食事を終え、縁側でオレと茶を飲んで
一息ついた文が立ち上がる。
「さて、と。私はそろそろ行きますね。
今日はまた面白い記事も書けそうですし」
「待ってくれ文、1ついい?」
「はい?」
「お前の新聞に俺の名前も出してくれないか?
もしかしたら知り合いがいるかもしれない」
「構いませんよー、名前出しておきますね」
文は翼を広げ、風を操って飛翔する。
そして凄まじい速度で飛んでいってしまった。
自称とはいえ、
彼女は確かに幻想郷最速なのかもしれない。
神社の裏手の方から霊夢がやって来る。
手には箒、そして洗濯かご。
そしてオレへと箒を差し出した。
「手伝いなさい、食後の運動よ」
「それを言うなら食後の雑用だろ………
わーったよ、どこすればいいんだ?」
「裏手をやってちょうだい。
見ての通り、落ち葉が多いのよ」
「へいへい」
箒を受け取って神社の裏手へと回る。
すると、見覚えのある人影が。
まるでこちらを待っていたかのように
こっちを見据えていた。
「ルーミア?」
「…………あぁ、そうね。
確かに、そうだったわね」
「?」
「久しぶりね、ソラ」
「久しぶり………って!?
覚えてるのか!?」
頭痛でもしたのか、頭を押さえたルーミア。
そして、彼女はそう言った。
ということは、まさか。
「えぇ、少し話があるわ」
どうやらルーミアはオレのことを
待っていたようで、霊夢に裏手に来るよう
伝えたらしい。
掃除はついでかよ。
「思い出した……って言ってたけど、
本当にそうなのか?
魔理沙は完全には思い出せなかったけど」
「本当よ。
私はあなたに大きく関わった1人だし。
あなたに与えられた影響が大きすぎたから」
「そんなにか?」
「そんなに、よ。
でも実際、あなたが顕れるまで
私は完全にそのことを忘れていたわ。
3日前、あなたは再び幻想郷に顕れた、でしょ?」
「3日前、だな」
ということは、オレが生き返った影響かな。
うん、待て。ならば…………
「まさか、みんなも
思い出し「それはないわ」否定が早ぇよ!?」
結構本気だった希望観測を
冷酷な即座否定で心が砕けそうだよ!?
お前そんなだったっけ!?
「思い出した、とは言っても
おそらく偶然よ。これを見て」
「ん?」
ルーミアが手を差し出してくる。
その手の内にあったのは、
いつか、オレが幻想郷に来たばかりの時、
助けてくれたお礼にあげた飴玉の袋だった。
「お前よくこんなもん持ってたな………」
「……………………………」
「えっなにその長い沈黙怖い」
「何でもないわ」
溜め息つくなよ…………
分かんねぇ、オレ何かしたっけ?
ダメだ、分からん。
「ともかく、私が思い出せたのは
おそらくだけど、あなたとの関わりが
大き過ぎる者は記憶にブレが生じるのよ」
「…………じゃあ、もしかしたら」
「えぇ、私はこれで断片的に記憶が戻って、
それからあなたを探した。そして会った。
そうしたら完全に記憶が戻ったわ、鮮明に」
もしかしたら。
「あなたが顕れた、関わりが大きい、そして見る。
その要因が全て揃えば、きっと。
あなた、皆との関係を取り戻したいんでしょ?」
「あぁ、だけど………他の、皆は」
「諦めるには早いわ。
会ったことがある、話をした。
たとえそれくらいでも記憶は完全に消えない。
ならその記憶を強制的に呼び起こせる者に、
あなたは会ったことがある!」
そうか、諦めるのは早すぎる。
確かに彼女なら。
「いや、でも紫は………!」
だが、彼女、八雲紫はここ2年、
姿を見せていないと霊夢から聞いた。
「八雲紫を探すわよ、ソラ。
馴染みとして、あなたも来なさい。霊夢」
「はいはい、仕方ないわね………
2年間、待つのにも飽きたところよ」
霊夢が渋々と言った様子で裏手に回ってくる。
いないなら探せばいい、という単純な作業か。
「言っておくけど、私が幻想郷中を
個人的に探し回ったけど無駄だったわ。
だから、長い
────幻想郷、端から端まで探すわよ」
「ごめん…………いや、ありがとう、2人とも。
恩は必ず返す。記憶と紫を探しに行こう。
失くしたものを取り戻しに、幻想郷ツアーだ」
「長いこと留守にするんだから
裏手の掃除ちゃんとしなさいよ」
「良いとこだったよね今!?」