東方再記録   作:青い灰

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例外は、あの龍神だけじゃなかった。

それが、とても嬉しくて。



再会、楽園の素敵な巫女

 

 

「あ゛ぁ~…………疲れた………」

 

 

飛べないとやはり、

神社までのクソ長い階段がキツイ。

半日歩き、何とか博麗神社に辿り着くことが

できたが階段を登りきったところで膝をつく。

 

 

「半日歩くだけでしんどい

 ………能力も使ったらキツイし」

 

 

もうやだぁぁぁぁ、と顔をあげる。

と、そこにいた脇が空いている巫女と目が合う。

 

 

「「……………」」

 

「えっと、霊夢さん?」

 

「……………」

 

 

掃除中だったのか箒を持ってこちらを

ポカーンとしながら見つめる霊夢。

 

 

「……………」

 

「おーい」

 

「……………」

 

 

目を擦る霊夢。いや何してんだ?

そして、凄まじい速度で接近され顔を

両手で挟まれる。

 

 

「ちょっと私を叩いてくれない?」

 

「流石に叩くのは…………えい」

 

「いふぁい………」

 

 

霊夢の頬を引っ張る。

霊夢は呆然としたまま動きを止める。

つーかモチモチだな。

女の子の肌ってこんなベタベタ触っていいのか?

 

 

「夢じゃないわ!!」

 

「うぉわ!?何事!?」

 

 

いきなり霊夢に押し倒される。

えっ?

 

 

「霊夢………流石に昼だし外だぞここ」

 

「そのアホみたいなセリフ!!

 ソラよね!?良かった、生きてた!!」

 

「なんか傷つく」

 

 

霊夢がオレに馬乗りになっているのは

ちょっとお見せ出来ないというか…………

 

 

「ていうか、覚えてるのか!?」

 

「えぇ……えぇ!!

 あんたがどこにもいないし、

 皆、あんたを忘れてるから………!」

 

「あー……………心配かけた、わりぃ」

 

「馬鹿ぁっ………!」

 

 

抱きつかれる力は苦しいレベルだったが、

それでも、暖かかった。

 

霊夢の顔は……………いや、

彼女の名誉のためにも黙っておこう。

 

 

軽く、彼女の頭を撫でた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~数分後~

 

 

「……………悪かったわね、出会い頭に」

 

「まぁオレも抱きつきたくなったし」

 

「はぁ!?」

 

「いや、覚えててくれたからな。

 霊夢の言う通りみんな忘れてんだろうし。

 なんつーか…………うん、嬉しかったから」

 

「むぅ…………」

 

 

頬を膨らませる霊夢。

何とか霊夢を落ち着かせ、オレたちは

神社の中へと入った。

 

……………何もしてないからな!?マジで!

 

 

「はぁ………まぁいいわ。

 それにしても、2年も音沙汰ないから………」

 

「は?」

 

「え?」

 

「今、2年音沙汰ないって言ったのか?」

 

「………自覚なかったの?」

 

「つか死んだぞ、オレ」

 

「……………」

 

「今は生きてるからな!?」

 

 

黙って御幣を構える霊夢を慌てて制止する。

いや、生きてんのか、オレ。

 

 

「まぁ、生きてるわよ。

 だけど………何て言うか、違和感があるのよね」

 

「んん?」

 

「むー………この感じ………あぁ、成る程。

 だから私はあんたの記憶があったのね」

 

「1人で納得してないで教えてくれよ」

 

「えぇ、今説明するわ」

 

 

霊夢曰く。

今のオレは〝浮いている〟状態なのだとか。

 

霊夢の能力、〝主に空を飛ぶ程度の能力〟に

関係しているらしく、霊夢はオレと同じ状態に

なることができるとか。

 

 

「つまり、どゆこと?」

 

「そうね、言い方を変えるなら

 この世界から浮いている、ってこと。

 皆の記憶がなくなったのも、

 あんたが()()()()()()()()()から」

 

「ほー」

 

「まるで、存在そのものが消えたみたいね………」

 

 

その言葉に、少しひっかかる。

確かに、オレの存在そのものが消えた。

 

それは魂の消滅によるもので、…………そうか、

一度死んだから、か!

存在が浮いているのか、未だに。

 

本来ならオレがこの世界に現れた時点で

皆はオレを思い出す筈だ。

だがオレの存在が浮いていたせいで

皆は記憶が戻っていない。

 

 

「確かに、それなら霊夢が覚えているのも納得だ」

 

「えぇ、私も浮いているから。

 ソラ、あんたも何があったのか話しなさい」

 

「あぁ」

 

 

オレは、八雲紫との戦い、

そしてあの龍神との話を霊夢に話す。

 


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