初手特殊能力ガチャで大爆死した俺は最後まで生き残れそうですか? 作:五月雨 青葉
あの後未来は俺が起きた事を誰かに報告してくると言っていた。
――それにしても布団って良いよね。個人的にはピシッと整えられた布団よりも普段から使ってるヨレヨレの布団の方がポイント高い。わかる?
「…だけど、俺って元々はどんな人だったんだろう」
考えないようにしていたが布団に潜り、余暇をのんびりと過ごしていると俺になる前の俺。
つまり俺が転生してくる前、幸也は何をしている人だったんだろうか。都合よく前の記憶が残ってるとかは本当に無く、ただ今俺は身体を借りている。ほんとそんな気分。
「考えても分からん事は考えなくて良いか。いづれ分かる時が来るでしょう」
今は考える時じゃないと判断した俺は布団を頭まで被り少し睡眠を取る事にした。
―――まさかあんな奴に目を付けられていたとは思わなかったから。
「幸也ー!!なんで寝てるの?!今まだ午後3時前だよ!」
未来に叩き起される。左手で目を擦りながら布団から体を起こす。元々外の様子を知らなかったのでどのくらい寝たかは分からないが、未来の発言からすると結構時間が経ったのだろうか。それにしても眠い。
「うむ。起きたね?おはよう」
俺が体を起こしたのを確認するとわざとらしく頷き、未来は俺に挨拶をしてきた
「ふわぁあ。おはよう」
欠伸をしながら未来に挨拶を返す。
俺はなにがあって前世で死んだのか。そもそもなぜ俺が転生してるのか。この世界は何なのかと疑問は尽きないがそれはきっとここでの生活が答えをくれるんじゃないか。そう思い、特に未来に対し何か特別な事を質問するのは辞めておいた。
「起きていきなりで悪いんだけどさ、外でウサギを狩って来てくれない?」
そういうと未来が麻で作られた袋を俺に渡してきた。
「トコロテン塗れになりそうだけど良い?」
兎か。どうやら前の俺はスライムにフルボッコにされてたらしいが兎なら勝てるだろう。…きっと
「洗うから関係ない!3匹くらい狩ってくれたら嬉しいかも。」
俺の事を気にしてか最低1匹でも良いよと言ってくれた。気遣いは本当に嬉しいが、俺も戦いになれる必要がありそうなので3匹狩る事を心に決めた。
「じゃ、行ってくるわ。」
ベルトに着いていたホルダーの中に未来が手渡ししてくれたナイフを収める。
「ん、気をつけてね?6時までに帰ってきてね」
――いや門限あるのかよ。つかお前親なの?
心の中でそんな疑問を抱きながらドアノブに手を掛ける。
何気にこの世界で外を見るのは初めてで少し緊張しながらドアノブを捻り扉を開ける。
眩しい日が指し、知らない鳥が空を飛んでいる。小さな村だったそうで周りは畑が広がっていた。桑やスコップも目に入った事から少し安心してしまう自分がいた。
田舎なのだが凄くオシャレで建物は赤、黄、青等様々な色のレンガで作られていて村全体の雰囲気が生き生きとしているのがわかる。
「おっと、そうか。兎を探さなきゃ」
あまりにも綺麗な景色で見とれてしまった。
周囲を見渡し、兎が居そうな所を探す。
「兎兎と…」と呟きながら村を歩いていると、年齢は10前後に見える少年に話し掛けられた。
「おじさんもウサギ探してるの?」
いきなり殴られるんじゃ無いかと思い身構えたが、どうやら少年も目的は同じようで手に槍を持っていた。
「うん。そうなんだよ。兎の居場所知ってるかな?」
これは丁度いいと考え、兎の居場所を教えてもらう事にした。「しってるよ!こっち来て」と笑顔で走り出す少年を見て、少し俺は童心に帰った気分になれた。
村を出てどれくらい歩いただろうか。最初は草原だったのだが大きな坂を幾つか登り、気が付いたら深い森に居た。
「…こんなところに兎なんて居るの?」
俺はてっきり草原みたいな所で探すのかと思っていたので森は意外だった。
「え?普通は森にいるんだよ」と笑いながら聞き流されてしまった。言われてみれば森だった気がする。
暫く森の中を探し回ると、後ろに居た少年が
「おじさん、いっぱい居たよ!」
と大きな声で教えてくれた。
やっとかと思い腰にあったナイフに手を伸ばしながら後方を確認する。
するとそこに居たのは俺の予想の遥真逆。
その姿はまさしくドラゴンそのもの。
「おい!これ兎じゃねーだろ!」
慌てて少年を抱えて逃げようとした。
流石にまずい。トコロテンじゃ勝てない!
だが少年は「えっ?」と驚き俺に
「アレ
と言ってくる。言われてみればほんとに耳が兎だなぁ。
――ってなる訳ねぇだろ!俺の知ってる兎じゃなかった!まさかの
動揺しまくってる俺とは裏腹に、行くよっ!と意気込んでから少年は持っていた槍を構える。すると、不思議な事にその槍の先端に森の植物が勝手に巻き付いていく。
「それお前の能力なのか?」
特殊能力を完全に理解した訳では無いが、この場合こう考えるが自然だろう。
「そうだよ、これが僕の能力!
なんだよそれ。カッコよすぎか?俺なんてその感じで言ったら
「おじさん、僕の名前は『お前』じゃなくてリーフって言うんだよ」
さりげなく自己紹介。なるほど、植物使いだから
「良いか?リーフ。俺の名前も『おじさん』じゃない。幸也だ。今日は覚えて帰れよ?」
左手の人差し指と親指を立てながらリーフを指さす。
――さて、どうするか。
「…とりあえずたぶんビームとかは出してこなそうだから頑張って後ろに回ってナイフで…」
そう考えていると
リーフは咄嗟に槍を前に突き出し、植物で壁を作る。
火は植物の盾を燃やしていたが、リーフにダメージは無さそうだった。
「…めっちゃビームみたいなの出してきたわ」
帰りたい。すごく帰りたい。
炎を吐く竜VS植物使いとか凄い絵になるじゃん。
でも俺トコロテンだよ?このままだと
炎を吐く竜VS植物使い(トコロテン添え)
みたいな感じになるじゃん!俺要らない子!
「幸也危ないよ!」
ウサギが俺に向かって前足を振り下ろして来た。
リーフのおかげで反応がギリギリ間に合った!
俺は死ぬ思いで右側に転がり込み攻撃を何とか躱す。
――危ねぇ!死ぬ!死ぬぅ!
だが逃げていても解決はしない。俺は決死の覚悟で
ナイフに力を込めてみる。
すると、ナイフの表面からニュルニュルとトコロテンが生えてきた
――気持ち悪ゥ…
自分の能力に引きながらも俺はナイフを生暖かい目で見守る。
今気づいたのだがどうやら俺はトコロテンの強度も変えれるらしい。ナイフに生えてきたトコロテンはナイフを包み込み、ナイフが刀のようになっている。
「これならなんとか…?」
ウサギと戦っているリーフの元に急いで戻り、
トコロテンソード(仮)を構える。
「うわ、キモっ」
リーフにダイレクトに嫌がられたが仕方ない。
実際気持ち悪いし。
リーフはトコロテン製の刀を眺めると、
「能力名は
と命名してくれた。
―――漢字だけ見れば凄いカッコイイ!
名前も決まったし、後はウサギを3匹どうにかして倒さなきゃ…!
ルビが凄いことになりましたね。
我ながら読めないですね笑笑
頑張って進めます。
皆さんも是非応援してください!