マサラタウンのきのみ屋さん(次話執筆中▷▶︎▷▶︎)   作:ソーマ=サン

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サイレント投稿、ヨシっ(現場猫感

ほのぼの回。

2022/09/27 削除漏れがあったため、該当箇所を削除。


日記:お見舞い

 

 

 

△月○日

 気が付くとタマムシ総合病院のベッドの上だった。

 『な、何を言ってるか分からねーと思うが、オレも何をされたのか分からなかった──!!』というような具合に、全身を強打しながら悪ガキを成敗したところまでは覚えているものの、そこから先は全く記憶がなかった。

 何か途轍もないことが起こったような気もするが、本当に純粋な「気の所為」かもしれない。とはいえ、メタモンが()も変えられないほど草臥れていることから、「相当のこと」が生じたのはほぼ間違いないだろう。

 しかも看護師さんが言うには、おれは一週間程度意識不明であったようだ。

 メタモンも心配させたことだろうし、マサラタウンに戻ったら目一杯労うこととしよう。

 今は傷を治すことに専念しないとな。

 

 

△月△日

 レッドが見舞いにきてくれた。

 一般的な幼馴染の対応としては普通ではあるが、世間的に見れば「現チャンピオンの唐突な訪問」である。病院全体が浮き足立っていたような気がするし、子ども達は疎か大人でさえ興奮している様子が感じられた。

 おれ自身は病室から一歩も出られなかったから雰囲気を感じただけだが、それでもおれの病室の前が俄にざわめき立ってレッドが姿を現しては、察するほかなかった。

 そんなおれの気持ちなど露知らず、「よっ」と軽い挨拶と共に入室したレッドは、タマムシデパートで買ったと思しきフルーツの盛り合わせを持ってきてくれていた。

 その何等物怖じしないところはレッドらしい。

 

 「レッドに林檎を切り分けられる」という(おれにとっては)特に何ともないイベントが展開されながら、一頻り世間話に勤しんだ。

 どうやらケーシィからおれが病院に運ばれた経緯を聞いていたらしく、珍しく「大丈夫そうか?」や「無茶するなよ」などと優しい言葉が投げ掛けられた。

 当のおれの症状としては、両足が切断されていたみたいで、それをメタモンが()()()()で繋いでくれていたとのこと。

 包帯ぐるぐる巻きの全身に、両足・左腕はギプスで固定。「絶対安静」という満身創痍具合でほとんど体を動かせない状況であるから、身体のあれこれを知れたのは僥倖と言っていい。

 

 そんな感じに、主におれの容態が教えられて、レッドによるお見舞いはお開きとなった。

 レッドは帰り際に、「()()()()()()()でも使えればもう少し早く治るかもな」なんてことを言い残して、病室を去っていった。

 ゼルネアスあたりならそういう技も使えそうな気がするが、あまり人前に姿を現したがるような性格ではない。入院している間は自分の治癒力だけが頼りだろう───

 (みみずがのたくったような線が続いている)

 

 

△月‪✕‬日

 朝起きたら食べ掛けの林檎が萎びていた。

 そして日記に子どもの落書きのような線が引かれていた。

 数日前に目を覚ましてからというもの、頻繁に睡魔に襲われる。

 体はまだまだ休息を欲しているのだろう。

 仕事もあるから早く治さなければ、と思うものの、当分は病院のお世話になりそうだ。

 

 

△月□日

 寝る時間が不規則になれば、起きる時間も当然の如く不規則となる。

 深夜。静まり返った時間にすっと目が覚め、布団の上で蕩ける2匹のメタモンを撫でていると、不意にカーテン越しの窓が淡く光った。

 月明かりの青白さではなく、緑掛かった光。

 非常灯の色合いのようなある種の不気味さで、正直、背筋が強ばった。が、その強ばりがボロボロの体に痛みとなって現れて、早々に意識は痛みを耐える方に割かれていった。

 

 

△月◇日

 この病室には出るらしい。言わずもがな、「幽霊」である。

 おれのいるところは重傷度の高い患者向けの個室であるから、過去、命を落とした患者がいるとかいないとか。

 そんな話を現患者にするなよ、と噂好きな看護師に思いながら、夜はぐっすりと就寝した。

 

 

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