魔法科高校の特別講師   作:†AiSAY

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今更ですが、『魔法科高校の特別講師』をお読み頂いております読者の皆様。
このような拙作をお読み頂きまして、誠にありがとうございます。

現状は入学編の冒頭ということもあり、あまり教授の裏といいますか、本性が出せず退屈と思われいる方もいらっしゃると思いますが、何卒ご容赦ください。

ジェームズ・モリアーティはfgoの中でも、特に好きなサーヴァント、キャラクターの1人です。1.5部第1章にて実装された際、ストーリーを進めるにつれ、どんどんとその魅力に引き込まれました。
ですが、彼を知っている方はご存知の通り、自分が動かすとなると非常に難しいキャラクターです。

ですので、キャラ崩壊や皆様との解釈の違いなどあるとは思いますが、どうか温かい目で見守っていただければと思います。
そして、皆様の暇つぶしのささやかな楽しみとなれば、幸いでございます。

今後とも『魔法科高校の特別講師』をよろしくお願いします。


入学編Ⅳ

あの後

モリアーティの挨拶、もとい演説ともいえた話が終わった後

達也達は工房見学、昼食、そして午後は遠隔魔法実習室にて行われていた生徒会長七草真由美の実習を見学した。

途中、昼食時にちょっとしたいざこざが起きようとしていたが、それは達也の冷静な対処によりことなきを得た。

 

日も傾き、第一高校の2日目が終わろうとしている。

このまま何事もなく終わればと達也は思っていたが、どうやらそうはいかないらしい。

下校時間を知らせるチャイムが鳴る中、校門前では穏やかではない空気が流れている。

 

「あ、あの…ですから何度も申し上げているとおり…、ですから私は…、私はお兄様と帰る予定なんです。」

 

困った顔でそう言うのは、

この状況の渦中の人物、司波深雪だった。

その深雪を中心に校門側には達也達二科生、そして反対の校舎側には一科生の集団がいた。

 

「でもね司波さん、部活や選択科目のことで色々と相談したいしさ?」

 

「いえ、あの…」

 

「親睦を深めるためにもこれから一科生だけで、どこか寄って行こうよ」

 

と、明らかに後者を本音とした建前が行き交う中、やはり深雪は困った顔をしている。

そんな深雪を見て、達也はやはり面倒なこの状況をどうにかしようと、深雪に自分は先に帰ると伝えようとしたが。

 

「いい加減にして下さい!深雪さんはお兄さんと帰るって言ってるんです!!」

 

と、意外な人物が声を上げた。

柴田美月である。

普段、大人しい分よっぽど腹に据えかねたのだろう、美月の主張は止まらない。

 

「なんの権利があって二人の中を引き裂こうっていうんですか!!」

 

「…引き裂くって言われてもな」

 

美月の言葉に達也は疑問を持ったが、

どうやらもう片方、深雪の方はどうやらそうではなく

 

「み、美月ったら一体何をっ、何を勘違いしているの!!」

 

と、焦った様子で顔を赤らめている。

ただでさえ白い肌が熱を持ったように赤くなる妹を見て達也が気にかけるが、

やはり焦ったように深雪は誤魔化した。

 

すると、一科生の内の一人の男子生徒が声を荒げる。

 

「これは1-Aの問題だ!他のクラス、ましてやウィードごときが…」

 

その言葉に今まで、何とか平静を保っていたレオとエリカの目が鋭くなる。

そして、男子生徒はそんなことは知らずに続けて言う。

 

「僕たちブルームに口出しするな!!」

 

すると黙っていたエリカが心底馬鹿にしたように口を開いて言った。

 

「全く高校生にもなって、人の予定も聞かずに詰めいるような人間が第一高校の一科生生なんて恥ずかしい〜」

 

「何だと!?」

 

「せっかく、魔法理論の権威が海外から特別講師として来たってのに、教える相手がコレじゃ、日本の恥を晒すだけだわ」

 

その言葉に一科生達の怒りが高まる。

しかし、エリカは本当のことを言ったとでも思っているのだろう。

軽く流しながら言った。

 

「昨日のモリアーティ教授の言葉聞いてなかったの?それとも一科生の方々は人の話を聞くってことも教わってないのかしら、それとも記憶力が悪いのかしら?」

 

どんどんと火に油を注ぐエリカ

すると、やはりあの男子生徒が口を開いた。

 

「ふん!確かにあの講師が魔法界における権威なのは認めよう。だが、所詮は学者畑の人間、机の上だけで物事を考えるしか能のない人間だ。正直言って、この第一高校には必要ない。魔法も満足に使えないウィードはあの老人の甘言に勝手に陶酔していればいいさ!」

 

その言葉に今朝のモリアーティの言葉を聞いていたエリカ達は今度こそ怒りをあらわにした。

そして、その言葉に美月までもが、怒りをあらわにして言う。

 

「同じ新入生なのに、今の時点でどれだけ優れているっていうんですか!?」

 

もはや収集のつきようのない状況。

二科生も一科生ももはや爆発寸前といったところだった。

 

「これはまずいな…」

 

と、達也が呟く。

しかし、そんな達也の予想通りに状況は動いた。

 

「知りたければ教えてやるさ!」

 

「おもしれぇ、だったら教えてもらおうじゃねぇか!」

 

そのレオの言葉に先頭に立っていた、あの男子生徒が口火を切った。

 

「いいだろう、よく見てるといい…」

 

男子生徒はおもむろに手を制服の上着の後ろにやると、

素早い動作で拳銃の形をした機械を取り出した。

 

(あれは攻撃重視の特化型CAD!!)

 

達也の目がそれを見て鋭くなる。

 

CADとは、術式補助演算機(Casting Assistant Device)の略称で、魔法発動を簡略化させる装置である。術者から送り込まれた想子を、信号化して術者に返し、魔法工学の成果物の一つで、魔法のプログラムたる起動式のデータが圧縮保存されている。

人によってはデバイス、アシスタンス、ホウキ(法機)とも呼ばれており、現代魔法を発動するための起動式を、呪文や呪符、印契、魔法陣、杖、魔法書などの伝統的な手法・道具に代わり提供する、現代魔法師に必須のツールである。

そして、男子生徒が持ち出しだCADはその中でも特化型といわれるもので、多様性を犠牲にする代わりに、魔法の発動速度を重視したものである。

 

つまるところ、達也の分析が正しければそのCADは攻撃にのみ特化されたものであり、男子生徒が正面にいるレオに対して攻撃しようとしていることは明らかだった。

そして、あっという間にレオの前に男子生徒が展開した魔法式が構築される。

 

「うおっ!?」

 

「レオくん逃げて!」

 

しかし、美月の言葉は届かず

レオはCADを構えた生徒へと飛びかかる。

 

「お兄様!」

 

深雪の声に従うように達也は右手を上げ、二人の方に向けた。

 

(目立つ真似はしたくないが、仕方がない)

 

しかし、達也が何かをする前に決着がつく。

 

キンッ!!

と、甲高い音がするとそこにいたのは二人の間に入り込み、警棒のようなもので男子生徒が構えていたCADを打ち払ったエリカの姿だった。

 

「この間合いなら、身体動かした方が早いのよね。」

 

と、得意げな顔で告げるエリカ。

するとレオがそんかエリカに言った。

 

「…お前今、俺の手ごとぶっ叩くつもりだったろ」

 

「あらなんのこと?」

 

と、惚けるエリカにレオは怒りをぶつけた。

 

「笑ってごまかすな!」

 

「起動中のCADを素手で触ろうとするバカ助けてあげたのに、感謝してよね」

 

と正論をエリカに言われ黙るレオ。

そんなレオに美月が続けていった。

 

「そうですよ!本当に危ないんですよ!?他の魔法師の機動式に触って拒絶反応を起こしたらどうするんです?」

 

その言葉で何とか場をまとまりを取り戻そうとしていた。

しかし、男子生徒の後ろにいた女子生徒の様子に誰も気づかず、一難が去ったと思われたその場にまた一難がやってくる。

 

「こんなハズじゃ…私はただ、司波さんと…」

 

とブツブツと呟く女子生徒の手から再び起動式が発動する。

 

「もう一人!!」

 

達也が叫ぶ。

エリカもまた女子生徒を無力化しようと駆け寄るが、間に合いそうにはなかった。

すると離れたところから何が凄まじい速さで飛んできて、女子生徒の起動式を打ち消した。

達也が見たところ、それは弾丸状に圧縮されたサイオンだった。

女子生徒はその勢いつられてて後ろに飛び出されると、横にいた別の女子生徒に支えられた。

何が起こったのかと皆が呆然としていると、起動式を打ち消したサイオンが飛んできた方から凛とした声が響いた。

 

「止めなさい!!自衛目的以外の魔法による対人攻撃は校則違反以前に犯罪行為ですよ!!」

 

その声の方に全員が目を向けると、厳しい表情をした七草真由美がいた。

そして、もう一人真由美の後ろにショートカットの女子生徒。

凛としたというよりは寧ろ凛々しいよと形容すべきな雰囲気の女子生徒がおり、彼女は真由美の前に出ると達也達に向けて言った。

 

「風紀委員長の渡辺摩利だ!君たち1-Aと1-Eの生徒だな、事情を聞きます。起動式は展開済みです。抵抗すれば即座に魔法を発動します。」

 

その有無を言わせない威圧感に誰もが息を呑み。

自分達がしでかしたことに今更ながら後悔した。

 

そんな中、渡辺摩利と名乗った風紀委員長の前に達也が立つ。

摩利も達也を見据えて言った。

 

「何だ君は?」

 

「すみません。悪」

 

ふざけが過ぎました。

と、達也が誤魔化そうとした瞬間。

 

「おやおや〜、諸君どうしたのかね?」

 

と声がした。

それはこの場にいる全員が一度は耳にした声。

そして、達也にとっては懸念すべき声そのものであった。

全員が声の方へと向く。

するとそこにはやはり、第一高校の特別講師 ジェームズ・モリアーティその人が笑顔を浮かべ立っていた。

 

to be continued

 


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