―EXストーリー、03【ネコネちゃんの幸せ】―
晴れ渡る快晴の空の下、爽やかな朝の始まりに目を細めると、そよ風がそっと私の周りの空気を換えて行った。目に映るもの何もかもが前回の時間と、逆行する前と同じとはいかないけれど、それは仕方のない事。失ったことも多いけれど、得た物もまた多い。この胸の中にある恋心を貴方に届けたい、ただそれだけの思いでこの時代に来たのだとしたら、それはきっと奇跡というもの。クスリと笑って、昔の自分ならきっと不思議な出来事なのだから、不思議な何かでおきたに違いないのですと言ったかも知れないと、ふと考える。思えばあの出会いが無ければ、ハクさんとの出会いが無ければ考える事も無かったのかもしれない。揺り籠に揺られる子供のように、思うことさえもありはしなかったかもしれない。貴方が居てくれたから、私は今も沢山のことに気付くことが出来る。そして今日も、ハクさん。あなたと一緒にいられる幸せに、心から感謝しているのです。
・ネコネ(私は、本当に幸せ者なのです。)
だから、まずは私のことが、寝ても覚めても忘れられないように刷り込みをする所から始めるのです。まずは他の女の子が近寄ってきたとしても、私がいるということを入念に意識させるのです。今のままでは力が足りなくても、将来的にはハクさん好みに成長することはわかりきっているのです。何故なら未来の知識で、私の【母様に対する態度】で見たところ、この勝負、私に勝機があるのだと感じ取ったのです。この隠密の中で勝利する確信を。
成長して、母様の面影を持つ私なら十分にハクさんを射止めることが出来るのです。これは未来でもそうだったのですから、間違いは無いのです。成長していく過程を見せて行きながら、女の子として変わって行く様を見せたなら。今度こそ結ばれることも夢ではないのです。
・ネコネ(そして、一番避けたいことがひとつあるのです。)
それは、ハクさんが右近衛大将になる事を避けることなのです。姫殿下であるアンジュ様と出合い、覚えもめでたくなってしまう重大な出来事だったのですから。絶対に、なにがなんでも避けるのです。あの太平の世において平和な時代を築いた立役者でもあるのですが、それは兄様に任せて、ハクさんと私の二人でエンナカムイにでも引っ込んでいることにするのです。それに、動乱なんて早々おきる物でも無いのですから、安心して傍にいることに専念するのです。それにしてもまさか【私に非常によく似ている子がいる】なんて思いもしなかったのです。雑草ちゃんなんて普段は言っているのですが、ふと思うのです。【この時代の本来の私は】どうなったのかということなのです。逆行の際に入れ替わったのか、それとも私が時代を越えてしまっただけなのか。なにかの運命を捻じ曲げてしまったのか。それがわからないのです。それに、私と【声も姿も同じ影武者】だなんて。普通あり得ないのです。まあ、妹みたいに思っているので。彼女さえよければ、ハクさんと私がエンナカムイに行く時には一緒に連れて行って、三人で仲良くするのも楽しいのかもしれないのです。
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ネコネのいる場所、そこはいつものように賑やかではあったが、いつも通りでは無かった。ハクとウコンとマロロとキウルの酒盛りに付き合って、自身も含めて五人でその場で楽しんでいた。とはいっても、自分が飲むわけではないが、お酌をしていたり、裸踊りに少しため息をついたりしているものの、雰囲気をそれなりにではあるがネコネ自身も楽しんでいた。
・ハク「うん、うまい。串焼きが酒に良く合うな。」
・ウコン「よし、俺の奢りだ。アンちゃんに串焼きをもう一本追加だ。」
・マロロ「ハク殿は良く飲むのでおじゃ、マロも今日はとことん飲むでおじゃるよ」
・キウル「買ってきた串焼き、確かに美味しいですけど、足りますかね。」
皆さんの酔いが回り、ハクさん達の宴は進んでいくのです。幸せな時間に、ハクさんがいて、兄様がいて、その仲間たちとしてマロロさんが、そして、キウルがいるのです。そう思うと、以前はあまりわからなかったこの酒盛りも、愛おしい時間なのだと理解できるようになったのです。そしてなによりも、愛おしい人が、ハクさんがいるのですから。大切で、宝物みたいな毎日に見えるのです。どうか、この毎日が続いて欲しいのですと、私はふと、祈っていたのです。
・ネコネ「まったく、飲み過ぎても知らないのですよ。」
だからでしょうか、この目に映る貴方がより愛おしく見えるのは。そうして、私は思うのです。ハクさんに、恋をしてよかったと。そう思うのです。
読んでくれてありがとうです!。