生きることは悩むこと 2   作:天海つづみ

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成長

 

 ギルドの人数が60人を越えて

 それらしくなってきた

 

 そこへ泥だらけになって

 帰って来たナズナ達

 

 ボルボロスの討伐に成功したが

 

「消散剤持った方が良くない?」

 疲れたナズナ、飛竜に比べて動きすぎる、

 攻撃しづらい

 

「いや、パーティーならミハエルに

 撃って貰えば安上がりだぜ?」

 まったく泥が付いていないハルキ

 全部避けられる様になった

 

「全員泥団子になったらどうすんのよ?」

 エミナのツインテールも泥で…

 

「ちょっと洗って来ます」

 なぜかミハエルは海岸の方へ降りて行く

 

「あれ?何で…」

 

「あぁ…洗う暇無かったしな」

 三人も着いて行き、防具と体を洗う

 

 

 

 

 ギルドで色々な人と話すミハエルとエミナ、

 ナズナはハルキとテーブルへ

「ミハエルってモテるね…」

「当然だ、あの見た目じゃな」

 また女達に囲まれている

 

「ハルキはその…なんてい」

「あ?不細工だとでも言いてぇの?」

 笑顔で食い気味

 

「違うよ、憧れない?」

「………………」

「あ、ゴメン、気にしないで」

 

「そうか、お前はミハエルの見た目しか

 見えてないんだな…」

 頷きながら

 

「見た目?」

 

「アイツはモテる、

 だけどその前の段階があんだよ」

 

「その…前?」

 

「さっき何で防具洗った?」

「え…?泥で恥ずかしいから?」

 

「そう思ってる内は理解できねぇぜ?」

 

 ?

 

「最初の考え方が違うんだ、

 お前テーブルマナーも

 『出来たら私、カッコイイ!』

 とか思ってるだろ?」

 

 それダメなの?

 

 

 

 

 …………

 

「ナズナさん、毎朝顔を

 洗うのはなぜですか?」

 ミハエルに問われる、笑っていないし

 怒ってもない、これは狩りの時の空気、

 凄い真面目になった時だ

 

 顔を洗う理由?

 …涙の跡とか色々着いてるから…

 他に理由?

 

「難しく考えなくて良いんです、私の場合

『相手を不快にさせない』

 ことが目的なんです」

 

「ギルドはよ、メシ食う場所でもあるだろ?」

 

「そうか、そこに泥だらけで来られたら…」

 想像する、自分なら…

 

「つまり、『周囲』のために

 清潔にする訳ですよ」

 

「相手を不快にさせない…」

 私は気にして無かった

 

「色々ありますよ?爪はキレイに切るとか」

 

 うっ…

 

「相手の顔を見てハッキリ喋る」

 

 ううっ…

 

「猫背にならず姿勢良くする」

 

 うううっ…

 

「髪は常にキレイにしておく」

 

 

 

 

 

 …………うー…

 

 

 

 

「挙動不審に…」

「ミハエル!」

 ナズナのメンタルは限界、

 テーブルに突っ伏す

 

 

 

 

 私って!私ってダメだぁ!!

 そんな事考えなかった!

 不快にさせない?

 相手のため?

 自分のためにやってた!

 

 うつ向いて真っ赤になる、

 恥ずかしい、私が恥ずかしい!

 

 

 

 

「ま、まぁコレが違うんだ、解ったろ?」

 

 解りました、バカな女でした

「ね、ねぇ、私の前のカッコって…」

 サダ○だった頃は…

 

 二人は顔を見合わせると

「怪しかったですね、

 ココットのギルマスの頼みじゃ

 なっかったら、ちょっと

 近付きたく無かったですよ?」

 見えない何かが胸に刺さる

 

「俺はそれでも最初無理だったw」

 見えないナイフが刺さる!

 

「まずは不快にさせない事、これが出来れば

 次に人間関係の段階だと私は思います」

 

「多分モテるってのはその後だw……?」

 

 

 

 

 

 テーブルに伏せたままのナズナ

 

 

 

 

 

 今日はビールのミハエル

 一口飲むと

「つまり立ち振舞いの…」

 

「もう追い討ちすんな!」

 ナズナのメンタルHPはとっくに0

 

 

 

 他の人達のテーブルを話ながら移動する

 エミナを眺める

「エミナは器用だよね」

 まだ頭から煙が出そうでクラクラする

 

「エミナは子供であることを最大限に

 利用してますからね」

 

「愛想良くすれば大概は上手く行くからな、

 お前はやるなよ?」

 

「私?」

 そんなの最初からできないよ?

 

「あれは子供に見えるから許されてんだ」

 

「うん、解る、陰口言われるよね…」

 カリナなんかは絶対ケンカになる

 …エミナの圧勝だろうけど

 

 ハルキは語る

 性格悪ければモチロンだが、性格が良い

 からこそ嫌われるのもあるんだ

 『八方美人』とか

 『誰にでも色目使う』とかな

 「まぁそんな事言ってると自分がモテねぇ

 事に気付けねぇのにな」

 

「あ、それって前に言ってた」

 

「性格ブスだ」

 つまりカリナ

 

 

「ただいまぁ!」

 ニコニコ帰ってくるエミナ

「バルバレの人達と

 南部の海岸の方から来たってさ」

 

「G級はいねぇの?」

「まだ来てないね」

「各ギルドも慎重ですね」

 

「どう言うこと?」

 

「G級は存在自体が大きな戦力ですから」

 

「じゃあチックさん達って…」

 

「ミナガルデは一番遠い方ですからね、

 情報収集と…」

 

「と?」

 首を傾げるナズナ

 

「なんでもありません」

 まさか権力争いは無いでしょう、

 このギルドの主導権は多分叔父上…

 

 

 

 

 

 …………

 

 

 

 

 次の日 朝

 

「エミナ、私の髪おかしくない?」

「え?ナズナってそういうの気にすんの?」

 

 何とかキリンテールにしてみるが…

 

「…少しは身形に気を遣おうかと…」

 

「にひひひ!ナズナもついにそんな

 時期が来たんだねぇ!」

 ツインテールを結びながら

 年下に言われる、ちょっとムカつく

 

「襟とか袖口も気を遣えよ?」

 仕切りの幕越しにハルキに言われる

 

 

 私はハルキ以下だったのか…

 というか自覚が無かったよ、

 『女だから』キレイにするって

 考え方は知ってるけど

 (実践はしていない)

 

 『人として』は考えて無かった

 

 

「ではギルドに行きますよ?」

 小舟を降りる

 

 背筋が伸びてスラリとした姿、歩く姿勢、

 キラキラ光って見えるミハエル

 

 そう、こうしていると嫌味が無い

 って言うか、こっちの気持ちが穏やかに

 なるって言うか…

 なんか爽やかな風が吹いてるような…

 

 

 見習おう、年下だし男だけど…

 

 

 それに比べて雑な動きに見えるハルキ

「ハルキはさ、ミハエルの

 マネしようと思わないの?」

 摂政に会った時、人が変わった様な態度に

 あれはカッコ良かった

 

「想像してみろよ、ミハエルと同じ

 レベルに出来たとするだろ?」

 摂政と話すハルキを思い出す

「その上で俺とミハエル、女なら…

 どっちに行く?」

 

 

 

 

 

 

 …ミハエル

 

 

 

 

 ナズナの顔を見ると

「な?最後には持って産まれたモノが

 違うのに気が付くだろ?」

 

「それって結局顔って事に…」

 何の救いも無い…

 結局顔かよ…

 

 話を聞いていたエミナが

「なんかね、『自分に似合う』ってのが

 大事みたいよ?」

 

「俺も聞いたけど、わかんねぇんだコレが」

 

「自分に似合うモノか…」

 何だろう…

 

「ナズナさん、とりあえず鏡を買う

 ところから始めますか?」

 また爽やかに笑うんだコレが

 

 

 …そうだよ、まだ買ってない…

 

 

 

 

 ……………

 

 

 

 

 ハルキはソロでクエストへ、

 後輩の向かった先が気になるらしい、

 先行隊に追い付けるのか心配みたい

 

 こっちは三人で砂漠のガノトトスへ

 

 

「これが…ガノトトス…」

 見上げる…足の生えたでっかい魚…

 

「基本に戻って!一回で!」

 エミナが叫ぶ

 

 私だってそれなりに強くなって…

 「ッバァーン!!」

 尻尾をガードしたら意識が

 飛びそうになる!!

 

「ナズナ!!」

 今日は太刀で斬るエミナ

 

「いったぁい…」

 起き上がるが

 

 エミナは少し動揺する

 ナズナが無視した?私の指示を?

 

 今度は体当たりを食らって吹っ飛ばされる

「ちょっとナズナ!何やってんのよ!!」

 

「待って!!ちょっと待って!!

 やってみたい事が…」

 また尻尾で吹っ飛ばされる

 

 

 

 

 …いけませんね

「一旦退きます!!」

 

 

 

 隣のエリア

「ナズナ!何やってんのよ!」

「ゴメン、でも…」

 

「エミナ、そう急がずにナズナさんの

 意見も聞きましょう」

 何かしようとしてますね…

 

「あの、上手く言えないんだけど…」

 なんだろう…ストレス?

 エミナが?

 

 そんなことあるはずない…はずなのに…

 

 エミナを見ると怒っている

 当然だ…

 

 

でも

 

 

 

「ちょっとだけ…一人でやらせて貰える?」

「ナズナ!!」

 

 静かにミハエルは話す

「ナズナさん、貴女の行為はパーティー内で

 好ましくありませんよ?」

 

 あ…怒ってる…

 クックの時と同じ…

 

「とは言ってもナズナさんの思い付きにも

 興味はあります」

「ミハエル!!」

 怒るエミナ

 

「私とエミナは遠くから観察してます、

 ピンチになったら遠慮なく助けますよ?」

 

「ごめんなさい…お願いします…」

 頭を下げるナズナ

 

「ちょっと!それで良いわけ?!」

 ミハエルに食って掛かる

 

 

 

 

 …………

 

 

「あぁもう!見てらんない!!」

「落ち着きなさい」

 ギクシャクしているのが遠目にも分かる

 

「何でこんな事してんのよ?!」

 吹っ飛ばされて転がるナズナを遠くから

 地面に伏せて見る

 幸い回復は上手く出来ている

 

「この前から気になっていたんです」

 ミハエルの動きまで見えていた、

 つまり自分一人で一杯一杯になっていない

 

 視界が開けて来ている

 

「『自分でやってみたい』そんな心境に

 覚えがありませんか?」

 

「無いわよ」

 ムスッとする

 

「あるはずですよ?貴女の師匠は

 クロフさん、お父さんと一緒に狩りに

 行っていたはずです」

 

 頷く

 

 「そしてそれは突然訪れます

 『私一人で出来そう』と思える時が」

 

 

 思い出す

 

 

 

 

 

 

 

「お父さん邪魔!!」

「大丈夫か?一人で」

 クックを避けながら笑う父

 なんだろ?お父さんが居ると

 思った事が出来ないような…

  

「何か解んないけど出来そうな気がするの!」

「じゃあ危なくなったら呼ぶんだぞ?」

 啄みを避ける

 

「呼ばないわよ!バカにしないで!」

 笑いながら隣へ行く父親

 

 何だ?何かが上手く行きそうなのに!

 何かが違うって言うか、自分でも

 良く解んない!!

 

 

 

 

 

 

 

「…………」

「思い当たるでしょう?」

 

 頷くと

「お父さん…

 こんな寂しい気持ちになったのかな…」

 

「いえ、子供の成長なら嬉しいでしょうね」

 

「じゃあ私の中のコレは…」

 なんだろう…悔しい?

 寂しい?ムカつく?

 イライラする

 

「認めてあげましょう、成長して一人の

 ハンターになろうとしてるんです」

 

「なんでこんな…」

 嫌な気持ちになるの

 

「貴女の妹から一人の女性になって

 行くのかもしれませんね」

 ニコッと笑う

 

「妹…か…」

 いつの間にか『守る』相手ではなく、

 肩を並べる仲間になって来たんだ、

 それは…喜ぶ所なのに…

 これ嫉妬かな…

 

 

「きゃあああっ!!」

 吹っ飛ばされてる、

 そろそろ回復薬も少なくなっただろう

 

「さぁ行きますよっ!!」

「うん!」

 




思春期と反抗期、コミュニケーションが
下手だと出る時期が違うと思う、
周りの空気に合わせられなくなっていく。

私がそうだった
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