エヴァの記憶だけ吹っ飛ばされた人がエヴァ世界に飛ばされた話   作:フィアネン

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『新世紀エヴァンゲリオン 鋼鉄のガールフレンド』のネタバレの塊です。エヴァ本編には直接関わりは無いので、幕間ということにしました。ネタバレに拒否反応を示す方は今回、次回は飛ばしてください。
あと、いろいろ暴走しました。


幕間2-1:転校生と謎のロボットの襲来とかベタベタ設定じゃないか

「ねぇ、もう学校行ってもいいの?ほんとに大丈夫?」

 

「え?どしたんだアスカ、熱でもある?」

 

「かーっ!!人がせっっっかく心配してやってんのにそれは無いでしょ!?ある意味元通りになって安心したわこのバ影嶋!!PTSDになったのかと思ってヒヤヒヤしてたのに…。」

 

「何だお前、そんなに俺が心配だったのか?お前にゃシンジがいるっつーのに贅沢言いやがって。」

 

「むっかつくー!!!!!そんなんじゃないわよ!!!!!」

 

「私はそう簡単にエイジ君を渡さないわよ?」

 

「綾波は逆にめっちゃ変わったね…。そうそう、昨日の爆発云々って知ってる?」

 

「ああ、俺も見たよ。国連が出動してんのに爆発とか謎の移動物体で済ますとか、ほんと下手な情報操作だよなァ。」

 

「ほんとよね~。そうだ!ジャンケンして負けた人が、次の電柱まで荷物持ちね!」

 

「えぇ~?やだよぉ。」

「面白そうね。」

「俺はパス。俺のなんてそんな重くないから面白くないぞ?」

 

「じゃ影嶋くんが荷物持ち~」

「逃げないで。」

 

「卑っ怯だなァ…」

 

「「「「ジャンケンポン!」」」」」

 

俺はグー、女子はチョキ、シンジはパー。つまり引き分けだ。

 

「「「「あいこでしょ!!」」」」

 

また引き分け。

 

「「「「しょ!」」」」

 

引き分け。

 

「おいバ影嶋!あんたわざと引き分けてるでしょ!?」

 

「ふざけ、確率論でわざとなんてできるかよ。全部偶数のサイコロ2個じゃねぇんだからさ。」

 

「エイジ君、丁半なんて誰もわからないわ。」

 

「なんで毎回毎回そんなわっかりづらい例えをするのよ!」

 

「それはアスカが日本の文化を知らないからよ。」

 

「ぐぬぬ…あっ、そーだ!今日、転校生が来るらしいわよ!こんな物騒なとこに越してくるなんて、よっぽどの物好きねぇ。」

 

「随分露骨な話題転換じゃねぇか。んでもそれは俺ら全員同じこと言われたんだろなぁ。」

 

「僕らには関係ないよ。」

 

「あんた、怖いんでしょ~?友達つくるの下手だもんねぇ。」

 

「シンジにはトウジとケンスケがいるっしょ。へーきへーき。それに、友人も多けりゃいいってもんでもないよ?」

 

「そうね。私もエイジ君と同意見だわ。」

 

「あんたらねぇ…」

 

「ま、俺はレイがいるし野郎でも女でもどっちでもいいかな。」

「やだエイジ君、照れる…。」

 

「こんな朝っぱらからイチャついてんじゃねぇわよ!」

 

「アスカ、言葉がおかしいよ…。」

 

 

 

教室に入る。案の定、クラスメートの話題は昨日の騒ぎのことばっかだ。ま、俺らが呼ばれねぇってのはそういうことなんだろけどさ。1限目に転校生が挨拶をする。

 

「霧島マナです、よろしくお願いします!」

 

「はいよろしく。霧島さんの席は…碇くんの横の席へ座ってください。」

 

霧島さんは席へ向かう。なんか、久々に”まとも”な同級生が増えたって感じだ。

 

「いかりくん…ね?」

 

「え…」

 

「カワイイ。よろしくね、碇君。」

 

周囲の男子から冷やかされる。ここは俺も追撃させてもらおう。

 

「なァ~に顔赤くしてんだ!お前にゃアスカがいるだろ!」

 

「え、エイジ君!?」

 

「一時期冷やかしが酷かった俺の身にもなりやがれ!」

 

教室に広がる笑い声。あーめっちゃすっきりした。

 

 

昼休み。なんか久々の登校な気がする。普段通りジャケットとホルスターを外し、筋トレをする。あ、これ完全に体なまってるわ。20回ですらこんなキツい。

 

「頑張って。あと10回よ?」

 

「ムリムリ、今の衰えた体力じゃ30もできねぇよ。」

 

「じゃ、弁当お預け。」

 

そう言うと、レイは俺の弁当箱を取り上げ、俺の腕が届かないようにする。

 

「随分卑怯な手を使うようになったじゃねーか、レイ。」

 

「ふふ、あと10回、頑張って。」

 

「しょうがねぇなぁ…。」

 

 

 

「はい、お疲れさま。お弁当にしましょ?」

 

「ああ…めっちゃ疲れた…。」

 

二人で弁当を食ってると、シンジと霧島さんが並んで風景を見ているのが見える。

 

(シンジ君、エヴァのパイロットだもんね。)

 

え?何で知ってるんだ?

 

「レイ、聞いたか?ケンスケ、何かしゃべってやがったっけ。」

 

「いいえ、何も聞いてないわ。」

 

「やーだ、せっかくまともな転校生が来たと思ってたのに…。」

 

「シンジ!それにバ影嶋とファースト!召集よ!」

 

「わかった!行こう。」

「ええ。」

 

二人して弁当の残りをかきこんでから、走って本部へ向かう。

 

(失礼ですけど、あたし達大ッ事な仕事が御座いますの!)

 

あーあーまーたやってるよ。ほんと、女の嫉妬って怖いねぇ…。

 

 

 

本部直通電車。

吊革を持って立ち、ミサトに電話する。他の3人は座っている。

 

「葛城三佐、状況報告!」

 

『え?アスカから聞いてない?これから模擬体実験よ。』

 

「はァ?アスカがすっげー焦ったような言い方してたのはどういうことです?」

 

『え!?えーと。その…』

 

「まーた連絡忘れです?勘弁してくださいよほんと…。ミサト、毎回言ってるでしょ?忘れる前にメールをコピペして転送してくれって。」

 

『ほんと、ごめん!』

 

「失礼します!はーしょーもな。」

 

電話を終えると、レイの左隣に座った。アスカの隣とか勘弁してくれ。何されっかわかったもんじゃない。

 

「よかったじゃない、使徒じゃなくて。」

 

「ま、それはそうか。」

 

「あんたらはほんと手柄に無欲よねぇ…。シンジもシンジで新しい子にデレデレしちゃってさ~。」

 

「……」

 

「いーわよねー、モテる人は~。」

 

「……」

 

「シンジー、俺もう知らねぇからな。」

 

「え?」

 

「一人で歌ばっか聴いてないで、人の話を聞きなさいよ!!!」

 

そういってアスカはシンジの手からS-DATをぶん取り、床に叩きつける。

 

「ああっ、僕のS-DATが…」

 

「こんなもん!!」

 

更に踏みつけられる。あーあ、こりゃ破壊というより粉砕だな。

 

「ああっ、僕の内田有紀が…。」

 

「ふんっ!あの霧島って子も嫌らしいわね!来た早々男にちょっかい出してさ!」

 

「そう言うアスカは学校に来る前から俺らにちょっかいかけてきたじゃねぇかよ?」

「怖かった。」

 

「あれはバカトウジとケンスケがいけないのよ!」

 

「百理ある。」「そうね。」「うん…。」

 

「こんにちは!」

 

突如として聞き覚えのある部外者の声。全員が声のする方向へ向くと、霧島さんが車内でたっていた。アスカなんて絶句してるよ。

 

「……」

 

「霧島さん…」

 

「来ちゃった。」

 

「『来ちゃった』じゃないわ。これは部外者以外の利用は禁止されているはずよ。」

 

「まずどうやって入ってきたんだ?」

 

「いや、だって、授業は?」

 

「学校、退屈なんだもん。私もNERVへ連れてって。」

 

(((そういう問題じゃないんだよ!)))

 

諜報部?????あんたらのセキュリティをまた疑いたくなったぞ??????

アヤシイ…。まるでNERVとエヴァの関係性を知ってるような言い方…怪しすぎる…。

 

「悪い、一度席離す。」

 

「わかった。」

「どこ行くのよ?」

 

「”仕事”の電話。」

 

そういうと彼らから離れ、扉を挟んで電話をかける。

 

「もしもし、剣崎さんですか?…はい、影嶋です。…いや、今回は極めて真面目な仕事依頼ですよ。

『霧島マナ』という、うちの転校生が本部に入りたがってます。…あいや、ひとまず監視だけでお願いします。報告先は俺で。…はァ?俺は葛城三佐と違って犯罪だけに諜報部は使いませんよ。…はい、それでお願いします。何か大きい動きがあったら報告お願いします。では、失礼します。」

 

はァ、本当は疑いたくはないが、最近は謎の移動物体とかいう物騒なものもある。警戒するに越したことはない。杞憂で済んだんなら万々歳だよ。

 

 

 

 

本部ゲート。

 

俺、レイ、アスカ、シンジの順で本部に入っていく。もっとも、シンジが最後だったのは霧島さんにつかまってしまってるのが原因だったが。

 

「いいの?霧島さんを放置しておいて。」

 

「もう仕事は手配したよ。報告先は俺。シンジに漏らさないよう、なるべく穏便に済ませたい。協力よろしく。」

 

「わかったわ。アスカはどうする?」

 

「あいつのことだ。どーせ大事にしやがるから黙っといた方がいいな。」

 

「わかったわ。」

 

 

 

 

スーツに着替えると、入れ替わりでシンジが来た。シンジの腕にはぴったり霧島がくっついている。

 

「あーあー、アスカに怒られても知らねぇぞー?」

 

「き、霧島さんとはそんなんじゃないって!」

 

「ま、殺されない程度に頑張れよっ。」

 

俺はアークシステムへと向かう。これを警告と取ってくれるかは微妙だけど…。

 

 

 

 

模擬体を使った実験つーのはアークの影響をあんまり受けない。強いて言えばコントロールジャックのテストにはなるが、それだったら本物を使った方が正確なデータが取れるから、今日は俺だけ蚊帳の外。あーつまんねぇ。どれ、あいつらのシンクロ率でも見てみるか。

…妙にシンジだけ数値が低い。

 

「おいシンジ。気持ちはわかるが集中しろ。」

 

[えっ!そ、その…]

 

[シンジ君?起きてるわよね?]

 

[お、起きてますよ!]

 

[あの子のこと想像してんでしょ、イヤらしい。]

 

[違うってば!]

 

[愛は人類を救うってか?]

 

「おいおい、まーた秘密回線で罵倒合戦か?やめろよ?」

 

[所詮、シンジはあたしに勝てるような相手じゃないもんね。]

 

[言い過ぎだよアスカ。]

 

「こんなテストに勝ち負けなんてあるかっつーの。静かにしてたらどうだ?」

 

[ねぇ、ジャンケンしようか。]

 

[はァ?]

 

「何言ってんだアスカ。」

 

[エヴァも受領できない雑魚は黙ってなさい!ジャンケンに勝ったら、新型のWウォークマン買ってあげる。いくよー?ジャンケン…]

 

[待ってよ、今はダメだってば!]

 

[ちょっとだけ!テストの一環だと思えば。]

 

滅茶苦茶嫌な予感がする。

 

「ミサト、シンジの模擬体のジャック用意!」

 

[え?どしたのエイジ君?]

 

「とても嫌な予感がするのよ。」

 

[えぇ…?わ、わかったわ。]

 

やっぱり、急激にシンクロ率が伸びている。

 

[ジャンケン]

 

「ジャック開始!」

 

[ポーン!]

 

シンジの掛け声と共に模擬体が動き出す。すんでのところでジャックが終わったため、腕はケージギリギリで静止した。あっぶねーなマジで。

 

「危なかったですねぇお二方。ふざけるのも大概にしたらどうでしょうか?シンジ君にアスカ君?」

 

[[……]]

 

「ちゃんと怒られろよ。」

 

 

 

 

右腕を固定した赤木博士がシンジとアスカに滅茶苦茶怒ってる。俺とレイというと、数日前のアレがあったから赤木博士に対し絶対に目を合せちゃない。まーた殺し合いをするのだけは勘弁してくれよ?

 

「シンジ君、アスカ、エヴァも実験も遊びじゃないのよ!こういうことを疎かにして、もしもエヴァに不具合が出たらどうするつもりなの!」

 

技術者として至極当然な意見だ。そこにミサトの追撃が出る。

 

「そうよ二人とも。遊び感覚でやらないでちょうだい。」

 

「あーしょーもねー奴ら。テスト中に遊ぶからこうなるってことを学習しろ!」

「同感。」

 

「いい?これ以上私らとエイジ君の手を煩わせないでちょうだい!よろしくて?」

 

「「はい…。」」

 

にしても、赤木博士の猫の被りようがスゴいなこりゃ。つい先日俺と殺し合った人とは思えねぇわ。

 

「もういいわ、全員上がっていいわよ。お疲れ様。」

 

 

 

 

ロッカールーム。

 

「シンジ、どうしたんだあのシンクロ率。やっぱ霧島のことか?」

 

「え?あ…うん。ちょっと…。」

 

「で、そいつはどうした?」

 

シンジはロッカーに貼られていた紙を俺に見せる。

 

「先に帰ったってさ。」

 

「へぇ…それは残念だったな。」

 

「うん…。」

 

 

 

 

自宅。

 

「にしても、レイが肉こんな食えるようになるとはなァ。俺は嬉しいよ。」

 

「ほんと、私もこんな美味しいのが食べれなかったんだ、って思えるわ。」

 

今日の夕食は回鍋肉。レイが肉を普通に食えるようになって、できる料理のバリエーションが一気に増えた。やっぱ食事ってのは重要だ。それだけで生活が楽しくなる。

 

「それにしても、あの霧島って子、怪しいんだよなァ。まァロッカールームで待ってろ言って待ってるわけないんだけどさ。」

 

「え?まさか碇君、あの子中に入れちゃったの?」

 

「ああ。仮にあの子がスパイで、エヴァはともかくアークの技術まで盗まれたら面倒なんだよ。アレ実質遠隔操作技術だし。」

 

「碇君、あの子のこと好きそう。早期解決したいわね。」

 

「ああ、俺だって杞憂で済んでほしいよ。」

 

 

 

 

次の日。学校の授業で調理実習が行われる。

 

「お、レイだいぶ上手くなったな。」

 

「エイジ君、教えるのが上手いのよ。」

 

「そいつぁ嬉しいねぇ。」

 

(なあ、アレが本当に今まで静かーだった綾波なんか?)

(ほんと、別人のように明るくなったよねー…。)

 

「そういう話は聞こえないように上手くやれよー。」

 

「何や、この地獄耳!!」

 

トウジには適当に返すけど、耳はシンジと霧島の会話に集中する。

あーあー、またトウジがアスカを刺激する。こんなことされると乱されるんだよなァ。

 

「シンジ、あんたもエヴァのパイロットなんだから女とデレデレするの禁止!」

 

「あほくせー…。」

「そうよね、エイジ君。」

「だからつってレイもピッタリくっつき過ぎだよ。」

 

「せやシンジ!AもBもCも禁止じゃあ!」

 

今時それがわかる人がどれだけいるか…。

 

「ねぇエイジ君?」

「何?」

「ABCって何?」

「……ここで話すのを憚れるような内容を直接的に言わないようにするためのモン。」

 

「もっともぉ、キスくらいはしてるでしょうけど。」

 

俺らですらしてねぇよ。え、レイ?何期待の目してるの?少なくともここじゃ絶対やらないよ?

 

「やめてください!私そんなんじゃありません!」

 

「じゃあ何でいつもシンジにベタベタなのよ!」

 

聞いてた全員が冷やかす。俺?爆弾発言されて青くなってるからそんな余裕ない。

 

「私…帰る!」

「霧島さん!?」

 

「シンジ、責任もって行ってこい!俺が適当に話つけとく!」

「エイジ君、碇君のこといいの?」

「シンジが狙いなら手っ取り早く動いてくれた方が都合いいっしょ。”仕事”もしてくれてるしね。」

 

「あ、うん、ありがとう。待ってよ霧島さん!」

 

「バ影嶋!放課後、家に来なさい!」

 

「はいはい、わかりましたよっと。…あ、うめぇなこれ。」

「よかった。」

 

 

 

夜、葛城宅。

 

「霧島マナはスパイよ!」

 

「随分単刀直入にいうなァ、アスカ。」

 

「そんなの嘘だ!」

 

「霧島さんって、シンちゃんの『コレ』でしょ?」

 

「や、ま、まだ彼女と決まったわけでは…。」

 

「まー話が都合よすぎるってのは認めるけどね。」

 

「エイジ君まで!」

 

「そうよ!あの謎の移動物体が暴れた翌日に転校してきた。シンジに『私をあなたの女にしてぇ~』とか言って接近して、エヴァの機密を抜き取ろうとしてんのよ!操縦方法を執拗に聞き出そうとしてたのが、その証拠よ!」

 

「面白そうねぇ、今度うちに連れてきなさいよ。おねーさんが見てあげるワ。」

 

「『おねーさん』ねぇ。」

「それ以上言わない方がいいわ、殺されるわよ。」

「え゛っ。」

 

「殺されるわよ」が迫真過ぎて怖い。やめよ。

 

「ぼ、僕は別にそんなつもりじゃあ…。」

 

「シンちゃん、テレてんの。」

 

「甘いわよミサト!そんな呑気なこと言って、大事になっても知らないわよ!」

 

「ハニトラにしちゃあ露骨すぎるような感じもあるけどね。まだ情報が少なすぎるから、まだそこまで大事にしないでもいいんじゃない?」

 

「あんたもあんたよ。こーいうのはいち早く行動しなきゃならないのよ!」

 

「アスカ、どうしてそんな…」

 

「アスカはね、シンジ君が心配なのよ。だからこんなに―」

 

「ファースト、余計な事言うな!あっかんべ!!」

 

それだけ言うと、アスカは自分の部屋に行ってしまう。やっぱり嫉妬なんすねぇ(再確認)。

 

「そいやシンジ、何か霧島から貰ったか?」

 

「え?ああ、このブローチを。」

 

シンジは首から下げていたブローチを取り出し、俺に見せる。

 

「シンジ、余計な心配だとは思うけど、それを今晩だけ貸してくれない?」

 

「え!?何でさ!?」

 

「コレに発信機とか面倒なのが入ってないってのが確認できるだけでアスカを黙らせる一つの材料になるんだ。だからさ、杞憂が杞憂で済むようにお願い。」

 

「……わかったよ。一晩だけね。」

 

「ありがとう。ミサト、お願いできます?」

 

「わかったわ。お留守番よろしくね?」

 

「わかりました。」

 

俺らは外に出ると、シンジに聞かれない程度の声量で話す。

 

「二人も霧島さんを疑ってるの?」

 

「まァそうですね。何度も言ってますけど、勘違いで終わりゃそれではいおしまい、霧島は無罪放免、シンジも交際を続けれるんですよ?大事にしたくないんですよ俺らは。」

 

「なるほどねェ。」

 

「アスカには霧島に対して”仕事”させてる事とか黙っといてくださいね。アイツ間違いなく話を大きくしますから。」

 

「わかったわよ。」

 

 

 

 

 

また次の昼休み。

 

「…はい。ありがとうございます。引き続き監視お願いします。にしても、仕事頼んでもアスカとかが聞いたような会話しか出てこねぇな。やり手なのか本当に知りすぎてるだけの一般人なのかの区別がつかねぇ。」

 

「おそらくやり手よ。そういう中途半端を演じれるというのは下手な演技力じゃできないわ。」

 

「その線で行ってみるかァ。これが早々にバレたら、一生シンジに嫌われそうだナ。…シンジに召集がかかってんのか。行ってくる。」

 

「碇君は図書室に行ったたわよ。」

 

「ありがとレイ。」

 

 

「…待ち合わせ場所とか僕が調べておくから。」

「私は、二人分のお弁当を作って持ってくるね!」

 

「楽しそうに話してるとこ悪ィな。シンジ、召集だ。」

 

「使徒?」

 

「いンや、野暮用っぽいよ。続きは向かいながらでも。悪ィな霧島、シンジ借りるよ。」

 

「うん。行ってらっしゃい、シンジ君!」

 

 

 

 

[謎の移動物体は、湖の中に逃げ込んでいっているらしいわ。]

 

[潜りますか?]

 

「潜ったところで捕まえるのは厳しいだろなァ。」

 

[その必要はないわ。ここから先は日本政府の管轄になるから、私たちNERVとは無関係になるの。]

 

[わかりました。]

「……」

 

[ん?エイジ君?大丈夫?]

 

「え、ああ失礼、聞いてましたよ。」

 

初号機とクロッシング状態で被害状況を確認する中、霧島マナを発見してしまった。

バレないように、諜報部との秘密回線を開く。

 

「こちらアーク、初号機付近のトレーラー影で霧島マナを発見。そちらでも確認していますか?」

 

[こちらでも確認した。どうする?]

 

「追い払ってください。黒服の存在を知らせるだけで逃げると思います。」

 

[了解。]

 

[スパイですよ!]

 

何!?どういうことだ!?

 

[上空1万mに偵察機がいます!]

 

[ゆっくりしてられないわねぇ。シンジ君ご苦労様、帰るわよ。]

 

[…はい。]

 

クロッシングが終了し、俺もプラグから出る。そう都合よくいくモンじゃないなァ。

 

 

 

 

家に帰ると、もう夕飯ができていた。オムライス?めちゃくちゃ上手じゃん。

 

「レイ、また一層腕を上げたなァ。こんな綺麗に乗せるなんて、スゴいよ。」

 

「ありがとう。練習したかいがあったわ。じゃ、食べましょ?」

 

「ああ。」

 

「「いただきます。」」

 

それじゃ、一口…おお!

 

「めっちゃ美味ぇなこれ!」

 

「ありがとう。嬉しい。」

 

「こりゃ、俺も料理サボってるとレイに腕抜かれそうだなァ。ん?失礼、剣崎さんからだ。ちと席を外すよ。」

 

「仕事の件ね、わかったわ。」

 

席を立ち、少し離れて電話に応答する。

 

「お疲れさまです、剣崎さん。わざわざ電話とは………はい、……それは本当ですか?……はい、まだ上には報告しない方がいいと思います、というかそれは戦自とかそっちの方面じゃないです?……ですよね。…なるべく穏便に済ませたかったんですけどね…。わかりました、ありがとうございます。後で会話を書き出してメールにでも送ってください。…よろしくお願いします。失礼します。」

 

携帯を閉じる。最悪だ。何でこう、物事が最悪の方向へ向くのだろうか…。

 

「どうしたの?」

 

「…あの子、もっとヤバいのだったよ。スパイだけど脱走兵だ。他に仲間が2人いるっぽい。」

 

レイの手からスプーンが滑り落ちる。

 

「予想以上だったわ。」

 

「俺の考えが甘かった。こんな面倒なことに巻き込まれるなんて…。」

 

「こんな爆弾、誰も予想できないわ。これからの被害を小さくすることを考えましょう?」

 

「ああ…。」

 

 

結局、その後はめぼしい情報は入ってこなかった。獣っぽい有人ロボット―名前は「トライデント」と言うらしい―の回収をしていた際も弐号機にクロッシングして周囲を警戒していたが、収穫無し。その後のシンジとマナのデートだって、そういうおっかない話題は終始一切出てこなかった。

 

戦自病院の子も、脱走兵の一人であれば納得がいく。にしても最新兵器2機を強奪して脱走とは、なかなか肝がすわっているなァ。このまま国外逃亡すれば国際問題にもなるし、はっきり言ってハタ迷惑な連中だ。例によって加持さんは色々知ってるようだが、それは最後の最後まで待っておこう。

 

 

 

昼、俺らはいつも通り校舎の屋上へ行こうとするが、シンジに引き留められた。

 

「え?ミサトん家でみんなで夕食にしようって?」

 

「うん。霧島さんも誘ったんだ。もしよければ、二人も…どう?」

 

「いいじゃない。行くわ。」

「ああ、こんな風に俺らが集結して食事とか1回やったかどうかだし。喜んで参加するよ。」

 

「ありがとう!」

 

 

 

 

ミサト宅。

 

「…にしても、おっそいわねぇミサトのやつ。」

 

「どうせ100回くらい作り直してるんしょ。あの人料理そんな上手くねぇし。」

 

「でもさ、インスタントまみれの時よりかはマシになったんだよ。そうそう、アスカ最近調子どう?」

 

「あらァ、急に改まっちゃって~。あたしとあんたの仲じゃな~い?」

 

「変なこと言わないでよ、マナが誤解するから…」

 

「だってぇ、あなたとはお風呂も一緒、寝るのも一緒だもーん。」

 

「ち、違うよ!お風呂も寝るのも別々じゃないか!」

 

「ところで…」

 

「何よファースト?」

「どうしたの?綾波。」

 

「惣流さんにも、霧島さんにも聞きたいんだけど…碇君と”A”まではやったのよね?」

 

「「「???」」」

 

3人はキョトンとしているが、俺だけは額に手を当てて天を仰いでる。ああ、俺はレイに余計なことを教えてしまった。

 

「爆弾投下やめろ!」

「キスよ。わからないの?」

 

その瞬間、俺とレイを除く全員が真っ赤になった。…レイにはこれを機に「節度」ってもんを学んでいただこう。

 

「ななななななななになになになに言ってるのファースト!!!!」

「「ずっと言ってるじゃない(か)、私(僕)たちははそういう関係じゃありません(ない)って!!!!」」

 

「そそそそこまで言うならファーストはどうなのよ!バ影嶋の態度からわかるわよ!どーせまだやってないんでしょ!」

 

レイは少しムッとした表情をすると、俺と目を合わせる。あ、この目、覚悟決めちゃってるよ。ジーザス…

 

「エイジ君…。」

「れ、レイ…?」

 

レイは俺に顔を近付ける。この距離、俺が大怪我して初めて目覚めたときと同じくらいだ…。心臓の音が大きくなる。そのまま流れで、レイは俺の唇に自分の唇を軽くつけ、そのまま抱き付いてきて俺らは倒れ込んだ。やっべ、まだドキドキしてる…。当のレイというと、凄く満足げな顔をしている。やだ、大胆…(他人事)。

 

「なんてことだ…俺のはじめてがこんなタイミングで…。」

「やだ、エイジ君たら。ハレンチ。」

「そらレイのことだろ…。」

 

「「「………」」」

(お~~、話聞いててよかった!今度のも高く売れそうね~!)

 

そらこんなの見せられたら絶句するに決まってる。ミサトだけは平常運転だったけど。しかもご丁寧に連写までしやがって、いい加減逮捕されろ。

 

「ちなみにレートはどれくらいなんです?」

 

「3~8くらいよ?って聞こえてたの!?」

 

「おいレイ、俺らの関係ってあんな安っちィものらしいぜ?逮捕されちまえ!」

「サイテー!」

 

「や、やだ!誤解よ誤解!それより、ご飯にしましょ!」

 

「ご、ゴホン!さ、さあ今日のメインイベント、お毒味の時間でーす!」

 

「3回作り直したからね。」

 

「100回の間違いじゃないんですかァ?」

「三度目の…正直ですね。」

「二度あることは三度ある、ってね。」

 

ボロカスに言う俺らを無視して、ミサトは配膳する。んでも、そんなゲテモノって感じじゃないな。普通にカレーしてるカレーだ。

ちょ、レイ、いい加減どいてくれ。いや、「いーや。」じゃなくてさ。おいアスカもそんな目をしてくんな。

 

「それじゃあ、いただきましょうか!」

 

「「「「「「いただきます!!!」」」」」」

 

今ので体力使っちゃったから先に食わせてもらうわね。いやレイ、「あーんしたい」ってやめろやめろ。

 

「来賓の方からどうぞ~。っておいバ影嶋!何最初に食ってんのよ!」

 

「お、ミサトにしては美味いじゃん!も少し練習すればもっと美味くなりますよ!」

「本当ね。美味しいわ。」

 

「本当!?よかったぁ~。」

 

「人の話を聞け!」

 

「あ、本当だ。」

 

「美味しい~!」

 

「わ、私だけ乗り遅れた…。この惚気バ影嶋夫妻め!」

 

 

飯を食いながら談笑する中、ミサトが話を切り出す。おいレイ。何度も言ってるけどここではナシだ。いや、そんな露骨に残念がらないでくれよ。帰ったら何度でも付き合ってやるからさ。

 

「ところで霧島さんは、シンジ君のどういうところが好き?」

 

「…目、かな。」

 

「目?」

 

「何か、奥に輝きを秘めているっていうか…シンジ君って、目が綺麗でしょ?」

 

「シンジのこと、なにもわかってないねェ。」

「やめなさい、惣流さん。」

「霧島さん、本当の目的は何?」

「アスカやめろ!」

 

「アスカさん、私はシンジ君のこと、愛してます!」

 

アスカはこの言葉に耐えかねたのか、勢いよく立ち上がって怒鳴る。

 

(あぁい)とか恋とか、軽々しく口にしないで欲しいわ!!!それで泣いてる人の方が多いんだからね!!!」

 

また自分の部屋に駆け込んでしまう。

 

「アスカ!!…ごめんね、せっかく来てくれたのに。学校では、仲良くしてあげてね。」

 

「マナ…ごめん。」

 

「いいの。言いたいこと言ったら、気持ちよかった。」

 

「そこまで送ってくよ。」

「ううん、ここにいて。また学校で逢えるじゃない。今日はご馳走さまでした。」

 

「はぁい、またいつでも来てよ。」

 

「いいなァ、シンジと霧島。俺もあんな風に健全な恋を楽しみたかった…。」

「私じゃ不満?」

「んな事ぁないよ。んでも過程をもっと楽しみたかった…」

 

「あらー、そんな事は無いんじゃない?そもそもが言い寄ったのはエイちゃんでしょ?」

 

「これに至るまでの黒幕は基本ミサトだろ!!!」

 

 

 

その後、数日間マナは姿を見せなかった。諜報部すらロストしており、動向を探るのは不可能になってしまった。

また、再度発生するトライデントの移動。こんな状況でもエヴァを出すわけにもいかず、俺はアークの中でひとり対応を考えていた。

 




という訳で、霧島マナがゲスト出演します。

補完計画発動も、使徒騒ぎの後のごたごたもない本当の大団円endを読みたいですか?

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