生きることは悩むこと 2   作:天海つづみ

13 / 30
イメージ

 

「目標ですか?」

 

「私はあるよ?」

 なぜか得意げなエミナ

 

「何?」

 

「お母さんだよ」

 

「お母さんみたいなハンターになりたいって事?」

 

「うん、とりあえずあの人は越えたい」

 

 たしかバケモノじゃ?

 

「だからハンターになったんだ、お母さんは

元上位だから私はG級目指す」

 天井を指差す

 

 母親をライバル視してるのか

 反抗期?

 

「ミハエルは?」

 

「私の場合、両親共にハンターで

身を興した人ですから」

 

「ミヲオコス?」

 何の事だか理解出来ないナズナ

 顔いっぱいに?が浮かぶ

 

「つ、つまりですね…」

 父親は貴族、母親は大金持ちの出身だが、

父親は家を飛び出し、母親は孤児になった、

 つまり金もコネも無い

 しかし縁があってガストンに拾われ、

裸一貫からハンターになり、四英雄まで

駈け上がった

 

「ちょっと待って!ミハエルって貴族なの!?」

 貴族ってたしか毎日美味しいモノ食べて、

遊んでるだけで暮らせるスゴい世界じゃ?

 

「血縁はありますが、私には家を継ぐ権利など

ありません」

 

「無いの?」

 何かがっかり…いやいや

 

「叔父が家名を継ぎましたから…その代わり自由

です、両親からは好きに生きろと言われてます、

…で、とりあえずハンターを」

 

「ミハエルも目標は無いってこと?」

 

「叔父がレールを敷きたがっていますが…」

 叔父は独身、そのためか甥っ子のミハエルを

気に掛けており、上位になったら書士隊の

総責任者にしたがっている

 

「総責任者って?」

 

 黙っていたハルキが口を挟む

「この前の教授いるだろ?あの人達のもっと上だ」

 

「それって偉い人になれるんだよね?」

 

「それはコネというやつです、使ったら両親に

申し訳もできませんし、…まぁエミナのように

言い換えれば負けた事にもなりますね」

 

「親を越えたい気持ちなんだね…?」

 

「越えたい……んー、そこまでは思いません、

さすがに四英雄までは……」

 

「そうなんだ…ハルキは?」

 

 

「モテたい!!!」

 

 腕組みしてふんぞり返る

 ギルドが爆笑に包まれる

 

「あ…あー、えーと、真面目に…」

 コイツはホントに…

 

「何だよ?真面目に答えてるだろ?」

 

 何なんだ?このド直球

 

「いや、今の意見はアリだぜ?!」

「女にモテたくてハンターやるヤツはいるんだぜ?」

 他のハンター達も同意する

 

「もうちょっとこう、別な表現とか無いの?」

 

 ハルキは首を傾げ

「女から寄って来られたい!」

 また爆笑するギルド

 

 素直ではあるんだけど…

 モテたいか…

 女のハンターってどうなんだろ?

 モテる?

 

 

 次の日

 

 

「ナズナさんには一人でクックをやって

もらいます」

 

「え!一人で?!」

 不安!自信が無い

 

「不安ですか?私も行きますよ?」

 何だ…良かった…二人で…

 

 

 二人っきり!!?

 

「はい!いきますぅ!」

 やったぁ!二人っきり!

 

「ナズナぁ、ヨダレでてるよぉ?」

 ニヤニヤするエミナ

 

「えっ?」

 

「うっそーw」

 

 口元を拭う形で固まる、やったなイジメっ娘

 

 って言うか反応する私も私だよ…

 

「エミナとハルキはどうするの?」

 

「私は加工屋に防具の相談」

「俺は武器だな」

 

 

 ココット管轄 下位 森と丘

「道具類はどうですか?」

 一応装填する

 

「閃光玉は調合分も持ってきてます」

 

「私は一切攻撃しませんし、雑魚にも手を

出しません、アドバイスだけです」

 

「はい!」

 二人っきり♪

 

 

 

 

 先ずは雑魚掃除、巣穴から重点的に

ランポスを狩って行く

「剥ぎ取らない?」

「私はしません」

 真面目だよねぇ

 

 次に3番、ここもクックが良く立ち寄る、

そして9番…いた

 

 走ってペイントだけで逃げて来るナズナ

 

 

 なるほど、地形的に不利と判断しましたね、

極端にリスクを減らすタイプ、ガンナーを

手探りでやったからですね

 

 しかし…

肥やし玉も当てれば効率が良いんですが…

 

 ナズナさんが肥やし玉を作っているのは

見たことがない…

 

 重要な道具なんですが…

 

 

 3番で暫く待つ…来た!

「でぇい!」

 風圧の範囲が狭い!

 レウスより楽に斬れる

 尻尾が回るが

「ガシュッ!」

 

 逸らして潜り込み更に斬れる

 

 モノにしましたね、クック相手なら

エミナと同じ位かもしれません

 

 

 しかし

 

「きゃあっ!!」

 啄み!四回連続でガードが崩された

「ぐううっ!」

 何とか立ち上がる

 

 さぁここからです、ナズナさんの不安点は

 

 ナズナは隣のエリアへ、ミハエルも追って行く

 

「何してるんです?」

 

「え?回復と研ぎを」

 何で注意されるの?

 

「リスクを減らす意味では正しいですが、

パーティーだと嫌われますよ?」

 

「嫌われる?」

 意味が分からない

 

「戦力にならないと思われます」

 

「だけど…」

 危ないじゃん

 

「以前に質問しようと思っていたんですが、

ガンナーの時、リロードをどうやっていました?」

 

「え?…隣のエリアで…」

 

 やはり!

「エリアの境界から撃っていましたね?」

 表情が厳しくなる

 

「うん」

 安全でしょ?何がダメ?

 

 これだ、

一人で怖がるあまりリスクを極端に減らした

 

 結果長距離からダメージの無い攻撃をしたし、

視界も理解できていない

 

 ソロなら正解でも、

 パーティーなら不正解

 

「ハンターを続けるなら、これから教える事を

真面目に聞いてください」

 

 ミハエルの表情と言葉の厳しさにナズナは

ちょっと後悔する

 

 二人きりで浮わついてた

 

 そうだよ、狩りの間は真面目なんだよ

 

 

「クックの突進を想像して下さい」

 ナズナとスレ違う様に歩くミハエル

「ナズナさんは回復したい、さぁどうします?」

 

 ナズナは振り返りミハエルを見た後、

回復薬を飲むマネをする

 

「それです!」

 

「これ?」

 

「ブルファンゴの振り返りの話を覚えてますか?」

 

「何秒掛かるかの話?」

 

「そうです」

 自分の横を通り過ぎたモンスター、

その後立ち上がり、目標を定め、攻撃する

 

 自分の視界から出たら数秒はは安全

 その間に回復するし熟練すれば研ぐ事さえ出来る

 

「え?そんなに余裕なの?」

 恐くない?

 

「そうです、ナズナさんは振り返り、モンスター

が立ち上がるまで確認してから回復してます」

 

「私…そうなの?」

 

「試して見てください」

 

 

 …………

 

 

 

 クックが通り過ぎる

「グビッ」

 飲んでから振り返る

 

「あっ!!」

 クックがもう一度突進を始め、こちらに来る

 回避が間に合う!!

 皆こんなタイミングで回復してたんだ!!

 

「じゃあ今度は!」

 思い切って研いでみる

 

「な!?ナズナさん!!」

 

 

 

 

 

 …………

 

 

 

 

 

 あれ?…なんだ?…この懐かしい感じ…

 

 

 遠くに感じる騒音と…振動…

 

 

 

 

「ドザァ!」

「ふぎゃっ!!」

 ネコタクから放り出されるナズナ、

にゃあにゃあ走って行く

 

「いっ…たぁい」

 久しぶりの感覚、多分クックの攻撃を

後ろからマトモに受けた

 

 ミハエルが走って来た

「無茶しましたね」

 転がっているナズナの顔を膝まづいて覗き込む

 

「まだ私には早いみたい」

 やだ、顔近い…

 木漏れ日の中でキラキラするミハエル

 

 …ってダメダメ、浮わついちゃ

 

 

 

「今回の事を何度も考えて下さい」

 

「何度も?」

 

「自分の隙を減らすんです」

 

 ???

 

 

 

 ………

 

 

 

 ギルマスの部屋

「何?…なんですか?用って?」

 エミナが首を傾げる

 敬語に言い直す位には社会性が出来てきた

 

「エミナよ、率直にハルキをどう思う?」

 

「バカ」

 

 ギルマスが疲れた顔になる

 

「そうではなくてな、勘が良いとかあるだろう?」

 ドリスが厳しい口調で聞く

 

 少し考えると

「時々スゴく強いけどバカだよ?」

 

「うむ…たとえばじゃ、どんな時がバカなんじゃ?」

 

「採取が適当だったり、

変なタイミングで斬り込んだり…」

 

「しかしリオレウス戦での話を聞く限りでは、

大技をやったらしいのぉ?」

 

「あれスゴかったw私も大剣やりたくなったもん!」

 

「では質問を変えよう、ハルキはパーティーに

必要だとおもうかの?」

 

「……………?」

 考え込むエミナ

 

 

「必要…ん…?…必要」

 

「それはなぜかの?」

 

 

「あいつは…あれ?…なんでだろ?」

 

 

 なぜだ?なぜ必要なんだ?

 

 

 自分でも分からない

 

 

 あれ?

 

 

 あれ?

 

 

 …………

 

 

 

 

 無事に?狩りを終える

 初めて剣士でソロで狩れた

 私って凄い!

 

「もしかしてだけど」

 

「なんです?」

 

「皆は通り過ぎてからじゃなくて…」

 

 ミハエルが何かを待つ様な顔になる

 

「突進が始まった時には飲みはじめてる…かな?」

 

「正解です!自分の隙とモンスターの隙を

理解する事です」

 笑顔のミハエル

「正確にそれらが計算できればリオレウス相手に

肉を食べたり、凄い人は肉を焼いたりするそう

ですよ?」

 

 もう変人の領域じゃない?

 

「私の両親も出来たそうですから」

 

 あっぶなぁ、口に出すとこだった

 

「後は視界ですね」

 

「視界?」

 

「視界の外は見えてますか?」

 

 何言ってんの?見えるわけないじゃん

 

 ナズナが首を傾げる

 

 

「イメージして下さい」

 

 

 

 …………

 

 

 

 

「何だ?ナズナは見えてねぇのか?」

 オリベがジョッキを置く

 

「皆さん見えてるんですか?」

 ナズナの周りに人だかり

 

 今ギルドにはドリス、エミナ、ナズナしか

女性は居ない

 

 事務的なドリス、子供のエミナ

 

 当然ナズナにオッサン達は寄って来る、

しかしナズナ自身には自覚が無い

 

「下位は見えネェの居るらしいな?」

「全員が見えてるぜ?」

「イメージすんだよ」

 

「イメージ?」

 それが分からない

 

「せっかく基礎材料があるのに、それを

繋げられないんですね」

 ミハエルが説明する

 地形とモンスター、そして自分の位置と状態を

イメージ出来れば、レベルは飛躍的に上がる

 

「どうすればいいの?」

 

「じゃあさ、このギルドを上から見て」

 エミナが上を指す

 

「上?」

 ナズナも指差す

 

「そうじゃねぇよ、上から見下ろすイメージだ」

 ハルキも

 

 ナズナは目を閉じる

 

 見下ろす…四角い広い部屋

 

 テーブル…自分…皆

 イメージは出来る

「皆こんな事考えて狩りしてるの?」

 

「逆に考えないで狩りしてるお前が不思議だぜ?」

「挫折するヤツは大体そうだぜ?」

「俺の昔の弟子に居たなぁ」

「下位で止まるヤツは後ろが見えてねぇからな」

 ワイワイ騒ぐ

 

「課題が見えましたね、ハンターを

続けるなら必要です」

 

 イメージか…後ろのイメージ

 

そしてこれからのイメージ…

 

 




オンにいると
『後ろに目が付いてる』
ような人を見る、
何時間やったらあぁなるんだろ
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。