マサラタウンのきのみ屋さん(次話執筆中▷▶︎▷▶︎) 作:ソーマ=サン
文量から1日分の日記になりました(中部分が三人称視点)。
※ サブタイトル修正(詳細は11話(6/8 0時更新分)前書き参照)
○月◐日
レッドから
朝一に収穫は終えていたし、選別や梱包はポケモンに任せて問題ない。
レッドとの対戦に連れてきたのは、
大型ポケモンを相手に、ウチの大事な
その点、
俺としても
で、対戦はマサラタウンにある広場。オーキド研究所の正面にある空き地で行った。
近隣住民や研究所から息抜きとばかりに研究員がやって来ていた。オーキドのおっちゃんも興味津々な様子でビデオカメラを片手に観客と化し、おっちゃん以外にもレッドの対戦する勇姿を収めんとスマホで撮影している若者が何人かいた。
レッドはマサラタウンにちょくちょく帰って来るため、町の少年少女にとって馴染みやすい存在ではあるが、それでも憧れが一定以上はあるようで、こうして対戦をすると一気に人が集まってくる。
レッドの手持ちは、カビゴン、リザードン、ラプラスなど大型のポケモンばかり。俺が
久方振りの対戦ではあるが、特に指示は出さず、好きなようにやらせてみた──
◇ (三人称視点) ◇
時は、クリアが日記書いた日の昼に遡る。
その日、オーキド研究所前の空き地には、向かい合う2体のポケモンの姿があった。
1体は、カントー・ジョウト地方リーグチャンピオン──レッドの相棒リザードン。
1体は、観客に自らの肉体美を見せ付けるようにポージングをキメる未知のポケモン。
肥大化した蚊をモチーフとしたような外観で、圧倒的な存在感の胸筋に2本の腕、そして4本の脚。長い
ポケモンを体系化し、ポケモン研究の第一人者とし呼び声高いオーキドが、各地の研究仲間に呼び掛けて尚、詳細が掴めないポケモンだった。
その未知を既知としているのが、エーテル財団。表向きはアローラ地方のポケモン保護組織であるが、その実、今回リザードンと対峙しているポケモンについて様々な情報を持ち合わせている極秘研究機関。
マサラタウンに出現した筋肉質なそれは、
それがどういう訳か、マサラタウンの一農園主──クリアの元へ行き着いた。
そして何故か彼に懐き、今こうして空き地の周囲を囲む人垣に向け、精一杯に己の肉体をアピールしていた。
「⋯⋯クリアに似て変なやつだな。まあいい、小手調べからだ。リザードン、エアスラッシュ!」
威嚇するように口端から火花を散らしたリザードンが、
空間が揺らぐような気配を見せて土埃が舞う。1つ、2つ、3つと、1度の羽撃きで発生した不可視の刃が、筋肉質な肉体を目掛けて蹂躙せんと迫っていた。
対するクリアは「きんにくん、好きなようにやれー」と指示にもならない言葉を飛ばすのみ。
マッシブーンがどういった技を使うのかすら知らず、成り行きでトレーナー役を担うに過ぎない彼の心境は、どちらかと言えば観客に近かった。
彼の傍らで浮かぶケーシィとテレパシーで遣り取りしながら、ああでもないこうでもないと静観に徹していた。
だから彼にとってそれは意外で、レッドや観客にとっても度肝を抜かれるものだった。
両腕を上げ、観客に上腕二頭筋を誇示するフロントダブルバイセップスの体勢から、滑らかに腕を下げ、腰に手を当て広背筋を張るフロントラットスプレッド──からの、背筋を伸ばすように身体を逸らした胸筋のパンプアップ。
不可視の刃到達の瞬間に膨張した胸筋に、エアスラッシュが激しい破裂音と共に霧散した。
「おぉ〜、すげぇ」
呑気そうなクリアを他所に、レッドは更なる指示を出す。
「リザードン、呑まれるな! だいもんじだ!」
意味の分からない対応を取られ、苦虫を噛み潰したように顔を歪めるレッドは、自身への一喝も兼ねてリザードンに注意を飛ばした。無論、チャンピオンとして幾度となくその座を防衛してきたレッド・リザードンコンビが、この程度で隙を見せる無様を晒すことはない。けれども、衝撃的だったこと、埒外の対応であったことは純然たる事実だ。
喉奥から迫り上がる火炎が一息の元に放たれる。轟々と音を立てて大地を焦がす炎が、瞬く間にマッシブーンに激突した。
然しものマッシブーンもリザードンの十八番を前にただでは済むまい。──そうした慢心もなく、滑空して距離を詰めたリザードンは、鋭い爪を大きく振り被った。
「ッ!?」
大火の中で揺らめく影。
何かに引っ張られるように渦巻いて後方に流れる橙が、次の瞬間、大気の壁を打ち砕いて
捲れ上がるのは、マッシブーンを覆っていた獰猛な火焔。腕先から順々に、火の衣を破き剥がすように散り散りになる。
その赤熱した体躯は、だいもんじ故か。あるいは、心音が聴こえる程の脈動故か。
暴風を纏うばくれつパンチが、リザードンのドラゴンクローと搗ち合った。
それは
見る者の肌を泡立たせる轟音が鳴り響く。
山彦のように町を囲む山々を反響し、海に面した南方の浜辺で、寄せる波を塞き止めるように砂浜の上で海水が不自然に一筋に並んでいた。
そして一拍の後、思い出したかのように波が砂を攫って海に還る。
「うわっ⋯⋯!?」
静寂を破ったのはレッドだった。
空中という踏ん張りの効かないところに居たリザードンは、あまりの衝撃にゴロゴロとレッドを巻き込んで転がっていた。
リザードンは目を回し、そしてレッドはその下敷きに、といった具合である。
「くぅ⋯⋯起きろぉ、リザードン、重いぃっ」
一般的に、リザードンの体重は90kg前後。レッドのリザードンにおいては、山篭り等々の成果もあり、優に大台に乗っている。片腕共々挟まれた状態からでは、抜け出すのは至難の業であった。
そうして慌てた観客総出でレッドの救出を図る一方、
「あー、こいつ気を失ってんな。だいもんじにノーガードとか、バカでもやらねぇと思うんだがなぁ⋯⋯」
ばくれつパンチを最後に気絶したマッシブーンを、クリアは拾った木の枝でつんつんと
どこか満足気な表情で倒れ伏すマッシブーンに、取り立てて言う程の外傷はない。精々が軽度の火傷程度。念の為ポケモンセンターに連れて行った方が無難であろうが、恐らくやけどなおしの処方箋を出されて終わると読んでいた。
「さて、と。これでレッドも満足したと思うし、俺は先に帰らせてもらおうかな」
そう判断して、クリア一行は忽然と姿を消した。
ケーシィのねんりきによりマッシブーンを背後にしたその威風は強者を思わせ、ノーモーションのテレポートによりラスボスムーブをかましたクリアは、後日、動画投稿サイト──Poke Tubeに投稿されたこの日の動画によって、知名度爆上がりの憂き目を見ることとなった。──というのは、また別の話。
◇ (クリアの日記) ◇
──と、なんやかんやで、レッドも満足したみたいだし、俺も
対戦の後は
今日はレッドとの対戦以外、特にイベントもなく、いつも通りの1日だった。
このマッシブーン超耐久。タイプ相性って何でしょうね(白目)
あと、覚えている方がいたら教えて貰いたいのですが、サンムーンのストーリー上、最初からマッシブーンと呼称されていましたっけ? もしストーリーの進行と共にUB02 EXPANSION からマッシブーンと呼ばれるようになったなら、誰が命名者とか分かりませんか?
至急メール(コメント)くれや。