生きることは悩むこと 2   作:天海つづみ

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ビールは5z

 

 気にしない

 

 ビールを頼む、しかしまた忘れられて

しまうかもしれない

 

 自分の存在感が無さすぎる

 だけどそれは無用なトラブルを無くして

来た結果だ。

 

 「これでいい…んだ」

 

 誰にともなく呟く

 

 手の中の小銭の音が寂しい

 この仕事は当たりハズレが大きい、安定した

収入を得るのは難しいから日銭を稼ぐしかない

 

 せっかく誰も自分を知らない所に来たのに…

 ここから新しく自分を始めようとしたのに…

 

 ため息ばかり

 

 今居るのは小さい村だが最初?とか伝説?

とか言われる村

 

 名前はココット村

 

 ハンターなら一度は訪れる発祥の村らしい、

まぁ自分から見れば生まれた村から近いだけ

 

 ギルドマスターは伝説の一人、ハンターの

始まりの人,そして竜人

 

 そんな凄い人が居る割には小さいギルドで、

所属しているのは30人程度

 

「ナズナや」

 

 いきなりギルドマスターに話掛けられ

ビクッとする

 

「そろそろ周りと話たり出来んもんかの?」

 杖を床にコツコツと鳴らす

 

 コミュニケーションなんて面倒くさい、

どうせバカにされるし…

 

「何も与えない者は何も得られんぞ?」

 シワに埋もれた目で見てくる

 

 そんな事言ったって今さら…

 タイミング逃していつも気が付くと一人だし…

 

 いや、寂しくはない、

 ないったらない

 

 大体さ、与えるって何よ?

 私って何か持ってる?

 

「今日はの、新しく三人がギルドに来る、

そいつらの案内をしてやれ」

 

 優しい口調だが…

 

 私に頼むか?

 

 人の案内?

 

 私は人が苦手なんだよ?

 

 しかもド素人だし

 

 案内する所なんてあるか?こんな小さい村

 

 人間は最低でも二人いるとパワーバランス

が生まれる、相手より上だと主張する。

 

 兄弟姉妹でさえも…

 

 女は特にヒドイ…

 

 私はいつも負けて来た…

 生まれた村でハンターをやってみたが

落ちこぼれだった

 

 『物覚えが悪い』

 『一度聞いたこと二度聞くな』

 『お前こんな事もできねぇの?』

 

 全部…全部嫌になった

 

 だから人と関わりたくない

 いや無駄な争いを避けて来ただけだ

 そんな私に頼むか普通?

 

 …一応引き受けなきゃ居場所なくなっても

困るしなぁ

「あ、あの、私で…」

 しどろもどろになる

 

 …………

 

 三人が来た

 一人目の名前はハルキ

 黒髪の癖毛に黒い瞳、大剣を担いで

「うっわ、女が少ねぇな」

 性格はバカそうだ

 

 二人目はエミナ

 茶髪のツインテール…まだ14才、

片手剣を持つ

「ハルキ、あんた態度悪いよ」

 …ちっちゃい女…

 

 三人目は…ミハエル

 

 スラリと背が高くて美形で顔ちっちゃ

くて目が紫でストレートの金髪で仕草が

上品で声も綺麗で指先なんかもう陶器みたい

でそれからそれから

 

 「ナズナや!」

 ギルドマスターが困る

 

 「またこれかぁ」

 エミナは首を振る、道中の村でもこうだった

 

「いつもいつもお前ばっかりモテやがって」

 ハルキは苦々しい顔

 

「仕方無いでしょう」

 ミハエルは涼しい顔だが

 ギルドの入り口には中を覗いて

キャアキャア騒ぐ村の女性達

 

 そして目がハートになったナズナ(一応女)

 

 

 

 

 

 ……………

 

 

 

 

 気が付いたら一緒にクック討伐へ

行かされていた

 (ギルドマスターから色々説明は受けた

はずだが、ミハエルに見とれていたナズナの

耳には入っていない)

 

 キャンプで準備中

「ナズナ」

 

 いきなり呼び捨てかよ!

 私の方が年上だろ、明らかに!

「な…何?エミナ…ちゃん」

 年上の余裕…そう余裕よ私

 

「エミナで良いってば」

 手をヒラヒラさせながら

 

「そうだぜ?狩りの最中にダラダラ

名前言えねぇよ」

 ハルキは親指で指し

「特にコイツとかなw」

 

「同意見です」

 キャンプで準備しながら話す

 ミハエルの本名は長いらしい

 

 呼び捨てって『お前より私が上だ』って

主張するようなモノじゃ?

 

「なぜナズナさんはハンターに?」

 弾丸を装填しながら振り返るミハエル

 

 え?…あの…名前…さん付け

 ナズナは二人の顔を見る、今呼び捨てでって…

 

 ハルキは察すると

「あー、コイツは良いんだ」

 大剣を素振りする

 

「誰にでもこうなんだよ」

 ミハエルだけは良いらしい、

 誰にでも敬語ってプライド無いとか?

 

 

「ハンターになったのは…

一人で食べて行くためで…」

 モジモジと下を向きながら、しかし三人

とも意外そうな顔をする、

 

え?何で?

 

「何でいきなりガンナぁ?」

 エミナは不思議そうに

 

「効率悪くねぇ?」

 ハルキも首を傾げる

 

「破産しませんか?」

 ニコニコと核心を突いてくるミハエル

 

 図星でうつ向くしか出来ない

 何も答えられない、

 

 ハンターなのに怖くて近づけないのだ、

理由は剣のセンスが無いと言われたから、

だからガンナー

 

「なるほど」

 ミハエルは何かに納得する

「貴女は師匠がいませんね?恐らく

ほとんど独学では?」

 

 ポカンとする、当たってるけど…

なんで分かった?

 この村に来てからガンナーに転向した

 そして誰にも教わってない、

 やってればそのうち…

 

「弾丸を買うのはたいへんでしょう?」

 

 そう、ほとんど弾丸代で報酬は消えてしまう

 

 三人の意見では下位、特に初心者は

ガンナーをやると躓くそうだ、理由は弾丸代

 

 下位とG級では報酬が桁違い、

 だけど弾丸の値段は同じ、

 大雑把に言えば100zと10000zの報酬の

中から弾丸代を出すのだ、レートが違う。

 

「よろしければガンナーの手解きをしましょうか?」

 ミハエルはニコリと笑い掛ける

 や…やだっ…ま…眩しすぎるっ!

 

 

………………

 

 帰り道、無事に討伐したが、

 自分にセンスが無いことを痛感させられた。

 ミハエルの戦いを見て理解した、間合いが遠すぎていた、

 そして弾丸の威力が落ちる事を知らなかった

「あんなに近づいて撃つんだ…」

 やばい、情けなくて悔しい、

 涙出そう、

 私ハンター向いてないかも

 

「そうですよ?私の認識では一番間合いの遠い『近接武器』です」

 歩幅を合わせてゆっくり歩いてくれるミハエル

 

 そんな認識してなかった、遠くからペチペチ撃っていた、

 クック討伐なんて丸一日掛かったのに、5分って…

 

「ねぇナズナ!明日は片手剣やってみない?」

 エミナは屈託なく笑いながら

 

「え…でも…」

 前に片手剣でセンスが無いって言われたんだけど…

 

「大剣なら教えてやっても良いぜ?」

 親指で自分を指すハルキ

 

「アンタが教えるなんて無理!」

 前で後ろ歩きしながら手を振る

 

「貴方が先ず成長しないとね」

 

「何でいっつも俺ばっかり!」

 

 それについては同意だ、

 私から見ても下手だし…

 明らかにハルキだけが三人の中で劣っている

 いや、私と同じくらい?

 

 

「そういやハルキ、ナズナはナンパしないの?」

 

「あ?だって暗そうだぜコイツ、サダ○みてぇじゃん」

 

「失礼ですよ」

 

 

 

 

 

 悪かったな!!!

 

 

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