時々凄い
妙に勘が良い
バカ
変なタイミング
採取しない
三落ち多数
そしてあの鋭さ
「うむぅ…」
書類を見るギルマス
「ドンドルマへ報告できませんね」
いつも通り直立のドリス
「確かに解らん、こんなヤツは今までおらんのぉ」
杖で床をコツコツと突く
「今度はナズナに聞いてみようかの?」
まだまだ素人だし当てには出来んが
「でしたら…」
…………
「ハルキと二人で?」
ちょっと不安なんだけど?
雄に比べれば弱いらしいけど
「そうだ」
ドリスに依頼を伝えられる、
討伐対象はリオレイア
「何だ?コイツらは参加できねぇの?」
ハルキが親指で後ろの二人を指差す
「二人には別件の仕事をしてもらう」
「なに?別件って?」
「ギルドからの依頼…ですか?」
「近隣の村からモノブロス出現の報告があった」
「来たぁ!!」
「待ってたぜぇ!!」
「早速準備だ!!」
「クジ引きか?!」
ギルド中が大騒ぎ
「静かにっ!!」
ドリスの一喝で静まると
「報告が曖昧でな、はっきりとモノブロスとは
言い難い、ディアブロスである可能性がある」
「なんだよ…」
「空振りか…」
「ずっと待ってんのになぁ」
今度はギルド中がガッカリしている
「何?どうなってるの?」
ナズナはキョロキョロ
「お前…まさかモノブロス知らねぇの?」
「それはハンターとして知っておかないと
いけませんね…」
「カッコつかないよね」
何の事?
ココット管轄 下位 沼地
北側に広い草原がある、旧沼地と違い洞窟が
大きい、泥濘を歩く
「モノブロスって?」
「あー、教えてやるよ」
かつてこの大陸中を旅して歩いた四人の竜人、
四大英雄、そのリーダーがココット
「ギルマスね?」
「そうだ」
ココットの妻がモノブロスに殺された、
ココットは仇を取るため一人で立ち向かった。
現在はそれにならって一人でモノブロスに
立ち向かうのが礼儀とされている
「礼儀?」
「っつーか儀式だな、これをやれば英雄に並ぶ、
そんな意味なんだろ?」
「じゃあ他の人達はそのために?」
地元出身のハンターは居ないらしい
「上位の人達は大体モノブロスが目的で
来てるだろ?ココットで育ったハンターは
少ねぇ…だからさ」
意味ありげにナズナを見る
「だから?…何?」
何その視線
「ココットでハンター始めるヤツが
少ねぇんだよ、だからナズナに期待
してんじゃねぇの?」
「私期待されてるの?」
弱いよ?私
「『ココット出身』って言えるハンターが
久しぶりなんだろうよ」
ココット…生まれはベルナだけど…
ハンターはココットか?
…………
ココット管轄 旧砂漠
砂混じりの風が吹く暑いエリア
「見つけても手を出せないのは残念です」
「様子見位ならいいんじゃない?」
モノブロスを探す二人
砂に足を取られる
「自分を高めるためには避けて通れないですね」
「私もいつか狩らなきゃならないヤツだし」
「ですが見つけても二人では…」
「あ、そうか!ソロにならない!」
エミナはガッカリする
「なぁんだ、期待しちゃった」
「狩る訳には行きませんね」
その辺も含めて二人にしたんですね…
さすがドリスさん、抜け目無い
私達がソロなら確実に手を出してます
砂漠の真ん中を砂埃が走る!
「エミナ!」
「オッケー!」
二人とも地面に伏せて様子を見る
砂が熱いが我慢する
…………
「ガスッ!!」
「ぐうぅっ!」
「ナズナ!」
突進を食らって転がる
「待て!寝てろ!」
真上をレイアが通過する、なぜか踏まれない
漸く起き上がる
回復薬を持つと
「こっち来い!!」
ハルキの方へ走る、明後日の方へブレスを
撃つレイア、その横で余裕を持って回復
ハルキの指示通りにすると全部余裕になる
「三回突進するのね?!!」
イメージ出来た!
イメージの意味が理解出来た!
上から見下ろす感覚
「だから陸の女王だ!!」
三連ブレス!
「ナズナ!横!」
回避して射線から出るが、ハルキは避けながら
前へ走る!
「うおらぁっ!!」
頭に抜刀斬り!
「凄い!」
横から足を斬りに行く
「馴れよ馴れ!!」
こっちは更に斬り上げる
……………
砂が盛り上がった次の瞬間、
現れたのは二本の角
「空振りですねぇ…」
「うっわぁ残念…」
ディアブロスが砂から飛び出しサボテンを
食べている
「見たかったのになぁ…」
「私もですよ」
立ち上がり眺める、
任務終了だ。
「…ねぇミハエル」
横目でミハエルを見上げるエミナ
「なんです?エミナ?」
横目でエミナを見下ろすミハエル
「準備って…してきてる?」
笑う
「私は常にしてますよ?」
こっちも笑う
「……様子見だよね?」
「様子見ですねぇ…」
間
向かい合ってニヤリと笑う
「「そーゆー事で!!」」
二人で飛び出す
……………
「ナズナ!!」
「ひぐぅっ!!」
襟首を掴み後ろへ倒された
飛び上がったレイアの尻尾から紫の毒が滴る
「これがサマーソルト!?」
「そうだ!レイアの大技だ!」
ハルキは溜める
「その代わり無防備だ!」
着地寸前の尻尾へ溜め斬り
「ズダァン!!」
「落ちたぁ!」
尻尾に斬り掛かる、ハルキは頭に更に溜め斬り
「そろそろ切れるぜ!」
言った瞬間、突然レイアがジャンプ、
ナズナは思わず目を瞑ってしまったが
「おい!切れたぜ!」
ハルキの声で目を開ける
遠くに着地したレイアと…
何だ?これは?
緑色したトゲの塊が落ちている、尻尾が斬れる
とは聞いていたが根元からじゃなく先端か…
それに…
「ボケッとすんなっ!」
「は、はいいっっ!!」
血が出てない断面が…なんだか…
美味しそうなんですけど!
「サマーソルトの予備動作覚えろ!!」
予備動作って何?!
レイアは脚を引き摺り飛んで行く
「ハルキ、予備動作って何?」
「サマーソルトの前に後ろに下がるだろ?あれだ」
二歩下がるハルキ
「何かさ、陸の女王って割には…」
ハルキはニヤッとすると
「空中戦もやるんだぜw」
「レウスはホバリングしたけどレイアは?」
「やる!上位やG級は
ホバリングで追いかけて来る!」
「こわぁ…」
こっちの方が怖くない?
「けどよ、閃光使うとな?」
「落ちるね…あれ?!今日閃光使ってなくない?!」
安全に狩れないじゃん
「あればっかしじゃ勉強にならねぇだろ?」
へらへら笑う
「勉強?」
「お前の勉強」
急に真面目な顔になる、
ドキッとするぞ?
暫く歩き、別のエリアへ
レイアが寝ている…真ん中で
「何でこんなとこで…」
無防備すぎない?
「巣穴がねぇし…
モンスターの考える事は解らねえよ」
頭に溜め斬りするハルキ
帰り道
無事に討伐成功
「ハルキはただモテたいだけで
ハンター続けるの?」
さすがに無理じゃない?
「俺のオヤジ知ってるか?」
「四英雄よね?」
「その中でも最強って言われててな?」
30才近くからハンターになり、
たった2年で頂点まで駈け上がった
「2年で行けるモノなの?」
「バカ言うな、G級になるのさえ早くて
6、7年は掛かるって言われてんだぜ?」
歩きながら頭の後ろで腕を組む
「そんなバケモノと比べられてもな、
子供の頃は目標だった」
「今は変わったのね?」
無理…だよね…そんなバケモノ
「俺には無理だ、諦めたんだ、だからイイん
じゃね?立派な目標なんか無くてもよ?」
親が有名だと色々楽なんだとばかり思ってた
違う…
皆苦労してきたんだ…
あれ?
いつの間にかエミナが居なくても喋ってる
私平気で喋ってる
いつからだろう
こんなに平気で喋ってるのは
そうだ、エミナ達に出会ってから人が
怖くなくなった
まだ目を見て話すのは辛いけど
男の人とさえ話せる…
「どうした?」
顔を覗き込む
「う、え、なんでもない」
ビクッとすると
「思った事は言えよ?意思表示しねぇから
イジメられんだぜ?」
「ぐっ…」
ちょっと見直してたのに…
コイツは私の中にズカズカ入り込む
「キズつくのもキズ付けられるのも当たり前
なんだよ、他人が集まってりゃあな」
ぜんぶ見透かしてるように言わないでよ
無言になってしまう二人
ギルドに入る
なんだか騒がしい
「えっ?エミナ?!」
その姿に驚くナズナ
「あ…おかえり…」
右手を上げるが…左手は包帯を巻いて
首から下げている
「お前どうしたんだ?!」
ハルキは駆け寄る
「ヘマやっちゃったぁ…」
力無く笑う
「私が付いていながら…面目ありません…」
ミハエルも下を向く
「ミハエル!どうなってんだ!
お前がいながら!!」
掴み掛かる勢い
「少々変則的な事態でな」
ドリスが来た
「変則的だぁ?」
ドリスに顔を向けるが…
ハルキ凄い怒ってる、
エミナが好きだから?
「報告が曖昧なはずだ、2頭いたんだ」
ドリスは動揺する事無く事務的に答える
「縄張り争いに巻き込まれました」
良く見ればミハエルも砂だらけ
「縄張り争い?」
……………
「それじゃ一つの狩場に?」
「そうです、ディアブロスとモノブロスが…」
「私さぁ、ディアブロス初めてだから
様子見ながら斬ってたら、下から…」
うつ向くエミナ
「こいつぁ上位の2頭クエストだよな?」
「モンスターの都合だしなぁ」
「どうしたもんだ?」
オリベ達も落ち着かないが
「一方が出て行き次第、クエストを確定するべき
でしょうか?」
ドリスはギルマスに聞く
「うむ、皆が待っていたモノブロスだからの、
ディアが出て行けば良いが…」
パイプを吹かす
この『儀式』はモノブロスと一騎討ちが
慣例になっている、2頭クエストでは…
「私…もう休むね」
エミナが出ていく
掛ける言葉が見付からない
ミハエルは座ったまま動かない
何も言えない、慰めも助言も出来ない、
笑わせる事も…
私ってなんだろう…役立たず?
気分が沈んだら…
ヘコんだ時は…
どうすればいいんだ?
…ん?
ハルキの姿が無い
「あれ?ハルキは?」
「さっき外へ行きました」
「ハルキ」
外のテーブルに居た
「何だ?」
「あ、あのさ、エミナ、腕折ったみたいだし
…明日…何て言ったら…」
コイツなら何か空気を変える方法を…
「何も言えねぇよ、また目標が遠くなった
だろうしな」
上を向く
「?」
「エミナの目標だ」
「もしかして…お母さん?」
「そうだ」
「何かライバル視してるよね?」
反抗期的な
「そうじゃねぇよ、あれは憧れてんだ」
「憧れ?」
「母親の話聞いたろ?」
ドンドルマでいきなりソロでレウスを10頭、
その上半年で上位になった
「凄い人だよね」
「エミナはよ、俺と違ってまだ諦めてねぇんだ、
だから叶えてやりたかったけどな」
あれ?
いつもバカっぽいけど…
コイツって優しくない?
なんかいつも仲間の事思ってない?
遠慮無しに何でも言うけど…
「ナズナや」
ギルマスに呼ばれた
「ちょっと来い」
手招きされる
ギルマスの部屋
すっごい緊張する
もちろん初めて入った、
キョロキョロするが、なんだか質素…
「さて、お前はハルキをどう思う?」
え?どうって?
バカだしカッコ良くないし…
だけどワイルドな感じか?
子供っぽい人がタイプの人ならイイのかも…
「タイプじゃありません」
ギルマスが疲れた顔になる
「そうではない、ハンターとして、だ」
ドリスに注意される
なんだかドリスも疲れた顔
うわぁ!恥ずかしい!
私何言ってんだろ
「んーと…」
あれ?
私っていつも助けられてない?
危ない所で…
いっつもハルキが…
いつから?…クックの時から?
首の後ろを擦る、
乱暴だし言い方も荒いけど…
「どうしたんじゃ?」
長考している
「あの…凄い頼りになると…」
「うむ、率直にハルキはパーティーに必要かの?」
「絶対に必要…ん?」
「どうした?」
「あの、…もしかしたらなんですけど…」
「なんじゃ?」
「ハルキがパーティーの中心な気が…」
ミハエルだと思ってたけど…
今まで会った人達にこういうタイプの
人はいた、
その忠告を素直に聞けなかった過去の自分
今はそれを後悔している
後悔出来るだけ成長した