生きることは悩むこと 2   作:天海つづみ

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完璧と嫌味

「私を殺す?」

 

「そうです」

 ナズナに正面から

 

 真剣な顔もイイわ…だけど…

 顔を隠す、恥ずかしいと言うより照れで

 「どういうこと?」

 

「ナズナさんは片手剣の使用が、

今回で二度目ですね?」

 

 首を振る、訓練で使って…

 

「実戦では二度目ですね?」

 

 頷く

 そうですよ、素人ですよ?

 

「どの武器でもそうですが、重要なのは

緊急時にどんな判断ができるかです」

 

「あー、追い詰められた時だね」

 剣をクルクル振るエミナ

 

「そうです、その時の経験が多いほど

生き残ります、数少ない選択肢の中から

最善を選ばなければダメージ、

最悪死につながります」

 

「だ、だけど助けてくれた訳だし…」

 びっくりしたけど助けられた

 

「下位、それも基礎の段階で経験を

積まなければなりません、G級などは一撃で

瀕死になるそうですから」

 

 怒ってる、口調は静かだけど雰囲気で解る

 

 ナズナは俯いてしまう、

いきなりそんな事言われても

 

 でも…

 

 そうか…緊急時の判断の回数こそが

重要なんだ、ハルキはそれを

奪った事になるのか

 

「ミハエルぅそれ位にしたら?

上位がいきなり言っても分かんないよ、

それにナズナが怒られてるみたいじゃん」

 

「え?上位って…?」

 

「コイツの装備よ、

ギザミのSシリーズなんだよ」

 そっぽを向いている

 

 ???

 

「え?あの?下位じゃ?」

 

「事情があって、公式には下位ということに

していただいてます」

 一人だけ飛び抜けてる理由はこれか…

 

「ハルキ、浮わついた気持ちを狩場に

持って来てはいけません、ナズナさんの

ためを思うなら尚更です」

 

 こっちを向くと

 「ちっ、わぁーったよ真面目だな」

 ボリボリ頭を掻きながら

 「おれが悪かった」

 

 頭こそ下げないが、ハルキは詫びた、

少しナズナは驚く、

そんな素直なタイプに見えなかった

 

 

 ふぅ、とミハエルは一息つくと

いつもの笑顔に戻る

「次はハルキがペアになってみてください」

 

「行くぞナズナ!」

 こっちに笑い掛ける

 

「は、はい!」

 今アンタ怒られてたんだよ?

 切り替えが早いのか、単にバカなのか

 

 二人でクックのいるエリアへ

 

 

 

 

 ………………

 

 

 

 

「…ミハエルさぁ、真面目なのはイイけど、

アンタのレベルでいわれても…まだ

ナズナには分かんないよ?」

 エミナがジト目で見る

 

「分かっています、言い過ぎました」

 顔に手をやる

 最初に知識を詰め込むより、

体験してから教えた方が理解が早い、

それは分かっている。

 

 だが狩場では体験の段階で死ぬ事が

ゼロではない、

 だから弱いモンスターの内に痛い思い

をさせなければ危険なんだ。

 

 

 

 

 

 ………………

 

 

 

 

「いいか?!俺の攻撃範囲に入るな!」

 クックを挟むように位置を取る

 

「え?!範囲?!」

 

「正面には立つな!」

 

「ど、どうしたら」

 正面って?!ハルキの正面?

 

 クックがエミナの方に振り返り始める

 

「ナズナ!横!」

 横に回転受け身で転がると、クックの突進が

余裕で避けられた…

 突進の方向がズレてる?

 

 何言ってるか良く解らない

…けど…指事が早いのか?

 

 「今だ斬りかかれ!」

 クックはハルキに向かって走っているのに

 え?どういう事?

 

 次の瞬間

 

 ドカンと溜め斬りの音と共に

クックが横倒しになった

 

 ナズナは安全に斬り掛かるが…

 何かは分からない、けど…

ハルキは何かが見えてる?

 青い翼を斬り、更に首の辺りを斬ると出血する、

 倒れてる今のうちに試してみる

 背中を向けて回転斬り!!

 

 

 

 

 ………………

 

 

 

 

「さっきのハルキも気になるんだけどさぁ…」

 大剣の振りかぶるマネをする

 

「昨日の砥石を投げたタイミングもですね?」

 腕組みして

 

「気付いてたんだ…私が閃光玉投げる

直前に投げたんだけどさ…」

 

「言いたいことは分かります、妙に

タイミングが合う事が何度かあるんです…」

 

「あいつ何か私らと…

何か違うモノが見えてる気がする」

 

「上手く言えませんね」

 

「何かきもちわるいよね」

 苦笑い

 

「そうなんです」

 こっちも苦笑い

 

 

 

 

 ………………

 

 

 

 

「では好きに動いて下さい!」

 ミハエルの指事が飛ぶ

 

「え?勝手に?!」

 

「はい、こちらで合わせます!」

 構えるミハエル

 

 私が足を斬ると翼に向かって貫通弾、

翼を斬ると頭に

 凄い!私に弾が飛んで来ない

 私に当てないように攻撃してる!

 

「前転回避!」

 

 反射的に前転…!!?

 足が目の前!!

 

 ぶつかる!蹴られる!

 踏まれるううっっ!!!

 

 が、

 

 クックの尻尾側に抜けた、

 あまりの展開に地面にペタんと座り呆ける、

何が起きた?

 

「ナズナ!!」

 ミハエルの一喝

 

「は、はいいっ!!!」

 何をボケッとしてるんだ私!

 

 

 

 

 ………………

 

 

 

 

 帰り道

「どうでした?」

 

「えっ?」

 色んな事がありすぎて何を

質問されてるか分からない

 

「今日は返り血も気にしてなかったようですが?」

 

 怒られた辺りから気にする余裕も無くなったよ

「なんだか色々あったから…」

 剣でクックなんて考えても見なかった、

怖いんだもん

 

「顔も隠して無いしね!」

 

 うっ!

 思わず盾で顔を隠そうとしたが…止めた、

 

 何か…もうどうでもイイや。

 

「ミハエルにも見とれなくなったしな」

 

 あれ?

 ナズナはミハエルを見る、

 見慣れた?トキメかない、

 あれぇ?

 

「あー、やっぱり!」

 私とミハエルの顔を見る

「私も最初だけだったもん」

 手をひらひらするエミナ

 

「やっぱりって…?」

 

「ドンドルマ出る時にミハエルに聞いたんだ」

 

 

 

 

 

 ……………

 

 

 

 

 

 ドンドルマ、西

 

「ねぇ、ミハエルってさ、いつも

そんなにピシーッとしてて疲れないの?」

 

 フッと少し笑うと

「何の事だか分かりませんが?」

 

「うっわ!ムカつく!」

 ここまで来ると嫌味だわ

 

「だろぉコイツ!」

 

 

 

 

 

 ……………………

 

 

 

 

 

「って事があってさぁ」

 笑う

 

 ミハエルの顔を見るとニコリと笑い

「だから何の事だか分かりませんが?」

 相変わらずキラキラした笑顔だが

 

「うわ…私もちょっと…」

 なんだろう…嫌味っていうか

 ちょっと…完璧すぎて…

 

「だろぉ?だから付き合うなら俺だぜ?」

 親指で自分を指す

 

 

 

「………ないわー…」

 自分でも解る、私いま無表情

 

 …チベットスナギツネ…

 

「だよねー!」

 

「コイツがいるから俺が

不細工にみえてるんだろ?」

 親指で指す

 

「…いや…あの…」

 それ以外の所も

 

「違うよ?アンタ馬鹿だもん」

 

 直球だな!

 

「誰がバカだ?」

「アンタですぅ」

 あれ?この二人、仲良いかも

 

 

 

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