もし一夏が最強だったら   作:猫林13世

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今回は千冬と一夏の共通の記憶の話です。



枷と昔の記憶

「ところで一夏様、身体はなんともないんですか?」

 

「なんだいきなり。なんともあるからこうして支えられてるんだろ。」

 

「いえ、そうではなく・・・」

 

「?」

 

 

一夏様は覚えて無いから分からないだろうが、あの動きは一夏様でも相当なダメージを身体に与えているはずだ。

全身が痛いだけで済むはずがないはずなのに・・・

 

「何が言いたいんだよお前は。」

 

 

こうして特に問題なく会話できているのだ。

一夏様の全力は私が一夏様に話しかける余裕が無くなるほどだった。

だから戦闘中は一切の雑念を捨て、一夏様の思う動きに従った。

私自身、今少し全身が痛い・・・

普段抑えている力を急に解放するとこうなるのか・・・

 

「一夏様、特に異常は無いんですよね!?平気なんですよね!?」

 

「あ、ああ。全身が痛い以外は特に問題は無いが・・・」

 

「良かった!」

 

「・・・何も覚えて無いから何とも言えんが、そんなに心配を掛けるほど、俺の動きは危険だったのか?」

 

「それはもう!危険なんてものじゃないですよ。」

 

「あの千冬さんでも対応出来ないほどでしたから、完全に人間レベルを超えてました。」

 

「まったく覚えて無い・・・」

 

 

さっきの一夏様を見るまで、私は一夏様の実力を知らなかった。

普段は抑えているとは言え、誰にも負けない一夏様の本気を見誤ったのだ。

しかし、先ほどの一夏様は本当に恐ろしかった。

地獄の鬼すら生温いほどの鬼気だった。

普段本気で怒らない人が本気になるとああなるのだろうか?

 

「さっきから何だ?ちらちらとコッチを見て。」

 

「一夏様、これからは溜め込まずにこまめに発散してくださいね。」

 

「何を?」

 

「ストレスですよ。」

 

「なるべくはそうしよう。俺もまた記憶が飛ぶのは勘弁したいからな。」

 

「でも、そうなると一夏さんに呼び捨てにしてもらえないのよね~。」

 

「あの一夏様は、見ている分には良いですけど、付き合う私の身にもなってくださいよ。大変なんですからね!」

 

「確かにあの動きはISでも辛そうだったね。」

 

「・・・いったい俺はどんな動きをしたんですか。」

 

 

肩を落とし項垂れる一夏様を見て、私と碧さんはつい笑ってしまった。

あまりにも一夏様がへこんでいるからだ。

 

「何で笑うんですか!」

 

「ゴメンゴメン、でも一夏君のそう言う姿を見るのが珍しくてつい。」

 

「一夏様の貴重な姿ですからね~。さっきの一夏様とのギャップが凄くて・・・」

 

「本当に何をしたんだよ、さっきの俺は・・・」

 

 

再び項垂れる一夏様。

あの映像は残ってるんでしょうか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「これが本気の織斑君ですか、すっごいですね~。」

 

「私も此処までとは思わなかった。」

 

「私相手の時はまだ手加減していたって事ですよね、へこむな~。」

 

 

真耶が復活したので、私たちはモニター室で先ほどの模擬戦のデータ映像を見ていた。

アリーナを使用した模擬戦は、自動的に録画されるのだ。

 

「でも、千冬さんでも勝てない相手が居るなんて驚きですよ~。」

 

「それが実の弟だって言うんだから、世間は狭いわね~。」

 

「何だ?私だって普通の人間だ、負ける時だってあるさ。」

 

「「いやいやいや~!」」

 

「何だその反応は。」

 

 

私の言葉に声と動きをそろえて真耶とナターシャが否定してきた。

今の発言の何処に否定する場所があると言うのか。

 

「モンド・グロッソで無敗の連覇を達成してそのまま引退、公式戦および模擬戦で無敗。」

 

「そしてドイツ軍での指導やIS学園での指導でも戦えば負けなし。」

 

「この記録の持ち主が普通の人間であるはずは無いですよ。」

 

「現に今日一夏君と戦うまで負けなしだったんですから。」

 

「え~い交互に言うな!」

 

 

真耶とナターシャのコンビに『普通の』人間である事を否定され、私は少しへこんだ。

 

「でもお前たちの考えで行けば、その『普通じゃない』人間に勝った一夏はいったい何だって言うんだ?」

 

「それは・・・」

 

「一夏君は色々人間離れしてますし・・・」

 

 

何だ歯切れの悪い。

確かに一夏は色々と人間業とは思え無い動きをする時があるが、あれでも立派な人間だ。

感情もあれば怪我だってするのだ。

 

「一夏は人間だ。少なくとも私はそう思っている。」

 

「私たちだってそこは否定しませんよ!?」

 

「人間なのは分かってます。でも、それだけでは納得出来ないんですよ。あれほどの力を手にした人間が、ああも落ち着いていられるはず無いんですけど一夏君はかなり落ち着いている。これだけでも普通じゃ無いんです。」

 

「一夏は自分の力の大きさを理解している子だ。だから自分に枷を設けているんだ。」

 

「枷・・・ですか?」

 

「確かに普段の一夏君は全然本気では無いですしね。」

 

 

一夏の枷は何時からあったかな?

私は真耶たちに話しかけられながら遠い記憶を探った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「一本!勝者一夏!」

 

 

古い記憶の中で、一夏が箒に剣道で快勝している場面が浮かび上がってきた。

この時の一夏は、まだお姉ちゃん子で可愛かった・・・いやそうじゃなく!

このシーンが出てくると言う事は、何かこの時あったのだろう。

 

「もう一回だ!」

 

「しつこいぞ、篠ノ乃。」

 

「もう一回だ!!」

 

「・・・ハァ。」

 

 

この頃から箒は一夏に付きまとってたんだっけ。

一夏もウンザリしながら相手をしている。

 

「一夏、少しは手加減したら如何だ?」

 

「千冬姉、俺は十分手加減してる。それでも勝てないのは篠ノ乃に実力が無いからだろ。」

 

「一夏、相手の力量が分かってもそれを言うなよ?」

 

「そんな事分かってる。大体俺は篠ノ乃とそんなに話さない。」

 

「何コソコソと話している!さっさと準備しろ!!」

 

 

箒が一夏を大声でせかす。

負けてるくせに偉そうな・・・

昔の私はそう思ったはずだ。

 

「・・・・・」

 

「一夏?」

 

 

箒にせかされた一夏の雰囲気が変わった。

まるで真剣が持つような鋭い切れ味を持った雰囲気だ。

見ると視線も相当鋭いものだった。

 

「一夏、如何した?」

 

「別に。ただムカついただけだ。」

 

「ムカつく?」

 

「・・・・・」

 

 

それ以上答えず一夏は箒と対峙する。

その時の私には、一夏が本気で怒っているとは気付けなかった。

 

「今度こそ私が勝つ!」

 

「あっそ。」

 

「何だその態度は!男ならもっとピシっとしないか!」

 

「お前の考えを俺に押し付けるなよ。」

 

「私語は慎め!」

 

 

私がそう言うと二人は黙った。

剣道の勝負の前に私語をするのは良くないから止めたのだが、結果的にこれがいけなかった。

 

「構えて・・・始め!」

 

「はあーーーー!」

 

「・・・・・」

 

 

合図と共に気合を見せる箒と無言の一夏。

私は一夏の雰囲気に疑問を覚えた。

 

「(何だ?一夏はいったい如何したんだ?)」

 

 

普段の一夏はやる気こそ無いが勝負に対する真面目さは見られた。

だが今の一夏にはその真面目さが見られない。

見えるのは闘気、そして殺気だ。

 

「メーーーーーーン!!」

 

 

箒が一夏の面に向かって竹刀を振り下ろす。

 

「・・・・・」

 

 

それを一夏は無言で受け止め・・・

 

「・・・フッ!」

 

「何!?」

 

 

箒の竹刀を真っ二つに斬り捨てた。

そして・・・

 

「グウ!」

 

「・・・まだやるか?」

 

 

その勢いで箒の喉元に竹刀を突きつけた。

私は咄嗟に一夏を止めた。

 

「一夏、小学生は突きは禁止だ。」

 

「分かってる。だから寸止めしただろ。」

 

「そうじゃ無い。そもそも突きを撃つのも禁止なんだ。」

 

「・・・俺は剣道をした訳じゃない。篠ノ乃に実力差を見せただけだ。」

 

「何?」

 

 

面越しに見える一夏は、普段の一夏とは思え無いほど怒りに満ち溢れていた。

これが一夏の本気を見た、初めての時だったのだろう。

 

「別に強者に挑み続ける事は悪い事じゃ無いだろう。だが、その相手に礼を欠いたらこうなると教えただけだ。」

 

「一夏・・・」

 

 

そう言って一夏は剣道場から出て行った。

まるでこれ以上は相手をする気にもなれないと言っているようだった。

この試合を見て、さっき一夏が十分手加減をしていると言った意味が分かったのだ。

一夏は既に自分に枷を設けていたのだ。

それが何時からなのかは分からないが、一夏は自分の力が異常なのに気付いていたのだ。

 

「箒、暫く一夏と稽古するのは止めるんだな。」

 

「何故です!?」

 

「何故って、今あれだけの実力差を見せ付けられたんだ。このまま挑めばお前を猪武者だと評価せざる得ないぞ。」

 

「グッ!」

 

 

相手の力量に関係なく突っ込むのは成長を妨げる。

しかも箒は一夏に勝つつもりだから余計に良くない。

相手から技を盗もうとするのではなくただ勝とうとしているだけ、そんなの稽古でも何でも無い。

 

「私はただ、一夏と一緒に居たいだけです!」

 

「一夏はそう思って無い。」

 

「しかし!」

 

「箒、次は死ぬぞ。」

 

「・・・・・」

 

 

 

箒もさっきの一夏を思い出したのだろう。

死の恐怖を体感して、それを言われたらさすがに大人しくなるだろう。

 

「私もこれで帰る。またな、箒。」

 

「ええ・・・」

 

 

この騒動から暫く経ってから束がISを開発した。

そして、それ以降一夏と箒が剣道を一緒にしているのを見ていない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「千冬さん、如何しました?」

 

「急に黙って、何か考え事ですか?」

 

「ん?ああいやなに、一夏の枷が何時からあったか思い出していただけだ。」

 

「それで、思い出したんですか?」

 

 

興味津々なのを隠せていない真耶が乗り出してきた。

 

「落ち着け真耶。そんなに乗り出してるとまた胸を揉むぞ?」

 

「止めてくださいよ!」

 

「冗談だ。」

 

「もう・・・」

 

「半分はだがな。」

 

「ヒィ!」

 

 

大慌てで私から離れたが、この部屋から逃げ出さないのを見ると、やはり興味があるのだろう。

 

「私も気になりますね。一体一夏君は何時から自分に枷を設けていたのか。」

 

 

どうやらナターシャも興味津々のようだ。

 

「正確に何時からかは私も分からない。だが、小学校五年の時には既に一夏は枷を設けていた。」

 

「そんな前から・・・」

 

「でも、何で千冬さんはその事を知ってるんですか?その時も一夏君に怒られたんですか?」

 

「馬鹿言え!その時は私じゃない!」

 

「では誰が・・・」

 

「篠ノ乃箒だ。」

 

 

私が篠ノ乃の名前を出すと、ナターシャは驚き真耶は何処か納得した様子だ。

この学園に入ってからの篠ノ乃の言動を見れば、一夏が怒っても仕方ないと思ったのだろう。

 

「子供の時に一夏が本気で怒った相手は篠ノ乃だ。」

 

「いったい何をしたんですか?」

 

「大した事では無い。剣道の稽古中に一夏を怒らせただけだ。」

 

「だから何をすればあの織斑君を本気で怒らせる事が出来るんですか!?」

 

「・・・一夏に勝てもしない篠ノ乃が、偉そうに一夏に説教をしたんだ。自分の方が強いと言わんばかりに。一夏は普段から十分手加減をしていると言っていた。その時は私もどれくらいの手加減か分からなかったが、あの試合を見てそれが十分な手加減だと思い知らされた。」

 

 

私は一旦切って続けた。

 

「まあ、普段から付きまとわれていたのがウンザリしていたのかもしれなかったが。」

 

「小学生の時から既に一夏君は強かったんですね。」

 

「恐らく生まれた時から私なんかよりも強かっただろうな。」

 

「千冬さんって織斑君の事を話している時って嬉しそうですよね。」

 

「真耶、私は身内ネタでいじられるのが嫌いだ。」

 

「い、痛いです!」

 

 

真耶の脳天に拳骨を振り下ろし、そのまま押さえつける。

少しは反省しろ。

 

「それじゃあもしかしたら一夏君は生まれて間も無く枷を設けたと?」

 

「そこまでは言わないさ。だが、一夏の実力を正確に把握するのは姉である私でも不可能だろうな。何せ滅多に本気を出さない。」

 

「一夏君自身も把握してないかもしれないですよ?」

 

「そうかもしれんな。一夏も自分の全力を把握してないだろうな。」

 

 

何せ記憶が無いのだ。

一夏が自分の実力を把握したらきっと恐ろしい事になる。

私はそんな時が訪れなければ良いと願った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やっと部屋に着いたか・・・」

 

「一夏さんのベッドはどれです?」

 

「その一番大きいやつですよ。」

 

「何で須佐乃男が答えるんだよ・・・」

 

 

二人に支えられてようやく部屋に到着した。

まったく情けない限りだ。

 

「それにしても一夏様の本気は凄いですね~。」

 

「私もビックリしたよ。」

 

「そこまでなんですか?」

 

「一夏さんが自覚したら世界の半分は一夏さんのモノですよ。」

 

「何処の魔王ですか・・・」

 

 

まず世界は俺のモノでは無い。

そもそもほしいと思った事も無い。

 

「一夏様、とりあえずは大人しくしててくださいね?」

 

「大げさだな・・・」

 

「一夏様に何かあったら大変なんですよ!分かってます!?」

 

「・・・はい、大人しくしてます。」

 

 

もの凄い剣幕で言い寄られ、俺は素直に頷いた。

まあ、一人ではろくに動けないんだが・・・

 

「晩御飯は私たちが作りますから!」

 

「・・・食材無いだろ。」

 

「食堂から分けてもらえますよ。」

 

「せめて買い取れよ・・・」

 

「じゃあ一夏様、お金ください。」

 

「・・・・・」

 

 

俺は無言で財布を指差し須佐乃男に取らせた。

そして財布から取り出した金を須佐乃男に渡す。

結局俺から出てくのかよ。

 

「それじゃあ碧さん、行きましょうか。」

 

「そうね。」

 

 

二人が出て行った後、俺は関係無い事を思っていた。

須佐乃男って碧さんの事様付けじゃなかったか?

随分と打ち解けたんだな・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さて、何作りましょうか。」

 

「一夏さんの状態を考えると柔らかいモノが良いですよね。」

 

「お粥とかですか?」

 

「そこまで柔らかくなくても良いけど・・・」

 

「じゃあスープ系ですか?」

 

「そうね。一夏さんはお肉食べないし、野菜スープかな?」

 

「食べない訳では無いんですけど、あまり食べてる所を見ないのは確かですね。」

 

 

私と須佐乃男は食堂のおば様に事情を話し食材を譲ってもらえる事になった。

須佐乃男は買い取ると言ったのだが、おば様方も一夏さんにお世話になっているようで無料でいいと言ってくれた。

いったい何のお世話をしているのだろうか・・・

 

「それじゃあこれだけもらってきますね。」

 

「ああ、持ってきな。一夏君によろしくね。」

 

「は~い。」

 

「失礼しますね。」

 

 

必要なモノは手に入ったので、私と須佐乃男は部屋に戻る。

あの部屋は一夏さんが拘ったので十分な調理スペースが確保されているのだ。

 

「一夏様、大人しくしているでしょうか?」

 

「さすがにしてると思うよ。一人じゃ歩けないんだから。」

 

「そうだと良いんですが・・・」

 

 

一夏さんと付き合いの長い須佐乃男は、やっぱり一夏さんの事が心配なようだ。

私だって心配してるが、須佐乃男は度合いが違うようだった。

 

「戻りました~。」

 

「ただいま~。」

 

 

部屋に戻って声を掛けたが、一夏さんの返事は無かった。

 

「あれ?」

 

「まさか!」

 

 

須佐乃男が慌てて奥に向かった。

何を焦ってるんだ?

 

「ああ、良かった。」

 

「如何したの?」

 

 

須佐乃男が安堵の表情で戻ってきたので何があったのか聞いた。

 

「寝てました。」

 

「寝てるの?」

 

「ええ、もうグッスリと。」

 

 

一夏さんがこの時間に寝るのは珍しい。

普段は誰よりも遅くまで起きていて誰よりも早く起きる一夏さんが寝ている。

 

「私も見に行こ。」

 

「調理するのでは?」

 

「一夏さんの寝顔は貴重だからね。さっきは心配でそれどころじゃ無かったし。」

 

「確かに。」

 

 

須佐乃男も納得したのか、私の持っていた食材を受け取ってくれた。

 

「一夏さ~ん?起きてますか~?」

 

 

小声で一夏さんに話しかける。

此処で答えが返ってきたら驚く。

 

「・・・・・」

 

「寝てますね~。」

 

 

返事が無いので寝てると判断する。

さて、お楽しみの寝顔チェック。

どれどれ~・・・

 

「・・・・・」

 

「こんな顔して寝るんですね~。」

 

 

じっくりと一夏さんの寝顔を堪能して、私はキッチンに移動する。

写真撮りたいけど、もしかしたら起きちゃうかもしれないから我慢した。

 

「如何でした?」

 

「うん、良かった!」

 

「ですよね~!」

 

 

須佐乃男と二人でテンションが上がっていた。

さて、一夏さんは寝てるけど調理を開始しましょうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やれやれ、そんな寝顔って良いものか?」

 

 

二人が部屋に戻ってきた時点で起きていたんだが、返事するのも億劫だったから黙っていたら寝てると思われたらしい。

須佐乃男もそうだが、碧さんもあそこまで近づけば気付きそうなもんなんだがな・・・

 

「動けないし、このまま寝たふりしてるか。」

 

 

本当ならキッチンに行って手伝いたいのだが、生憎まともに動けないのだ。

立つのも大変なので、このままベッドに横たわってるとしよう。

自分の力で自分を傷つける事になるとは、俺もまだまだ修行が足りないな。

しかし、記憶が飛ぶほど怒ったのは初めてか?

昔の曖昧な記憶を辿りながら俺は再び目を閉じた。

次に気が付いたのは二人が起こしに来た時だった。

結局俺の記憶には本気で怒った事は無かった。




千冬は覚えていて一夏は覚えていない。
当時も記憶が飛んでいる一夏は、箒に本気でキレた事を覚えてません。
その後ISが発表されたため、互いにその事には触れないまま箒は転校、一夏も付きまとわれなくなったのでスッキリ、そのため記憶の事を確認することはしませんでした。
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