絶対正しい、
自分の考えこそが正論
ネットの世界で毎日の様に見る人達
でも実社会でこうなると自分の成長が止まって
頑固になる。
自分に100点を着けたら終わり
「丸まった!」
「離れます!」
ラギアの周囲にドーム状の電撃!
「行くぞナズナ!」
「はい!」
終わったのを確認、突っ込む
「やあああっ!!」
前足を斬ると突然ラギアが回転!
「尻尾ぉ?!」
「違うぞ!」
「危険です!」
ラギアの周囲に浮遊する電気のブレス、
ラギアを中心に回転する
ナズナは走って逃げる!
「ナニコレ?!ブレス?!」
「何種類攻撃持ってんだよ!」
これ見てねぇぞ!
「ねぇ!ミハエル!」
走りながら指差すナズナ
「スキがデカそうだよ!」
こっちは落ち着いているエミナ
「スキだらけです!」
貫通弾が当て放題
「よし、次にアレ来たら飛び込むぜ!」
…………
何とか討伐成功
「お帰りなさい、成功ですね」
エリナに迎えられる
「エリちゃん!上位の条件って他のは何?」
エミナは機嫌が良い、あと少しだ
先にテーブルに着く三人、ビールで乾杯
「俺ももうすぐ上位だな」
ニヤケる
「私ってどうなるの?」
ソロじゃなくてもイイの?
「ナズナさんもあと少しで上位ですよ?」
「何か実感無いなぁ…」
上位…このパーティーにクッツイテル
だけで何もしてなくない?
「ハルキ先輩!話をお聞かせ願います!」
ペンと分厚いノートを持ってアジムが来た
「あれ?お前らの処分はどうなった?」
「他の四人は残念ながら強制送還に
なりました、親達もお怒りだったようで…
書士隊も辞める事になるかと」
眉が下がる
でしょうね…
ミハエルは納得
「だろうな…お前は?」
「はい、ここで調査しろ、
との辞令を受けました」
ビシッと気を付けの姿勢
「調査って…お前一人で何やんだよ?」
方眉を吊り上げる
「はい、こうして情報収集や、ハンターに
同行して調査しろと…」
「それなら安全ですね」
昔の書士隊の形に戻す訳ですね
あくまでもハンターの随伴で…
立場的にはまた弱くなる…
…これが処分?
…アジムさんの希望通り…か?
「あのさ、アジムさん…」
ナズナは思いきって話かけてみる
(おっ!初めて言った!)
(どうする気でしょう)
男二人に緊張が走る
「なんでしょうか?」
ぐるぐるメガネが首を傾げる
「アジムちゃん…って呼んでいいかな?」
恥ずかしいし照れる
(なんだよ、そんな事か)
(杞憂でしたか)
「本名でもアジムでも構いませんよ?」
「え?アジムが本名じゃないの?」
真顔になるとハルキに向くナズナ
「あー言って無かったな…アジムは…
アダ名っていうか…」
「本名は確か…」
ミハエルは思案顔
「本名はアリス・ジーナ・マルベス、
略してアジムです」
軽く敬礼して見せる
「か…カワイイ名前…」
名前だけで負けたような気になるナズナ
「この見た目に対して名前が良すぎる
からな、子供の頃に皆でアダ名付けたんだ、
今思えばヒデェ話だ」
しかめっ面
「子供故の残酷さ…ですか」
苦笑い
「じゃあ…アリスちゃん」
モジモジする
「はい、ナズナさん」
口元は笑っているが…このメガネ
どうにかならないんだろうか
「こ、これからよろしくね」
今さらだけど精一杯笑う
「はい、よろしくお願いいたします、
正直ナズナさんは怒ってらしたようなので、
話し掛け辛かったんですよw」
あぁ、私って態度に出てるんだ
冷や汗が出る
人を不快にさせないように…
反省しよう…
「ねぇねぇ!
グラビモスとディアブロスだってさ!」
エミナが戻った
「あれ?アグナコトルじゃねぇの?」
「アグナコトルはタンジア管轄ではまだ
確認されておりませんね」
アジムがノートをパラパラ
「それの代わりにラギアだったんですね」
横からミハエルが覗く、
モンスターの情報が細かく書かれている
「だけど今は無いってさ、またソロやる?」
「そうですね…やってみますか」
初めて見るとは言え下位に苦戦など
恥ずかしいですよね
「私も…やってみたいことあるし…」
「何やんだナズナ?」
「お金少し貯まったし、他の武器をやって
みようかなって」
「おや、鏡はどうしました?」
「あ!」
全員爆笑
…………
「強い武器だと?」
ロクロウが居た、何を始めたら良いか
解らないから聞いてみた
「そんなものあったら全員同じ武器だろう?」
白髪混じりの髭を弄る
そりゃそうだ
「何でも良いから持って採取で練習しろ」
「あの…ロクロウさんは何で
ランスなんですか?」
腕組みして怒ったような顔、
あれ?怒らせた?
怖い
暫く沈黙すると
「俺はランス一本でやりすぎた、
お前は若い、色々試した方が良いだろう」
「ロクロウさんは他の武器は?」
「一応全部触ったが…自信を持って
戦えるのはコレだけだ」
ランスを見る
「分かりました、色々やってみます」
頭を下げて席を立つと
「ナズナ…その…」
ロクロウは言い辛そうに
「まだ先の話だが…『自分は正しい』と
思えたら自分を疑え」
「?、なんですか?」
「いや、良い、先の話だ」
…………
数日後
「あぁ?ロクロウの話か?」
ジュウジが雑貨屋にいた、
鏡を買おうとしたら小物を選んでいた
普段着だと普通のオジサンで、髪が伸びて
坊主頭、スキンヘッドじゃなくなってる
…全然分からなかった
「丁度イイ」
ナズナに選んでいたものを見せると
「どっちがイイと思う?」
化粧品を見せる
口紅?
貴方の目の前に居る地味な女は
化粧する人に見えますか?
ちょっとムカつきながら適当に選ぶと
なぜか喜ぶ、人気の踊り子さんに
あげるらしい
店を出ると海岸沿いを歩く
普段着のオジサンとレイア一式のハンター
「あの、ロクロウさんの話の意味ですが」
「なぁ?俺らのパーティーって、
どのくらい組んでるように見える?」
海を見ながら話す
「10年…とかですか?」
長そうだよね、
ってかこの人の話は独特だなぁ、
素直に答えずに突然話飛ぶんだもん
ジュウジは笑うと
「一年と少しだ」
「えっ?!」
凄いベテランパーティーっぽいのに?!
アイツはよ、20代から約20年
ずーっとソロだ、G級も全部ソロで昔は
四英雄の候補にまでなった
「凄い強い人じゃないですか!
…でもなんで四英雄にならずに…?」
立ち止まるとジュウジは語る
ソロで全部出来る、それは間違いなく
強さの証明だ、どんなクエストも生きて
帰って来る
ナズナは頷く
だけどな?そこで『自分が正しい』と
思ったらしいんだ、確かに正しい
…そうだろ?
だけど同時に間違えた
「?」
お前にはまだ解んねぇよなw
他人の否定になって行ったんだ
「否定…ですか?」
俺らと組むまでランス以外の武器は
認めねぇし、弟子にもそれを強要した、
もちろんパーティーにもだ
「得意な武器って色々…あとサポートとか
役割があるし」
ミハエルとハルキは分かりやすい
そういう事を全部認めねぇんだ
ただ俺達もロクロウを否定出来なかった、
アイツの強さは確かだったしな
少し白髪のある坊主頭を掻くと
「歳のせいか少し丸くなったみてぇよ?
俺達に組んでくれって頼んだからな」
「何かが変わったんでしょうか?」
それほど強い人が…
「強さ…それを追いかけるのは正しい
…けどよ?仲間も弟子も無く一人に
なったら寂しいだろ?」
こっち見て軽く笑う
村にいた頃に戻りたくはない
居場所を無くしたくない
「自分と同じになってほしくねぇんだよ
…ロクロウは」
歩き出す
「俺から聞いたって言うなよ?」
背を向けたまま手を振る
そう言うと酒場の方へ歩いて行く
自分の強さに絶対の自信があるために
他人の否定か…
私はそんな強さ無いよ
でも…
自信って欲しいな
だからちょっとだけ
ほんのちょっとだけ冒険してみたくて…
宿舎の小舟
買って来た鏡を細い柱に取り付けて
実はもう一つ買って来た
フェイスペイントの赤
これで自信が持てるかな…
目尻に少し…睫毛の上にも少し…
ケイシャの仲間はこんな風だったよなぁ
…勇気…
上手く出来てるんだろうか、
こんな時エミナが居れば聞けるんだけど…
ギルドに歩いて向かう
皆変な目では見ない
注目されてはいない
ドキドキする
多分オカシくはないはず…
ギルドに入ると
「ナズナ!どうしたの?!」
エミナが高い声で叫ぶ
すぐに気付いたようだ
ちょっと注目されるからやめて
「あ…変かな?」
「にひひひ、
化粧してみたくなる年頃ですかぁ?」
口に手を当て下卑た笑い
「え?似合わないかな?」
生意気だったか?
私19だし、これくらいは…
「んーん、色白いから似合うよ?
赤で正解っぽいw」
「私って色白いの?ミハエル…」
「ミハエルは例外だよ!特別!アレは反則!」
手をヒラヒラする
凄いドキドキしたけど受け入れて貰えた
「呼びましたか?」
別のテーブルからミハエルも
「…ん?ナズナさん、何だか顔が
明るくなってますよ?」
嬉しいっ!!
これが化粧の効果?!
「何騒いでんだ?」
ハルキも別のテーブルから
「ハルキ!ナズナ見て何か気付かない?!」
ハルキは…
ハルキは…
「あ?何か変わったか?」
首を傾げる
あんたはホントにアレだよ…
アレだよ…
「その化粧なら前髪上げても似合うぞ?」
素っ気無く
アンタはさ、いっつもさ…
「男でも髪形とかアクセサリー
一つで自信出たりするからな」
逆立った髪を掻く
「やっぱりそうなんだ」
そんな気がしたんだよ
「あとは笑顔ですよ?」
ニコッと笑う
「せっかく化粧したんだからさ、
背中丸めないで」
背中を叩く
「誰もバカにはしねぇよ?オカシかったら
真っ先に俺がバカにしてやるぜ?」
ニヤケる
…今解った
ハルキは私を傷付ける訳でも
バカにしてもいない
意見してるんだ
それも私を思って言ってくれてる
それに居場所って人に認められる事なんだ
人の中に自分の居場所が出来るんだ
化粧や髪形が変わった事に気付いて貰えると
嬉しいんだよ、
そんな小さな事が自信になったり
気分が変わったりするんだ。