生きることは悩むこと 2   作:天海つづみ

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今回は会話のみ


繋ぐ

 

 ジュウジとイシズキがドアを抜ける

 

 薄暗い明かりのなかに派手な衣装が並ぶ

 

「あら?いらっしゃい」

 酒場の踊り子の控え部屋

 目の覚める美人が振り返る

 

「じゃ、俺は戻るぜ」

 ジュウジは踵を返す

 

「ありがとよ、ジュウジさん」

「よせよ、お前が俺に敬語なんざ」

 

 

 

「一応到着の挨拶に来たぜ?」

 イシズキは笑い掛ける

 

「お疲れ様です」

 踊り子は立ち上がり敬礼、

 普段着は地味なようだ

 

「まさかゼニスさんが派遣されてるとはな」

 

「誰にでもなれるのが私ですからね、

 感情の無い能面女ですから」

 どう見ても二十歳位の美魔女は微笑む

 

「自分でそう言えるのはスゲェ強いぜ?」

 

「ふふっ、告白する勇気も

 持てなかった弱腰ですよ」

 

「やっぱり強ぇよw…で、本題だがよ、

 摂政側のヤツが誰か…」

 

 

 

 イシズキに椅子を勧めると

「手紙を全てチェックしたところ、

 おおよそ…」

 

「やっぱりギルマスか?ナズナって女は

 そんな事出来そうに無かったしな」

 

「いえ、それが…

 ギルマスは割りと自由な気質で摂政側に

 とらわれて無い様でして…」

 ゼニスも座ると

 

 

 

「書士隊のアリスですね」

 

「あの事務組か?!俺ら(四大英雄側)も

 真っ先に疑ったが何も考えて

 なさそうな天然だぜ?!」

 

「そこを利用しているようです、ハルキの

 話を自然に聞き出せるわけですし…

 その為にコチラに送り込まれたんでしょう」

 

「………自然とミハエルの動向は筒抜け

 …か……?」

 

「摂政が使いそうな手です、

 おそらく本人達は…」

 

 

「監視してるつもりも…」

 

「監視されてる意識も出来ていないかと」

 

 

 

 

「まったく…ミハエルもまだ子供だなぁ」

 ため息

 

「本人達は楽しくハンターやってる

 だけですね」

 笑う

 

「そういえばよ、どうやって手紙全部

 チェックしたんだ?」

 

「アイルーが運ぶ訳ですからw」

 

「…マタタビ次第か…ってことは」

 

 

「摂政もこの手を使って情報収集

 してるでしょうね」

 

「四大英雄と渡り合って来ただけあるな」

 頭の良さだけじゃない、

 目的のためなら心理の裏までか…

 

「ミハエルを取り返すのは骨が折れますよ、

 ミハエル自身が摂政の手に落ちた事を

 理解してません」

 

「ハルキもか…」

 

「ハルキがミハエルから離れない以上、

 監視されます」

 

「幼馴染だしな、突然離れたら…」

 

「警戒されますね」

 

 

 

 

「ミハエルに事実を伝えた場合は…」

 

「シュレイド大陸に…四大英雄の庇護下に

 戻ろうとするでしょうが…」

 

「邪魔してくる…か?」

 眉間に皺

 

「おそらく…」

 目を細める

 

「摂政…

 シュレイド対ギルドになっちまうな、

 荒立てたくねぇなぁ…」

 

「出来ればコチラでミハエルに四大英雄側

 である自覚を持たせたい所ですが…」

 

 

 

 

「俺が来た所で…できるかぁ?」

 頭を掻く

 

「責任重大ですね」

 

「そっちの上からは何て指示が来てんだ?」

 

「現状通りです」

 衣装に目をやる

 

「助けてくんねぇ?」

 苦笑い

 

「新しいダンス作らないとなりませんし」

 ニッコリ笑うと子供っぽい

「それにこの事案自体に意味があるかと」

 

「?」

 

「ミハエルも貴方自身も

 成長させたいのでは?」

 

 

 

 

 

「あの人達が…」

 

「考えそうな事ですw」

 

「まさか…俺を将来ギルドマスターに

 する気じゃねぇよな…」

 

 

 

 

 

 

 ……………

 

 

 

 

 数日後

 

「お前らココットにいたんだろ?

 モノブロスはよ?」

 イシズキに聞かれる

 

 みんな首を振る

 

「かぁーっ!!もったいねぇ!!」

 立ち上がると

「いいか!ハンターは全員が

 四大英雄の弟子なんだぜ?!」

 ギルド中に聞こえるように話す

 (こうやって刷り込んで行くしかねぇな)

 

「こっちで羽伸ばしてるつもりか?!

 弱くなるぜ?!」

 

 全員が『弱く』にピクッと反応する

 

「マジか?」

「そうだよな、先輩達が居ないし」

「怖い人が少ないからな」

 ザワつくギルド

 

「うを、さすがイシズキさんだ、

 ギルドの空気がビシッとしたぜ」

 

「なんか皆ピリピリしてない?」

 怖い、のんびりした空気が消えた

 

「あそこまで言われちゃ黙ってらんない、

 何かデカイの狩りに行こ」

 ムスッとする

 

「田舎のギルドの空気だったんですが…」

 なるほど、人数も増えてますし

 此処は大きくなる…

 主要ギルドになりつつある…

 と見込まれたんですね、

 それで統制役が必要な訳ですね

 

 

 

 

 

 

 ……………

 

 

 

 

 

 

 シュレイド大陸 ココット村

「摂政殿、今回はヤられましたわい」

 

「初めて一本取れましたよ」

 

 向かい合って座り笑う二人

 

 

 そしてその後ろで直立で睨み合う

 ドリスとマーカス

 

 

「で?敗者の顔を見に来たのかの?」

 目がシワに埋もれる

 

「まさか♪、反撃が来ないので、

 ご機嫌伺いにきただけですよ?」

 まるでイタズラっ子の様に笑う

 

「次の一手を探りに来たと?」

 コチラも目が笑う

 

「そんな所です」

 

 

 

 と、真剣な顔に変わり

「前置きはコレくらいで…

 貴方らしくありません、まさか

 ミハエルをコチラに…?」

 

「摂政どの、ワシらは歳をとった…

 そろそろ次に渡さねばの」

 

「…引退すると?」

 

「隠居だなぁ」

 笑うとキセルを吹かし

「思えば長い道程だったが…もう

 ハンターはワシらがいなくても…

 人の手だけで歩いて行けよう…」

 

 

 

 

 

「ハンターは巨大な戦闘集団でもある、

 それをコントロールしていたのは

 他ならぬ貴殿方だ、そのカリスマ無しで

 規律を維持出来るとお考えか?」

 

 ならず者の集団に戻れば国の脅威にも

 なりかねない

 

「カリスマ…伝説…そんなものは

 もう必要ない、ワシらの意思は…

 思いは多くの者に伝わった、

 もう人の手だけでやっていける」

 

 

 

 

「…まさか…四英雄の制度まで…」

 

「そこなんじゃ、称号を断るヤツが

 出たし、ハルキに至っては称号を

 嫌っておるようじゃ…

 もう無くなっても問題あるまいよ」

 煙を吐く

「ハンターは自然とワシらのバランスを

 保つのが最大の目的…

 ガストンのヤツがワシらから人へ全部

 繋いだ、これからは自由にすれば良い」

 

 

 

 

「私がミハエルとハルキを奪っても良い…

 と?あの子達はハンター組織の中心に

 なるでしょう?」

 

「ミハエルは生まれながら特別過ぎた、

 両親は四英雄、ガストンの孫弟子…」

 

「ギルドナイト本部長の子にして

 摂政の甥っ子ですし」

 

「ハルキにもいらん期待を掛けるのは…

 もう自由にさせてやるべきじゃ…」

 

「それでは…私は勝手にしますが…

 干渉しないと?」

 

「うむ、じゃがソチラもギルドの

 『規律』には干渉せん方が良い、

 手を出せば黙っておらん連中が大勢居る」

 

 

 

「次の世代…」

 後ろのマーカスを見たあとドリスを見る

「睨み合いながら食事をする関係が続く

 …かな?」

 

「どう変化しようが干渉せん、

 引退じゃ…

 後は若い者が勝手に時代を創る…

 それで良いわい」

 振り返ると

「ドリスや、ワシは明日から置物じゃ」

 

「了解しました!」

 敬礼する

 

「マーカス、手強いですよ?」

 

「お任せ下さい」

 鋭い目でメガネを直す

 

 

 

 

 立ち上がると

「英雄に頼る時代は終わったのですね」

 少し憂いを持った顔で竜人を見ると

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「今まで人族を導いて頂いた、

道標として多くの知識を与えて下さった、

及ばずながら人類を代表し

感謝申し上げます」

 深く一礼する

 

「ワシらの時代は終わる、

 新しい世代が時代を創る、

 口煩い年寄りになれば良いのじゃ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 …………

 

 

 

 

 

 時は流れ

 

「ちょっと!ミハエル!」

「何です?エミナ」

 大きな部屋に大きな鏡、元摂政の

 屋敷でメイド達にドレスを着せられる

 

「何でこんなカッコすんのよ!」

 白いドレスのエミナ、

 髪を解かれ髪飾りが付けられる、

 相変わらず態度はデカイ

 

「一応はそれなりの装いをしないとね」

 白いローブで絵画のようなミハエル

 

「ドレスはともかく…

 この変な靴は何なのよ!」

 踵が高い靴に悪戦苦闘するが、

 ミハエルが支えながら

 なんとか長い廊下を歩く

 

「先ずは笑顔ですよ?」

 大きな扉の前に立つ

 

「うー、緊張するー…」

 苦い顔

 

「叔父上も母様も知ってるじゃないですか」

 

「そりゃ会ってたけど…」

 状況が違いすぎるじゃん!

 

 執事が扉を開けると

 

「ルーメル家の皆様!

 大切な報告に参りました!」

 一礼するミハエル

 ドレスのスカートを少し持ち上げ

 礼をするエミナ

 

 

 ………

 

 

 

 

 

 

「ハルキさん?ハルキさん!」

「あぁ?」

 学者の姿が振り返る

 

 王都 学術院、石畳と芝生の中庭

 大きな建物が集まる

 

 8歳くらいの女子二人が話掛ける

 

 

「お久しぶりです!」

 キチンと礼をするメガネの娘

 

 

「おぉ!ソフィアじゃねぇか!

 でっかくなったなあ!」

 

「あの、父が見当たらないのですが…」

 

「またか…こんな日まで自由過ぎんだよ

 マルク主任は…」

 娘が初等部に入学したってのに…

 いい加減に降格じゃ済まなくなるぞ

 

「んでそっちは…」

 

 ちょっと地味な三つ編みの娘

「あ、あの、初めまして、

 アイシャと申します」

 モジモジと答える

 

「今日友達になりました、モガの村

 という所から来たそうです」

 

 まじまじと見るハルキ

 

「おぉ?!母ちゃん元気か?

 前は良く行ったぜ!」

 

「あれ?ご存知なんですか?」

 ハルキとアイシャの顔を見る

 

「お前ケイシャの娘だろ?似てるぜ?」

 

 

 

 

 …………

 

 

 

 

「これでよしっと!」

 ココット村

 一人の生徒の首にネックレスを掛ける

 教官

 

「教官、なにコレ?」

 地味な生徒の女ハンター

 人と関わるのが苦手でいつも孤立する、

 他の生徒と話せないしまだ防具も無い

 

 長い前髪が鬱陶しい15歳

 

「勇気が持てるお守りだよ?」

 指を立てる

 

「えー、何か古くない?」

 デザインというモノが感じられないし、

 ガラクタじゃない?

 

「村長が昔造って、色んな人が受け

 継いだ由緒ある物なんだからね?」

 

「……えー…」

 不満そう

 

「ソレがあれば誰にでも話掛けられるし、

 友達もできるよ?

 先ずは誰とでも話せる様にね」

 笑う教官

 

「教官友達いるの?どんな人なの?」

 明らかに不審な目

 教官だって人付き合い苦手そうなのに

 

「あれ?私だって友達くらいいるよ、

 大臣補佐とその奥さんとか」

 威張りながら言うナズナ

 

 

 

 

 

「冗談下手すぎ、別世界の人じゃん」

 

「ホントだってばパーティー組んでた

 内の二人だもん」

 

「あれ?もう一人は?居ないの?」

 

「そいつは学術院の教授になったけどね」

 

 

 

 

「…仲が悪いとか?」

 

 

 

 

 

「んー、んふふふ…」

 ニヤケるナズナ

 

「…なにその笑い」

ジト目で

 

 

 

 

 

 

 

「私を幸せにする人になったんだよ?」

 

 

 

 

 

 

 

「……!!まさか!

 教官って結婚してんの?!!」

 

「んふー、まだだけどね」

 

「何で人と関われるの?」

 他人が嫌いなんだけど

 傷つくし面倒だし…

 

 

 

 

「人との出会いが無いと何も

 始まらないんだよ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ライズのPVが公開された直後から
気持ちがそっちに行ってしまい
発売前に終わらせようかと。

今度は全く違う設定と世界観で
モンハン描いてみたいです

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