エヴァの記憶だけ吹っ飛ばされた人がエヴァ世界に飛ばされた話   作:フィアネン

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次からアスカ登場です。期待していた方はもう少しお待ちください。


幕間1:階級が上の人間との格闘戦は死ぬほど疲れる

「できたよ。あつつ…。」

 

「無理、しないで。まだ治り切ってないのよ。」

 

「だからつってサボると下手になっちゃうからね。じゃ、食うか。」

 

「ええ。」

 

「「いただきます。」」

 

「どう?今日は豆腐ハンバーグをメインに周りを合わせてみたんだけど、美味い?」

 

「…おいしい。」

 

「そいつぁよかった。」

 

 

俺らは今、ミサトさん宅の横の部屋に住んでいる。何でかって?もともとレイが住んでた部屋ってのは2人目がキツそうだったからね。にしてもだいぶ面倒なごたごたがあってレイに移住してもらった。ほんと、その期間は地獄のような数日だった…。

 

 

 

 

まず、俺は立てるようになってすぐ、指令の部屋に向かった。

 

「指令、レイを葛城一尉の住居の近く、同じマンションに住まわせるべきではないのですか?その方が監視もやりやすいでしょうし、何よりレイが最低限以下の生活をすることが無くなります。どうでしょう?」

 

「必要ない。」

 

「何で即答できるんですかね。人間を何だと思ってるんですかあなたは。」

 

「必要ないと言っただろう。」

 

「るせぇ!パイロットを生体パーツ扱いすんな!んなんだから息子からも愛想つかされんだぞ!!」

 

「……」

 

ダメだこりゃ。ここまで頭の固いご老人だとは思わなかったよ。徐に携帯を手に取り、虎の子の録音データを使う。

 

「本当はこのカードは使いたくなかったんですけどね…。」

[碇指令。私…影嶋君と、みんなと生きたい。だから、お願い。一緒に住まわせてください。]

 

あーあー。明らかに動揺してるわ指令。そらそうだろなァ、指令ですらレイのこと人間扱いしたことねぇってレイ本人が言ってたもん。向こうからしたら人形が自分の意志を持ったようなもんだろなぁ。しかも、強要されてこんなことを言う子じゃねぇってのは俺も、指令も知ってることだ。だから余計に動揺しんてんだろう。

 

「レイが…そこまで言うのか。ならば仕方あるまい…。」

 

「ありがとうございます。家具とか服とか揃えたいんで、そこの金もよろしくお願いしますね。それじゃ失礼します。」

 

「ああ。」

 

 

(いいのか、碇。計画に支障が…アークだって元は造る気が無かったんだぞ?)

(この程度ならどうにか修正できる。)

(だが…)

 

最後までは聞こえなかったが、レイが感情を持つと何か問題があるのだろうか。部屋を出る間際、不穏な会話が聞こえてきた。でも、そんな話を人前でやるくらい狼狽しているのが見て取れて、クッソ面白かったなァ。

 

 

 

「というわけで、話が通ったんで連絡しました。住所は葛城一尉の部屋の真隣ですよ。あ、あとすぐやれ言ったから2日くらいで移住できるんで、そこはパイロット監督官としてよろしくお願いしますね。」

 

『え、エイジ君?私に話を通さずに指令と話つけてきたっていうの?』

 

「不服ですか?俺は一尉と違って子供に手を出したりはしませんよ?」

 

『あんたも子供だろがい!それに「私と違って」て何よ!だいたいあんたはそういう生意気な…』

 

うっるせぇ。耳を離してもよく聞こえてくる。

 

「冗談の通じねぇ人だ…。」

 

 

 

「…というわけでさ、話つけてきたよ。よかったな、レイ。」

 

「ありがとう。」

 

「住居変更である程度荷物とか移動できるけど…この感じ持ってくもんなんて全然なさそうだよなぁ…。」

 

「こっちで選ぶ。」

 

「あいよ。んじゃ、外出しよっか。」

 

「え?」

 

「服ほどんど持ってないでしょ。買いに行こう?」

 

「…うん。」

 

んじゃ、ショッピングモールに出掛けつつ電話で便利屋に連絡するか。

 

「どうも、剣崎さんですか?はい、影嶋です。今ファーストと同行中でしてね、今回は用途外使用させてもらおうと思って。…あ、ちょっと切らないでくださいよ。今暇な女性NERV職員を一人寄越して欲しいんです。え?忙しい?そんな程度くらいお願いしますって。…はい、こんな使い方はたぶんしませんから。…ありがとうございます。それじゃ、中央にあるショッピングモールに30分後集合って伝えといてください。じゃ、お願いします。…はい、失礼します。」

 

「影嶋君?」

 

「ここは俺だけじゃなくて、大人の女性の方も参加してもらわないとね。」

 

「?」

 

 

 

「それなら、こういう組み合わせもいいんじゃないんですか?」

 

「あ、それいい!エイジ君、隠れた才能ね!」

 

「そうですかね?」

 

「…どう?」

 

「可愛い~!そうよねエイジ君!」

「ええ。とっても似合ってるよ。」

 

寄越されたのは伊吹さんだった。当人はどうにか時間作って来たと言っていたが、この感じ本当に暇してたんだろなァ。3人でレイの服を物色する。つっても、ほとんどは俺と伊吹さんが選んでたけどね。ここに来てからかれこれ2時間くらい、こんな感じでずっと服を選んでる。…ん?あいや、嘘言ったわ。入ってすぐ、俺の眼鏡を買った。先の戦闘で眼鏡がイカれちゃってて、今まで何とか無理矢理使ってたからね。それだけは申し訳ないけど優先させてもらった。眼鏡がねぇと生活できねぇんだわ俺。

 

 

そんなこんなで昼過ぎ、というか結局14時まで探して、だいぶ買い込んだ。こんなんでいいかな、ついでに俺も好きなジャケット買えたし。

今は各々が注文した昼を食いながら会話してる。ペッパーランチ美味いよね。

 

「今日は楽しかったね、レイ!」

 

「楽しい…これが、楽しい。」

 

「そ。俺も楽しかったよ。」

 

「そう、嬉しい。」

 

「そいつはよかった。…失礼、電話が。

はい影嶋ですが。…赤木博士?何です?……は?今からアークの稼働試験?明日にしてください。…いや、ほんと頼みますって。明日は俺が手出しできないことしか発生しないんで、ほんと。」

「貸して!」

「伊吹さん?」

 

「先輩、伊吹です。ちょっと、酷いですよ!?子供達が楽しそうにしてるとこに水を差すなんて!…はい、エイジ君に呼ばれて同行してます。…そりゃ、勿論ですよ!……ありがとうございます!失礼します!…先輩、明日にしてくれるって。」

 

「伊吹さんが同行してくれて助かりましたよ。ありがとうございます。」

 

「ありがとう、伊吹二尉。」

 

 

 

その後っつーと…一回荷物置きにレイの家に帰ってから、夕食の食材を買いに二人で街をぶらぶらしてたかな。特に何も起きなかったし。

 

レイの家に帰ると、押し入れの奥で眠っていたテーブルを出し、食器を置く。床はある程度清掃したし、土足で上がらないように注意したからだいぶきれいになった。

正直、何度かレイの家に上がって押し入れを物色したときに割と生活できる道具が揃ってたのは驚きだった。んでも当のレイが使い方をわかっちゃいなかったし、実質無かったってことでもいいだろ。

小さな台所で2人分の夕食を作る。今日のメインは唐揚げとキャベツの千切り。レイが肉を食ってみたいなんて言ったときは驚いたけど、俺が美味そうにしてるのを見て食いたくなったとかかな。

 

「「いただきます。」」

 

正直、レイがどんな反応をするかが気になって、自分の食事に手をつけるのも忘れてレイを見ていた。彼女は唐揚げを取り、少しだけ、でも肉の部分もちゃんと一緒にかじる。

レイが飲み込んでから、感想を訊いてみる。

 

「…どう?」

 

「美味しい。」

 

「はァ~、そりゃよかった。少しづつ慣れてこうな。」

 

「ええ。…影嶋君、食べないの?」

 

「あ、これは失礼、ちゃんと食べるよ。」

 

正直、ここでの生活も悪いもんじゃないかな、って思ってしまった。

 

 

 

「私も食器、洗うわ。」

 

「え?いいよ、こんだけしかないしさ。」

 

「やらせて?」

 

「…わかった。」

 

にしても、ここ数ヵ月で見違えるほどの変化が起きたなァ、レイ。最初はマジで人形って揶揄するのが正しいくらいに何もなかった子が、まさかあんなワケわからねぇからかいを切欠にこんなになるとは。やっぱ人生何度目でも、何が起こるかわかりゃしねぇんだよなァ。

 

「どうして、笑っているの?」

 

「レイが成長してくれたから、かな?」

 

「そう?」

 

「そうよ?ちょい前のレイだったら自分から話しかけることなんて無かったろ。」

 

「…そう。」

 

レイは少し顔を赤らめて、微笑んでいた。

 

 

 

「んじゃ、俺はこれで。明日の学校からは復帰できると思うよ。」

 

「わかったわ。」

 

「じゃ、おやすみ、レイ。」

 

「待って。」

 

「え――!?!?」

 

突然抱きつかれた。俺も体力が落ちてたからか、外の手すりまで豪快によろけてしまう。

 

「…どうした?レイ。」

 

「行って欲しくない。」

 

「不安、なんだな。俺がどっか行っちゃいそうで。…大丈夫だよ。俺はどこにも行かないからさ。ちゃんとレイのとこに帰ってくるから、ね?」

 

「うん…。」

 

レイを離し、彼女の目を見て言う。

 

「だから、それまで少し我慢して。ね?」

 

「わかった…。」

 

「じゃ、今度こそおやすみ。」

 

「おやすみなさい。」

 

 

 

 

葛城宅。

 

「ただいま。」

 

「あ、お、お帰り。」

 

「ん?シンジ君どした?」

 

「ねえ、聞いたんだけどさ。綾波と住むって…本当?」

 

「え?本当だけど。何想像してんだ?住む言ったってここの真隣だぞ?」

 

「い、いやそうじゃなくてさ!て、抵抗とか…ないの?」

 

「うーん、無いかなァ。ほんとどしたん?何想像してんだ?」

 

「あ~らお帰りエイちゃん。レイとの関係が進んで、私嬉しいわ~。」

 

「シンジ君にあらぬこと吹き込んだのミサトさんですか?何やってんです。」

 

「さーって、私にはさっぱり。私はまた話のネタが増えて嬉しいのヨ。」

 

そう言ってまた盗撮写真を見せてくる、またこの手法かよ…ってこれさっきのか!!!

しかもこんなバッチリ全体が撮れてやがる!どうなってんだ!?!?

おい、シンジ君。何顔を赤くしてんだ。誤解だ誤解!!

 

「おぉいミサトさん!?!?!?」

 

「諜報部をこき使うのはあなただけじゃないのよ。」

 

「あーあ、明日から学校行きたくねぇわ…。」

 

 

 

学校は、レイと登校するまでは平和だった。いや、静かすぎたのを不穏に感じるべきだったんだけど、いつものバカ二人に絡まれないってのが安心を誘ってしまったのよ。

教室に着いて、俺らが席に着くと、それの数分後に事件が起きた。

 

「おォいエイジィ!!!!!!!!綾波と同棲ってどういうこっちゃ!!!!!!!!!!!」

 

「「「「「えぇえええええええ!?!?!?!?!?」」」」」

 

教室の視線が俺ら二人に集中する。綾波ななにも言わず、俯いて顔を赤らめてる。てか少し笑ってるよね?え、俺?顔真っ青だよ。こんな簡単にバラされるとは思っても見なかったし。

大バカの後ろには天を仰いでるケンスケと明らかに狼狽しているシンジ君がいる。

 

「シンジてめぇ!!!!!!裏切り者ォ!!!!!!!!」

 

「ミサトさんなんだよ元凶は!!」

 

「あのバカアル中女が!!!」

 

言い終わる直前くらいに女子に男子まで俺らの周囲にたかって来やがる。自主休校すればよかったと激しく後悔してる。あ、いや時期がズレるだけだわ。

 

「本当なの!?」

「ねぇどっちから言い寄ったの!?」

「綾波さん、幸せ者だわ~!」

「本当に夫婦になっちまったなwwwwww」

「なあ、綾波とはどこまでヤったんだ!?」

「俺がそんなことする訳ねーだろ!?」

「またまた、ご冗談を~」

「こんな写真まであるんだ、ネタは上がってんだぞ!」

「な!?それはミサトさんの盗撮写真!?」

「え~見せて~!!」

「エイジ君イケメ~ン!」

「委員長もエイジ君とか綾波さんを見習ったら~?」

「な、何で私がそんなこと…!」

 

しゅ、収集がつかねぇ…。じゃ、俺ら逃げるから…(恐怖)。綾波の手を引いて、ついでに俺らの鞄も回収して教室から強引に飛び出る。

 

「あ、逃げた!」

「男子!追え追え!」

「待てやエイジィ!ちゃんと説明しろや!」

 

「学校、どうするの?」

「すまんが自主休講だ!許せシンジ!NERV行こう!」

 

「え!?僕!?」

 

今度はシンジに人だかりが発生する。まァ俺と同居してたこと、つまりミサトさんを恨むんだな。走り去る中、担任とすれ違う。

 

「あれ、君たち、これから授業が…」

 

「すみません早退です!行こうレイ!」

「ええ。」

 

「待ちやがれエイジィ!!!」

しつこいなお前。…でも何か、こんなファンタジーなのも楽しいなァ。

 

 

 

幸せの享受ってのは誰であれ妨害されるべきものでは無いと思う。俺はレイを通じてそれをより一層強く感じた。こんな幸せを受け取ったのだから、俺は死んでも絶対に手放さない、そう胸に誓った。

 




レイって心を許した相手にはめっちゃ甘えてきそう、そう思いました。

補完計画発動も、使徒騒ぎの後のごたごたもない本当の大団円endを読みたいですか?

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