生きることは悩むこと 2   作:天海つづみ

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強制と努力

 

「ただいまぁ」

 エミナとナズナ

 

「早かったですね」

 テーブルで防具の手入れをするミハエル

 

 きゃああああ!!!

 ナズナは赤面する、両手で顔を隠すが指の

隙間から見る

 

「あれぇ、ミハエル早いじゃん」

 

「許可が降りなくて半日ギルドにいましたよ」

 インナーだけのミハエル

 

「じゃあさ、まだ明るいしナズナに

最初の訓練やってよ」

 

「私で良いんですか?」

 立ち上がる、肌白い、すっごいキレイ…

 

「だって私じゃ軽すぎるもん」

 

「ぶ、ブルファンゴ3頭に固められちゃって、

な、何かガードが上手く出来なくて…

私どうしたらイイか…」

 きゃああああ!

 お顔が見られません!

 

「じゃあ外へ行きましょう」

 防具を着け始める

 

 

 

 

 いや…うん…イイけどさ…

 もうちょっと見たかった

 

 

 

 三人で外へ、村の真ん中の開けた道へ、

え?何すんの?

 

「では構えて」

 ミハエルは素手で構える

 

「え?このまま?」

 何も分からず片手剣を構える

 

「行きますよ」

 一歩ミハエルが踏み込むと

「ドガッ!!」

 

「ぐひゃあっっ!!!」

 吹っ飛びゴロゴロ転がる!

 長い脚で盾を蹴られた

 

「…エミナ、訓練の概要は説明しましたか?」

 

「んーん、どんな反応するか見たかったw」

 

 イジメっ子だ!!

 

「ケガをしますよ?」

 とは言っても助け起こして

はくれないミハエル

 

「何言ってんのよ!最初にこれで

ボッコボコになる所からじゃん!」

 

「いったあい…」

 よろけながら起き上がる、

 泥だらけ

 口の中にまで砂粒がジャリジャリいう

 

「ほら立って!次だよ!」

 

 イジメっ子め…ならば!

「ねぇエミナ、手本やって見せてよ」

 

 フハハハ!吹き飛ぶがいい!

 

 

「いいよ!ちゃんと見てて!」

 ミハエルの蹴りに合わせて半身になり、

体を低く、盾を斜めに被るようにする

 

「ガシュッ!!」

「おっと…」

 脚を上に逸らされヨロけるミハエル

 

「こうやんの!まともに力で対抗しない、

盾の丸みで逸らすの!」

 すいません、私がバカでした

 考えてみれば過去にやってるんだよね

 

「おぉ!懐かしいの!」

 ギルドマスターが出てきた

「逸らすじゃな」

 杖で指す

 

「今は受け流すとか、

イナスってよんでるよ?」

 

「そうか、時代は変わるもんじゃなぁ」

 目がシワに埋もれる、が、チラッと

墓の方を見たあと

「だが随分弱いの?ガストンに叩き込んだ時は

もっと全力じゃった」

 

 ちょっと待って!ハードル上げないで!

 

「せいっ!」

「ドガッ!!!」

「ぐぇふうっ!!」

 掛け声まで出てるじゃん!

 さっきより強いじゃん!

 

「ほらナズナ、しっかり」

 笑ってるエミナ

 

「もう限界ぃぃ、やめようよぉ」

 泥だらけだし、恥ずかしいし…涙が…

 変な声まで出しちゃったよ

 

「そこからが鍛えると言うことじゃ」

 余計な事言うなギルマス!

 

「よう、姉ちゃん頑張れ!」

「早く立てほら!」

「ヨロけてるぜ?!」

 村の人達が輪になってワイワイ騒ぐ

 汗だくの泥まみれで転がされるナズナ

 

 

 

 ……………

 

 

 

「はっ?!」

 

「あー、気がついた」

 

 あれ?私どうした?

「ん…と、あれ?」

 ギルドの天井…

 

「気を失ったので運びました」

 

「にひひひ」

 

 この笑い…またか?またなのか?

 長椅子から起き上がろうとすると、

「いたたたた!」

 間接が!腕が!腰が!

 

「今夜は早く寝た方が良いでしょう」

 

「痛みの本番は明日の朝だしねぇ」

 

 コレよりひどいの?!

「ね、ねぇ…こんな訓練を皆やってきたの?」

 

 二人とも当然と言う顔で

「私は10歳でハルキは11歳の時には既に」

「私もそのくらい」

 

 こんな事してたんだ…

 髪から砂がパラパラ落ちる

 

「何だ?ナズナは訓練知らなかったのか」

「大体師匠がいるやつはやらされてるぜ?」

「お前は人と話さなかったからなぁ」

「俺達が話し掛けても素っ気なさすぎなんだよ」

 ワイワイ他のハンターも集まる、

ギルド中が騒ぐ

 

 私ってそうだったのか、

 そうだよね、凄い取っ付きにくい女だよね

「当然の訓練なの?」

 

「そうだよ?生き残るための」

 

「明日は30回を目標にしましょう」

 笑顔が素敵…だけど鬼!

 

「また気絶したら恥ずかしいし…

もうちょっと少な目で…」

 初めて気絶なんてしたよ…

 村の真ん中で泥だらけで…

 

「にひひひ!

何回も姫様抱っこしてもらえるよ?」

 

「もっと恥ずかしいですよ?

 頑張りましょう」

 こんな泥だらけの私を抱っこさせて

しまった…

 

 …ちょっと待て、村の真ん中で村中が

見てる中でお姫様抱っこされたんだよな?

 

 昨日の娘達に…何かされそう

 

 

 

 

 

「あれ?何だお前ら、帰ってたのかよ」

 

「あ、お帰りぃ、久しぶりのソロは

どうだった?」

 

「お帰りなさ…いつつつ!」

 振り返るだけでも腰がぁ!

 

「何だナズナ、泥だらけじゃねぇか」

 

「私達が最初にやったアレですよ」

 盾を構えるマネをする

 

「何だよ俺も蹴りたかったぜ」

 笑いながら

 コイツもイジメっ子だ!

 

「何だ俺達も蹴っていいのか?」

「いつでも言ってくれよ?」

「俺は手加減しねぇぜ?」

 

「しばらくは毎日狩りと訓練で

忙しいなぁナズナ」

 ギルマスがニコニコしている

 

 嘘でしょ?!毎日?!

 体が持たないよ?!

 

「キツイよぉ…」

 

 

 ……………

 

 

 

 

 翌朝

 

 

「あだぁあっ!!!」

 体がぁ!!ナニコレ!!

 起き上がれないじゃん!

 筋肉痛所じゃない!間接まで痛い!!

 

 これが毎日続くの?

 

 

 

 でも…イジメの毎日に比べたらマシかぁ…

 

 

 

 

 コンコン

 え?ノック?今何時?

 

「いつまで寝てるんです?狩りに出ますよ?」

 

「あ、あのー、私今日はお休みを…」

 ミハエルか…痛い痛いイタイ

 

 

「早くしないとミハエルに寝起き

見られるよぉw」

 エミナも!?ヤバい開けられる!

 

「開けようぜw」

 ハルキ!!

 

「ま!待って待って!お願いぃぃぃ!」

 身体中痛いのに!!

 

 

 ……………

 

 数日後

 この前の沼地、 討伐対象はゲリョス

 

 走って来るブルファンゴ

 斜めに受けて

「ガシュッ!」

「出来た!」

 力を逸らせば固まらない

 

「モノにしたねぇ!」

 腕組みして笑うエミナ

 

「エヘヘ」

 年下に褒められて照れる

 

「私なんて最初は次の日

起きられなかったのに」

 そうでしたか、このドSめ

 

「私も数日熱出しましたよ」

 アナタもでしたか

 

「俺は熱なんか出なかったぜ?

すぐにモノにしたしな」

 ふんぞり返る

 

「なんか意外…」

 

「ハルキは初日に出来ましたから…」

 苦笑いのミハエル

 

「はあ?ハルキがぁ?」

「何だよ?」

 なんだかこの二人、お似合いじゃない?

 

 

 

 

 

 ゲリョスを探し、見つけた、

 ぼんやりと霧の中にシルエットが浮かぶ、

視界が悪い

 

「毒消しはありますね?」

 

「さすがに持って来てるぜ」

 

「ナズナ、クックと同じように潜り込むよ?」

 

「分かった、頑張る!」

 初めてクックより強い相手だ

 

「そんじゃ行くぜぇ!」

 気が付いてないゲリョスに斬り掛かる

 走り回るゲリョス、

 紫の毒を撒き散らす

「ひいいっ!」

 

「落ち着いて!軌道を良く見て!」

 

 しかし毒に当たるナズナ

「どっ毒消しを!」

 走りながらポーチを引っ掻き回す、

あった!!

「ナズナ!」

 

 いきなり襟首を掴まれ引っ張られる、

手から滑り落ちるビン、薬が!

 

 は、ハルキ?!何を?!

「ビュオッ!!」

「ひいいっ!!」

 鼻先を尻尾が掠めた

 

「ほら」

 ハルキの毒消し

 

「あ、ありがと」

 また助けられた?

 

 エミナとミハエルは違和感を持つ

 モンスターは通常、走った後はこちらに

振り返る、もちろん尻尾の振り回しもやる

がどちらをやるのかは動き始めないと

分からない

 

 次の行動の初動を見なければ

対応出来ないはず

 

 しかし

 

 今ハルキは動き始めの前にナズナを

攻撃範囲から外へ出した

 

 反応速度の領域ではない

 予測しないと今の動きはおかしい

 

 …偶然か?それとも勘か?

 

 

 

 …………

 

 

 

 ギルドへ帰って来たナズナ達

「おぉ、良いところに帰ったのぉ」

 ひいっ!

 心の中で悲鳴を上げるナズナ

 

 カウンターにナズナが見知った人達がいる、

 その中に凝った髪型に薄化粧の女性

 

「ナズナの村から来たそうじゃ」

 

「あれぇ、ナズナじゃん、元気だったぁ?」

 馴れ馴れしくニヤニヤする女

 

 カリナ…

 

 

 

 

 

 

 




嫌な事からは逃げても良い…
とは最近聞く事が多い、
しかし何かを身に付けたいなら
とりあえず辛くても努力してから考える、

でないと何も残らない
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