生きることは悩むこと 2   作:天海つづみ

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真相と情

 

「なんだか似た名前ばっかりだよな」

 エミナナズナカリナカンナ

 

「私は東の生まれなのにお母さんに付けら

れたからね、この辺りに多いんだ」

 またムスっとするエミナ

 

「ねぇ、結局私の村の教官って…」

 

「ナズナさんが出ている間に村長に聞いた

話を総合すると、ナズナさんはハンターナイフ

が買えませんでしたね?」

 

「うん、家が貧乏だから教官に借りてた、買った

のは最後だった」

 恥ずかしい

 

「結局そこだったんです」

 教官は最初に生徒を募り、ハンターナイフを

売った、しかし買えない者もいる

 

 すぐに買えた者は金がある、

おだてておけば次も買う、

 買えない者はどうでもいい、

 つまりセンスや才能と言っていたのは…

 

「なんだよ、それだけの話かよ」

 

「何か詐欺っぽーい」

 

「詐欺っぽいではなく詐欺でしょう」

 

「じゃあ私がハンターに向いていないん

じゃなくて…」

 

「そうです…顧客としてどうか…

という評価ですね」

 

「村ごと詐欺に引っ掛かったのかよ?」

 

「なにしろ500zで売ったらしいですから」

 笑うミハエル

 

「ごひゃくっ!!?」

 

「嘘だろ?!ナズナ!」

 

「え?もしかして高いの?」

 

「ココット村に帰ったら加工屋さんで

見てください」

 

 森の中の街道

 新緑の香りと夕日の木漏れ日

 影が四本伸びている

 

 

 

 

 …………

 

 

 

 

「170z……」

 呆然とするナズナ

 

「どうした?姉ちゃん?」

 不思議そうな加工屋

 

「加工屋も専属のハンターも居ないよう

ですから……」

 

「相場を知らなかったんだね」

 

「良いカモにされた訳か」

 

「悪質ですね、報告案件です」

 

「何か…がっかり…」

 私も加工屋の商品見てなかった

 

 

 ギルドに入ろうとすると

「ハルキ君!!」

 

「え?…教授?!」

 

「ハルキくーん!!」

 少し背が低い童顔の男が走ってくる、

丸いメガネに無精髭、学者のようなカッコ

 男同士で抱き合う気か?

 

 しかし…美しくない

 ミハエルならまだ絵面が美しくなるだろうが

 

「ガシッ!」

 

 

 ハルキが頭を掴む!

「だから抱きつくなよ教授!」

 

「ハルキ君!痛い痛い!メガネ割れる…」

 

 

 

 

 …………

 

 

 

「僕は王立古生物研究書士隊所属、

マルクと申します」

 一礼する学者、ナズナと同じ160位の身長

 

 ギルドのテーブル

 飲みながら話す

 

「何でココに居んだよ!」

 ギルドの中で話を聞く

 

「なんかさ、ドンドルマのギルマスに書類を

届けてくれって頼まれたんだ」

 ニコニコ良く笑う

 

「ハルキの学校時代の先生なんですね?」

 

「教授って割には偉そうじゃないね!」

 まだ若いようだが

 

「ハルキって本当に学校行ったんだ…」

 頭良さそうには見えない

 

「ハルキ君は優秀なんだよ?」

 笑うと本当に子供っぽい

 

「どういう勉強だったんです?」

 

「そうだね、色々あるけど一番活躍したのは

調査だね」

 指を立てる

 

「調査ってなんですか?」

 私は聞いたこと無いよ?そんな単語

 

「新種のモンスターの発見とか飛竜の卵の

状態とか、ツガイの状況とかよ」

 エミナが得意気に答える

 

「そう!外にも新種の植物の採取、

調合実験とかね」

 

「なんだかハンターの基本に近いですね、

意外です」

 

「僕の班員をまとめてくれていたのがハルキ

君なんだ」

 

「アンタがホッタラかすから俺が面倒見る

しかなかったんだぜ?」

 

「ほったらかす?」

 どういうこと

 

「この人よ、モンスター見ると一目散に

走り出すんだよ」

 ハルキは呆れている

 

「モンスターに…突っ込むの?」

 

「モンスターのスケッチするために一人で

突っ走るんだよ、その間は俺が指揮してたんだ」

 

「責任を放棄してハルキにやらせたんですね?」

 

「モンスターから何度も助けて貰ったし、

班員にもケガさせなかったんだよ」

 笑ってるが

 

「それは丸投げってやつじゃ」

 イジメっこの押し付けみたい

 イヤなこと全部私に…

 

「ハルキ君!戻って来てよ!この前班員に

ケガ人出しちゃってさ、責任とって(僕が)降格に

なっちゃうよ?」

 

「俺は卒業したしあんたが責任者だろ、

当然じゃねぇの?」

 

「なんかハルキが頼りにされてるって意外だわ」

 私と同じ19才なのに

 

「ほら、良く言うよね?上司がダメだと部下が

成長するって!」

 笑う丸メガネ

 

「それは本人が言う事じゃありませんが…」

 ミハエルが珍しく苦い顔になる

 

「ああっと!飛行船待たせたままだった!

料金加算される!」

 ドタドタとギルドを出ていく

 

「何か嵐の様な人ですね…」

「でも面白そうだよね!」

「まぁ退屈はしなかったぜ?

 次の瞬間何するかわかんねぇ人だからな」

「私ならストレスで逃げたくなるよ」

 でもハルキが頼りにされてるって…?変だよね

 

 

 …………

 

 

 

 ギルマスの部屋

 

「報告は以上です」

 ミハエルは一礼する

「むう、ご苦労じゃった」

 ベルナ村の報告を終えた

 

「のうミハエル、お前はハルキをどう思う?」

 

「どう…とは?」

 

「ハンターとして、じゃ」

 

「2ヶ月で下位をほとんど終わらせた

スピードは驚異ですが…」

 

「やはり不安定かの?」

 

「妙に勘が良い時と悪い時が」

 

「うむ、分かった」

 ミハエルが出ていく

 

「ドリスや、やられたのぉ」

 

「はい、一度探りを入れただけで逃走すると

は思いませんでした」

 一礼する、今は青いメイド一式

 

「して、資料はどうじゃ?」

 数日前のハルキの対応を聞いて不審に思い、

ドンドルマのギルマスに詳しい書類を送れと

連絡、適任者に持たせると返信があり

教授が来たのだ

 

「ハルキの戦績はギルドカードと

相違ありません」

 

「やはりネコタクばかりかの」

 

「はい、三落ちもチラホラ」

 

「ヌシを一発で見抜いた勘の良さが

解らんなぁ」

 

「強いか弱いかハッキリしません」

 

「マルク教授の話では頼りになったそう

だがのぉ、そうは思えん」

 

「それにドンドルマではワガママだった

そうですが…」

 

「そんな様子も無いしのぉ」

 

 

 

 

 …………

 

 

 

 

「ナズナ、お前笑うようになったな?」

 中年のハンター、オリベに話し掛けられる

 

「そうですか?」

 そんな意識はしてないが

 

「前はボソボソ何言ってるか

解らなかったぜ?」

「普通に喋るようになってるぜ?」

 

「貞◯もやめたしな!」

 ギルドに笑いが出る

 

「私、明るくなってるの?」

 やだ、嬉しいかも

 

「いや、普通になっただけだろ?

地味子だぜ?」

 ハルキが笑いながら

 

 地味子ってなによ!

 

「イジメた連中に実力みせつけて

スッキリしたんじゃない?」

 ニコニコするエミナ

 

「まぁ、私達の私情も含めてでしたけどね」

 

「あ、ミハエル、報告終わったぁ?」

 ツインテールが振り返る

 

「報告?何の?」

 

「もちろんランポス討伐絡みですよ?」

 

 

 

……………

 

 

 

「そんなやつがいるんだな」

「詐欺師か、なるほど、

田舎ばっかり狙うんだな」

「ギルドが無いから相場が解らねぇのか」

 

「どこ逃げたんだろうね」

「またギルドの無い地域か…」

「田舎にだろうな」

 

「あの、今回のクエストって…四人も必要だった?」

 今考えると何かおかしくない?教官の事とか

 

 三人が注目する

「ランポス程度に四人も必要ないですよ?」

 笑う

 

「私ら見たかったんだよ、

ナズナいじめた連中と教官」

 こちらも

 

「仕返ししたくてなw」

 

「最初から私のためだったんだね、

何でそこまで…」

 

「ナズナや」

 

「ギルドマスター…」

 

「前にワシが言った事を覚えてるかの?」

 コツコツと杖をつく

 

「何も与えない者は何も得られない

…でしょうか?」

 

「それはな、恩や義理とも言われる、

人の世に必要なモノじゃ、だがこの三人は

それを越えるモノで動いたんじゃ」

 

「越えるもの?」

 

「私はナズナが気に入ったからやったんだよ?」

 

「私もです、笑わせて貰いましたし」

 

「俺は見た目だけじゃないぜ?

心からお前を思ってるぜ?」

 

「嘘ばっかり!」

 エミナの突っ込み

「嘘じゃねぇ!」

 ギルドに笑いが起こる

 

「ナズナや、コレを『人情』とか『情』と

呼ぶんじゃ」

 

「情…」

 

「いつ得られたかお前は知らんじゃろ」

 

「いつ…?」

 私何かしたっけ?

 

「さあのぉ、一緒に笑えば情が湧くんじゃが

…ヌシは記憶がないからの」

 笑うギルマス

 

 

 

 …………

 

 

 

 頭痛い、

 起き上がるのがツライ

 

 ノロノロと動き出す

 

 とりあえず顔洗って

 

「ん?」

 何だ?この違和感

 頭の横に………

 

 

 だからなぜツインテール!?

 

 

 

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