初手特殊能力ガチャで大爆死した俺は最後まで生き残れそうですか? 作:五月雨 青葉
特殊能力ガチャ爆死。そんな他とは少し違う物語。
楽しんでください
早速だがここでメタい話をさせてもらおう。
「特殊能力」これは異世界転生でも何でも戦闘系ストーリーの中で最も大切な要素の1つである。
ある者は爆発。ある者は炎。またある者は雷等その特殊能力は様々であろう。
手で触った相手の能力を無効化する。なんて壊れた性能をしている能力だって君は見た事があるかもしれない。
だが、この初手特殊能力ガチャ勿論爆死する人だって居ていい。いや、絶対に居るはずである。
…という事でこのお話は、もし「初手特殊能力ガチャでゴミみたいな力を手に入れたらどうなるのか」という内容です。
――ドンっと低く重い音が辺りに響き渡った。
強い衝撃を正面に受け、俺の体は宙を舞った。
地面に強く叩き付けられた俺は自分の体から血液が漏れていくのが感じ取れた。
「俺、死んだなコレは…」
余りの痛さに声が出ない。口に出したつもりだったが周りに集まって来た人には聞こえて無いようだ。
必死に俺の体を揺さぶっている。
「父さん。母さん。恩返し出来なくてごめんな…」
その一言を最後に俺は意識を失ってしまった
「……ん、あれ?」
さっきまで俺は道の真ん中で倒れていた筈なのに周りの景色が一転しているのに俺は気付いた。
まだ多少体が痛むがある程度は自由に手足を動かす事が出来た。
周りは真っ暗。地面も壁も見えない。それでも自分の姿だけはしっかりと見る事が出来ている。
「天国…では無さそうだよな」
最初は病院かと思ったがこれは俗に言う「あの世」と言われる世界だろう。と、いうか暗闇の中に何故か看板が浮かんでてそこには『あの世』と書かれている。わかり易っ!
「いやー、俺この後どうなるのかな…」
今後がかなり不安だがとりあえず暗闇の中を手探りで進んで行く。
暫く進んでいると、俺は以外にも後ろから声を掛けられた。
驚きながら後ろを振り返ると、そこには80程に見える老人が1人立っていた。
「ようこそ。ここは中継点と呼ばれる場所だよ」
老人は笑みを浮かべながらこの場所について教えてくれた。
「中継点…?」
よく分からない言葉に困惑し小首を傾げていると、
その老人は俺に向かって上に穴の開いた小さな箱を差し出してきた。
「ほれ、中には紙が入っておる。好きなのを3枚引きなさい」
未だに疑問だらけな状況だが、ただ3枚紙を引く事を行為を拒む理由は特に見当たらない。なので適当に箱に右手を突っ込み箱の1番下にまで手を伸ばし、箱の底にあった紙を3枚手に取り箱から手を取り出す。
「えっと、引きました。」
とりあえずよく分からない老人に自分が紙を引いた事を伝える。そうすると、老人は「開いてみ」と言いながら小さな箱を自分の足元に置き、俺の引いた紙を覗き込む
「まず1枚目、『左手の人差し指から自由にトコロテンを出す事が出来る』」
紙に書いてあった内容を読み上げる。
「文字通りゴミじゃな。」
老人はそう言いながら首を傾げる。
「2枚目、『半径500m以内の人間が階段の段数を1段多く感じるようになる。』」
「まあ一応ビックリはしそうじゃな。それと無駄に範囲が広いのが気になるのう。」
老人はそう言いながら鼻をほじり始める。
「3枚目、『サクランボの茎を舌で結べる』」
「最後に至っては宴会芸じゃな。友達内でやると盛り上がるかもしれん。」
老人は鼻から指を抜き、フッと息を吐く。
「…で、これは何なんですか?」
素直に気になったので聞いてみる事にした。
すると、老人は申し訳なさそうな顔をしながらローテンションで教えてくれた。
「君は今から、俗に言う異世界に転生して貰う。だから、それはその異世界で君が使える特殊能力の候補だよ。」
俺は自分の耳を疑った。
「…は?」
自分の引いた3枚の紙を再び眺める。
「この中継点は異世界に転生する事を許された人間のみが死後に来れる所。そしてここで能力を1つ決めて、異世界で頑張ってもらう。そんな感じじゃ」
異世界、転生、色々と気になるフレーズがあったのは確かだ。だが今の俺にはもっと気になる言葉が1つあった。それは
―――『そしてここで能力を1つ決めて』
「…え、って事は」
俺は自分の引いた三枚の紙を顔の正面まで持ち上げる。
「選べ。」
老人がニッコリといい笑顔で選択を迫ってきた。
「いや、選べるかァ!」
俺は3枚の紙を地面に投げ捨てる。
「ぷぷっ、面白い程爆死したもんじゃな。可哀想」
と、笑いを堪えながら誰もが思った爆死という1つの事実を俺に叩き付けてきた。
「これ笑い事じゃないよね?なに、『異世界で頑張ってもらう』?コレじゃ俺宴会でしか活躍出来ないよ?」
「でも、ワシはサクランボの茎を舌で結べんぞ。羨まし。良かったじゃん」
完全に他人事の老人は諦めたような目で俺に能力を勧めてくる
「いや、サクランボ舌で結べたって攻撃力0だわ!村の子供にデストロイされるわ!」
「んー、じゃ、サクランボの茎を舌で結べる能力はダメじゃな」
「当たり前だよ!」
そういうと、老人はそれに該当する紙を手に取り破り捨ててしまった。
「まあ、ゆっくりと残りの2枚の中から自分の特殊能力を選ぶんじゃな。」
老人はそう告げると闇に消えてしまった。
残りの2枚。指からトコロテン出すか、階段に違和感を覚えさせるかの2択。
悩んだ俺は、『左手の人差し指からトコロテンを自由に出せる能力』に決めた。
トコロテンなら階段の方がいいかもしれないが良く考えて欲しい。階段が1段多く感じる。これが活かされる場面があるわけが無い。それに比べトコロテンが出せれば食費が浮くのである。もうそれしか利点が無い。
「3枚目の能力に決めました。」
そう宣言すると、再び俺の意識は闇に消えていったのだ。
「………。……!……!」
誰かに体を揺さぶられているのを感じ、目を覚ました。
意識がハッキリした時、呼ばれているのが自分の名前だと分かった。
「幸也!良かった。目を覚ましたのね!?」
頭以外を甲冑で覆った女の人が涙を流しながら俺の体を揺さぶっていた。
「私の事分かる?」
その女の人は自分を指さしながら名前の確認をしてきた。
「…ごめん。分からない」
ここは正直に答えた方が良さそうだ。
「…そう。」
彼女はどこか寂しげだった。
「私は未来。『みらい』って書いて『みく』って読むの。」
ご丁寧に漢字の説明をしてくれた。どうやら世界観は日本と同じらしい。
「未来…か。おぼえてないんだが俺の名前は?」
今は前の世界の名前すら思い出せない。一応前世の記憶は消されて居るんだろうか。
「宮内 幸也。貴方の名前は『ゆきや』!」
幸也。それが俺の名前らしい。
名前が分かったところで次に気になったのはこの状況だ。俺は何があって倒れてたんだろうか
「とりあえず俺に何があったのかわかるかな?」
聞くと、彼女は困惑しながら答えた。
「ス、スライム1匹にボコボコにされて気を失ってたの」
…まあ、想定通りである。あんな能力なら多少は負けるわな。スライムに。
「…1週間前に寝込んだきりだったのよ?」
更に困った顔で彼女は言った
「まさかスライムにフルボッコにされた挙句1週間も死線をさまよったとは…」
怖っ!この能力の弱さ怖っ!!
「ゆっくり休んでね…」
未来はそういうと俺の傍を離れ部屋をゆっくりと出ていった。
『絶対戦闘はしない』
そう心から誓った幸也だった。
書いてて凄く楽しいですが、戦闘場面どうしましょうかね。
投稿は不定期になりそうです。
最低でも1週間以内には出します!
時間を無駄にしたい人は是非次回も目を通して頂けると有難いです!