転生者である俺が特典で好き勝手やってみたwwwww 作:胡椒こしょこしょ
食べちゃいたい。(栗山監督)
「栄えたる響き 、光となれ、
許されざるものを、封印の輪に。
ジュエルシード、封印!」
金髪の少年が一人、暗い森で不気味な影と相対している。
そして場面はいつの間にか変わって少年は一人倒れている。
「逃がし...ちゃった....。
追いかけ...なく、ちゃ…」
「誰か...、僕の声を聞いて....。
力を貸して...。魔法..の力を....。」
▲▲▲
....原作が始まらねぇ。
ずっと桃子さんのお菓子を夢に出てくるほど食べさせられたり、恭也さんと体中動けなくなるほど鍛錬させられたりの日々を送ってきてふと忘れていたが、ここはリリカルなのはの世界なのである。
よってそろそろ原作が始まっても良い頃だと思うのだが、始まる気配がまったくない。
あの淫獣フェレット何してんだよ、早く来いよ。
そう思いながらもボーッと今日もまた下校している。
「なにボーッとしてんのよ。」
金髪の少女が訝し気な顔で俺を見ている。
ボーッとしているのではなく、考え事をしているのだがまぁそんなこと言ってもガキには分からないか。
「うっせ、お前に言っても分かんねぇよ金髪。」
「はぁぁぁあああ?せっかく私が話しかけてやったってのになによその態度は。これだからガキの御守は嫌なのよねぇ。」
「ガキじゃねぇ、訂正しろ!」
激昂したかと思えば、俺を見て鼻で笑う金髪、またの名をアリサ・バニングス。
俺はそんなアリサを睨む。
そして前に居る黒髪の上品そうな少女、月村すずかはそんな俺たちをどこか微笑まし気に見ており、なのはは俺とアリサのやりとりを聞いて苦笑いを浮かべていた。
この二人となのはは小学1年生の時からの友人であり、なのはと住んでいる家が同じな俺は必然的にコイツ等とも一緒に帰るようになっていた。
まぁこの二人も一応主要なキャラの一人ではあるわけだからハーレムにぶち込む気だし、構わないんだけどね?
だがすずかにはニコポが効いている気がするのだが、アリサには効いている気がしない。
会った時からすごく突っかかってくるし、ガキ扱いして笑ってくるのだ。
前世の年齢を合わせてみれば俺は大人なんだからガキじゃない。
それなのにメスガキにガキと笑われてみろ、すごくイラッとするぞ。
コイツは俺が魔法を使えるようになったらチャームかなにかでハーレム構成員にして滅茶苦茶にしてやるからな....。
それまではガキガキ言って良い気になってろ!
「いや、今日私達の学年で夢を聞かれてね。正和君の夢がなにか気になって聞いたんだけど....」
すずかが控え目にそう言ってくる。
そしてその横でアリサが腕組みしていた。
「すずかが呼んだんだからボーッとしてないですぐに答えなさいよ。」
「黙ってろ金髪、....夢か。」
夢、この世界に来て...いや前の世界でも特に考えたことなかったことだ。
正直俺はもう最強系転生者としてミッドチルダでブイブイ言わせて女囲って豪華な暮らしをするのが特典によって決まってしまっているから考える必要もない。
だが、それで返事が出来ないなら出来ないで夢がない奴みたいで嫌だな....。
まぁアリサが言う通り、この3人は俺のことを年下の子供くらいにしか思っちゃいないだろう。
だからどんなに変な返答でも大して気にもしないはず。
なので下手に考える必要もないので適当に答えよう。
いやーこういう時子供の見た目は役に立つな。
「夢か....俺の夢は最強だ。誰にも負けない男になるっ!!」
ちょっとふざけたが正真正銘俺の夢だ。
はやく魔法使いとして特典で獲得した最強魔法を見せつけて、今まで俺を負かしてきた奴なんかをボコボコにしたい。
それをして初めて俺は最強系転生者としてこの世界で大手を振って生きていくことが出来る。
前の世界では味わうことのなかった並ぶ者のない頂点の感覚。
それを味わうことが出来るはずだ。
俺が夢を語るとアリサは目を見開いた後、鼻で笑った。
「最強ぅ?アンタそういうのは夢って言わないのよ。
ねっ?こんなバカなこと言う奴もいるんだから将来の夢がないことなんか気にする必要ないのよ。」
「そ、そうかな....?」
俺を見て心底愉快そうに笑うと、なのはに向き直り真面目な顔で言う。
それを聞いてなのはは俯く。
てかなんだ馬鹿な事って。
俺は特典がある時点で夢でもなんでもなくいずれ確定で最強になるんだよ。
今はまだ魔法に関わってないからアレかもしれないが、それは紛れもない事実だ。
そう考えていると今俺を見て笑っている金髪が滑稽に見えてしょうがない。
精々今の内にそうやって笑ってろやw
「なのはちゃんにしかできないこと、きっとあるよ。だからそこまで気に病まなくても良いんじゃない?」
すずかがなのはに笑顔を向ける。
するとなのはは暫く考え込むと顔を上げる。
「私にしかできないこと....正和君のお世話とかかな....?」
「い、いやそれはちょっと違うんじゃ.....」
すずかがなのはの言葉に苦笑いを浮かべる。
それは俺も違うと思う。
アリサもなのはに対して呆れ顔を向けている。
そんなことが自分に出来ることで一番最初に考え付くのは少しおかしいと思うぞ。
あっ、俺のニコポの影響かぁ!
いやーなんか悪いねぇwww
ん?夢の話....?
それにこの会話の流れ、なんか細部はちょっと違うけどどっかで聞いたような.....。
あっ!これ原作1話で傷ついたユーノ助けに行く前の流れじゃん。
マジかぁ~~!いよいよ始まっちまうか俺の時代が。
本編に入っちゃったら俺の最強魔力が火を噴いて俺の最強転生者生活の幕が開く。
待ちわびた瞬間の到来を予感してテンションが上がってしまう。
ほらっ!早くユーノの声を受信して!早く助けに行って!!
俺がなのはを注視する。
すると少し困ったような笑顔を浮かべて首を傾げるなのは。
そして俺たちは塾へ向かうためにアリサの言う近道を歩いていく。
正直小学生の時の勉強の内容なんて俺にとってみれば既に習った内容なんで塾なんか行く必要ない。
...でもまぁ親がなのはちゃんと同じ塾に行きたいだろ的な余計な世話を掛けてきたので行くことになったのだ。
...だがまぁ原作の流れを知っている身としては今日塾に行く必要がないと知っている。
塾に行く前にユーノの飛ばした通信魔法?を聞きつけてサボタージュするからだ。
さ、早く通信魔法飛ばしてくださいよ。
俺はなのはの欠席の理由でも考えといてやるか。
『誰か....僕の、声を...聞いて....』
あっ、ユーノ君だ。
頭の中で苦し気な少年の声が響いた。
てかなんで俺にも聞こえてるんだろう?
隣のなのはを見ると挙動不審な動作で周りを見回している。
どうやら聞こえたようだ。
目が合うとなのはが俺の手を突然握りしめる。
「...なんだよ。」
「大丈夫、なにも怖くないから....聞こえるだけだから。」
「...なに二人ともいきなり見つめ合ってんのよ。」
アリサが俺となのはに怪訝な目を向ける。
ん?
あれなんか口振りがおかしい。
別に怖くないんですけど。
てかむしろバッチコイなんですけど。
はやくユーノくんのところ行こうぜ!
『助けて....』
「声が...聞こえる....。」
「えっ?私にはなにも聞こえないけど。
すずかには聞こえる?」
なのはがぼそりと呟くのにアリサが首を傾げてすずかに聞こえるか尋ねる。
しかしすずかは首を振る。
「えっ、私にも聞こえないけど.....。」
まぁ当然だ。
彼の声が聞こえるのは魔法の素質がある人じゃないと聞こえないのだろう。
...多分。
俺も聞こえているしな。
てかマジでなんで俺も聞こえるんだろ。
なのはだけにしか聞こえないのかと思ってたけど。
『助けて....!!』
「こっちの方から聞こえる。行かないと....。」
なのはが森のある方向を見つめる。
そこまで分かんのか、すげぇな。
俺でも方向までは分からないのに。
まぁこの後なのははユーノ君の方に駆け出すだろう。
俺はどうしたら良いんだろう?
できれば俺もあのイベントに相まみえたいんだが、それじゃ展開が変わったりしかねない。
まぁ?なんたって俺は最強の魔力を特典に持つ最強系転生者だから?
もしかしたらユーノ君が俺に目を付けるかもしれない。
するとレイジングハートがなのはの手に渡らなくなってしまうのだ。
そうなったらリリカルなのはじゃなくなっちゃうからなぁ~。
いやー辛いわー、強すぎると気を遣わないといけないから辛いわ~。
というわけで俺はユーノ君の方へ向かう3人とは離脱して塾に行くか。
海外から月謝払ってくれている親に悪いしな。
するとなのはは駆け出した......強く俺の腕を握って。
えっ!?ちょっ、ちょっ、まずいって!
「な、なにいきなり走ってんだ!?放せって!」
俺がなのはに言うと、なのはは俺の目を見て口を開く。
「助けてって...聞こえたなら行かないと!!お願い!私だけじゃ不安だけど、....正和君が居るなら頑張れるから、だから一緒に来て!!」
なのはは走りながらも俺に頼み込む。
...ふ~ん、俺に頼み事か。
ま、まぁ俺は最強系転生者だからぁ?
その判断は間違いじゃないんじゃない?
良い判断してんじゃん、流石原作主人公。
ま、まぁそこまで頼まれちゃ一緒に行ってやらないこともない。
ここで行かなーいって言ったら可哀想だしな。
もしユーノ君に僕と契約して魔法少女になってよ的なこと言われてもなのはに直接押し付ければいいしね。
ニコポがあるから言うこときくやろwww
「...分かったよ。」
「ありがとう!」
俺が了承するとなのはは笑顔になる。
しょうがねぇなぁ....。
ま、とりあえず行った後のことは着いた時に考えよう。
「ちょっとなのは!?あのバカも一緒に行っちゃってるし!!!」
「待ってよなのはちゃん!正和君!」
後ろからアリサとすずかも後ろから追従してくる。
森の中を抜けて走っていく。
すると彼が見えてくる。
草むらで一人きりでぐったりとしている黄色いフェレット。
「あれは....あの子が呼んだの....?」
なのはがフェレットを見つめてそう呟く。
「ハァ...ハァ....まったくいきなり走り出してどうしたのよ二人とも!」
息を切らしながらもアリサが後から追いつく。
すると続いて追いついてきたすずかが傷ついたフェレットを目に収めて声を上げた。
「あ、見て、動物かな...?怪我してる....」
すずかの声を聞いてはっとしたような表情でフェレットの方へ駆け寄るなのは。
しかし駆け寄るも困った表情を浮かべる。
「け、怪我してる...けど、ど、どうしよう?」
するとそんななのはに歩み寄るアリサ。
「どうしようって…、とりあえず病院?」
彼女らしくないふわふわした返答。
彼女も傷ついた動物を目の前にして動揺しているんだろうか?
「病院じゃなくて獣医だよっ!」
そんなアリサに突っ込みを入れるすずか。
すずかはこんな状況でも冷静というかなんというか。
吸血鬼の家系だから血とか傷とかを見ても動揺しないのだろうか?
....いや、なんというかこの考えはあまりよろしくないな。
あまり家系とかそこらへんを理由にするのはなんというか気が進まない。
まぁ...下校の度に一緒に居るわけだし割とそこそこ付き合い長いからな、すずかとも。
取り敢えずこの状況で俺がするべきことは一つだけか。
「おまw普段偉そうにしてる癖に病院と動物病院の区別も付かないのかよwww
大丈夫?僕が違いを一から分かるように説明してあげまちょうかぁ~~?」
アリサを煽ることだ。
この野郎散々さっき馬鹿だのなんだの好きに言いやがって....。
コイツがこんなミスするなんて珍しい。
馬鹿にし返す絶好の機会と言えるだろう。
隙を見せた自分を恨むんだなっ!
「...へぇ、私に喧嘩売る気なのね。いいわ、明日覚悟しなさいよ。」
目を瞑り静かに俺に対して言い出すアリサ。
しかしここで引いては面白くない。
俺はなのはの背に隠れる。
「うわぁ...間違いを指摘しただけの下級生脅迫してる....。アリサ先輩こわぁ....。」
「....こぉのクソガキ、絶対泣かす.....。」
イラつきを抑えきれずに全面に出しながらも俺を睨み付けるアリサ。
いやー、さっきまで得意げな奴を虚仮にすると楽しいわ。
しばらくこのネタで弄ってやろう。
俺がアリサの弱みを一つ見つけた内心得意げになっている間もなのはとすずかはフェレットの保護について話していた。
「えーと、この辺りって動物病院あったっけ?」
「ちょっと待って、家に電話して手配できるか聞いてみるから。」
すずかは携帯を耳に当てて家の人と通話している。
彼女は広い屋敷を持っている程の名家のお嬢様であるから、メイドとかに電話しているんだろう。
....アレ、俺とアリサなにもしてなくね?
その後、すずかの手配によって動物病院の場所を把握した俺たちはユーノ君を傷口が開かないように包んで動物病院へと運んでいくのだった。
◇
声が聞こえた。
助けを呼ぶ声が。
夢で見たような光景と共に聞こえてきた。
私は隣の正和君を見る。
すると彼も周りを同じように見つめていた。
もしかして....正和君も聞こえるの?
そう思うと、私は彼の手を握っていた。
この声の主が何かは分からない。
でも彼は意外と怖がりなのだ。
お姉ちゃんとして安心させないと。
私は年上なんだからしっかりしないと...。
「...なんだよ。」
いきなり手を握った私を怪訝そうな目で見つめてくる。
「大丈夫、なにも怖くないから....聞こえるだけだから。」
私がそう言うと釈然としない顔で前を向く正和君。
案外彼は平気だったのかもしれない。
そうだとすれば、ちょっと恥ずかしいな。
『助けて....』
聞こえて来た声は助けを呼んでいた。
夢でも聞いた助けを呼ぶ声。
その声はとてもか細く消え入りそう。
なぜだか行かなくちゃと思う。
....でも私が行ってどうするの?
行ったところで自分に何かが出来るとは思えない。
『助けて....!!』
声はまるで私を急き立てる様に続く。
助けを求め続けている。
....やっぱり行かないと、助けを呼ぶ声を無視したらきっと後悔する。
「こっちの方から聞こえる。行かないと....。」
それに隣の彼も聞いているんだ。
彼の前で助けを求める誰かを見捨てるようなそんな姿は見せたくなかった。
...でもやっぱり行くのは怖い。
だから今からすることは多分私の我儘だ。
私は強く正和君の手を握った。
彼はいきなり手を引かれたことに驚いている。
「な、なにいきなり走ってんだ!?放せって!」
そう言って手を振りまわして振り解こうとする正和君。
急に引っ張ってごめんね。
でも君も同じく声が聞こえたなら....私と同じように助けたいと思うはず。
君はそんな人だから。
「助けてって...聞こえたなら行かないと!!お願い!私だけじゃ不安だけど、....正和君が居るなら頑張れるから、だから一緒に来て!!」
私は、一人じゃ無理でも...君の前でなら頑張れる。
弟のような君の前では強がれるから。
だからお願い、私と一緒に来て。
私は正和君に初めて我儘を言った。
思えば彼の我儘を聞くことは何度かあっても私から我儘を言うことはなかっただろう。
すると正和君はどこか嬉しそうな顔をしながらそっぽ向く。
「..分かったよ。」
私はそんな彼を見て笑ってしまう。
やっぱり君は私の思った通りの良い子だ。
「ありがとう!」
私は彼にお礼を言うと声の元へと走っていくのだった。
そして.....
「あれは....あの子が呼んだの....?」
草むらの中で一人、ぐったりとしている黄色い小動物を見つけたのだった。
相も変わらず自分には特典があると勘違いしている主人公。
特典なんてないんだからユーノくんが主人公にレイジングハートを渡すことなんか決してないんだよなぁ....。
そういう意味では要らない心配ですね。
そしてすずかの家系を傷ついた動物を見ても冷静でいられる理由かと一瞬考えて否定したのは彼女が原作で家系について悩んでいることを知っていることもありますが、長くリリカルの世界で暮らしてきたことで周りの親しい人に情が湧いています。
なので単なる転生先のアニメキャラとして見れなくなってしまっています。
よく考えれば彼がいるのはリリカルなのはの世界なので周りに居る人達も彼にとっては現実の人々であると言えますから良い変化ではあります。
問題は本人がそのことに気づいていないことです。