「ホッホォ!町の酒場に行くのか?」
ギルドマスターは酒瓶片手に
…酒臭い
「はい、まだ私達だけですから」
普通ならギルドで情報収集をするところ
だが、他のハンターが居なければ解らない
そこで町の酒場で聞く事に
「エミナとナズナさんは宿舎で
待機してください」
エミナは抗議の声を上げたが子供の
行く所ではないだろう
「むー!腹立つ!」
「仕方ないよ、危ないかもしれないし」
装備を脱いで片付ける二人
「ケンカになっても負けないよ?私ら?」
「それじゃ話聞けないでしょ」
「だって男が集まる酒場になれてるもん!」
ふくれる子供、でもそうだったよ、
船乗りとかは慣れてる
「つまんない!」
ドサッと座ると揺れる、
宿舎とは名ばかりの屋根付きの小舟、
扉が無くて大きな布を被せた様なモノ…
セキュリティはどうなってるのか
そして男女一緒で色々問題は無いのか
「なんか揺れてて落ち着かないよ…」
フワフワチャプチャプ音もするし
「そっかぁ、舟は初めてなんだね?」
村には舟なんて無かった、
川が小さくて必要なかった
普通の船にも乗った事が無いのに
飛行船(最新型)に乗ったナズナ
エミナが動く度に揺れる、
ドサドサと荷物が崩れると
「何だろ?これ?」
紙の束?ナズナはパラパラ捲ると植物と
モンスターの挿し絵、そして解説
「それハルキのだぁ!」
筆跡がハルキの字らしい
植物のスケッチと手に入る地域、
エリア、薬効が細かく書いてある、
凄い!調合書みたい!
「学校時代のやつかな?」
字も上手…意外…
「そうみたいね」
エミナも手に取る
「そういえばさ…」
ナズナはハルキが採取したことを話す、
すると
「私も気になることあるんだ」
砥石を投げた事、時々妙に強い事
「何かハルキの方が頭良く見える時あるよ?」
「なんかさ、最近カッコ良く見えてきて…」
もじもじする
「にひひひ!
ミハエルから乗り換えますかぁ?」
笑う、年下に冷やかされる
「ちょっと言い方…」
「何だ?まだ起きてたのか?」
「ひゃあうっ!!」
ビックリしたぁ!
突然二人が乗って来た
「寝てても良かったんですよ?」
「お帰りぃ、収穫あった?」
……………
「くるぺっこ?」
酒場の地元漁師から話が聞けたそうだ、
こちらでクックに相当するモンスター
緑の翼、黄色い嘴、赤い胸部…
「ねぇ!郵便猫の帽子さ!」
「どうやらソレがデザインされたもの
らしいですね」
「それで思い出したんだ…」
ハルキが荷物をガサガサ、
別の紙の束を見付ける
「コレだったのか!」
そのページには可愛らしい鳥の
…何だコレ?
「ハルキ、コレはなんです?」
「これな!ユクモ温泉のオモチャなんだよ!」
ページをパシパシ
「何でユクモぉ?」
「知ってる人がいた…?」
二人で?となる
「多分…飛んで行った個体がいたんですね」
「クックもリオスも居るってよ」
「明日はこの鳥を見にいきましょう」
…………
カカッ!カカッ!!
翼を打ち鳴らし左右にステップする、
そして
「ギョエエエ!!」
体を揺さぶり踊る派手な鳥、
バカにされてる?
何だコイツ!
思ってたのと違う!
デカイ!キモい!そしてウザイ!
「バカにしてんのか!!」
ハルキが走り込み斬る
「ガキィン!」
「でぇっ!!」
弾かれた!
「何?!どうしたの?!」
走り込むが止まるエミナ
「翼爪がカテェ!!」
納刀して走る
「頭も高いし!」
ナズナも攻撃しづらい
変な形の嘴に軽快なステップ、
そして踊る変な鳥
「一旦退きます!!」
隣のエリアへ…逃げる途中
「グェオァ!!」
ブレス!!
「うおっ!!」
「あぶっ!!」
「ふぎぃっ!」
ナズナの背中に掛かる
5番
「ゲリョス以上に芸達者です」
装填する
「何なんだよ、あの硬さは!」
翼爪の部分が爪ではなく硬い石の様、
砥石で研ぐ
「頭届かないよ?」
クックと違って立ち上がった様な姿勢、
背伸びするエミナ
「これクサいぃ!!」
ひどい顔になるナズナ
水溜まりでバシャバシャしてみる
ってかこの狩場は水ばっかり
「毒…ではないようですね…」
「じゃあこれなんだろ?」
「酸…ゲロだなw」
「いやあぁぁっ!!」
2回戦
「頭は私が!」
高い頭はミハエルが担当、
貫通弾で撃つ
「足は任せたぜ!」
ハルキは尻尾へ
「翼爪には攻撃すんなよ!」
足はエミナとナズナが担当
カカッ!カカッ!
また踊る、そして楽しそうに
前へステップすると
ボォン!!
爆発!?
「だぁっ!!」
焼かれるハルキ
「何よこれ!!爆発?!」
地面を転がるエミナ
一歩毎に方向を変える鳥
「こっちこないでぇ!!」
逃げ回るナズナ
全然可愛くない!!!
色だけじゃん!!
「ハルキ!」
ミハエルが粉塵を使う
また隣へ避難
「どうです?」
火傷を水で冷やす
「あぁ、楽になった」
回復薬を飲む
「あんな攻撃…クックより強くない?」
ハルキの火傷を見るエミナ
「強いよね、
私達が馴れてないのもあるけど…」
ナズナが言うと
「それが最大の理由ですね、今回は馴れる
事を優先しましょう」
ニコッとする
「でも解ってきたぜ?多分翼爪が火打石だ」
硬いはずだ、適当に翼を斬れば
弾かれて隙を晒す
「なるほど、ブレスではなく道具を使う…?」
他のモンスターとは明らかに違う…
ブレスでさえない火…
「火に耐性無いのはミハエルだけだし、
まだいけるよね?」
エミナとハルキはレウス一式
ナズナはレイア
「クックと同じ感じなら…弱点は水…かな?」
各自が意見を述べ合う
ハンターのキャリアの差はあるが、
初めてのモンスターならその差は無い、
ナズナも遠慮なく意見が言えている
パーティーとして理想的な状態
あとは…
「可能性はありますね、さて、どうします?」
ミハエルはナズナに向く
「?」
どうって?
「ナズナさんは続けられますか?」
「もちろん、だけど何で聞くの?」
もっと見てみたいよ?
「いや、なんでもありません」
以前の怯えが無い…
それは良くも悪くもあります
いや、不安より興味が
強いだけでしょうか?
「二人はどうです?」
「私はやれるよ?」
「俺も行けるぜ、アレまではな」
「アレ?」
…………
「グオォオォォーッ!!!」
「ヒッ!!」
耳を塞ぐ、デッカイ咆哮
…ってか聞いたことあるぞ?
「何でリオスの声出してんのよコイツ?!」
足を斬り叫ぶエミナ
「全員納刀!!撤退します!」
「え!?何で!」
斬り掛かる途中で急ブレーキ
「ナズナ!下がれ!」
クルペッコの周囲から離れて様子を見る
「周囲を警戒してください!」
ペッコを避けながら辺りを見る
「何してんのよ!」
エミナとナズナは理解できない
しかし二人の様子を見る限り、
タダゴトではない
突然空から急降下する影
そして
「グオォオォォーッ!!!」
「なんでレイア?!」
「どっ!どうしたら良いの!?」
「いいから走れ!」
「リタイアします!」
……………
ギルドへ向かう
「何で教えてくれなかったのよ!」
エミナが叫ぶ、当たり前だ
「私も言っておいて欲しかったよ…」
「すみません、話は聞いたんですが、
信じがたい内容だったんです」
軽く頭を下げるミハエル
「ピンチになると他のモンスター呼ぶ
らしいんだがよ?まさか本当になぁ…」
ボヤく
「事前に言えば不安になると思いました」
エミナが向き直ると
「ミハエル!!前から言おうと思ってたけど、
アンタさぁ!距離作るのやめてくれる!?」
「エミナ、コイツは真面目なだけだ、
不確定な話はしたくねぇだけだぜ?」
フォローするが
「それが余計だって言ってんの!!」
睨む子供
「あ、あのさ、ケンカしても…」
「ナズナ、アンタどっちの味方よ?」
こっちまで睨む
コレだよ、この状況だよ、
中立の立場ってスゴく損なんだ、
過去にもあった
たけど…
「どっちの気持ちも解るよ?エミナは本音を
言って欲しいし、ミハエルは不安に
させたく無いんでしょ?」
言っちゃった…
損な役回りに自分からまたなった
どっちからも敵視されて
孤立するの解ってるのに…
「むーっ!!」
膨れる
「エミナ、お前はもっと自分を信頼して
欲しいんだろ?」
「信頼っていうか…」
自分でも良く解らない
信用?いや…何だろ
「ミハエル、お前はもっと本音でブツかって
良いんだぜ?」
「本音…ですか…」
「お前の悪いクセだ、一回自分なりに
考えて喋るだろ?」
(そうだ…だから敬語だし、
なんか距離を感じるんだ)
「エミナ、ミハエルはよ、貴族のイザコザも
知ってる、言葉一つ間違えただけで
不利になることを知ってんだ、
お前を騙すつもりなんて無いんだぜ?」
「むうぅ…」
エミナの眉間にシワが…
「だからよ、許してやれよ?」
ミハエルに向き直ると
「ミハエル、エミナはよ、気ぃ使って
欲しくねぇんだよ」
「余計な気遣いでしたか…」
「あぁ、それと俺の意見を言っておくぜ?
クルペッコの話の出所は漁師の酔っ払いだ」
エミナがピクッと反応する
「頭っからケツまで全部信用出来ねぇ
…解るだろ?」
エミナに言うと
無言で頷く
「どういうこと?」
適当な事を言う?
「あー、ナズナはすぐに記憶無くすから
知らねぇか」
ハルキは語る
酒は腹割って本音で話す
便利なモノでもある、けどな?
初対面の人間に何でも簡単には
教えないもんだ
だから一杯奢った所で
真実かどうかは分からねぇ
「だから俺らは疑ってたんだ、
本当にモンスター呼ぶのかをよ」
エミナは酔っ払いのオッサン達に
馴れて育った、だから素直に納得したのか
「でも嘘教える人がいるの?」
そんなことしたら危ないじゃん
「居るんだ…本人は冗談のつもりでも
こっちはハンターだし」
エミナはうつ向きながら話す
冗談がハンターを殺す事もある
「よし、もう怒るな、
それよりも大変だぜコレ?」
「多頭クエストの覚悟をしないと
いけませんね…」
「どうやって情報集める?」
エミナが普段に戻ってる
明日からの対応を話ながら歩く
ミハエルとエミナ
少し離れて二人で歩く
「ハルキ凄いね、仲直りさせるなんて」
「別にスゴかねぇよ?」
「私なんて中立は損とか考えてたよ?」
「女はそう考えるから直ぐに派閥が
出来るのな、でもお前はやらなかったな?」
こっちみて笑う
「うん、二人とも悪いこと
言ってない気がするし」
「別にそれで良いんだぜ?
本音ブツけて険悪になっても」
「それじゃバラバラに…」
「ケンカしたならソロでも良いんだよ、
ハンターだしな」
「私…それはいやだなぁ…」
せっかく組んでるのに
「あー…お前イジメられたのはその辺かもな」
「?」
「どっち付かずでいたら派閥が
仲直りして孤立したろ」
図星かも
「女はメンドクセぇなぁ…」
頚を振る
「私はどうするのが正解だったんだろ…」
手をモジモジしながら歩く
「多分それが間違いだろうな」
私を指差す
「何が?」
「お前多分ケンカしないように気ぃ使ったろ」
「だって…怖いもん…」
「正解なんかねぇんだよ、
ケンカなんざ当たり前だと思っとけ」
「でもハルキは仲直りさせたじゃん」
「仲直りさせようと思ってねぇぞ?w」
「えっ!!」
上手く説得した様に見えたけど??
「俺も本音ブツけただけだ」
ヘラヘラ笑う
「お前は気ぃ使いすぎだ、それと…
まぁ…経験…か?」
「経験…?」
「書士隊だ」
「何かあったの?」
「想像してみ?30人は居る班で、頭はあの
マルク教授、で、実質のリーダーが俺」
「うっ…」
想像だけでも胃が痛い
「だろ?」
笑う
「毎日トラブルだったぜw」
損だから自分を通さず妥協する、
長いものには巻かれる、
自分を守る為に派閥に居る
でも本当は…ねぇ