生きることは悩むこと 2   作:天海つづみ

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 「ガキィィン!!」

 

 「ってえっ!!」

 

 「迂闊ですよ!!」

 

 赤い剣士は大剣を振るが、

鋭いハサミに弾かれた

 

 青いガンナーは的確に

背中の殻を撃ち抜く。

 

 ドンドルマ管轄、上位の火山

 討伐対象は将軍ギザミ

 

 鋏を振り上げ威嚇する巨大な青い

カニ…いやヤドカリ?

 

 「粉塵粉塵粉塵!!」(回復してくれ!)

 

 「甘えたいならお断りです!!」

 

 「ブォン!」

 唸りを上げて飛んでくる鋏、と言うより鎌

 

 熱い地面を転がり

 「俺だって甘えるなら女の子に甘えたいわ!!」

 大剣を担いで走る

 

 ギザミが周囲を凪ぎ払う、

 しかし赤い剣士は溜め斬りを強行、

当然吹き飛び

 「やばいやばいやばい!!」

 

 「だからなぜ攻撃に攻撃をあわせるん

ですか?!!」

 仕方なく粉塵を使う

 

 

 

 ……………………

 

 

 

「やっぱり失敗しましたねぇ」

 メガネのギルドスタッフに無表情で

言われる、普段は誰にでも

笑い掛けるのに…

 

 しかし赤い剣士は

「今日は何時に上がる?空いてる?」

 ニコニコ子供っぽい笑顔、

 この剣士は自覚している、

 この無邪気な笑顔でコロッと…

 だが普通は大物を狩った後などに

言うものだ、

 ボロボロに負けた上に三落ちして

言うのだから図太い。

 

「お母様に報告しますよ?」

 中指で眼鏡を上げると、レンズの

奥で漆黒の眼がキラリと光る

 

 剣士は苦い顔になるとスゴスゴと

テーブルに着く

 

「懲りませんね、負けた後にナンパとは…」

 青いガンナーは侮蔑の目を向ける

 

 「ここじゃあ母ちゃんの支配下だしなぁ」

 赤い剣士はテーブルに突っ伏しながら、

 ギルドマネージャー、ベッキーの息子で

あるため行動は全部筒抜け

 「ミハエルぅ、遠征しようぜぇ?」

 

「そういう事は実力がある人が言うことです」

 ビールを飲みながら美形のガンナーは呆れる

 

 「一応下位は終わりそうじゃん!!」

 起き上がって力説するが

 

 「ソロで終わらせてないでしょう、威張って言うことですか?」

 

 バァン!とギルドの入り口、スイングドアが

乱暴に開き

 

「何で勝手に上位行ってるのよ!!」

 下位クエストから帰って来た小さなハンター、

名前はエミナ

 テーブルに走ってきた

 

「各地形と採れる物は把握できましたか?」

 美形はニコリと笑いながら聞く、金髪、

紫の瞳、背が高いモデル体型

 名前をミハエル、

無駄の少ない期待のガンナー

 

「採取しかやってねぇだろ?」

 黒髪の癖毛、黒い瞳、浅黒い肌の

ガキ大将、名前はハルキ

 無駄ばかりの期待の?剣士

 

「採取しないハルキに言われたくない!!」

 指を差し叫ぶ、周りは『いつものこと』と

スルーしている。

 

「面倒だろ、採取する位ならモンスター

多く狩った方が強くなるだろ?」

 

「それは狩れる人が言うことでは?」

 

「アッハ!やっぱり負けたか」

 教官シリーズの美人がテーブルに来た、

名前はアルト、ミハエルの母親にして

元最強ハンターの一人

 

 「母様、無理言ってすみません」

 下位なのに無理言って上位に挑戦させて

もらったのだ、

 理由はハルキの性格に灸を据えるため、

上昇指向が強いのは良いが、基礎が出来て

おらず不安定すぎる

 

 「あの…すいません…」

 ハルキは頭を掻く、

もちろん反省などしていない

 

「これで分かったでしょ?

 下位と上位で全然違うし、下位が出来て

いない奴は上でも通用しないわ」

 指を一本立てて説明するアルト

 

 こんなのは例外中の例外

 

「エミナもいるし、下位を見直す良い

チャンスじゃない?」

 

「じゃあリオレウス手伝ってよ!!」

 ツインテールを揺らしながら

 

「いまさらレウスかよ」

 ハルキは不満そうにするが

 

「ソロで安定して狩れないでしょうに」

 ミハエルはまた呆れる

 

 

 ………………

 

 

 ドンドルマ管轄下位 森と丘

 「ちょっと!ハチミツ拾いなさいよ!」

 

 「うるせぇなぁ、一個位拾わなくても

変わらねぇだろ」

 

 「採取は基本なんだよ?!」

 

 これがハルキの欠点の一つ、

 ハチミツは回復薬グレートの素材となる、

 一回 回復出来る、それはつまり

 『一回 命を繋げる』事に他ならない、

難しいクエストならばその一回が成否を

左右するそれがハルキには分からない、

生来適当な性分らしい。

 

 それともう一つ

 

 

 「そっち行ったよ!!」

 

 「任せろ!!」

 リオレウスの突進に合わせて溜め斬りの

体勢に入る、タイミングバッチリで頭に

斬り込むが

 

 「ドガッ!!」

 「どわぁっ!!!」

 

 当然吹き飛ぶ

 

「バカなのアンタは?!!」

 

「まったく…」

 仕方なく粉塵を使うミハエル

 

 我が強くて人の言うことは聞かないし、

基本的に自己中

 要するに反省が無いために成長しない、

 その上父親が元伝説レベルの最強ハンター

 

 子供の頃から(今も子供だが)当然比べられた

 

 結果ヒネクレている

 

 ……………

 

「ワシには手に余るなぁ」

 ギルドマスターは呆れる、

 ハンターは本来犯罪者や、ならず者が

多かったがハルキは違う、どちらかといえば

優れた血統のサラブレッドのはず…

 なのになぜこうなる?

 

 多くの問題児も育てたが…

 今まで見てきたハンターとは

 全くタイプが違う

 

 竜人ドンドルマはしばし考え

「兄の所に行ってみんか?」

 

「兄?」

 首を傾げるエミナ

 

「まさかココット村ですか?」

 驚くミハエル

 

「やったぜ!遠征だぁ!」

 母ちゃんの支配から逃げられる!

 




スマホが変わりアプリも変えたら
文体の修正をどうやったか忘れてしまい、
読みにくくてゴメンナサイ。

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