世話になるわ。」

 

「そう言うと思って既に手続きは進めていました。」

 

「本当に用意周到な子ね。」

 

 

よろしくと握手を求められそれに応えた。

こうしてIS学園に新たな教師が誕生したのだ。




一気にやれば何とかなるものですね。
実はこの話は二時間半で作りました。
さて、ナターシャをIS学園に、ポジションは一夏の相談相手兼訓練相手です。
次回は4巻に突入ではなく完全オリジナルストーリにしようと思ってます。
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