もし一夏が最強だったら   作:猫林13世

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祝6,000字突破。
そしてついに虚のメイン回。
難しかったな~。


私はきっと・・・

一夏さんと楯無様を部屋に運んだ日からもう一週間くらい経った。

あの日から楯無様は一夏さんと仲が良さそうだ。

楯無様が話しかけ一夏さんが答える、ほとんどがこの形だが一夏さんから話しかける場面もあった。

 

「(なんてうらやましい。)」

 

 

私は心の中でつぶやいてから慌てて首を振った。

これじゃあまるで楯無様に嫉妬しているようではないか。

私は主に対して何を考えているんでしょう。

自分の気持ちが落ち着かないことにあせりを覚えつつも、そのことを表に出さないように努めた。

しかし・・・

 

「おね~ちゃん、最近おかしいよ~?」

 

 

妹の本音に自分がどこかおかしいと指摘された。

隠していたつもりでも妹に見抜かれるようでは駄目ね。

だが、本当に妹は私の気持ちに気づいているのか。

この妹は普段からのほほんとしているから、もしかして気づいていないのかもしれない。

私はそのように考え、どこがおかしいのか聞くことにした。

 

「私のどこがおかしいの、本音。」

 

 

私が聞くと本音は「う~ん」と少し考えたあと、

 

「おりむ~が、楯無様やかんちゃんと話しているとき、なんか寂しそうな、羨ましそうな顔してるから、ちょっと気になったんだ~。」

 

 

完全に見抜かれていた。

私は急に顔が熱くなっていることに気が付いた。

ようするに顔が赤くなっているのだ。

 

「な、何を言うの、本音!それじゃあ私が一夏さんのこと、す、好きみたいじゃない!?」

 

 

私は自分の中にある気持ちを否定したかった。

ただでさえ楯無様や簪お嬢様が好意を寄せているのだ。

私の知らないほかの女性が好意を寄せているかもしれない。

そんな男性に好意を持ったところで私みたいな地味な女性が選ばれるはずがないのだ。

だからここ数日、私の中にある気持ちを否定してきたのだ。

でも、どうやら気持ちとは裏腹に顔に出ていたようだ。

とても恥ずかしい。

 

「え~~、おね~ちゃん、おりむ~のことすきなんでしょ~?」

 

 

この一言で私の決意は崩壊した。

私は一夏さんのことが好き。

どうやら自分の気持ちに嘘はつけないようだ。

しかし、どうして本音はこんなにも私の気持ちが分かるのだろう?

妹とは言え、普段の彼女はここまで鋭くない。

もう隠せないので私は本音に聞くことにした。

 

「確かに私は一夏さんに好意をもっているわ。でも本音、何で分かったの?いくら顔に出ていたとしてもそこまで露骨ではなかったはずよ。」

 

 

この一言に今度は本音の顔が赤くなった。

まさか・・・・

 

「だって私もおりむ~のこと好きなんだもん、わかるよ~。もしかしたら私もおね~ちゃんと同じ顔してるのかもって思ったから~。」

 

 

やはりだ。妹も彼のことが好きらしい。

屋敷の中だけで4人の女性から好意を持たれているのだ。

やはり私には勝ち目がない。

楯無様や簪お嬢様はもちろん姉の私から見ても本音は可愛い女の子だ。

私のような地味な女から好意を寄せられても彼は迷惑だろう。

このとき私は彼のことを諦めようとした。

 

 

 

 

本音に私の気持ちがばれてから数日後、一夏さんと楯無様、簪お嬢様の三人で最近なにやら訓練をしているみたいだ。

どうやら一夏さんが間に入ったことで二人の関係は良い意味で変化している。

本当に一夏さんは凄い人だ。

簪お嬢様の気持ちを強くさせ、楯無様を慰め、現実に立ち向かわせた。

こんなことをされては、好きになるなと言う方が無理なのだろう。

実際に何もされていない私や本音ですら彼に好意を持っているのだから、実際にされたお二人は完全にほれてしまう、いやほれているだろう。二人の顔を見れば明らかである。

楯無様はニコニコとして一夏さんと話しているが、彼がほめると顔を赤らめて喜んでいる。

簪お嬢様は話すだけで顔を赤らめているが、一夏さんの指導を真剣に聞き、ほめられるとやはり顔を赤くさせるが、今までに見たことが無いような笑顔を浮かべている。

 

「(私も一夏さんにほめられたい・・・。)」

 

 

そんなことを考え、私はあわてて首を振る。

私は一夏さんのことを諦めるんだ。そんなことを考えてはいけない。

必死になって一夏さんのことを諦めようとすればすれほど、私は一夏さんのことが好きになっていってるようだ。

なぜこんなにも彼のことが好きなのだろう。

私は自分の気持ちなのに理解することが出来なかった。

 

「(本音はどんな気持ちなのだろう?)」

 

 

私は妹の気持ちが気になった。

後で聞いてみよう。

そう決心して、訓練の終わった三人を迎えた。

 

 

 

 

 

そして昼に決心したことを行動に移す。

私は本音に「部屋に来て欲しい」と連絡をいれ妹が来るのを待っている。

数分が経ち、「おね~ちゃん、きたよ~」といった本音独特のしゃべり声が外から聞こえた。

部屋に招きいれ、私は疑問に思っていたことを聞く。

 

「本音はいつから一夏さんのことが好きなの?何かあったの?」

 

 

私の知らないところで妹は一夏さんと何かあったのかもしれない。

彼のことだ、困っている本音を助けたとかそういったことがあったのかもしれない。

しかし、本音の答えは私が想像したものではなかった。

 

「えっとね~、一目ぼれだよ~。」

 

 

えへへ、とテレながら話す本音。

一目ぼれ、もっとも簡単でもっとも厄介な人を好きになる方法。

どうやら妹は、彼をみた時からすでにほれていたのだ。

そんなことを思っている妹の気持ちを私は知らなかった。

どうやって普通に一夏さんとお話していたのだろう。

 

「本音、一夏さんと話すとき、緊張とかしなかったの?」

 

 

聞いた。

自分は最近緊張してまともに一夏さんと話していない。

だから少しでもヒントになりそうなことを探していた。

だが・・・

 

「緊張するよ~!今でもおりむ~と話すときは心臓ドキドキのバクバクなんだから~!!」

 

 

本音は顔を赤らめてそう答えた。

結局、妹も彼と話すときに緊張しているのだ。

私のような異性とのコミュニケーション不足ぎみな者ではまともに話すことなど出来ないのだろう。

しかし本音は・・・

 

「かんちゃんだって話せるんだから、おね~ちゃんでも話せるとおもうよ~・・・。」

 

 

などと言った。

確かに簪お嬢様は、異性の応対が若干苦手だ。

その簪お嬢様が話せるのだから私にもチャンスがあるのかもしれない。

ついこの間までは普通に話すことが出来たのだから、勇気を出して話しかけてみよう。

私は心の中で決意し、本音にお礼を言おうとしたが・・・

 

「ありがとう、本音・・・・・本音?」

 

 

寝ていた。

本音は私のベッドでスヤスヤと寝息をたてていた。

まったく、頼りになると思ったけど本音は何時も通りだった。

いつの間にか寝て、いつの間にか起きる。それが妹のスタイルなのだ(余談だが寝つきは良いが、寝起きは悪い)。

 

「まったく、しょうがない娘ね。」

 

 

私は本音が寝ているベッドに入り、一緒に寝ることにした。

 

 

 

 

 

翌日、私は楯無様のISを整備するために屋敷の奥にある作業場に来ていた。

本格的な整備はまだ出来なくとも、簡単なことなら私にも出来るのだ。

 

「(来年からはIS学園に入って本格的に整備の仕方を学ばなきゃいけませんね。)」

 

 

すでにIS学園への進学を決めている私は、勉強も兼ねて楯無様のIS整備を申し出た。

楯無様も「虚ちゃんなら」と快く了承してくれた。

期待してくれる人がいる。これはとても励みになることだ。

私は楯無様の期待にこたえるべく整備を始めようとするが・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

「虚さん、ちょっといいですか?」

 

 

後ろから声をかけられた。

声の主は振り向かなくとも分かる、一夏さんだ。

ここ最近まともに話していない私は、とてつもない緊張感に襲われた。

 

「い、一夏さん、何か用ですか?私はこれから楯無様のIS整備を始めたいのですが・・・お急ぎの用件でもありましたか?」

 

 

かなり動揺して何時も以上に他人行儀になってしまった。

本当に可愛げが無いな、私は。

そんなことを思っている私に一夏さんは少し困ったように頬をかきながら・・・

 

「いや、そこまで急ぎではないのですが、最近避けられているのは、俺が虚さんに何かしてしまったのではないかと思いまして。」

 

 

彼は私が避けている原因は自分なのではないかと思っているらしい。

確かに彼が原因だが、特に何かされた訳でもないのだから気に病む必要は無い。だが、彼はそういった性格なのだった。

 

「一夏さんが悪いわけではないですよ。ただ、自分の気持ちが分からなくなってしまって、一夏さんと話すのが怖くなってしまったんです。」

 

 

隠してもいずれはばれるのだ。

彼の勘のよさは桁外れなのだから、下手に隠して墓穴を掘るよりは、ここではっきりと振られてしまえば、きっとスッキリするだろう。

…などと心の中でネガティブの大安売りをしていたら、一夏さんが納得がいったような、困ったような表情をしていた。

 

「やっぱりそういった類のことでしたか。」

 

 

ばれていた。

本音にも分かるのだから、彼が気づいていない方がおかしいのだ。

逃げ出したい、今すぐここからダッシュでもう彼が引くぐらい全力で逃げ出したい。

顔を真っ赤にして、涙目になりながらそんなことを考えていると・・・

 

「二人と一緒に訓練しているとき、虚さん、羨ましそうな、なんとなく恥ずかしそうな顔で見てましたし、俺が近づくと急に逆方向に走り去っていくので、もしかしたらと思っていましたが・・・」

 

 

私はそんなに態度に出していたのか・・・。

暗部更識家に仕える身として恥ずかしくなった。

 

「(自分の行動も制御できないなんて、楯無様のことを悪く言えませんね。)」

 

 

普段から当主としての立ち居振る舞いを楯無様に口をすっぱくして言っているのに、自分はこの体たらく。まったくもって説得力が無いではないか。

もう恥ずかしさを通り越して滑稽だとも思えてきた。

 

「お恥ずかしい限りです・・・はい。」

 

 

私は自分の行動を恥じて、一夏さんに謝罪した。

謝罪してどうにかなる問題ではないが、とにかくそうしなければ今の自分が許せなかったのだ。ただの自己満足である。

しかし、一夏さんは・・・

 

「あやまることは無いでしょ?人を好きになるのは理屈ではないのですから。」

 

 

優しい。

彼はこんな私にも優しさを向けてくれる。

だから私は彼のことが好きになったのだろう。

だが、私は諦めると決めたのだ。

だから彼の優しさに甘えてはいけない。

 

「一夏さん、その優しさは楯無様や簪お嬢様に向けてあげてください。私なんかに向けてはもったいないですよ。」

 

 

ズキン。

心が痛んだが、これで一夏さんのことは諦められそうだ。

これ以上の優しさをもらわなければ、その内にこの痛みは和らぎ、そして消えるだろう。

私なんかにはもったいない、これは私の本音であり客観的事実であろう。

私のような地味な女性に向けるよりも楯無様や簪お嬢様、そして本音に向けてあげた方が、彼のためにもなるのだろうから・・・。

 

「貴女は自己評価が低すぎですね。もう少し自信を持った方が良い。」

 

 

しかし一夏さんはそれを良しとはしてくれなかった。

まだ私に優しさをくれる。

ああ、どこまでも優しい男性なのですね、一夏さん。

でも、今はその優しさが私を苦しめる。

もう、楽にしてくれませんか・・・。

 

「自信なんて持てませんよ。私は楯無様や簪お嬢様、ましてや本音のように可愛くはないのですら・・・。」

 

 

ここまでくればもはや意地だ。

とことん彼に嫌われよう。

こんな面倒くさい女なんてほっといてください。

 

「貴女は綺麗だ。」

 

 

・・・・・へ?

今なんておっしゃいましたか?

綺麗?私が?冗談が過ぎますよ、一夏さん。

私のような地味代表の女が綺麗なわけないじゃないですか。

 

「冗談がうまいですね。」

 

 

もはや冗談だと決め付けた私は笑っていた。

ここまで自分を卑下できるなんて、ある種の才能かもしれないですね。

しかし彼の顔は真剣そのものだった。

 

「貴女は綺麗ですよ。見た目だけではなく心のありかたも。」

 

 

心?私の心が綺麗?

ここまでひねくれているのに?

読心術までは行かなくても、相手の心理が読める一夏さんがそんな事言うんですね。

 

「主のため、そして妹のために自分は身を引く。そんなことを出来るのは本気で人の気持ちを思いやり、本気で考えられる証拠だと思いますよ。」

 

 

そこまで分かってくれるのなら、私を振ってください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「しかし、そこには自分を含んでない。貴女は自分が傷つくのをためらっているだけだ。」

「自己犠牲って言えば聞こえは良いかもしれませんが、貴女は自分自身に自信が持てないのでしょう。主と比べ、妹と比べ、自分を卑下する。傷つけられる前に自分で傷ついて、傷を浅くしようとしている。そんな気がしたから、俺はここに来たんですよ。」

 

 

彼の言葉に私は動揺した。

ほとんど合っているからだ。

私は傷つけられるのが怖い。

だから勝手に傷つき、勝手に終わらせようとしていた。

一夏さんは、一気にしゃべった後、少しはにかみながら、

 

「俺が言っても虚さんには届かないかもしれないですけど……。」

 

 

と言った。

そんなことは無いですよ。貴方に言われなければ私には届かなかったでしょう。

楯無様や簪お嬢様に言われたってここまで動揺しなかったと思いますよ。

 

「えらそうなことを言ってすみませんでした。」

 

 

一夏さんがきっちりと腰を折って謝罪してきた。

謝るのはむしろ私の方なのに・・・。

 

「止めてください、一夏さん。むしろ私の方が謝らなきゃいけないのに。」

 

 

私の言葉に一夏さんは首を振る。

 

「生意気な話ですが、俺はまだ誰かと付き合おうとは思ってません。むしろ自分自身の立場から言えば貴女達に迷惑をかけてしまう。」

 

 

彼の立場は聞いている。

誘拐され、ISを動かし、そしてこの屋敷に来た。

世間には公開されていないが彼は男なのにISが動かせるのだ。

そのことを考えて彼はあのように言ったのだろう。

私なんかよりよっぽどつらいのだろう。

それなのに他人を思いやり、また、自分の事も考える。

そんな彼の事が私はきっと好きなのだろう。

 

「だから俺は刀奈さんや簪、虚さんや本音と今は付き合えないですけれども、何時か何もかもが片付いたらきっと・・・。」

 

 

その後、一夏さんは言わなかった。

でも、私にはなんとなく分かった。

彼も思春期の男の子なのだ。

これだけの異性に好意を持たれて平気なわけが無いのだ。

 

「一夏さん、もう自己犠牲はしません。私は何人一緒でもかまいませんよ。」

 

 

などとからかうと、一夏さんは顔を赤くしていた。

こんな一面もあるとは・・・織斑一夏恐るべし。

 

 

 

 

 

 

 

 

すっかり話し込んでしまって、整備のことを忘れていた私は、大慌てで整備を始めた。

どうやら一夏さんも簡単な整備くらいは出来るらしく手伝ってくれた。

やっぱり一夏さんは優しい男性ですね。

そんなこんなで整備は夕方で終わった。

朝から作業場にいたのに終わったのが夕方だったので、楯無様は疑問をもたれた。

 

「そんなに手間のかかる作業だったの?」

 

 

違いますよ、楯無様。

手間がかかったのはISの整備ではなく私自身ですから。

そんなこといえるはずもなく、ただ愛想笑いをしてごまかした。

 

 

その夜、私は再び本音を部屋に呼び、事の顛末を話した。

本音は一夏さんの考えを聞いて、

 

「わたしもおりむ~といられるなら何人一緒でもいいよ~」

 

 

などと曰った。

やはり姉妹なのだろうか。

 

 

 

 

 

 

翌日、本音が出会いがしらに一夏さんにそのことを言うとまた顔を赤らめていた。

とても凛々しく、落ち着いている、

そしてたまに可愛らしい男性。

そんな一夏さんのことを、私は、いや私達はきっと生涯好きなのだろう。




はい、なんと二枚抜き、しかもハーレムOKなんて・・・。
なんともねたま・・・いや羨ましい。
虚さんはなんとなく落ちている雰囲気だったけど、本音はどうしようと悩み、最初から落ちていたことにしようと思いこのような展開に・・・別に話を作るのが面倒くさいわけではないですよ・・・。
とにかく祝、布仏姉妹ヒロイン昇格、原作では弾に気がある虚さんですが一夏にしてみました。
哀れ、弾よ・・・。
次回は久々あの人登場?
乞うご期待。

p.s.
baruraito様
誤字報告ありがとうございました。

更識 天様
蘭のことすっかり忘れてました。どうしよう。

竜羽様
専用機のことは採用させてもらおうと思います。
ただ専用機の名前などは時間がかかるかも・・・。
もし案などがあればまたコメントください。
こちらでも考えますが、皆様もご協力くだされば幸いです。


なにかありましたらまたコメントください。
ではまた次回
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