生きることは悩むこと 2   作:天海つづみ

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場面転換って難しい


自立

 ガノトトス討伐

 何とか成功

 

「解って来たねぇ、回避のタイミング!」

 エミナは複雑な気持ちだが理解した、

 自分が村でガノトトスをソロで攻略

 しようと、もがいた時期を

 

 確かにお父さんがウザく感じた、

 今ナズナはソコに居るんだ

 

 

 

「まだ掴めない…」

 何度も吹き飛びボロボロのナズナ

 回避出来そうなのに…

 

「ソロで挑戦しても良いかもしれませんよ?」

 私も上位に行きたいですし

 

 

 そこへ

 

 

「お前らフザけんじゃねぇぞ!!!」

 ハルキが怒りながらギルドへ帰って来た、

 書士隊の後輩達を連れて

 

「どうしたんじゃ?」

 

「ギルマス!コイツら勝手に来たんだとよ!」

 何でも王都から外へ出て見たかったが

 反対された、そこで別の調査隊に紛れ

 飛行船で王都を脱出、

 一緒に南の海岸線まで出たところ、

 丁度第二陣の船があったそうだ

「おかしいと思ったんだ!

 コイツら『事務組』だしよ!」

 

 うつ向く五人

 ジャギィの群れに囲まれていたそうだ

 

「これは…

 叔父上に報告しないとマズイですね」

 ミハエルは手紙を書きにカウンターへ

 

 

 

 …………

 

 

「事務組って?」

「あー…あれだ…」

 ハルキは苦い顔

 

「あまり良い言葉ではありません、書士隊

 内部の呼び方です、蔑称…と言うか…」

 

「べっ…え?」

 

「つまりですね…」

 書士隊になるには普通は学校に入り、

 そこから素質のある者を選出する

 

「たとえば俺だ」

 親指で自分を指す

 

 書士隊は叔父上、つまり摂政の直属の組織、

 そこに入れば出世が見込める、そう思った

 貴族や金持ちの子供も入れられる

 

「コネってやつだねぇ」

 エミナは五人を見る

 

 そういった子供は危険な場所には行かせ

 られない、つまり調査隊は無理、

 そこで資料の写しや生態図鑑の編集を

 やる事になる

 

「それが事務組だ」

 

「何か変なのぉ」

 狩りに生きる とかの編集をやってるのに

 現場を知らない?

 

「親達の立場や権力を考えると、

 どうしても現場は…」

 

「あれじゃ何かしらの処分になるだろ」

 睨むハルキ

 

「アジムさんも処分されるの?」

 ナズナは複雑な気持ち、

 同じような空気を持った人に見えていた

 

 

 

「ハルキ先輩…」

 アジムがこっちに来た

「あの、助けていただいて…」

 

 

「…これで解ったろ」

 乱暴にジョッキを置くと

「お前らが何で事務組って呼ばれるか」

 

「…はい…」

 うつ向くグルグルメガネ

 

「現場知らねぇで情報書いてる、

 つまり矛盾してんだ、そんなお前でも

 親には実績がある、だから在籍させて

 貰ってるだけだぜ?」

 

「ハルキ、そこまで言わなくても」

 ミハエルが困った顔で

 

「いや、ハッキリさせておく、モンスターを

 文字だけで知っても意味がねぇんだ!」

 

「それでは…私達の仕事は……無意味で…

 意味の無い…」

 とうとう泣き出してしまった、

 しゃくり上げながら泣く

 

「ハルキ、女の子泣かさないの」

 エミナが止めるが

 

「何言ってんだ!コイツらがやったことは

 自殺行為だ!」

 

 

 

 

 ……………

 

 

 宿舎代わりの小舟

 

 

「やっべ、言い過ぎた…」

 ハルキは下を向く

 

「完全にヘコんだよアレ」

 エミナは苦笑い

 

「両親と違い、アジムさんは外へ

 出たかったんですねぇ」

 

「両親は外へ行きたくないの?」

 偏屈な人とか

 

 ミハエルの説明によれば、アジムの両親は

 研究者タイプな上、

 『賢者は歴史から学び愚者は経験から学ぶ』

 と言っていた

 

「?」

 ナズナは初耳

 

「あくまでも普通の人間には『心構え』の

 言葉なのによ、そのまま信じてんだ」

 呆れるハルキ

 

「お陰で実戦部隊…私の両親達とは

 考え方が違うと言うか…」

 苦笑いのミハエル

 

「仲悪かったんだぁ」

 ニヤリと笑うエミナ

 

「アジムさんは…

 事務組から出たいんでしょうね?」

 意味ありげにハルキを見る

 

「…なんだよ?」

 

 

 

 

 

 

 

 次の日

 

「………マジか?」

 顔がひきつるハルキ

「よ、よろしくお願いいたします!」

 グルグルメガネが頭を下げる、

 ハルキと一緒に採取に出る

 

「ハルキよ!勉強させてやれぃ!」

 酔っ払ったギルマスに送り出される

 

「じゃ、私も行くね?」

 ナズナはソロでガノトトスへ、

 何かが掴めそう…いや、掴む!

 

 

「私はボルボロス行って来る」

 ナズナが強くなるのは良い、

 でも追い付かれるのは悔しい!

 だから前に進む!

 

「久しぶりにソロですね」

 全員ソロ、ハルキだけは

 アシスタント付きで狩りに出る

 

 実は昨日の内にアジムをハルキに

 付けるよう頼んでおいた

 

「何で俺だけ…」

「書士隊の経験が役立つでしょう?」

「ミハエル、お前の仕業か?」

「さあ?」

 

 皆を見送るミハエル

 

 

 ………

 

 タンジア管轄 下位 密林

 ナズナはガノトトスの周囲を走る

 

 クックの時を思い出す、一瞬だけど

 脚の間をすり抜けた…

 だから…

 

「ブオッ!!」体当たり!!

 周囲の木をお構い無しに吹き飛ばす!

 

「ここっ!」

 前に回避するが吹っ飛ばされるナズナ

 

 立ち上がり構える

 昨日見えたのは何だ?違和感?、

 何かこう…

 

 回転する尻尾を避けて脚の間へ

 上手く戦えてる…

 そうなんだけど何かが違う…

 

 噛みつき!

 ナズナは余裕で避ける

 

 見えてる、イメージ出来てる、

 上から自分の周囲をイメージ出来てる

 なのにこの違和感は何?

 

 何だ?何かが掴めるような…

 

 

 

 

 隣のエリアで研ぐ

 レウスに比べて攻撃の種類が少ない?

 空も飛ばないし…

 

 研ぐ手が止まる

 

「あ!」

 そうか!コイツは突進しないんだ!

 それに一人だと『他の仲間』に出した

 攻撃で『事故』にならない

 

 たまに這いずりもやるけど頻度が少ない

 

「これって…もしかして…」

 

 

 

 

 ……………

 

 

 

 

「ギルドマスター、

 少々気になる事がありますが…」

 

「ホッホォ!何の話だ?」

 常に酔っ払ってる

 

「妙なんですよ、外を知らないあの五人が

 突然コチラまで来られるハズが

 ありません………何か聞いてますか?」

 目を細めて聞くミハエル

 

 

 

 

 

「お前に隠し事は出来んか、恐らくだが……」

 

「叔父上の意思…ですね?」

 

「うむ」

 

「何のつもりでこんな事を?」

 やはり…叔父上と通じて…

 このギルマス自身が私の監視役か…?

 

「あのお方は決して

 甘い人ではないからなぁ」

 

 

 

 

 …………

 

 

 

 タンジア管轄 下位 砂漠

 

 泥を避けるエミナ

「何だ、コイツ簡単じゃん」

 脚の間に居ると泥を被らない、

 ボルボロスが体を揺する間は攻撃し放題

 ソロだと事故も起こらない

 

「後の課題は…」

 

 

 頭を低くして走るボルボロス、

 しかも曲がる!

 

 この早さでこの動き、

 だけど止まる地点が予測出来れば…

 

 納刀して走るエミナ

 

 ウザい行動…時間稼ぎが多いだけだ!

 ソロのが簡単じゃん!

 

 

 

 

 

 ……………

 

 

 

 タンジア管轄 下位 孤島

 採取するハルキとアジム

 

「感動です!!」

 虫網で光虫を採ったアジム、

 標本ではなく生きた虫

 

「じゃ次はアオキノコな」

 

 二人で採取する

 

「凄いんですね!これが狩場!調査組の

 報告では分からない事ばっかり!」

 多分目がキラキラ光っているだろうが

 グルグルメガネで分からない

 

「あ?俺は真面目に報告してたぜ?

 全部書いたつもりだけどよ?」

 

「風の匂いも水の色も

 書いてないじゃないですか!」

 クルクル回る、嬉しくて仕方ない

 

「まるで初めて外に出た子供だなw」

 

 

 

 

 …………

 

 

 

「ブオッ!!」

 体当たり

「ここっ!!」

 回避成功!正面より斜め前!

 脚の間で斬りまくる

 

 覚えた!…ついでに…

 

 水に戻る時の位置は大体同じ、

 痺れ罠を設置しておく

 

 突然ドタドタと走るガノトトス、

 ほとんど同じ位置!

 掛かった!

 

「やった!!」

 予想通り!息を大きく吸い込み

「やあああっ!!」

 斬りかかるナズナ

 

 解った、理解した、ガノトトスはレウスに

 比べて動き回らない!

 

 コイツはガンナーならただの的だ!

 私はガンナー少しやったから何か

 違和感を感じたんだ!

 

 

 

 

 …………

 

 

 

「むー…」

 倒れたボルボロスの体から

 泥を剥がしてみる

 

 思ったより弱い、ちょっと慣れれば

 単純じゃん、多分コレが『対応』する力

 

 リオレウスと比べるまでもない…

 

「だめだ、これじゃ弱くなる」

 

 ナズナに追い付かれる、

 それは嬉しいと同時にムカつく

 

 やっぱり最低でもリオレウスだな、

 あっちも時間稼ぎで飛ぶけど

 搦め手は少ないし

 

「次はレウスを…」

 そして…上位検定を…

 

 ナズナに負けたくない

 

 

 

 

 …………

 

 

「あのお方は賄賂などで動かないだろう?」

 ニヤケるギルマス

 

「はい、受け取りますが信用しません」

 ニコリと笑う

 

「コネを作ろうと近付いたなら…」

 

「利用されますね…」

 少し考え

「切り捨てられましたか…」

 

「王都の外へ勝手に出た時点で管理責任は

 誰にも無いし…除籍するには

 丁度良いだろうなぁ」

 

「見て見ぬふり、ってところでしょうか?」

 処分したかった…か…

 

 ありえますね…

 

「しかしアジムさんだけは他の四人と違い

 貴族でもないですし…」

 この人だけは親の実績で居る

 

 

「どうもその辺りに含みがありそうだ…

 だからな?」

 意味ありげに見る

 

「………あぁ、そうだったんですね?」

 どんな『含み』か解りませんが、

 最初からハルキに……

  

「ワシは言われんでもハルキに頼んだぞ?

 元調査隊だからな」

 ニコッと赤い顔で笑う

 

 

 

 

 …………

 

 

 

「本気で調査組に入るのか?」

 

「はい!」

 跳び跳ねながら振り返る

 

「勝手に王都から出たんだぜ?

 処分されそうな身で良く言うぜ…」

 海を見下ろす高台、

 飛竜の巣らしく骨が散乱している

 

「ですから私思ったんです!

 コッチで大きな発見をすれば良いのでは?」

 

「そんな都合の良い話が有るかよ…」

 バカかコイツ、

 王都以外知らねぇからなぁ…

 

「見たこと無いモンスター、鉱石、

 または古代文明!」

 小躍りする、崖っぷちまで来ると

「アレなんかどうでしょう!」

 下を指差す

 

「あー?」

 覗き込むハルキ

 

 青い巨大な…トカゲ?

 ロアルドロスの倍もある

 

「行きましょう!」

 飛び降りる

 

「バカ!待て!!」

 教授かよ!!

 

 




社会、学校、家庭、
その場の空気、
それらの中で自分が出来る事を考える、
自分の立場を考える

それが変化する時に軋轢と発見がある
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