マサラタウンのきのみ屋さん(次話執筆中▷▶︎▷▶︎)   作:ソーマ=サン

11 / 21
 サブタイトルの付け方の1つのルールを決めました。
 日記の場合は『日記:』を付けて、今回のような三人称の場合は『マサラタウン(舞台となる町名):』にします。
 それに合わせて、前話のサブタイトルも修正していきます。



マサラタウン:テレパシー

 

 

 ──クリアとて成人した1人の男だ。帰宅が遅いからと言って心配する必要はない。未成年の子の親のように『いつ帰るのだ』という催促は過保護が過ぎるのではないか。

 

 ケーシィの態度に、そのようにレッドは()()()()()()

 

 ◇

 

 リザードンの(がわ)に向けたケーシィの掌。その中で極小の太陽が輝いている。

 卓越した()()()()により包まれたそれは、ブラストバーンの残滓。もしもポケモンの能力を数値化した『レベル』、或いは彼等の使う技に『熟練度』というものがあるとするのならば、このケーシィの()()()()は、そういった数値化した概念を天元突破していることだろう。

 扱うポケモンの個体差はあれ、普通の()()()()ではこれ程の芸当はまず不可能だ。真に優秀な個体のサイコキネシスでないと再現性は低い。しかも『レッドのリザードンの』という枕詞がつくとなると、万に一つも有り得ないだろう。

 

 そうした諸々を勘案して、クリアのケーシィは破格の能力を有していた。敬うようなフーディンたちの態度にも理解できるものがある。

 

『レッド、緊急事態』

 

「っ、突然のテレパシーは止めてくれ⋯⋯。クリアほど慣れてない」

 

『ゴメんなサい⋯⋯』

 

 (ひる)んだように仰け反るレッドに、申し訳なさそうにケーシィは謝る。

 普段、クリアは事も無げにケーシィとテレパシーを行っているが、一般人にとっては自らの思考の中に突然他者の思考が割り込むようなもの。慣れない者が受けてしまうと脳内信号が交錯してしまい、今のレッドのように意図しない反応を起こすことが屡々(しばしば)ある。

 そして、クリアとのテレパシーの際は、言葉のほかに互いの思い描くビジョンをも送受信している。その出力は、恐らくエスパータイプのポケモンとそのトレーナーとの間で行われる一般的なテレパシーと比べても桁違いに高い。クリアにする気安さで同様のことを他人にしてしまうと、必然的に相手の脳に過負荷を強いることになってしまうのだ。

 故に、自然とクリア以外では加減した上で慎重に行うこととなり、言葉にもどこか辿々(たどたど)しさが出てしまう。

 

 また、テレパシーを受容する相手の脳容量を考慮すると、長文で伝えるのは不適。単語を区切って伝えることが最前なのだと、ケーシィはレッドやグリーンを初めとしたクリアの幼馴染を被検体として学んでいた。

 だが、単語の羅列による意思疎通は、どうしても情報量が制限されてしまう。省略するものが多くなってしまうから、当然と言えば当然だ。

 だから警察に赴くよりもクリアのことをよく知る幼馴染を頼ったことは、もしかすると『最善』を偶然にも選べていたのかもしれなかった。

 

『至急用件。クリア、昨夜失踪。連絡皆無』

 

「ん? クリアが連絡もなしにいなくなったのか?」

 

『ソウ。ロトム調査、情報僅カ。下山後、痕跡消失』

 

「ロトムってことは⋯⋯、GPSか? それが町に降りてから追えなくなったと」

 

 シルバーそっちのけで顎に手を当てて考え出したレッドに、ケーシィはこれまでの考察を述べていく。

 

『ソウ。失踪直前、人ト遭遇、可能性大。オそらク、知人、アルイハ、警戒不要ナ(タグイ)

 

「なるほど⋯⋯、っつってもあいつの交友関係は狭いからなあ。仕事上の知人なら多いだろうけど、『マサラタウンでの知り合い』っつったらそうはいないだろうな⋯⋯」

 

『肯定。故ニ、警戒不要ナ(タグイ)、ト推測』

 

「『警戒不要』か⋯⋯。そもそもを聞くが、何でその推理になったんだ?」

 

『信号途絶。原因、電源切断。町中、破壊・破損可能性低』

 

「ん〜⋯⋯、『GPS信号が途絶えたのは電源を切ったから。町中だから壊された訳ではないだろう』と。自分で切るとも思えんし、『言われたから切った』か。⋯⋯ってんなら警戒心が薄くなる知り合いか、⋯⋯思い付かんけど、例えば子どもとかの警戒する必要がない相手か、ってのを言いたいんだな、なるほどな。そうなった場合、その『警戒不要な者』か、或いはそれの後ろにいる別の輩が犯人か」

 

『オそらク。GPS痕跡確認。現場未確認』

 

「現場は一旦見に行った方がいいと思うぞ。警察行ってジュンサーさんにガーディでも出してもらうのがいいだろ。クリアんとこには鼻が利くやついなかったろ?」

 

『肯定』

 

「なら決まりだな。一応オレから話は通しとく。それとオレの知り合いってのが分かるようにこの帽子持ってけ。くれぐれも失くすなよ」

 

 そう言ってフリスビーのように投げ渡されたレッドの赤い帽子は、()()()()で誘導されてスポリとケーシィの頭部に納まった。

 

『当然。終了後、返却』

 

「ああ、頼むぜ。あと、こっちが終わったら俺も探しに行くわ。ちっとあいつが何も言わずに失踪すんのは不自然過ぎる」

 

『感謝。ロトム、適宜連絡』

 

「ん? ⋯⋯ああ、メールなりで連絡くれるのな、了解」

 

『ソウいうこト。マた、後程』

 

 言い残して、ケーシィはオーダイルをフィールドに降ろし、そしてブラストバーンの残滓をグッと握り潰すと、再びその場から姿を消した。

 

「──ってことで、用事ができた。早々に終わらせる」

 

 黙って事の成り行きを見守っていたシルバーに、レッドは無慈悲に告げたのだった。

 

 

 

 

 

 




 この世界にはレベルはありません。ゲームのように数値化されてません。ということでここは1つ。

 また、シルバーにはレッドが独り言を喋っているようにしか見えてません。シルバー君は空気が読める子だからね、チャンピオンの奇行も見逃せる懐の深さを持ってます。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。