マサラタウンのきのみ屋さん(次話執筆中▷▶︎▷▶︎)   作:ソーマ=サン

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 Pika-Tubeの件とゼルネアスとの馴れ初め回。短め。

※ サブタイトル修正(詳細は11話(6/8 0時更新分)前書き参照)


日記:喜劇劇的悲劇的

 

 

○月○日

 きのみの注文の取りまとめや農園のホームページの管理を担当しているロトムから、最近やけに一般消費者からの注文が多いと相談を受けた。

 収穫が盛んなこの時期になると注文量が多くなるのは毎年のことなのだが、それを上回って『やけに多い』とは甚だ疑問だ。イエローがポケモン大好きクラブで宣伝でもしたのだろうか? 明日連絡を取ってみよう。

 

 

 

○月✧日

 原因はイエローではなかった。先日のレッドとの対戦動画がPika-Tubeに無断で投稿され、拡散されたためらしい。

 個人で楽しむ分には特に文句は言わないが、当事者の許可なくアップロードするのは如何なものかと。しかも一般人の俺ならまだしも、レッドが映ったものを地方リーグの公式チャンネルからではなく、何の関係もない一個人から発信するのは後々怖いと思うのだが。主に権力的な意味で。違反金としてどぎつい額の請求が来る気がする。

 見知らぬチャンネル主よ、達者で生きろよ。たぶんマサラタウンの住人なのだろうけども。

 

 とまあ、そういう経緯があったらしく、何だかんだで農園のPRとなったらしい。

 世の中何が広告として機能するか分からないものだ。

 

 

 

○月☆日

 満月の夜だったからか、ゼルネアスが農園にやって来ていた。

 そのゼルネアスも()()()()()と同様、ある日突然ウチに現れたポケモンであるが、()()()()()の何倍も劇的な出会い方をしている。

 

 もう10年程前の同じ満月の夜。きのみの苗木を新植するために山林を拓いた当時は、当然ここに農園の形は疎か納屋や倉庫もなく、唯々(ただただ)だだっ広い木々のない斜面だけが覗いていた。

 そんな土地を喜ぶのは、穴掘り好きなポケモンだけ。進化前のディグダやモグリューなどが土を耕して遊ぶ以外、寄ってくるようなポケモンは殆どいなかった。

 だから、今思い返してみても何故ゼルネアスがそこにいたのかは分からない。もしかしたら、木々の伐採や、祖父の土地だったとは言え、樹園地に仕立てるのに伴い、元々そこを住処としていたポケモンを無理矢理追いやったから、だろうか? 祟り神(※後書きで補足)的な感じで現れたのか。

 ⋯⋯いや、今にして思えば、そういう意味合いが強かったのかもしれない。

 けど、その考えに達したのは、『ゼルネアス』というポケモンを知識として知った今だからこそ。当時はそんなことは少しも感じていない。それまで1度も見たことがない、というのもあるし、月の下でパッと見た時に、そのフォルムから隣のジョウト地方で馴染みのあるオドシシかと思っていたから。

 で、そこから『劇的な出会い』に繋がるのだが、夜間の見回りついでに出会(でくわ)した月光に灯された『ゼルネアス』に、

 

「へぇ〜、珍し。オドシシが山越えて来たのか?」

 

 なんて呟いたものだから、猛然と向かってきてそのまま跳ね飛ばされた。

 ゼルネアスにとってオドシシと同列に扱われるのは大層気に食わなかったらしく、輪郭の見えづらかった立派な角を7色に輝かせ、俺の土手っ腹を容赦なく抉り、そして掬い上げ、──ダンプカーも斯くやの勢いに悠々と宙を舞った俺は、そのまま何ができるでもなく『ドグシャッ!』となかなかにヤバい音を立てて落下した。

 幸い、その事故は全身打撲だけで済んだが、ディグダたちが地面をふかふかに耕してくれていなければ、日記を書く今の俺はいなかったと思う。複雑骨折の変死体として処理されていたことだろう。

 ⋯⋯ゼルネアス、マジでおっかねぇ。

 ご機嫌でも取りに行こう。いや、行ってきます。

 

(日記を放り出して、クリアは慌てて農園に出たようだ。このページに不自然にシャーペンの走った後が残っている。)

 

 

 

 




※ 解説
 この世界にもジブリ系列によく似た映画があるとお考え下さい。
 また、クリアがこの思考に至った訳は、以下の通りです。

 ポケモン世界での(主に突発的な)自然現象 = 伝説ポケモンが司るもの。
 各地での言い伝えや、現在も(天候操作等の)目撃情報が多数あることから、広く事実として捉えられている。
 → 自然崇拝的な思想が極々一般的に芽生え得る環境にあり、思想の1つとして自然崇拝が浸透している。また、ポケモン世界の住人は、幼少期から超常的な存在を(天変地異などにより)肌感覚で感じているため、『自然』と『ポケモン』とを切り離し辛い。誰に言われるでもなく、実感として『ポケモン=自然』の方式を持っている。
 → クリアも同様の思想・自然に対する考え方の下地を持っており、幼少期に見た物語に(なぞら)えて、『祟り神的』という表現をとった。

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