もし一夏が最強だったら   作:猫林13世

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模擬戦です。
一夏の変化をお楽しみください。


一夏の限界

「さて、此方もアリーナに出るとするとしよう。」

 

「そうですね。」

 

 

オープンチャネルで一夏君たちに時間だと告げ、千冬さんは私に話しかけた。

まさかブリュンヒルデとペアを組む日が来るなんて・・・

 

「如何かしたか?」

 

「いえ、まさか千冬さんとペアを組むなんてと思ってただけです。」

 

「そうか。」

 

 

短くそう答え集中しているのか目を瞑る千冬さん。

この仕草は一夏君と一緒なんだ・・・

一夏君がいくら嫌がっても似てる所はあるのだ。

 

「ナターシャ。」

 

「はい何です?」

 

「初めはお前が一夏を相手にしろ。」

 

「ええ!?」

 

 

一日に二回も一夏君を相手にしたくないんだけどな~。

でも、千冬さんに逆らえないしな・・・

 

「なに、ものの数分で良い。その間にあの小鳥遊を打ちのめす!」

 

「ひぃ!」

 

 

とてつもない威圧感と殺気で私は震えた。

何でそこまで敵対視してるんですか!

 

「行くぞ!」

 

「は、はい!」

 

 

この事、一夏君に知らせた方が良いよね?

だってこのままじゃ小鳥遊さんが真耶の二の舞になっちゃう。

私は敵である小鳥遊さんの事が心配になって、千冬さんの考えを一夏君に伝える事にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さて一夏、二回目だが手加減しないぞ。」

 

「さっきも言ったが、千冬姉の手加減はあてにならない。」

 

「ふふ、それなら良いんだ。」

 

「何が良いんだか・・・」

 

 

アリーナに出て、千冬さんは一夏君と和やかに話している。

でも私は知っている、あの表情の裏で小鳥遊さんを叩きのめそうと計画してる事を。

何とかして一夏君が私の方に向かって来てくれれば良いんだけど、戦術的に一夏君は千冬さん相手よね・・・

それならそれで良いんだけど、あの千冬さんのやる気が非常に怖いのだ。

訓練機で一夏君に相手をして、IS戦闘においてはほぼ互角だったのだ、その相手をすり抜けて小鳥遊さんを攻撃する事も、あの人なら可能だろう。

絶対に怪我だけはしてほしくない。

今日初めて会った人だけど、一夏君の大切な人を守りたい。

・・・あれ?何で私こんな事考えてるんだろう。

 

「そろそろ始めるぞ。」

 

「合図は如何するんだ?」

 

「このコインを投げ、地面に落ちたらスタートだ。」

 

「随分と用意が良いんだな。」

 

「見直したか?」

 

「アンタを見下してるのは別の事だ。見返したかったらその事で見返すんだな。」

 

「一夏に見下されるのは悪く無いんだが。」

 

「・・・変態かよ。」

 

 

一夏君が盛大にため息を吐いた。

うん、気持ちは分かる。

見下されたいなんて千冬さんの思考は何となく分かる。

だって一夏君にはそんな魅力が多少なりともあるんだもん。

あの目、あの態度、あの声、どれを取っても魅力的・・・あれ?何で千冬さんの擁護をしてるんだ、私は。

これじゃあ私まで変態みたいじゃない!

 

「ん?何だ、ナターシャ。いきなり首を振って。」

 

「如何かしたんですか?」

 

 

姉弟が揃って私を見ながら首を傾げる。

まさか行動に出てたなんて・・・

 

「何でも無いです。チョッと雑念を外に追いやるために振ったんですよ。」

 

「そうか・・・」

 

「・・・そうですか。」

 

 

うわ~どっちも納得してない!

でも、これ以上は詮索しないようで助かった。

 

「それじゃあトスするぞ。」

 

「ああ。碧さんも準備良いですよね?」

 

「ええ。ありがとう一夏さん。」

 

 

ああ、千冬さんが睨んでる。

仲の良い二人を見るのが気に喰わないんだろな。

一夏君の了解を得た千冬さんは、一夏君が余所見をしている間にコイントスをした。

意外とせこいのね・・・

 

「随分と急だな。」

 

「了承は得たんだ。後は私のタイミングだろ?」

 

「違いない。」

 

 

それで納得しちゃうんだ。

コイントスをしてすぐに一夏君が振り返り一応の文句を言った。

でもすぐ納得して臨戦体勢になる。

この切り替えの早さはさすがだ。

 

チャリン

 

 

地面にコインが落ちた音がした。

模擬戦開始の合図だ。

千冬さんは一気に小鳥遊さん目掛けて飛んで行った。

 

「さて、ナターシャさんとのんびり対戦してる余裕は無いんで、さっさと終わらせます!」

 

「待って!千冬さんは本気で小鳥遊さんを叩きのめすつもりよ!」

 

「そうでしょうね。だから暢気にナターシャさんの相手をしている時間は無いんですよ!」

 

「ひゃ!?」

 

 

この姉弟怖い。

千冬さんの纏っていた雰囲気も怖かったが、一夏君の纏っている雰囲気の方が数段怖い。

これが一夏君の本気・・・

そんな事を思ってた間に福音のエネルギーは半分以下になっていた。

 

「一夏君、怖いよ!」

 

「後で幾らでも謝りますよ。でも、この場ではさっさと墜ちてください!」

 

「ひえ~!」

 

 

逃げようとしたが、一夏君のスピード相手に逃げられる訳も無く、私はあっさり負けた。

これはトラウマになりかねないわね。

それくらい一夏君の雰囲気は怖かった。

普段の雰囲気はどこか優しさを感じられるのに対して、今の雰囲気には優しさなど欠片も残ってない。

私相手にではなく千冬さん相手に本気で怒っているんだ。

 

「終わりましたね。それじゃあ俺はあの馬鹿を相手にするんで。」

 

「え、ええ。頑張ってください。」

 

 

普段の感じに一瞬戻ったが、すぐに殺気を纏った雰囲気に変わった。

うん、やっぱり姉弟だ。

さっきピットで感じた殺気と同じくらいの恐怖で、それ以上の濃密さを纏って一夏君は千冬さんに向かっていった。

実戦経験が意味をなさないわね、あの姉弟には・・・

私は一人地上から姉弟対決を眺めていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「小鳥遊!」

 

「何ですか!?」

 

「貴様、よくも私の一夏を!!」

 

「ひゃ!」

 

 

いきなり突進してきた千冬さんを避け、私は困惑した。

一夏さんも言っていたように、別に一夏さんは千冬さんのものではない。

 

「貴様は護衛らしく一夏と会わずに生活をしてれば良かったんだ!」

 

「そんな理不尽な!?」

 

 

一夏さんと会ったのは私が初めて一夏さんの護衛を担当した次の日だ。

屋敷内を歩いていたら突然声を掛けられたのだ。

 

「昨日はお疲れ様でしたね。」

 

 

っと。

一夏さんの気配察知能力は聞いていたが、まさか一回で私の気配を覚えるとは思わなかった。

それから一夏さんと一緒に訓練したりしているうちに好きになったのだ。

だって、こんな私にも一夏さんは優しかったのだ。

いままで恋をしたことが無かった私には、一夏さんの魅力に対抗する術など無かった。

 

「考え事か?随分と余裕だな!」

 

「余裕なんてありませんよ。逃げるだけで精一杯ですって。」

 

「逃がすと思うか?」

 

「思いませんね、残念ながら。」

 

「なら大人しく私にやられろ!」

 

「それで、はいどうぞ、何て言うお人よしなんて居ませんよ!」

 

 

私は必死に千冬さんから逃げる。

時間を稼げば一夏さんが助けに来てくれるはずだから。

 

「貴様ばっかり一夏と仲良くしやがって!私だって一夏とキスしたいんだ!!」

 

「姉弟でしたら変ですよね!?」

 

「世間の考えなど関係ない!この気持ちは理屈では無いんだ!!」

 

「尚更駄目ですよ!?」

 

 

一夏さんは世間体を気にする人だ。

私たちと付き合うようになって少しは変わったが、それでも姉とキスするなんて嫌だろう。

ここは彼女として何とかしなくては!

 

「一夏さんの気持ちは無視するんですか?」

 

「なに、一夏もきっとお姉ちゃんとキスしたいと思ってるはずだ!」

 

 

・・・駄目だこの人。

一夏さんの事になると冷静な判断が出来ないようだ。

そもそもあそこまで言われてるのに、よくもまあそんな勘違いが出来るものね。

 

「だからさっさと私に斬られろ!」

 

「!?」

 

 

いつの間にか目の前に迫っていた千冬さん。

思考は兎も角実力はもの凄いのだ。

あ~あ油断したな~。

などと諦めモードの私は目を瞑って衝撃を待った。

あの勢いじゃ一発でエネルギーも尽きるだろうし。

 

「・・・あれ?」

 

 

何時まで待っても衝撃が来ない。

私は不審に思って目を開けた。

そこには・・・

 

「随分とおかしな事を言ってるな、千冬姉!」

 

「一夏!?ナターシャは如何した?」

 

「ナターシャさんなら既に戦闘不能にしてきた。それに、ナターシャさんから聞いたからな。アンタが碧さんを本気で叩き潰そうとしてるのをな!」

 

「なら邪魔するな!」

 

「するに決まってるだろ!」

 

 

一夏さんが私をかばうように千冬さんと衝突していた。

 

「碧さん、平気ですね?」

 

「ええ、まあ何とか。」

 

「良かった。それじゃあさっさとこの馬鹿を沈めるとしましょうか。」

 

「私も手伝うの?」

 

「後方支援が得意なんですよね?それなら何とかなりますよ。」

 

 

一夏さんと千冬さんの戦闘に絡む技術も度胸も無いわよ・・・

でも、一夏さんの役に立てるのなら頑張ろう!

 

「一夏!何でお前はそいつの味方をするんだ!!」

 

「何でって彼女だし。」

 

「認めん!お姉ちゃんは認めないぞ!」

 

「別にアンタの許可は必要ないだろ。これは俺の問題なんだし。」

 

「一夏の問題はお姉ちゃんの問題だ!」

 

「・・・それなら大人しくしててくれるとありがたいんだが。」

 

「お姉ちゃんは許しません!」

 

「はぁ、面倒くさい・・・」

 

 

一夏さんは本当に面倒くさそうにため息を吐いた。

今の一夏さんは下手に刺激しない方が良さそうだ。

 

「一夏!お前はお姉ちゃんのものだ!!」

 

「あ?何言ってんの?」

 

「!?」

 

 

一夏さんの雰囲気が変わった。

さっきまでも普段とは比べ物にならないほど怖かったが、今の一夏さんの雰囲気に一切の容赦も感じられなかった。

 

「一夏?」

 

「何だよ千冬姉、随分と威勢が悪くなったな。」

 

「いや、お前本当に一夏か?」

 

「おいおい、何言ってるんだよ。アンタの弟の一夏だよ、俺は。」

 

「そ、そうだよな。」

 

「来ないならコッチから行くぜ!」

 

 

しゃべり方も態度も、普段の一夏さんからは考えられないくらい粗暴だ。

それでいてまったくの隙も感じられない。

もしかして、これが本来の一夏さんの実力・・・

普段は抑えている感情を爆発させ、一切の情け容赦を捨て相手に襲い掛かる。

これが一夏さんの本気なのだろうか?

 

「く!」

 

「如何した?世界最強がこんなもんじゃないだろ?さっさと本気を出せよ。」

 

「十分本気で相手をしてる!」

 

「それじゃあ何だ、今の俺に千冬姉はまともに付き合えないって事か?」

 

「付き合う!」

 

「そう言った意味じゃねえよ!」

 

「ぐ!」

 

 

一夏さんの攻撃に防戦一方の千冬さん。

何だ、私の護衛なんて必要なさそうね。

今の一夏さんは誰にも止められないだろう。

理性を捨て、感情に突き動かされている一夏さんは、普段手加減してくれている時より何十倍も強く、そして恐ろしいのだ。

 

「碧!」

 

「は、はい!?」

 

 

呼び捨て!?

何か良いかも・・・

 

「お前は下に居るナターシャを連れてさっさとピットに戻れ。」

 

「え?でも・・・」

 

「お前を巻き込みたく無い。」

 

「う、うん。」

 

 

普段の一夏さんの優しさも良いけど、この一夏さんの優しさも良いな・・・

私はこっそりと起動していたボイスレコーダーで今の一夏さんの発言を録音した。

 

「ナターシャさん、掴まって!」

 

「は、はい!」

 

 

ナターシャさんを抱きかかえ、私はピットに戻った。

・・・普段から呼び捨てにしてくれないかな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さて、これで遠慮なく力を振るえるな。」

 

「一夏!普段のお前は力に振るわれる事など無かっただろ!」

 

「安心しろ。力に振るわれてなどいない。ただ、手加減をするのを止めただけだ。」

 

「冷静になれ!お前はそんなキャラじゃないだろ!!」

 

「アンタが俺をこうしたんだろ。」

 

「何?」

 

「アンタが阿呆な事ばっかり言ってるから俺がこうなったんだろうが。」

 

「一夏、お姉ちゃんにも分かるように言ってくれ。」

 

 

何故一夏がこうなったのか、私には分からなかった。

優しい一夏は何処に行ったんだ。

 

「度重なるアンタの発言で俺のストレスはとっくに限界だったんだ。それでも姉だからって我慢して来たんだが、今日と言う今日は無理だ。」

 

「何故だ?」

 

「何故?決まってるだろ。人の彼女に何しようとしたんだよ。」

 

「何って、一夏を誑かした罰を・・・」

 

「あ?誑かした?何言ってるんだよ。俺は自分の意思で碧と付き合ってるんだ。」

 

「でも・・・」

 

「でもじゃねえ!」

 

 

普段から逆らいがたかったが、今日の一夏には本当に逆らえない。

逆らえば命は無い、それくらいの緊張感だ。

説教をしながらも一夏の攻撃は続いている。

さっきの模擬戦とは比べ物にならないほどの威力と精度だ。

これならモンド・グロッソに出ても優勝間違いなしだな。

 

「さて、そろそれ面倒になってきてから、さっさと堕ちろ!」

 

「何!?」

 

 

一夏が私の視界から消えた。

これは瞬間加速(イグニッション・ブースト)からの高速移動!

私はセンサーで一夏を探したが・・・

 

「居ない!?」

 

 

センサーでは察知出来なかった。

それくらい一夏にスピードは凄かったのだ。

さっきの模擬戦では察知出来たのに、やはり手加減無しの一夏相手に、私は勝てないか。

 

「もう諦めるのか?それならこれで終わらせる!」

 

「馬鹿言え!初めから勝てるなんて思って無い!」

 

 

だから諦めるのではなく覚悟を決めただけだ。

 

「ここだ!」

 

「さすが千冬、だが!」

 

「何!?」

 

 

一夏が私の事を呼び捨てに!

でも、それ以上に衝撃を受けたのは、私が出した刀ごと一夏は斬り捨てたのだ。

その勢いのまま打鉄に攻撃してくる一夏、なんだお前に零落白夜は必要なかったのか・・・

一夏が手にしている得物は銅、一番威力が低い剣のはずだったがその威力は雪片に匹敵するかもしれないものだった。

 

「終わりだ。」

 

 

一夏のその一言で分かるように、私のシールドエネルギーはゼロになった。

まったく、頼もしいよお前は。

私が素直に負けを認めたと同時に・・・

 

「一夏様!?」

 

 

須佐乃男が解除され、一夏が宙に放り出された。

 

「須佐乃男!一夏を守れ!」

 

「無理ですよ!今の私は一夏様同様ただの人です!」

 

「じゃあ何でお前は地上に居るんだ!」

 

「知りませんよ!一夏様が強制解除をして私を地上に下ろしたんです!」

 

「何!?」

 

 

それじゃあ一夏の意識は・・・

 

「一夏さん!」

 

 

あれは・・・

 

「小鳥遊!?」

 

「碧さん!」

 

 

小鳥遊が一夏をキャッチしてピットに戻った。

良かった、あの高さから落ちたら、さすがの一夏でも無傷では済まなかっただろう。

最悪死んでいたかもしれない。

私はさっきまで憎んでいた小鳥遊に感謝した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ん、んん?」

 

 

気だるさとともに目を覚ました。

俺は今何処に居るんだ?

確か模擬戦でナターシャさんを瞬殺してそれから・・・

 

「!?」

 

 

思い出し起き上がろうとしたが・・・

 

「いってえ!」

 

 

体中が痛んだ。

何だ、俺に何があったんだ?

 

「一夏!」

 

「一夏さん!」

 

「一夏君!」

 

「一夏様!」

 

「うお!」

 

 

目を覚ました俺の横に人が居た、それも四人も。

いったい何だって言うんだ。

千冬姉と碧さんは涙目だし。

 

「何があったんですか?」

 

「一夏さん、もう平気?大丈夫なの?」

 

「え、ええ平気です。それでいったい・・・」

 

「何も覚えて無いのか?」

 

「ああ、千冬姉と対峙した所までは覚えてるんだが・・・」

 

「一夏様は限界を迎えたんですよ。」

 

「限界?何の。」

 

「ストレスですよ。」

 

 

ストレス?

そんなもんとっくに限界を迎えてたぞ。

 

「それで一切の手加減無く私を切り捨てたんだ。」

 

「それで、何で俺は此処に横たわってるんだ?」

 

「一夏様が私を強制解除して宙に投げ出されたからですよ。」

 

「俺が?」

 

 

まったく覚えて無い・・・

しかし、ストレスが限界を振り切ったからって記憶が飛ぶとは・・・

これは篠ノ乃の事を言えないな。

 

「それにしても、あの時の一夏さんは普段とは違った意味でカッコよかったよ。」

 

「確かに、ああ言うのをワイルドって言うんでしょうか?」

 

「は?」

 

 

何があったんだ。

記憶が無い俺には分からない事だが、どうやら何かやらかしたんだろう。

 

「まさか呼び捨てにされるなんて・・・」

 

「俺が?碧さんを?」

 

「私の事も千冬と呼び捨てにしてたぞ。」

 

「まじか・・・」

 

 

感情に振り回された結果が、非常に恥ずかしい思いをしただけか・・・

 

「ちなみに、私を呼び捨てにしてくれた時の音声はしっかりと録音してあるから。」

 

「え?」

 

 

録音?

何でそんなものしてるんですか。

 

「碧!」

 

「これ、俺の声・・・本当に呼び捨てにしてますね。」

 

「携帯に送って着信音にしたからね。」

 

「やめてください!恥ずかしい・・・」

 

「一夏様、諦めてください。」

 

 

須佐乃男に言われ、俺は盛大にため息を吐いた。

 

「これからは呼び捨てでも良いわよ?」

 

「しませんって・・・」

 

「一夏!」

 

「何だ?」

 

「もう一回千冬と呼んでくれ!」

 

「・・・呼ばん!」

 

 

こうして模擬戦は中止になったのだ。

 

「あれ?私、如何して保健室に?」

 

「起きたか。」

 

「すっかり忘れてましたね。」

 

 

俺の隣のベッドに横たわっていた山田先生も目を覚まし、俺は部屋に戻ろうとしだが・・・

 

「動けん・・・」

 

「私が支えますよ。」

 

「私もちゃんと連れて行ってあげる。」

 

「・・・どうも。」

 

 

須佐乃男と碧さんに両側を支えてもらいようやく歩けた。

これは明日地獄だな・・・

 




我慢しすぎるとこうなるんでしょうね。
口調を変えるだけでこうも苦戦するとは思いませんでした。
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