エヴァの記憶だけ吹っ飛ばされた人がエヴァ世界に飛ばされた話   作:フィアネン

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多分初めてアスカのことをここまで考えた気がする。


St.13:子供の心って複雑だ

「甘えたこと抜かしてんじゃねぇ!!!」

 

唐突だが俺はシンジを思いっきり殴らなければならない。

(なぁ~に)

「友達を殺すくらいなら自分が死んだ方がいい」

だぁ抜かしやがって、これこそ逃げてるつってんだろ!!!!

って感情の元殴ったら、部屋の外にまで飛んでいってた。ギャグ漫画か何か?

シンジの胸ぐらを掴んで怒鳴る。

 

「いいか、そうやって思考放棄をしてる内は昔のお前のように拒否したい現実から逃げてるだけだってことを忘れんなよ。本気でトウジを助けたかったのなら、もっと足掻け!何かできないかって考えたら即実行しろ!もし俺が参号機をジャックできてなかったら、お前はトウジを殺してたんだからな。」

 

「な…!ダミーを指示したのは父さんじゃないか!どうして僕が―」

 

「シンジ、お前ほんとそういうとこだぞ!自分でトウジを殺さないように行動すらしてねぇ奴が『アイツが悪い』なんて文句は言えねぇんだよ!わかったか!」

 

「だって…だって僕はアスカやエイジ君みたいな力がないから…!」

 

「またお前はそう言って、『自分は他の人間より能力が無いから』つって自分の行動を棚に上げようとする。俺は言ったよな?『自分の意思で考えろ』ってさ。それの意味はこれだ。お前はトウジを見殺しにしようとしたんだよ。」

 

「………」

 

シンジは俺に対して何も言えない。口を開けたま、目を揺らがせている。

 

「本気でトウジを助けようとしたのなら、お前は本気で参号機と戦ったはずだ。戦うってのは、ただ敵を殲滅するってことじゃない。『殲滅』ってのはただの1つの手段だ。戦い方ってのは選択の余地がある。でも、お前はそれを放棄した。…このことを、自分でよく考えるんだな。」

 

突き放すように胸ぐらを掴んでいた手を外し、わざとらしく溜め息を吐く。

 

「俺に依存するのもよせ。」

 

その言葉のあと、シンジは走り去ってしまった。

 

「フン、無敵初号機のシンジ様も、こうなっちゃ見る影もないわね。」

 

「アスカか。この後暇か?」

 

「は?…まあ、時間はあるけど。」

 

「話がある。」

 

「何?急に改まっちゃって。」

 

「いいから来い。コーヒー奢ってやるから。」

 

「あんた、二言目にはすぐそれね。加持さんの真似?」

 

「…いいや、素でやってるだけだよ。」

 

 

 

 

「はいよ。」

 

俺はアスカに缶コーヒーを投げ渡す。

 

「いっつもあたしには雑ねぇ。」

 

「投げても受け取ってくれるっつー信頼があるからな。」

 

「あっそ。で?話って何よ。」

 

「…どうしてそこまで『独りで成し遂げた成果』に拘りを持つんだ?」

 

「決まってるじゃない、あたしのパイロットとしての意地よ!あたしは特別な、選ばれたパイロットなんだから…!」

 

「なあ、その『特別な、選ばれた』ってどういう意味だ?俺らの存在がそれの具現化みたいなモンなのに、それをわざわざ強調してることに興味がある。」

 

「あたしは、天才科学者の精子と、一流のママの卵子が出会って生まれたのよ。」

 

「へぇ、デザインベイビーもどきと。14で大学出てんのなら確かに”アタリ”だわな。」

 

「何その言い方。」

 

「結局、お前の努力のお陰だろ?そういう功績ってのはさ。…『天才は99%の努力と1%の才能で成り立ってる』たぁよく言うわ。」

 

「…でも、こっちに、エヴァに乗ってから、完全に一人で倒せた使徒なんて一体もいないじゃない。どれも太平洋艦隊、ファーストやシンジとの協力ばっか…果てには何もできずにやられたわ。これじゃあ、誰も私を見てなんてくれなくなる…!」

 

「んな事ぁないさ。アスカをちゃんと見てる人だっているよ。」

 

「居ないわ!加持さんだって、ホントはミサトのことを…」

 

「俺が見てる。」

 

「…はァ?」

 

「なあ、アスカの戦いの思いって何なんだ?」

 

「何よ、唐突に。」

 

「教えてくれよ。」

 

「…大勢の中からパイロットに選ばれて、それで戦って使徒を倒して、それで認めてほしいのよ。」

 

「何だ、んな程度なのね。」

 

「ちょっと、それどういう意味!?流石のあたしでも傷つくわよ!?」

 

「言ったろ?俺が見てるって。」

 

「え…?」

 

「アスカってさ、何でいっつも高飛車で戦いに執着するのかがわかった気がするよ。

自己評価が異常に高いってのは表層しか見れてなかったんだな。ホントは逆で、極端に自己評価が低いんだ。」

 

「待って、そんなこと」

「あるよ。だって、『独りで倒してなければ自分の功績にはならない』んだろ?つまり、誰の手も借りずに、使徒を殲滅することが目標なわけだ。でもさ、アスカはそれにばっかり執着して、チームプレーでの戦闘関与とか、自分の功績とかを見れてないわけだ。」

 

一口飲んでから、再度喋り始める。

 

「例えばそうだな、あの分裂する使徒での戦いなんて、素人同然のシンジをあの完成度まで引っ張りあげた。最後に練習した日なんて、俺ら居なかったしな。

他には…あのバカでかい使徒爆弾でも、フィールドを削って、その後トドメを刺したのはアスカだ。3人で押し返せたのも、2人じゃ無理だったかもしれない。

トライデント戦でも、動きを止めた上に邪魔だった機関砲をその初動だけで潰した、作戦説明のときに言った120点の動きをしてくれた。その後の無力化でも10分程度で終わったのはアスカの功績がめちゃくちゃ大きい。

な?これだけでもすごい戦果だと思わないか?だって、アスカが居なきゃ成功しなかった作戦しかないんだぞ?」

 

「そうやって、私を(おだ)てるためだけにここに呼んだワケ?あり得ない。」

 

「まさか。今の話は前座だよ。」

 

「は?こんだけ喋って前座ってどういうこと?」

 

「今アスカ、『俺の素直な誉め』に対して拒絶したろ。『煽てる』って言葉使ってさ。」

 

アスカははっとしたように手で口を覆う。アタリだな。

 

「やっぱり。アスカはもっと素直になるべきだよ。そうすれば、エヴァの中の母親も喜ぶよ?」

 

「ママ…?ママがエヴァの中にいるって、どういうことよ!!」

 

「言ったことがあるよな。『弐号機に拒絶された』ってさ。アレ、実は弐号機に限った話じゃないんだよ。初号機にも、零号機にも拒絶された。正しい言い方をすれば、”何故か動かせちゃってる”ってのがいいのかな。そんな感じ。」

 

「え?どういう事なのよ?そりゃあ、人造人間ってくらいだから、エヴァにも個性はあるでしょうけど…。」

 

「初号機の中には、碇ユイ―シンジの母親が入ってるらしい。アスカのはそこから推測した。だって、同じ年頃の女子の家に、男子がのこのこ勝手にお邪魔しますってのは流石に母親が黙っちゃないでしょ。」

 

「何よ、その例え。」

 

「笑うなよアスカ。正直俺にはこんな比喩しか思い付かなくてさ。

多分、アスカの母親って同じ母親のユイさんに比べてさ、めぇーっちゃアスカを想ってくれてんだよ。そうでなきゃ、シンクロできないくらい拒絶するなんて有り得ねぇわ。」

 

「そうなの…。ねえ、聞いていい?」

 

「どうしたん?」

 

「どうしてそこまで…あたしに優しくしてくれるの?」

 

「優しくゥ?これは俺特有の『お節介』だよ。シンジとかレイによくやってるのと変わらないよ。だって、同じパイロット仲間だろ?気になるんだよね、そういうのさ。」

 

「…嘘。」

 

「え?」

 

「こんなに私を見てくれたの、影嶋が初めてよ。加持さんだって、私を子供扱いしかしてくれなかった。」

 

「これは言い方が悪意しかないけど、NERVにゃ上の人間にマトモな大人がほとんどいないからね。加持さんなんてのはそんな中で唯一、まともと言える大人だと思うよ?加持さんは加持さんで、アスカのことはちゃんと見てるさ。『大人の視点』からね。」

 

「私はバカシンジとかあんたみたいな…あんたみたいな子供とは違うのよ!」

 

「そんな激昂してか?」

 

「うるさい!!やっぱ前言撤回!あんた、あたしのこと何もわかっちゃいないわ!」

 

「拗ねるなよ、面倒(めんど)いなァ。そういうとこ見られてっから加持さんから子供って言われんだろ?」

 

「ムカつく~!!」

 

「こーゆうところは可愛いんだけどなァ、アスカって。照れ隠しに相手に攻撃しかできないとことかさ。」

 

「なァッ…!?」

 

顔真っ赤にしてやんの。面白ェ~。

 

「話せてよかったよ。じゃな。」

 

「あっコラ待ちなさいバ影嶋!!!」

 

こんな程度で「責任とれ!」なんて言いそうなのがアスカだ。さっさと逃げよ。

 

 

 

 

 

赤木博士の研究室。最近は関係もだいぶ穏やかになったから、システム周りの話をするときなんかはよく入り浸ってる。「昨日の敵は今日の友」なんつって。

 

「ども、参号機の件についてお話があるんですけど~。」

 

「あら、それならあなたは乗れないわよ?」

 

「…何で??????????」

 

「あなた、アークで結局使えるじゃない。プラグ差し込んでおけばいいんでしょう?その気になればエヴァ全機をジャックして世界に対して宣戦布告を…」

 

「いやいやいや、おかしくないですか?俺の指揮なんて、ミサトのにアドリブを足しただけですよ?」

 

「そう、その”付け足しただけ”でどれだけの成果が出たか。戦自との揉め事の時だって、あなたが結局総指揮をやっていたじゃない。それにこないだの参号機の時も、指揮を指令から奪い取ってたと聞いたわ。そんなんだからミサト、さっきここに来て泣きながら

『エイちゃんが不倫してる写真バラまいてやる!』

って言ってたわよ?」

 

「あー…なるほど…?」

 

携帯を取り出す。

 

「もしもし諜報部?葛城三佐を至急赤木博士の研究室に連行してください。どんな手段をとっても構いません。では、お願いします。」

 

「あなたもミサトのようになってきたわね…。」

 

「あなたとまた殺り合うより遥かにマシですよ?…話を戻しますけど、やっぱ参号機ってレイが乗るんです?」

 

「零号機が直るまでの代用品ね。ところで、どうしてそこまでエヴァに乗りたがるのかしら?指揮官ってのは前線にいたらいけないわよ?」

 

「いえ、ただ折角パイロット適正があるってのに前に出れないってのが性に合わないってだけですね。他意はありませんよ?

まァ、この年頃特有の我儘、とでも言っておきましょうかね。赤木博士向けにもう少し合理的な考えを述べるとすれば、参号機にアークの戦術システムを組み込んで、所謂『指揮官仕様』って感じのものを作って欲しいんですよね。んでもって俺がスナイプ役してりゃ安全でしょう。正直、本部内よりエヴァの中の方が安全説ありません?」

 

「エイジ君、根っこが男の子って以外は本当に大人ね。…件の人が来たみたいよ。」

 

扉が開くと、剣崎さんに猫のように首根っこを掴まれて暴れてるミサトが放り込まれた。

 

「ちょっと剣崎君、何で私がこんな扱いを…!あ、あれエイちゃん、ども。」

「私らは便利屋じゃないんですからね…。」

 

「ども剣崎さん、お疲れさまでした。ミサト、あんたパイロットのメンタルケアすらまともに出来ねぇのによく監督官名乗り出てくれやがりましたね。」

 

「え?どゆこと?」

 

「はァー。アスカ、だいぶ参ってましたよ。自分を誰も見ちゃくれないとか、自分で撃破したスコアが全然ないとか…それの発破かけにいってただけですよ。これも俺の仕事ですからね。同級生が万全の状態で戦えるようにするのって大事じゃないんです?」

 

「だからって、シンジ君をあそこまで追い詰める必要はあったのかしら?」

 

「ありましたね。彼、酷い自虐で目の前から逃げようとするんで。ちゃんと自分の意思を持ってもらわないと。アスカのとシンジのじゃあ性質が違うんですよ。」

 

「…やだ、私、どうして気付けなかったの…?」

 

「それはコミュ不足なんですよ、シンジとアスカとのね。」

 

「そうね…最近、留守にすることも多かったし…。」

 

「これからでも遅くはないですよ。人を知ればいいだけなんですからね。」

 

「やっぱり大人ね、エイちゃんは。」

 

突如鳴るアラート。

 

「ずいぶん短いスパンですね?」

「しゃーないわ、敵はこっちの都合なんて知ったこっちゃないのよ。」

「参号機とのクロッシングとコントロールジャックはまだ未調整の状態よ。くれぐれも気を付けてね。」

 

「あい了解。んじゃ、全体指揮はお願いしますね、葛城三佐。」

 

 

 

[総員、第一種戦闘配置!地対空戦用意!]

[目標は!?]

[現在、侵攻中です!駒ヶ岳防衛線突破されました!]

 

自分も映像を確認する。肉眼で確認できるほどのATフィールドを発している。

ヤバいなあれ。中和したところで攻撃が通じるのか?

使徒のビームも、今までとは桁が違う火力だ。…今までで一番の強さだろう。

 

[第1から18番装甲まで損壊!18もある特殊装甲を一瞬で…!?]

 

[エヴァの地上迎撃は間に合わないわ!弐号機、参号機をジオフロント内に配置!本部施設の直援に回して!エイジ君。任せたわ。]

 

「了解!弐号機が前衛、零号機が後衛でスタンバイ。」

 

[私、参号機よ。いつもの癖?]

 

「あっ、やべぇこれは失礼した。参号機にはポイント005の試作ポジトロンライフル(9巻P84-)を装備、MAGIに誤差修正をさせて待機!降下しきるまでは絶対に撃つなよ!

アスカは参号機のスナイプがバレないよう、目標降下ポイント付近で待機、攻撃にて陽動!付近にバズーカやライフル、グレイブ等の武装を配置させる、手当たり次第に使え!

葛城三佐、サードはまだ帰ってきませんか?」

 

[シンジ君はまだ外をほっつき歩いてるようね。仕方ないわ、初号機は待機!いつでも出せるようにしといて。]

 

[その必要はない。初号機はダミーで起動させろ。]

 

「ダミーは戦闘指揮に対応してないんでやめて欲しいのですが。」

 

[問題ない。見ただろう、この間の戦闘を。]

 

「人間にあっさり極められてたのが強いとは到底思えないですけどね。初号機はサードが来るまで待機だ!

弐号機、参号機聞いてたな?俺らだけで片付けるぞ。初期クロッシングは弐号機だ。」

 

[了解!]

[わかったわ!…導いて、ママ…!]

 

[あと一撃で全ての装甲は突破されます!!]

 

「了解。アスカ、やるぞ。」

[ええ…!]

 

その掛け声と同時に、ジオフロントの天井が崩れ、使徒が姿を現す。

 

「攻撃開始!」

[やってやらああああ!!!!]

 

弐号機はライフル、マシンガン、バズーカを代わる代わる持ち替え、敵に対して猛攻をする。敵は着弾煙に包まれるが、ダメージをほぼ受けていないようだ。…やはり強い。

 

[ATフィールドは中和してるのに、どうして平気なのよ!!!!こんのォおおおおおおおおおお!!!!!]

 

敵を注意深く観察する。敵の腕部が展開する!?マズい!!

 

「避けろ!!!!」

[っ!!!!!]

 

直前で回避イメージを送ったため、何とか敵の攻撃を回避することができた。しっかし、持っていたライフルがここまで綺麗な切断面になるとは…。喰らってたら間違いなく両腕を持ってかれていた。青ざめながらも、指示を飛ばす。

 

「アスカ、ソニックグレイブ装備!レイ、ライフルは!?」

 

[わかったわよ!]

[いつでも撃てるわ!]

 

「了解!スナイプポイントを送る!」

 

照準点は左腕を通して、そのままコアごとぶち抜く点。コレでダメだったらどうする…?敵のATフィールドは尋常じゃないほど硬い。これを陽電子砲以外でどうぶち抜くかが問題だ。

 

「アスカ、前に出ろ!俺がクロッシングで援護する、絶対にあのカッターに当たるなよ!!」

[わかってるわ!あんなの、一回見れば避けれるわよ!!!]

 

アスカはソニックグレイブを持ち、敵に接近する。すげぇよアスカは。2回目の攻撃はちゃんと避けてる、流石のセンスだ。使徒に向かいソニックグレイブを降り下ろすが、使徒の腕カッターの面部を使われて防御される。てか弐号機のATフィールド、さっきより強くなってないか?…いける!!!

 

「レイ、今だ!!」

 

[了解!]

 

その刹那、青白い閃光が敵に襲いかかる。アスカは寸前でこれを避け、敵はATフィールドで防御するが、陽電子はこれを突破、左腕部ごとコアを貫く…ハズだった。

 

[ダメ、効いてない!]

[そんな!!ATフィールドごと破れる、唯一の攻撃が…!]

 

「レイ、さっさと移動しろ!当て返しされるぞ!!」

 

参号機が慌てて移動すると、さっきまでの射点に敵のビームが飛ぶ。あっぶねー、あんなの喰らったら幾らエヴァでも半身持ってかれっぞ…。その隙を狙って、再度弐号機へのクロッシングで敵の状態を確認する。

 

「…いや、まだ勝機はある!アスカ、もう一度アタックだ!今のアスカならできる!!行け!!!」

 

[…っ、わかったわ!行くわよォオオオオオオオオオオオ!!!!!]

 

敵はコア着弾寸前でシールドを展開したが、シールド自体はこの攻撃に耐えれなかったようだ。シールドが焼け落ち、コアが再度むき出しになる。ついでに左腕も焼けたため、もう右腕しか残っていない。

アスカは使徒に向かい突進する。敵は再度腕カッターを飛ばすが、今度はこれを足場に弐号機は跳躍、そのままソニックグレイブをコアめがけて突き下ろす。弐号機、使徒のATフィールドが干渉し、巨大なオレンジ色の八角形が視覚化される。

 

[でぇりゃあああああああああああああ!!!!!!!]

 

「レイ、もう一射いけるか!?」

 

[チャージは終わってるわ!でもこの状態じゃあ…!]

 

[いらない!あたしがっ、倒すんだぁあああああああああ!!!]

 

その宣言と共に、弐号機の薙刀はATフィールドを突破、敵のコアを貫く。ダメ押しにコアへ更にねじ込む中、敵は最後のビームを天井に放ち、爆発した。

 

 

「ふぅー…使徒殲滅…。お疲れさま、アスカ、レイ。」

 

シンクロ率132%。瞬間的ではあるが、これまで一度も見たことがない数字だ。やっぱすげぇよアスカは。

 

 

 

 

誰もいない夜のラウンジ。俺らは身内だけで勝利パーティーをやっていた。シンジもシンジで、改めて俺らの敵に対して立ち向かう決意をしてくれたようだし。アスカも自信を取り戻してくれた。

それでも、まだ不安は残る。『人類補完計画』…。これは一体何なんだ?人間の何を補完するんだ?人間の魂と『神』、これと関係がありそうなんだが、どうしても考えがまとまらない。

誰もいなくなったラウンジで一人考えていると、アスカが突然姿を現す。

 

「まだここに居たのね。ねえ、アンタ途中からクロッシング切ってたでしょ。どうして?」

 

「うわ、バレるとは思ってなかったな。…アスカのシンクロ率上昇を見て、なるべくノイズを入れないようにしたんだよ。結果、自力で上手くいったろ?そういうことだ。」

 

「…影嶋。」

 

「どうし―おわっ!?ど、どうしたんだよアスカ。」

 

アスカは泣きそうな顔をしながら俺に抱きついてくる。え?え?ど、どういうことなんだ?

 

「あたし、今まで生きてきて、こんな…こんなにあたしのことを想ってくれる人、ママ以外ではじめてで…!」

 

「な、何言ってんだアスカ!?」

 

「寂しかったのよ!ずっと、だれもあたしのこと、ちゃんと見てくれなくて…!」

 

ああ…あーゆう性格ってのは本当に、誰かに自分を見て欲しいっていう主張だったんだな。

左手を背中に回し、アスカの頭を撫でる。

 

「弐号機で戦ってるとき、本当にママが側にいてくれるってことを感じたわ!でも、でもそれ以上に、あんたの言葉が、頭から離れなくて…!」

 

え…。ヤバい、反射で反応しちゃうと殺される気がする。最後まで黙ってなければ。

 

「あたし、あんたの『行け』って声に、凄く安心した。だから、使徒にも躊躇いなく突っ込めれたのよ。」

 

「それはどういう…」

 

「ここまで言ってもわからないの!?好き…好きなのよ!アンタが…!エイジが!!!」

 

な…本当にそうなっちゃうのか…。目線が下に落ち、唇を噛む感覚。かなり苦い顔をしているんだろう。

 

「どうして…!?あたしはファーストより、レイよりアンタを慕ってるのよ!?どうしてそんな顔をするのよ!」

 

突き放さなければならないというのが、非常に心にクる。でも、言わなければ彼女は本当に変われないだろう。アスカを俺の体から離し、きっぱりと言う。

 

「アスカ、それは『好意』じゃない。…『依存』だよ。」

 

「え…」

 

「他人に依存すると、その人がいなくなったとき立ち直れなくなる。もっと心が脆くなっちゃうんだよ。今のお前が加持さんや俺に向けてるのは依存だ。本当の好意じゃない。

加持さんにも言われたんじゃないか?『お前はまだ子供だ』って。そういうことなんだよ。」

 

「あ……」

 

「俺や、加持さんの思いやりをわかってくれ。…ごめん、アスカ。」

 

平手打ちが飛んでくる。これは避けれなかった。いや、これも避けてしまったら…

 

「バカ!!!」

 

アスカは目に涙を浮かべながら走り去る。また一人になってしまったラウンジで、左頬に手を当て、ぼそりと呟く。

 

「みんな…やっぱり、子供なんだな。」

 




アラエル君どうしよう…。

補完計画発動も、使徒騒ぎの後のごたごたもない本当の大団円endを読みたいですか?

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