エヴァの記憶だけ吹っ飛ばされた人がエヴァ世界に飛ばされた話 作:フィアネン
起きたら、まずは掃除からだ。まずはごみ出しの曜日を調べて、ゴミの分類。これだけで2時間くらい使った。やべぇよこの量。流石に俺でもここまではしない。終わったのは9時。とりあえず手洗ってから昨日買ったパンをかじる。次は…掃除機かけよう。一通りぬぐい終わったら回りの消耗品を調べる。足りないものとか無くなりそうなものを調べて、落書き帳と化しているノートにメモを殴り書きし、そのページを折って強調しておく。後は…あ、そうだ洗濯物干しとかねぇと。これやってるとやっぱ母親は偉大ってのがよくわかる。結局終わったのは12時半だ。これならNERVで昼食した方がいいかな。もう一度荷物と路線図を確認して本部へ向かう。ついでに駅で時刻表買ってきた。
「あ、じゃあ定食2で。」
「はい、お待ちどうさま。」
「ありがとうございます。」
定食を受けとり、飯にする。やっぱ、静かに一人で食欲を満たすのは至福の時だ。
「隣、いいかな。」
「どうぞ?」
「ありがとう。君は噂の3人目のパイロットだね?」
「3人目…というと?」
「失礼、まだ自己紹介してなかったね。僕は日向マコト。ここでオペレーターをやっているんだ。」
「影嶋エイジです。それで、パイロットって他にいるんですか?零号機が凍結されているってのは知ってるんですけど。」
「ああ、君の他に2人。綾波レイという子がここに、もう一人はユーロのドイツ支部にいるんだ。」
「へえ、流石
「でもね、ここのレイ君は実験中に大ケガをして、動ける状態じゃないんだ。」
「零号機の実験と何か関係が?」
「ああ。彼女は、零号機起動実験中に怪我をしたんだ。…もしかして、君はまだ起動実験はしていなかったかい?」
「あー、まあ、あの突き破ってる腕を見れば何かあったなってのはわかります。んでも、流石に動けなくなるほどの大ケガって、何があったんですか?」
「…本当に聞きたい?」
「俺がどこまでできるかはわかりませんけど、参考までに。」
「わかった。彼女は起動実験中の零号機から射出されたエントリープラグが地面に落下して、その衝撃で怪我をしたんだ。」
「というと、エヴァの身長くらいの高さから落下したってことです?」
「そうだな。ごめんね、昼食の最中なのにこんな話題を出しちゃって。」
「いえいえ、自分が聞きたかったから訊いたんですよ。ありがとうございます。」
味噌汁を流し込み、食器を返すと更衣室へ向かった。エヴァの身長って実際どれくらいなのだろうか。ファーストガンダムですら18mであのコクピットの大きさだから、それの倍以上あるのか。逆によく死ななかったなぁそれ。LCLは偉大。
[お疲れさま。上がっていいわよ。]
今日の実験も終わる。特別何かがあるわけでもなく、また終わった後は精密検査と質問責めだ。まあ、5日の辛抱だろう。帰りは何か買い物でもして帰ろう。久々に夕食に朝食を作りたい。
監視員に手伝ってもらって、中学生にしては異常な量の買い物をし、車で家まで送ってもらった。
「なんか、すみません。都合のいいパシリみたいなことさせてしまって。」
「子供を助けるのも大人の仕事だ。」
「ありがとうございます。」
結局食料なんかも運んでもらってしまった。はい、これからこういうことがあれば有効活用させてもらいますね。別れ際に葛城さんの帰りを訊くと、残業があるらしい。やっぱ、こういう仕事は大変なんだろう。
さて、久々の飯は…とりあえず肉野菜炒めでいくか。一番スタンダードだし、作りやすい。米もとりあえず2合くらいは炊いておく。どちらもいざとなりゃレンジ使って食えばいい。
久々に料理した気がするが、だいぶよくできたんじゃない?正直味噌汁はうまく行く気がしなかったから飯が炊けるまでの間に作り方を検索しなおしていた。まあ、これなら及第点なものが作れただろう。
とりあえず留守電だけでも入れとくか。葛城さんの携帯に電話する。応答するまで食いながらのんびり待ってるか。
『はい、こちら葛城。』
飲み込んでから返事をする。
「もしもし、影嶋です。こんばんは葛城さん。」
『あらエイちゃん、どうしたの?』
「夕食作ったんですけど、今夜どうします?」
『あー、そうだな。それなら、もうそろそろ切り上げて帰るから。楽しみ!』
「わかりました。それじゃ、失礼します。」
『ばいばい、エイちゃん。楽しみにしてるわ。』
「はい。んじゃ、切ります。」
まあ、あんな感じじゃあマトモな夕食なんて久々なんだろう。とりあえず自分の分の食器だけは洗っとくか。葛城さんの帰りを待つ間、洗濯物を取り込んで、風呂洗って沸かして、後は明日の学校の支度をした。これであとは帰りを待つだけだ。
ソファで座ってゆっくりしていると、眠気が襲ってくる。やっべ、気を抜いたらすぐ寝ちまいそうだ。うとうとしていると、扉が開く音。
「たっだいま~」
「お帰り~。」
「あら、まだ起きてたの?もうそろそろ寝なきゃダメよ。」
「まだ23時ですよ?24時までに寝ときゃ大丈夫ですよ~。」
「無理はしないでね。あ、この肉野菜炒め美味しそ~う!案外、料理上手かったり!?」
「久々にやってみただけですよ。ずっとインスタントってのも体によくないですしね。好評ならワンパターンにならないように勉強しますよ?」
「そうだとしたら、私とっても喜んじゃう!あ、美味しい!!」
葛城さん、本当に美味しそうな声出しながら夕食食べてるな。こうしてくれると作ったこっちも嬉しくなるもんだ。
「そいつぁ嬉しいですね。ありがとうございます。」
「ごちそーさまでした!!」
「お粗末様でした。皿は洗っときますよ。風呂は沸いてるんでどうぞ。」
「ありがとー、エイちゃん。」
皿を洗って片付けると、急速に眠気が来た。あ、これやべぇわ。葛城さんごめん、俺は寝るわ。おやすみ。
「おやすみ~。」
「おやすみ、エイちゃん。」
ベッドにダイブ。もう疲労感しかねぇ…。
「影嶋エイジです。よろしくお願いします。」
「それではエイジ君は…窓際の、空いてる席の後ろに座ってください。」
授業ははっきり言って退屈だった。毎回毎回セカンドインパクトの身の上話を聞かされる。んなもんどっちでもいいし、今日の夕食を考えなきゃならない。昼食?作る余裕がまだできない。暫くは購買の弁当でいいかな。
屋上で、腕立てを20回に腹筋20回をしてから昼食をとる。一応体は鍛えておかないと。近くに足を固定できる手頃なパイプがあってよかった。あと5回。やっぱあまりやってねぇとキツいものがあるなァ。
「ん?誰かおるんか?」
「トウジ、あそこ。」
「お、よォ、転校生。」
「うっす!…じゅーきゅ…う、にじゅ…う。はーやっぱ体なまってるわこれ。」
「何や、こんな昼間から筋トレか?ご苦労なこって。」
「夜にその時間がとれなくなったんだよ。夕食に洗濯に掃除に…。マジで体力無限に消費されるって感じ。」
「影嶋の家、そんな大変なの?」
「ああ、保護者がずっと働き詰めだから仕方ないね。」
「そっか。」
「大変やのぉ、転校生。」
「俺は影嶋エイジだよ。えーと、お二人は…」
「俺は相田ケンスケ。んでこっちが」
「鈴原トウジや。よろしゅうな、エイジ。」
「話せてよかった。あ、俺仕事行かないとだから、早退するわ。そういえば教員には伝わるはずだから、んじゃ、よろしく!」
もう12時40分ってのに気づくのがも少し遅かったら色々時間が間に合わなかったかも。余裕は持つに越したことはないからね。
次の日の昼休みまた筋トレを終え、ケンスケとトウジと少し話す。
「へえ、俺の前の席の子ってもうしばらく出席してねぇんだ。」
「そうなんや。ほんま、綾波どうしとるのかのぉ?」
「綾波?ということは、彼女は綾波レイ?」
「お、よくわかったね、そうだよ。」
「ああ、同じ仕事してる人間だからね。じゃ、俺は行くわ。」
「おう、頑張ってな。」
「応援してるぜ。」
「ありがと。じゃ!」
[今日のシンクロテスト終了。お疲れさま。]
「お疲れさまです。あ、少し聞きたいことあるんですけどここでもいいです?」
[構わないわよ。どうしたの?]
「綾波レイに、会えます?」
[レイに?…今日は無理ね。明日以降なら会えるわ。]
「どこ行けばいいです?」
[画像を送ったわ。ここに行ってちょうだい。唐突にどうしたの?]
「いンや、同じ学校なのに顔を知らないってのはね、って思っただけですよ。その程度です。」
[そう。]
なんかあんのかな、彼女。
ここに来て5日目。また同じように屋上で筋トレをしてからパンを頬張る。
「なあ、そういえば綾波と同じ仕事してるんだって?」
「ん?ああ、そうだけど。」
「なあ、綾波の様子どうだった?」
「俺も今日初めて会うんだよ。」
「なんや、エイジは面識なかったんか。」
「むしろなーんも知らされてねぇんだな。NERVはだいぶ秘密主義っぽいよ。…あ」
「何!?お前ネルフ所属なんか!?」
「ねえ、ネルフのどんな仕事やってんの?ねぇ!」
やった。二人から滅茶苦茶輝いた目で迫られる。少しづつ後ずさりして、逃走。口滑らせた、最悪。
「あ、待てよ!」
「逃げんなエイジ!」
今までと変わらない実験が終わったら、すぐに病棟へと向かう。
たしか、この病室だ。静かにドアをあけ、神経質なほどにゆっくり閉じる。昔からの癖で、どうにもこうしないとどんな種類でも勢いよく閉じそうで嫌な感じになる。奥のベッドへ向かうと、病院特有のゆったりとした服を着て、右目、右腕、左肘…見えていない所にも恐らく多くの包帯を巻かれている少女が寝ていた。
「美しい…」
思わず口にしてしまった。心拍数が上がるのがわかる。一目惚れってのはこのことを言うんかな。
「誰?」
「あ、こいつは失礼。パイロットのバックアップ、同じ学校、同じクラスの影嶋エイジ。よろしく、綾波レイさん。」
「名前、知っているのね。」
「同級生とか日向さんから聞いたから。」
「そう。…あなたもパイロット?」
「あー、一応は。」
「そう。」
やば、言葉が続かねぇ。だいたい、何を話せばいいんだマジで。んでも、長居も禁物ってのを感じる。
「んじゃ、また見舞いに来るよ。じゃあね。」
「さよなら。」
入ってきたときと同じようにして病室から出る。すると、毎日よ~く見ている顔がニヤニヤしてやがる。勘弁。
「ふふ。レイはどうだった?」
「え?…なんか、だいぶ静かでしたね彼女。」
「そうね。彼女はなかなか他人に心を開かないのよ。」
「へえ。まあ時々いますよね、そういうの。」
「彼女はだいぶキマってる方だと思うわ。に・し・て・も、」
う゛っ、この悪い笑顔は…間違いない、聞かれた。おお神よ!どうか私を許してくれ!(キリシタンもどき)
「あなたー、初対面の女の子への一言目が『美しい』だなんて~。私、エイちゃんがそんな子だとは思わなかったワ。」
「勘弁してくださいよ、葛城さん。意地が悪いですよ?」
「あらー、私には何の事だかさっぱり。」
帰ったら酒を隠してやる、覚悟しとけよほんと。
今日はとりあえずしょうが焼きにしようと思い、食材を買ってから帰った。美味いもんは食ってもらうけど、酒は慎んでもらうからな。だいたい朝ビールってのがおかしいんだよほんと。
次の朝、鏡を見ると油性ペンで顔に落書きされてた。子供かよあんた。入~~~~~~念に顔を洗い、葛城さんにカチコミをかける。
「ちょっと!幾らなんでも子供過ぎるが!!!どういうことです!!!」
「そんなマジギレしないでよ~~!!」
「決めた!1週間ビール禁止!覚悟しとけ!」
「そんな~~!!!!!!」
頭痛する。こりゃ生活破綻するわ。
朝はこんなんだったが、今日は午前中から初号機を使ってのシンクロテストが行われる。自分は既にプラグ内でインテリアに座り、呼吸を整える。
[準備はよろしくて?]
「いつでも。」
[第一次接続、開始。]
[主電源コンタクト。]
[稼働電圧、臨界点を突破!]
[フォーマットをPhase2に移行。]
[パイロット、初号機と接続開始。]
[パルス及び、ハーモニクス…若干の揺らぎがあります。]
[エイジ君、大丈夫?]
この不快感、いや頭痛は誰か別の存在が自分の中に入ってくるものだろうか。でも、たしかファフナーではこんなことを言っていた。
「拒絶するのも力だが、受け入れるのもまた力のひとつだ」と。
受け入れろ。拒絶するな―
少しづつ、痛みが引いていく。
[パルス、ハーモニクス共に正常に回復。シンクロ問題ありません。]
[オールナーブ、リンク終了。]
[中枢神経素子に異常無し。]
[1-2590のリストクリア。]
[絶対境界線まであと2.3]
[1.8]
[1.1]
[0.7]
[0.5]
[0.4]
[0.3]
[0.2]
[0.1]
[ボーダーラインクリア!]
[初号機、起動!引き続き、連動実験に移行。]
目を開くと、普段のシンクロ実験では見れない外の光景がプラグ内壁に映っている。
「この感覚…起動できたんですか?」
[ええ、そうよ。あなた、なかなかの逸材ね。]
「そいつぁどーも。因みにシンクロ率はどうでした?」
[23.95よ。やっぱり少しだけ落ちるけど、なかなかの好成績ね。]
「そうですか。」
[あらー、いい成績が出たのに嬉しくないの?]
「これを動かせただけですよ?実戦ができなきゃ意味ないんじゃないんです?」
[でも、今はこれを起動できる人が増えただけでも大きいのよ。]
「そんなもんですかねぇ。」
[それじゃあ、このままインダクションモードに移行。碇指令、お疲れさまでした。]
[ああ。]
「え?指令いるんです?」
[…何だ。]
「改めて、よろしくお願いします。こう自分の口から言うのは初めてでしょう。」
[ああ。]
なんだぁこの人。やべぇほど拒絶されてる感じだ。
「愛想わりぃなあの指令。そっち系だったか。」
[どうしたの?]
「いいえ、失礼しました。このモードの説明お願いします。」
[このモードは銃火器のトリガー操作を優先させるモードです。シンクロは優先されないので安心してね。]
「それは安心することなんですか?わかりました。」
[それでは、ターゲットを仮想空間に表示します。エイジ君は、出現したターゲットに対して射撃で応戦、これを破壊してください。]
「わかりました。少し好きにやらせてください。」
円形の的が出現する。とりあえず最初は適当に動かしながら撃ち、その後は落ち着いて狙い撃つ。その他にもタップ撃ちとかもやってみた。銃の構えとか、手に取る動作なんかはある程度モーションが組み込まれているらしい。たしかF91でも「ライフルを取るときは手を近づけてから、後はオートで」なんて言ってたっけ。
「案外、弾ってバラけるんですね。」
[ゲームのように、全部の弾がまっすぐ進むことはあり得ないわ。ターゲットに近づけば精度は高くなり、逆に遠くなれば精度は低くなります。]
「弾の集弾率ってやつですよね。」
[そーよ。どうやらゲームとかで指切りは知っているようだし、これなら大丈夫そーネ。]
指切り?ああ、タップ撃ちのことか。その後ガチャガチャやっている内に、ある程度の操作は理解できた。ゲーム感覚でできてしまうのが困る。
「これじゃあまるでゲームですね。」
[あら、これは訓練よ?]
「そりゃそうですけど、やっぱ現実に『これが敵だ!』ってのが未だに無いですから。」
[エイちゃんの言うこともわかるけど、常に正確に撃てることも重要よ。頑張ってね。]
「はい。」
暫くこのシステムで訓練…いや、遊んでいたという表現の方が正しいかもしれない。どうしてもやっていることはFPSの射撃練習場だ。使徒というワードは知っていても、それが自分の中でも明確な敵に未だなっていない。だからゲームにしか感じないのだろう。パイロットとしてはしてはいけない考え方ではあるが、そこの踏ん切りがどうしてもつかなかった。
サブカルとかをリアルに合わせるか、それとも劇中描写を遵守するかはまだ決まってません。
補完計画発動も、使徒騒ぎの後のごたごたもない本当の大団円endを読みたいですか?
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いいえ