エヴァの記憶だけ吹っ飛ばされた人がエヴァ世界に飛ばされた話 作:フィアネン
その後、順調に訓練は進められ、シンクロ率も26%くらいで安定した。その間もライフルの射撃訓練とシンクロテストを同時にやっていたため、常に疲労続きだった。訓練スケジュールの増加に伴い学校も休みがちになり始めるし、本当に大丈夫なのか?俺の14才の時間。返してくれよォ、俺の中学生活ゥ!!(KGYM)
あの日以来、俺は綾波の病室へと通うようになった。顔を合わせて、少しだけ喋って、出ていく。うひ~、こんなことリアルじゃまずありえねぇなァ。
ある日、綾波は俺に問いかけてきた。
「何で会いに来るの?」
「レイの顔を見たいから。」
「そう。」
「そ、それだけ。」
この後、葛城さんに無限に冷やかされた。あ、でも
「何でレイは下の名前なのに私は同居してながらずっと上の名前なのよ!」
って妬いてたのは面白かったわ。
2週間後くらいだったかな。初号機とのシンクロ、射撃訓練、兵装ビルや射出位置、予備電源コードの位置を頭に叩き込み終わった時期くらいに、「使徒」はやってきた。しかもその日は、新しいパイロットが来る日に丸被りしてやがる。まるでアニメのような展開だけど、俺も指を咥えて黙ってるような真似はしない。にしても、あいつの体型なかなかエヴァっぽいよねぇ。違う点といえば、腕に伸縮できるビームサーベルみたいなのがついてるとこと、ジャミラのような胴体してるってとこかな。
エントリープラグ内で、出撃を待つ。というか、催促した。
「初号機、出しますか?」
[ああ。エヴァンゲリオン初号機、発進準備。]
「了解。」
[ポイント233にエヴァは射出される。そうしたら、すぐそばにパレットライフルを送るから、それを使ってくれ。]
「了解。」
[発進!]
上からの強烈なGを感じる。地上に出ると、慣性で更にGを一瞬感じる。これは実践で慣れるしかないかな。ライフルを受けとり、影に身を潜める。今は国連の航空機が攻撃をしかけているが、A.T.フィールドと素の堅牢さも相まって傷ひとつつけることができていない。まあ、よくゲームやらアニメやらである光景だよね。通常兵器じゃあ傷をつけれないってやつ。
「国連はいつになったらどいてくれます?」
[もう暫く時間がかかりそうだ。それまでは待機し―]
「ヤバい、葛城さんの車が!」
爆発か何かの衝撃で中身まで飛んでいってやがる!無事パイロットは保護できたようだけど、このままじゃあ使徒に踏み潰されて二人とも一巻の終わりだ。
「んなことさせっかよ!」
使徒にタックルし、車から遠ざける。右手で使徒に向かってライフルを乱射しつつ、葛城さんの車を元に戻し、二人が離れるのを確認。少しづつ、少しづつ近づいてATフィールドを中和していく。ん、待て、何かおかしい!?
「赤木博士、聞こえてます!?」
[エイジ君どうしたの!?]
「訓練のときより、いや出撃直後よりこいつの動きが重い!なんか異常ある!?」
[マヤ!]
[これは、シンクロ率が急激に低下していってます!起動圏内ギリギリです!]
[どういうこと!?]
「は!?こんな時に、ふざけ!!」
これはダブルミーニングってやつだ。赤木博士の言葉と同時にライフルが弾切れしたんだよ。こんな偶然ってあるか?
弾切れのライフルを使徒に投げつけ、後ろに跳んで回避しようとする。しかし、使徒が攻撃に使っていた腕サーベルはライフルごと初号機の左肩を貫いた。フィードバックされる痛みはマジでヤバい。意識が飛ぶがこんなん。使徒はお返しと言わんばかりに俺を猛追する。
敵は
にしたって初号機とのシンクロが弱くなっていっているのが体感できる。防御姿勢も数テンポ遅い。でもそれ以上に、左肩と頭が痛ぇ。しかもこれ額切ったかもしれない。血液の色がLCLに広がる。
どうにか使徒を振り払い、撤収の指示を仰ぐ。
「ごめん、やられた!動きが重すぎる、一時撤収したい!」
[ルート192で高速回収。]
[NN作戦まで、あと160秒!]
指定ポイントまで何とか撤収すると、地面のロックが解除され、初号機と共に落下していく。地面が落ちていく感覚に安心感を覚えることが来るなんて思ってもいなかった。流石に意識が朦朧としてくる。ヤバい、気ぃ失いそうだ…。
目を覚ましたところは、病棟のベッドだった。訓練中も、起動実験でもベッドのお世話になってねぇっつーのに、ほんとしょうもないな、俺。起き上がらないと二度寝しそうだから体を起こす。
「あつつつ…」
額は軽いようだけど、左肩は砕けたのかもしれないな、これ。完全に固定されてるわ。でも、行かないと。幾らあの子が初号機の選抜者といっても、何も教えて貰っちゃいないのに戦えなんて無理だ。俺が行かなくちゃならない。
時折来る激痛に顔をしかめながら、ゆっくり、でも急いで初号機のケージへ向かう。途中、ストレッチャーで運ばれるレイを見つけてしまった。まさか、彼女に比べれば俺の方が軽傷なのに、何で彼女なんだ?怒りというより、困惑が出てくる。
「ちょっと、彼女をどこへ運ぶつもりですか?」
「指令の命令でね。初号機ケージへと…」
「ふざけんな!俺の方がまだ戦えるんだぞ!立つことすらできねぇ子がどうやって戦うんだ!?」
「私らにそんなこと言われても…」
「お前ら、クズだ!畜生、このままじゃあ…!」
もっと急がねぇと。重症の怪我人に何ができんだ?
「もう一度初号機のシステムをレイに書き換えて再起動!」
「いや、システムは俺のに書き換えろ!」
「エイジ君!?」
「そんな、あなた、まだ左腕が!」
「利き手が使えりゃ戦える!おい指令、どういうことだ!俺も初号機にシンクロできるってのに何でレイなんだよ!?あいつの方が俺より重症じゃねぇか!」
[お前にはもう無理だ。]
「いいや、指令の言葉は信用できねぇな!」
[何?]
「エイジ君やめなさい。こんなところで口論しても無駄よ。」
「自分でわからねぇのか!?こんな大ケガしてる子がどうやってあの振動とフィードバックの中で戦うんだ!」
[……]
「チッ、初号機は俺で出る。赤木博士、頼みます。」
そう言っていると、後ろから右手首を掴まれる。振り返ると、レイが何とか起き上がってこちらを向いている。
「やめて。」
「レイ?」
「私が出るわ。」
「なあレイ、それ本気で言ってんのか?怪我が酷くなるんだぞ?」
「あなただって怪我してるわ。」
目線を同じ高さにして説得する。
「俺は自力で立てるし右腕が完全に使えるんだ。レイみたく立つことすらままならないって状態とは比較できないんだよ。頼む、わかってくれよレイ。」
「いいの。私が死んでも、代わりはいるもの。」
「何言ってんだ?あー兎も角、レイは大人しく寝といてくれ。ほんと、頼むよ。」
必死の説得の中放たれる使徒の攻撃。その衝撃はここまで届き、振動で天井が崩れる。
「くっ、あうっ…!」
「レイ!あ…がっ!」
ストレッチャーから落ちるレイをかばうが、左肩で着地してしまった。二人分の体重がかかればそりゃ固定だって意味をなさない。滅茶苦茶痛ぇ。これフィードバックよりヤバい痛みだな。最早悲鳴にすらならねぇけど。学生服の男の子が俺らに向かってくる。
「だ、大丈夫ですか!?」
「君…さっきぶりだね。」
「え?」
右腕でレイを抱えながら、手は同い年くらいの子の左肩をがっちり掴んで言う。
「今から言うことをよく聞いてくれ。これから君が乗らされる機体ってのは、俺やこいつみたく大怪我、最悪死ぬ可能性もある。でも、あの黒い奴に勝つにはアレに乗って戦うしかない。」
「そんな…。」
「だから、選んでくれ。俺やレイの代わりに、こいつに乗って戦うか、それとも何も見なかったと全て忘れてここを出ていくか。」
「君も…父さんみたいなことを押し付けるんだね。」
「悪ぃね。話を聞く限り、俺らより君のほうが適正は高いようだから。」
「…わかった、乗るよ。」
「ありがとう。」
「ありがとう、シンジ君。それじゃあ、こっちに来て頂戴。簡単な説明をするわ。」
「“ちゃんと”説明してくださいよ?赤木博士。」
「あら失礼ね。もちろん、そうするわ。」
はあー、ここにいる偉い人たち全員頭おかしいよ。どうなってんだこれ。今日来たばかりで何もやってねぇ子にパイロットをやらせるとか、俺より重症の子を代わりにパイロットにしようとするとか。この時点で上の人間はだいぶ狂ってるのがわかる。
「大丈夫か?レイ。」
「平気…うっ…。」
「ダメだなこりゃ。葛城さーん!せめてストレッチャーにのせるのぐらい手伝ってくれよ!」
「わかったわ!…ごめんね、二人とも。」
「ここの大人、頭のネジ100本くらい飛んでません?」
「ノーコメントで。それじゃ、発令所行くわよ。救護班、レイをよろしく!」
「はい。」
さっき一瞬見ちゃったけど、俺とレイがコケて痛い思いしてるときあの指令笑ってやがったな。最低な大人だ。
発令所に着くまでに碇君のことはだいたい教えて貰った。とりあえず、俺が彼のエスコートをすることになった。
「よーし碇君どこまで聞いた!?」
[あ、えっと、基本的なところは全部。]
「よし。LCLに関しては思った以上に普通に呼吸できるから安心してな。」
[うっ…ごぼっ…あ、本当だ。]
「んじゃ、発進!ポイントはA-66。その間、兵装ビルは全力で使徒の防衛。ワイヤー発射!足止めで十分!」
「了解!第1、第2ワイヤー射出!」
「碇、いいのか?」
「構わん、好きにさせろ。」
「リフトオフ。んじゃ、まずは歩いてみっか。」
[あ、歩く…。]
少しごこちないが、ちゃんと歩けている。いい感じじゃん?流石シンクロ率4割越えを出すだけある。しかもプラグスーツ無しってんだからまた凄い。
「お、いい感じ。それじゃ暫く落ち着いて歩き回ってみよっか。」
マイクをオフにして、葛城さんに問う。
「にしても、ここにいる人の中でまっさか動かせるだけでいいって言ったバカはいませんよね?シンクロ率4割の彼ですらあの動きしかできてませんよ?」
「あ…」
少し考えりゃわかることなんだよな。動くことすらままならない状態で使徒とやりあうことになってたって、アニメの主人公みたいなことさせられてるな碇君。現実じゃあNTの天パとか、背中に外部ユニットを接続する強化人間とかは存在することはない。現実は思った以上に非情なんだよな。
冷ややかな空気が周囲を襲う。なるほど、だいぶ上の人間が言ったようだ。さて、誰なのかな。俺にはまるで皆目見当もつきませーん。(すっとぼけ)
[影嶋くん?]
「失礼。どう?動きには慣れた?」
[少しはね。]
「第9兵装ビル群、突破されます!」
「了解!碇君聞こえるか?これから直近の兵装ビルにパレットライフルを射出する。それを持って、使徒と交戦!だいじょうぶ、ある程度ダメージが入ることは確認できてる!落ち着いて、胸の赤い球体を狙って撃て!」
[わ、わかった!]
これだけ言っておけば大丈夫だろう。彼は俺より俊敏に初号機を動かせている。それなら、俺は彼が持っていない知識面でサポートするべきだ。マイクをオフにすると、赤城博士が口を挟んでくる。
「そう上手くいくかしら。」
「上手く行くかどうかなんて考えていませんよ。動かしているのは彼なんですからね。俺はサポートしかできません。俺らは、ここで見守ることしかできないんですから。
あ、碇君?その様子だと着弾煙がヤバいから
[た、タップ撃ち?指切り?]
「そいつは失礼、トリガー引きっぱにするんじゃなくて、ちょくちょく指を離すんだよ。」
[こ、こう?]
「そうそう!やるわ碇君!」
でも、彼の筋はいい。何だかんだいって攻撃は避けているし、ちゃんと中和距離で射撃している。飲み込みは早い。残弾がもうそろそろヤバい?なら…マイクをつけて呼び掛ける。
「聞こえる?」
[はい!]
「残弾がもうそろそろヤバいから、指定したポイントまで下がって、新しいライフルを受け取ってくれ。今持ってるのは撃ちきったら投げ捨てていいよ。」
[わかりました。]
マジで投げ捨てる奴がいるかよ。にしても、確実にライフルの弾はコアにダメージを与えていっているようだ。この調子なら、無事に倒すことが…
「使徒が突然暴れだしました!初号機に向かって突っ込んでいきます!」
[な、なんだこいつ、来るな、来るなあああああああああ!!!!!!]
「落ち着いて!まずはライフルを取ってそのまま敵に向かって乱射しろ!」
[あああああああああ!!!!!!!!]
辛うじて掴んだパレットライフルを乱射する初号機。使徒はそれに構わず初号機にとりつき―
「使徒内部に、高エネルギー反応!」
「ふりほどけ!」
そんなことをする間もなく、自爆した。爆発位置から十字架が上がる。
「自爆は俺も管轄外ですよ全く。碇君?生きてる?…伊吹さん、生体反応はありますよね?」
「ええ、パイロットは生きてるわ。ちょっと気を失ってるだけみたい。」
「そいつはよかった。あ、そうだエヴァの破損はどうですか、青葉さん?」
「エヴァに目立った外傷、ありません!だいぶ少ない損害で済んだようだよ。」
「はーよかったよかった。皆様お疲れさまでした。」
「エイちゃん、ものを教えるセンス抜群ね。」
「そうですか?すみません、俺はしばらく病院通いだし、腕がこんなんなんで…」
「いいのよ。あなたもお疲れさま、エイジ君。」
「はい、病院行ってから帰ります。」
病院では医者から滅茶苦茶怒られた。まあ当たり前だよね。
「レイ、どうでしたか?あつつ…」
「レイ君の怪我は酷くなっていなかったよ。これなら回復も早いだろうし、暫く安静にしていれば大丈夫だ。」
「そうですか、ありがとうございます。」
「君には痛み止を処方しておくから、辛いときはこれを飲みなさい。今日はお疲れさま。」
「有難うございます、先生。」
何とか帰れた。全てが終わってから疲労が一気に来て、監視員に甘えて車で送ってもらった。
「ただいま。」
「おかえり~エイちゃん。」
「あれ、もう帰ってたんですか?仕事大丈夫なんです?」
「保護者としての務めを果たしてんのよ。あなた、左腕使えないでしょ?だから。」
「そいつはありがとうございます。」
この後、正直今まで生きてきた全てを見てもクッッッッッソ恥ずかしい数時間だった。風呂に、飯に…俺にだって一応14なりのプライドってもんがあるんだよ~!!!
一番最後のとこって需要ありますか?
補完計画発動も、使徒騒ぎの後のごたごたもない本当の大団円endを読みたいですか?
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はい
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いいえ