―雑草ちゃんとごめんなさい(前編)―
思うことがあるのです。手紙を出すことは出来なくても、故郷の、あの白銀の雪景色の中で、母様や父様は元気なのかなと。この帝都の中から、遠い地で、元気でいて欲しいと思うのです。今の私は、オシュトル様の妹として、ネコネちゃんの影武者として、毎日を過ごしているのですから。だからこそ負うべき責任もあるのです。
薄暗い部屋の中で、明かりを頼りに手にした筆は、手がプルプルと震えているせいか、書こうとしても、綺麗に文字を書くことが出来ないのです。目は動揺から焦点が定まらないし、額には冷や汗が流れてしまっているのです。そしてその状況を人はこう言ったのです。お仕置きと。
・私「調子に乗ってしまったのです。許してほしいのです。」
・キウル「いいえ、駄目です。許してあげません。」
勉強や礼儀作法についてキウル先生に教えてもらっている時に、調子に乗って心が浮ついてしまった時があったのですが、それを見抜かれて今はお仕置きを食らっているのです。しかも、お洒落な格好をした時に走り回って遊んでいたこともまとめて、ネコネちゃんに相談をしていたのです。今のうちに矯正しないとまた調子に乗って何かしてしまうのではないか、とも言っていたのです。私は今、とっても悪い子として絞られている真最中なのです。
・ネコネ「貴女は自由過ぎる時があるのです。この機会に反省するのです。」
うう…。わかっているのです。反省しているのです。もう調子に乗ってしまう事はやめるのです。こんな時にハクさんがいれば、仲裁に入ってくれるのですが、当の本人は、今日は見当たらないのです。白楼閣の女の主人様からご招待があったとかでクオンさんとほいほいと招待に招かれて行ってしまったからなのです。きっとこれがカルラと言う人のイベントなのです。見てみたい気持ちは少しあるのですが、そんな無粋なことは出来ないのです。宴に呼ばれた人以外が行くなんて、そんなことは出来ないのです。
それにしても、私はたぶん【才能に乏しい】のです。勉強をすれば間違いばかり。弓を試しに持たせてもらえば引くことが出来ず。勉強も出来なければ、力も弱い、出来ることと言えば足の速さを活かすことだけ。要するに走ることしか得意な事が無いのです。周囲から見ればお転婆も良い所のお嬢ちゃんと言ったところなのですが、今の私にはそれが許されないのです。人目を気にして、多少元気があるなと言うくらいに抑えないといけないのです。オシュトル様の妹と言うお役目があるばかりに、所作もそれに合わせてということなのです。
後は、調子に乗って迷惑をかけてしまったことを、何度でもいうのですが。ごめんなさいなのです。心配してくれる人や、関わってくれた人にとっても失礼な事をしてしまったのです。だから、ごめんなさいなのです。
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夜が明けて、私がもう一度訪ねてみると、ハクさん達は帰ってきていたのです。何事も無くて本当に良かったのです。まあ、無事と言っても、二日酔い的な意味でなのです。あの女の主人さん。カルラという人のイベントではハクさんが大分飲みまくっていたのを覚えているのです。だから少しだけ心配だったのです。
ただ、今の私はそれどころではないのです。お仕置きモードのキウル先生とネコネちゃんに特別授業を受けるように言われているのですから。あまり人のことを考えていられるほどには余裕が無いのです。
そうして、そんなことを考えていると、お仕置きと言う出来事がもたらしてくれた奇妙な縁を感じる話を耳にしたのです。
・キウル「姫殿下の生誕祭が近いですね。」
・ネコネ「そうなのです。キウルは生誕祭の時にはどうするのですか。」
お仕置きを受けるイベントがたっぷりと詰まっている姫殿下の足音が、なんとなくなのですがこの帝都の中を駆けまわっている気がしたのです。
読んでくれてありがとうです!。