エヴァの記憶だけ吹っ飛ばされた人がエヴァ世界に飛ばされた話   作:フィアネン

21 / 25
ルート1:ニアANIMA世界
St.18-1:真実 [分岐1]


パイロット控え室。昨日の騒動からだいぶ時間が経ったというのに、警戒体制が解除されない。パイロット全員は、プラグスーツで待機を命じられている。

 

「…はい、わかりました。パイロット各員にも伝えます。

みんな、本部施設の出入りが全面禁止になった。恐らく、これからゼーレからの攻撃が始まるだろうな。」

 

「ゼーレって、アレでしょ?世界を裏から操ってるとかいう組織!アタシもエイジのパソコンで見たわ!」

 

「それって、補完計画の発動ってことよね?」

 

「恐らくな。ここを制圧するってことはMAGIとエヴァ、アークが目的だろう。相手は最悪なことに人間だ。というわけで、俺はこれからこれを渡さにゃならん。」

 

「これって…そんな!」

 

控え室のテーブルに、4丁の俺と同じモデルの拳銃を置く。正直、こんなモノを出したくはなかった。

 

「使い方は安全装置を外して、スライドを動かせばいつでも撃てる。至って簡単だ。」

「そんな、僕らに人殺しを…」

「俺だってこんな物騒なモン渡したかァねぇよ。でもここの直接制圧なら、十中八九戦自が投入される。持ってるに越したことはないんだ。エヴァを使っての補完なら、パイロットは邪魔になるはず。特に俺の参号機にはS2機関が入ってる。これと初号機が一番の邪魔だ。それから排除にかかる危険がある。ま、俺もちっとしたことをやろうと思ってるから、とりあえずここで話は終わり。俺は一回抜ける。後はお前らの自由意思に任せる。…どう動いても、絶対に死ぬなよ?」

 

「わかってる。」

「勿論よ!」

「誰も死なせはしないわ。」

 

俺はそれらにジェスチャーで返事し、部屋を出た。

 

 

 

 

「赤木博士。ここを制圧するのにはまずMAGIを無力化する必要がありますよね?」

 

「というか、MAGIを押さえられたらもうここは終わりね。どうしたの?」

 

「このデータを、ハッキングされた時に相手に返して、世界に拡散してほしいんです。」

 

そう言ってUSBを差し出す。

 

「これは何かしら?」

 

「補完計画、ゼーレ、セカンドインパクトの裏情報ですね。これを全世界のインターネットの海にバラまけば、幾らゼーレであっても収拾がつかなくなる。世界を味方にできる確率が上がります。」

 

「確かにインターネットの底の底まで情報を送り込めば、奴らも手出しは難しいでしょうね。だけど、ゼーレを侮ってはいけないわ。」

 

「それは承知の上です。…始まりましたね。」

「ええ。私はMAGIに行くわ。」

「よろしくお願いします。」

 

 

 

[通信機能に異常発生!外部との全ネット情報回線が一方的に遮断されています!]

 

MAGIの防衛指揮が聴こえてくる。現在はメルキオールとバルタザールが制圧されている。残っているのはカスパーのみ。この感じ、暫くは使え―

 

-きて-

 

え、何故扉が開くんだ!?

導かれるままに搭乗すると、システムが起動する。だが、機能としては弱い、本部で何を言ってるのか等は傍受できないようだ。でも、外の状況は把握できる。外は至って静かだ。…赤木博士はMAGIの回復に成功したようだ。これのカウンターがどれほどの成果が出るかは、神のみぞ知ると言ったところか。

ん?地上の兵装ビルが減っていっている?随分手早い直接制圧じゃねぇか。

 

「アーク、全館のアナウンスをジャックしてくれ。できるだろ?」

 

-わかったわ。-

 

「現在残っているNERV職員に通達します。現在、地上での攻撃が開始されています。職員の安全確保のため、下層への退避を開始してください。また、主要通路、他移動可能区域は特殊ベークライトで全て封鎖します。各方角を一本道にし、そこで敵を迎撃してください。300秒後に表層部から開始します。パイロットは全員速やかにエヴァに搭乗、ケイジにて待機。参号機はプラグのみ挿入、待機。」

 

ここまでは初期抵抗だ。こっから先、どんな風に敵が来るかがわからない。どうする?

 

俺のとれる手段は二つ。

 

あくまでNERVの保護に走り、全体指揮を執るか―

 

それとも、ドグマに行き指令の計画を阻止するか―

 

俺は………

 

 

 

 

 

 

「アーク、戦自の通信を傍受しろ。」

 

-できない。-

 

「了解。俺はドグマに行く、ここは頼むぜ。」

 

-わかった。-

 

銃を取り出し、ターミナルドグマへと向かう。

 

 

 

 

 

[第1層、突破されました!]

 

「了解、これより間隔を300秒から180秒へ短縮。アーク、聞いてたな?」

 

-ええ。-

 

思ったより長く持ちこたえている。ベークライトであらかた通路を塞いだのは正解だったか。だが、それ以上にゴリ押しされたらヤバい。まずは戦自の動きを探らなければ。

通路の死角で敵を待つ。3人程度で動いているようだ。ナイフを取り出す。最後尾を狙って…

口を塞ぎながら角へ引き込み、喉を掻っ切る。

 

「ん?おい、どうした!」

「こっちです。」

 

次は銃。角に照準を合わせ、構えて待つ。…来た!2発発砲、ダウン。

「こちら第5小隊、アークパイロ―」

 

言わせねぇからな。こちらから飛び出し、頭に2発。こっちもダウン。装備を漁りながら、通信機をかっさらう。

 

[おい、どうした、おい!]

「こちら第5小隊、問題は解決した。どうぞ。」

[こちら本部、了解。]

 

んなバカな話があるか?通信機とマシンガンを持って移動する。ベークライトで通路を遮断してるにも関わらず滅茶苦茶な強さだ。流石、世界最強の軍隊とはよく言う。

 

[エヴァンゲリオン格納ケイジ侵入!ベークライト注入開始!]

 

「アーク、エヴァ零号機、初号機、弐号機をジオフロント外縁部に射出。」

 

-わかった。参号機は?-

 

「別命あるまで待機。」

 

-わかった。-

 

[な、エヴァ3機が射出されました!こちらからの操作を受け付けません!]

[何!?黒い奴はどうなってる?]

[黒に関してはベークライトで固めてあります、問題ありません!]

[了解!]

[現在、本部発令所入り口まで制圧!]

 

 

もう発令所まで来やがったのか。にしてもこいつら、エヴァの腕力をナメてやがるな。ちょっとやそっとの石膏固めしたところで内側からブチ破れんのにさ。

唐突に起きる激しい振動に照明すら点滅する。NN爆雷?都市をまるまる潰してまで俺らを潰しに来たのか?なんて非効率な…

 

「エヴァ全機、聞こえるか?これから本部への直接攻撃が始まる、銃火器にて応戦!ケーブルを守りつつ戦え!」

 

[了解!]

[了解。]

[人殺しを…]

 

「シンジ!後悔なら終わってからしろ!今は生き残れ!」

 

早く、ドグマに行かなければ…!

 

 

 

ターミナルドグマ。

 

「母さん、娘からの最後の頼みよ。一緒に死んでちょうだい。」

 

「そいつはまだ早計ですよ?」

 

俺は指令に銃を向けながら喋りかける。

 

「な、エイジ君!?どうしてここに!?」

 

「そら、こっちも止めないといけませんからね。」

 

「…英雄にでもなるつもりか?影嶋エイジ。」

 

「まさか?英雄つーのは他の人からの評価ですよ。んなもん知ったことじゃないですね。…レイ?いや、レイじゃない…何だ、君は…?」

 

碇ゲンドウのそばにいる少女を見て俺は驚いた。

レイに外見は酷似してるが、髪は銀髪になっており、若干幼さが出ている。レイのクローンなのだろうが、根本が何か違う。

 

「私はアークのコア。アヤナミレイ。」

 

「いや、お前はレイじゃない。だいたい、これじゃあレイのクローンの法則が壊れてる。何をしたんだ?あんたら。」

 

「アークは、搭乗者の魂をデータコピーしてエヴァのコアに擬似的にシンクロするシステム。クロッシングとコントロールジャックは基本的にやっていることは同じ。シンクロ率の違いだけ。それのデータ蓄積はあなたによって行われたのよ、エイジ君。そして、ユニゾン作戦の際、レイのデータも手に入った。これでその子の魂が完成したのよ。」

 

「そうだ。そして、今や魂を宿したこれは、最早レイそのものだよ。」

 

「全人類を巻き込んで、自分だけ神になろうなんて、あんたも大概なエゴイストですね。」

 

「何もないお前にはわからないだろうな。失われる悲しみを。人類の歴史に幕が下ろされるとき、NERVの司令官としてこの私が課せられている使命は神への贖罪だ。

だが、私は神には贖罪しない。復讐する。自分自身が神になり、もう決して、何も奪われぬようにな。」

 

「言ってることが無茶苦茶だ…。あんたが最初にやるべきことはこの機関の人間全員を、あんたのエゴに巻き込んだことに対する贖罪だろ?何を言って…」

 

碇ゲンドウが俺に向かって撃つ。だが、それはATフィールドによって阻止される。

 

「なに―」

「どうして―」

 

「アヤナミレイ、それがお前の意思なんだな?」

 

掌を俺に向けてるアヤナミレイに問う。

 

「ええ。私はアークによって多くの魂との接触をした。喜び、悲しみ、怒り、愛情…。私はそれらの感情に密接して、学習したわ。…私も、もう人形じゃない。」

 

「な…!?お前まで私を裏切るのか、レイ!?」

 

「アーク、参号機のコントロールジャックだ。近くの壁に隠したライフル、AATFS等弾丸を全てを回収後、ここまで連れてきてくれ。」

「わかったわ。」

 

 

刹那、振動……そして、落下の衝撃。参号機がリリスの間の天井を突き破り、豪快に水飛沫をあげて着地した。参号機は手を差し出し、搭乗を促す。

 

「行くぞ、アヤナミレイ。」

「ええ。」

 

「待て、レイ!」

 

アヤナミレイと俺はプラグに入る。…全てを終わらせる。

 

 

 

参号機はS2機関によって増強されたATフィールドによってジオフロントへと上昇していく。俺らがくっちゃべってる間の戦闘が何もわからない。

 

[MAGI-アーク戦術システム間接続。全機体、状況、地形データダウンロード完了。参号機プラグ内に視覚化。施設内エヴァ専用武装データ取得。80%が使用不能。]

 

「だいぶ滅茶苦茶にされてんな…こっからが反撃の時間だ。敵情報が欲しい。」

 

こういうことを想定して、赤木博士に完成した試製スナイパーライフルとAATFS弾、通常AP弾を付近の壁内部に隠してもらっていた。

 

[現在、エヴァンゲリオン零号機、初号機、弐号機はエヴァンゲリオン5~13号機と戦闘中。5、6、9、10号機活動停止、弐号機中破、零号機大破。両機とも、パイロットの生命反応あり。]

 

「初号機が頼りか…初号機はどうなってる?」

 

[現在、残り5機と戦闘中。]

 

「了解。もう出し惜しみする必要もない、AATFSだけで戦うか…?」

 

[敵武装、ATフィールドを無効化するとの報告あり。]

 

「何?ロンギヌスの槍か?」

 

[否定、柄両端に刃がある巨大な剣とのこと。]

 

「了解。…地上に出たのと同時に戦闘開始。アーク、参号機とシステムリンク。」

 

[了解。参号機戦術システム、アーク戦術システム連動開始。]

 

地上に出る。地上では、右腕を残してダルマにされかけた零号機に、右腕をもがれ、右胸に刺し傷を負った弐号機、それらを必死になって諸刃の剣で守る初号機がいた。

目の前には5体の、白いウナギ頭が諸刃の剣を持っている。お前らか…!

 

「てめえらああああああああああああ!!!!!!!!!!

アーク、敵のコアの位置を割り出せ!!!!!」

[了解。戦闘記録よりコアの割り出し…完了。視覚情報として投影。]

 

AATFSを躊躇いなく連射し、確実に量産機のコアを粉砕していく。敵も一応ATフィールドを発生させているが、弾がアンチATフィールドを纏っているため意味をなしていない。初号機も諸刃の剣を振り、量産型をなぎ倒していく。俺は行動不能になった敵のコアに対しても、容赦なく2発ブチ込む。…これで起動しているのは3機。この後も、初号機が前衛、俺が後衛で戦う。シンジが諸刃の剣で腕や足を斬り飛ばし、無力化したところをAATFSでコアを破壊する…動いていた5機は潰せた。

 

「ハア、ハア…シンジ…大丈夫か…?」

[ありがとう、エイジ君…。そうだ、綾波とアスカが!]

「わかってる、救出…の前に、機体を戦線から下げるぞ。手伝ってくれ。」

[う、うん。]

 

[弐号機パイロット、意識回復。]

「アスカ!?」

[エイ…ジ…?]

「喋るな、体力使うぞ?」

[あたしは…平気。それより、レイを、早く…!]

「…わかった。シンジ、頼む。」

 

俺はレイの元へ行く。無惨な姿になってしまったが、それでも最後まで抵抗していたのがわかる。俺のライフルを持ち出して、AATFSまで使って抵抗してくれていた。

 

「レイ?大丈夫か?」

 

[エイジ君…?こんな優しい声、はじめて…]

 

「…生きててよかった。」

 

零号機を抱き抱え、戦線から離脱させる。俺にはまだ仕事がある。俺はライフルを、初号機は諸刃の剣を構え直し、最初に倒れた4機に向かう。5機のS2機関は確実に破壊したが、それまでの4機はそれを確認できていない。もうあと500mといったところで、4機が再起動する。斬られた四肢を、頭部を、胴体を再生していき、ほぼ無傷になるまで回復した。

 

「こいつらもインチキか?」

[や、やるしか…待って、何かおかしくない?]

「たしかに、俺らに興味を…な!?これは…!?」

 

リリス!?何故出てくる!?もう接触しようとする使徒は存在しないはずだ!!誰なんだ!?

 

[第3射出口より、エヴァンゲリオン四号機が射出。高速移動物体が大気圏外より接近中。]

 

「四号機!?バカな!そいつはアメリカ第2支部と共に消滅したはずだ!何故ここにいるんだ!!」

 

[エントリープラグ、未挿入。付近にパターン青のATフィールドを検知。]

 

「カヲルか!?」

 

[否定。付近に、”剣崎キョウヤ”のIDを検知。]

 

「な…!?」

 

剣崎さんが、使徒もどき…!?反応の方向を見ると、確かにエヴァがそこにいた。デザインは参号機に酷似し、カラーが銀色になったような容姿をしている。その手には、ロンギヌスの槍が握られていた。

 

「まさか…!」

 

四号機の右肩に照準、発砲。驚いた四号機はATフィールドを発するが、AATFSには無意味だ。投擲体勢を崩され、こちらを睨む四号機。

俺は走って四号機へと向かう。確かに、付近には剣崎さんが浮いている。このムーブ、カヲルもやっていた。ライフルの長い銃身を槍に見立てて突き立てようとするが、二股の赤い槍によってそれは阻止され、俺らは鍔迫り合いとなる。

 

「四号機が何故ここにある!何故あんたがここにいる!答えろ!剣崎キョウヤ!!!」

 

[サードが止めれない事象であるのなら、ヒトがヒトである内にその生命を源たる存在に委ね、新たなる時の流れに託すべきです。そのために私は使徒であることを受け入れ、今ここにいます。]

 

「随分合理的な考えじゃねーかよ?でもな…そういうのは『要らないお節介』っつーんだ!ヒトはヒトの意思の力でその存亡が決まるべきだ!将来滅ぶのなら今ここでそれを起こそうなんざ、ゼーレと何ら変わらねぇじゃねぇか!生きようとする力を否定するな!」

 

[それでも私は、私に課せられた使命を全うするまで。]

 

「あんたらしい回答だ。でもな、この状況はお前が不利だ!アーク、四号機をコントロールジャック!」

[了解。コアへの直接シンクロ開始。]

 

[な…!?無理矢理操作権が剥奪された!?何をしているんですか、影嶋さん!]

 

「俺は加持さんに言われたことがある…『もっとやんちゃをしてもいい』ってさ。これがその時だ!」

 

参号機を俺から離し、ロンギヌスの槍を逆手に持つ。槍はこれから起きる事象がわかっているかの如く、直槍へと変化する。全く気にしちゃなかったが、初号機は敵認定されたようだ。量産型に攻撃をされている。

 

[バカなことはやめるんだ影嶋君!自分まで死ぬつもりか!]

 

「死ぬ?…俺は絶対に死なない。例え致命傷を負おうとも、死ぬわけにゃならねぇんだ!!!!」

 

躊躇いなく、自らのコアに槍を突き立てる。

 

「あがっ…がっ…ぐっ…アーク、戻せ!!!」

[了解。]

 

参号機に魂が戻ってくる。だいぶ吐血してる。でも、倒れちゃならない…俺が、俺として生きていく為にも、未来の為にも…

 

「こんな所で、終わらせちゃならねぇんだよぉおおおおおおお!!!!!!!!!」

 

残り1発を四号機のコアにブチ込むと、四号機は目の輝きを失った。

そして、俺は剣崎さんをその手に握る。

 

「色々我儘を聞いてくださり、ありがとうございました。」

 

[これが、私の運命だったのでしょうか。]

 

「さあね。それは俺にも知りませんよ。たまたまスレ違っただけでしょう。その存在、その意思の違いによって。」

 

[…そうですか。]

 

「さようなら。」

 

俺は両手で剣崎さんを包み、その手を握りしめた。

 

 

後は、後は量産機とリリスの肉体…。意識が朦朧としてきた。ヤバイ、このままじゃあ―

だけど、シンジの声が頭に響いてくる。

 

[……イジ君、エイジ君!!援護して!]

「了…解!」

 

マガジンを交換し、量産機をスナイプしていく。シンジが敵に切り込み撹乱、その中で俺が遠距離から量産型のコアを狙撃する。俺とシンジのコンビもなかなかなもんだ。こんなに素早く、4機を撃破することができるなんて。

もう、全てを終わらせる。俺は、そのためにここに来た。未来は、誰にも穢させはしない。ヒトはヒトの意思で、歩いていくべきだ。神の手なんざ借りるまでもなく、ヒトは生きていける。

リリスの目前まで浮遊する。これじゃ、俺も使徒のようなモンか…。同じ穴の狢、ミイラ取りがミイラになるとはよく言ったもんだ。でもな…?

 

「この世界にゃお前はもう不要だ!!!!!」

 

仮面に向け、残り全てのAATFSを撃つ。リリスの仮面は砕け、頭部が破壊されていく。頭部が最早形をなさなくなったとき、その体は砕け、世界中に散っていった。日本にはもう失くなった、雪を降らせるかの如く…

 

 

 

 

 

―3年後―

 

 

「起きて、エイ君。」「おにーちゃん!」

 

「んえ?ああ…レイたちか…。悪ィ、二度寝する…」

 

「バカ言ってんじゃないの!ソファなんかで寝っ転がってたら風邪引くわよ!?」

 

「最近、色々仕事がヤバいんだよ。学校すら行けてねぇってのに、俺の体力に対してキャパオーバーし続けてる…昨日1週間の休暇貰ったし、せめて静かに寝させてくれ…。」

 

「ぐだぐだ言わないで起きなさい!ほら、肩貸してあげるから!」

 

「ぐえぇ~気持ち悪ィ…。酒もエナドリも一滴も飲んじゃねぇのに…。」

 

「お酒はダメよ、まだ未成年じゃない。」「ほーりついはんよ!!」

 

「まさか、俺は捕まってまであんなんを飲もうなんざ思わねぇよ…。」

 

「んなこと言ってないで、まずは風呂入るわよ!」

 

「わかって―

はい、影嶋です。……あ、どもキョウコさん。これから一週間は仕事の電話絶対やめて……あ、これは失礼しました。余裕なくなってますね、俺。……わざわざありがとうございます。アスカに代わります?…あい分かりました。

アスカ、キョウコさんが話したいってさ。俺は風呂に行くわ…。」

 

「ほんと!?ママ!どうしたの?…え?こんど家に来てく―」

 

シャワー浴びて、着替えて何か食って寝りゃ頭痛もおさまるかな…。

 

 

 

俺は3年間、サードを止めた人間として持て囃されていた。だが、それが精神的苦痛になって、1年ほど一線から離れていた。外は相変わらず灼熱地獄だ。雪が降ったのはこれまでで一回、ゼーレの補完未遂の時だけだ。アレ以降、雪が嫌いになった。二度と実物は見たくない。

 

綾波レイとアヤナミレイ(銀髪の子)―現在は綾波ナギという名前になった―は、とりあえず双子の姉妹ということにした。レイが姉、ナギが妹で登録。当時の俺の権限なら捏造なんて造作もなかった。

 

アスカは相変わらずだ。結局、美人さに磨きがかかった以外は性格も何も変わっちゃない。

 

シンジは、カヲルと何だかんだ上手くやりながら普通の学生として生きているそうだ。最近、顔を合わせちゃないからよくわからないけど。

 

NERVという全体の組織像は崩れ、各々が独立した機関となった。そして、各機関が連携し、未だ息を潜めているゼーレの連中を監視している。基本的には、人材はそのまま旧NERVからの引き継ぎである。

 

俺はというと、NERV JAPANの戦術作戦部作戦局の最高責任者になった。どうやら、旧NERVでの制圧作戦の抵抗時、人的被害を激減させた功績がデカいらしい。

 

ミサトはNERV JAPAN指令になった。ミサトはミサトで忙しいらしく、こっちも仕事以外で会話がほぼできちゃない。

 

赤木博士はダミーという許されないことはしたが、NERV JAPANにそのまま引き継き参加した。自分なりの贖罪らしい。

 

過去の上層部は全員が追放された。その後は不明。

 

エヴァンゲリオンは、各国4機―地上4機まで。特例措置により、日本、アメリカ、ドイツは宇宙に1機づつ―までの保持が認められている。操縦システムの改善により、子供を巻き込むことはなくなった。赤木博士を生かしといて本当によかったと思う。

また、初号機と弐号機コア内にいた魂はサルベージされ、肉体をもって二人は復活した。

 

死海文書も全て公開され、最早戦う相手は人間だけとなった。もう、こんな子供を巻き込んだ戦いは二度と、絶対にしたくない。

 

 

この、僅かでもいい、平和な時間を今は享受したいと思う。俺ら4人―俺、レイ、ナギ、アスカ―で。

 

補完計画発動も、使徒騒ぎの後のごたごたもない本当の大団円endを読みたいですか?

  • はい
  • いいえ
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。