ミラージュボヤージュ 作:エリオット・ウィット
『どれが本物に見える? 質問を変えよう、どれが本物だ?』
『これかしら』
少し動いて止まった複数のミラージュ。
バンガロールは役目を果たしたG7の髪留めを膝小僧に向けて投げた。
実体に当たって跳ね返ったマガジンは自然に床を叩く。
『正解だ、なんで分かった?』
「足音、耳を済ませるとひとつしか聞こえない」
「やっぱりそうだよなあ」
腕を組んでコクコク頷くここは練習場。
「何か問題でも?」
「そう、問題だ! 俺は敵の前でデコイを装って眼前で足を止めてやった、どうなったと思う?」
「どうせ撃たれたんでしょう?」
「正解だ、完璧な作戦だったんだがな、よくよく考えるとデコイから足音は出なくなってた」
フッとミラージュは撃たれたことを細い息に捨てる。
「確かにこのデコイから足音が出てたら……あなたが敵でよかったわ」
「マジで異議あり、ありよりのありだ、足音は必要だったんだ」
「でもそんなに必要?」
「近距離で騙すから強いんだぜ、こいつは、なのに判断基準を置いてどうなる?」
バンガロールが適当に頷いて言葉を返す。
「……銃声の中なら足音なんて判断に入らないから、足音の必要性は限定的じゃない?」
「おいおい、ワールズエッジのミラージュボヤージュを知らないわけじゃないだろ? そこで船の真下から雪をキュッキュッて踏み砕く、そんな足音をひとつまみ。あとは俺がジップラインを駆け上がって先制攻撃ができないんだぞ!」
「それの何が強いの?」
「一人の時と二人の時で対応を変えるのが連携戦術だ、一人の時に二人と少しでも思わせれる隙は三タテ、二タテの要因になる、デュオモードならそのままと同等ってことなる、ならないか?」
さあ?って雰囲気のジェスチャー。
「デコイみたいな反応はやめてくれ、寂しがりなんだ」
「そもそも決定力がある強さってことならスモークランチャーを貸してあげる」
「それはノーだろ、どう考えても」
「根本的にあなたの能力は限定的すぎる、物理的な影響を生じれない時点で論議できない、これが戦争なら使うなって命令するわ」
「そんなこと言われたって、これで飯を食うつもりなんだぞ?」
ミラージュの職業はアーティスト。
戦場コンサートを本気で信じている。
「どうやって何を食べれるって?」
「例えばこのホログラムは背負ってる武器を再現しているが、手に取った石も再現可能だな、それでホログラムの棒風船を捻ると子供のウケが良い」
「ああ……戦場で食べていくとかじゃないの」
「戦場で食べれるのは注射器だけだろ?」
冗談はやめてくれと手を仰ぐミラージュ。
『それは私のセリフ』
足音の使い方を何度も議論した、その必要はなくなった。
新しい方向性は手に入ったがそれはエンターテイメント性であって強さじゃない。
fpsの根底を揺るがしかねない強さはファントムのように一見ないようであったが、それすらも失われている。
デコイを行かせる?それはもう違う。
今から俺がデコイとして、主役の為にパーティを開く。
ランパートショッピングネットワーク!かっこいいな!俺がゲストとして招待されるかもしれない、されないって? 夢は本物が良いだろ?
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白羽の矢で止まりやがったのか、アミーゴ!
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私は大砲よ。シーラよりも優れているわ。
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これだけは言える……誰かが死ぬ――
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お! 飲み放題にしてくれるのかー?
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どうしよう、私も出たい。