ミラージュボヤージュ 作:エリオット・ウィット
『ミラージュ、朝食は取ったか? 狩人は手始めに栄養を奪うところから始まる』
「俺は狩人じゃないんだが……まあ、食ったよ」
ブラッドハウンドは腕を組んでミラージュを見つめ、左手首のデバイスに指を添える。
「な、なんだ?」
カチリと鳴る。全能の目が周囲をリサーチ。
「おいおい、ここは戦場でもなければただの通路だ」
「ふぅん?」
「だるいことこの上ないな」
『神から真実を拝聴した、その胃には何も入っていない』
人差し指が告げる真実。
「げ、そんなことのために全能の目を使いやがったのか」
「なぜ食べない? なぜ嘘をつく?」
「明日の敵かもしれないやつに弱みは見せたくないに決まってる」
「どうやって朝食につけ込めばお前を殺せる?」
特に思いつかないミラージュは黙る。
「ではこれを後で食せ」
桃色の布に包まれた二段の弁当箱。
「や、やめとく」
「なぜ?」
「狩人の弁当といえば、虫をメインに入れてそうだろ? 実際、虫を追いかけてるところを見たことがある」
「これは私が食べる分ではない、それでも嫌う食材があるなら手をつけなければいい」
弁当をミラージュに押し付けるとブラッドハウンドは立ち去っていった。
「虫は食ってるのか……」
残すのも良くない。ということで物思いにふけるレイスの隣に座って弁当をお開きしてみるミラージュ。
『なんで隣なの?』
「なんとなく」
イートインにも似たスペースは顔見知りが多い。
「……弁当?」
「ああ、ブラッドハウンドがくれたんだ」
「へえ」
弁当の内容は一般的なチョイス。
「おお、一段目が日の丸とは、和を分かってるな」
「食べる人には和の欠片もないけれど」
「こういうのは気持ちの問題だ、多分」
ミラージュは一口で意外な弁当のポテンシャルを悟る。
「あいつは女子力が高いんだな、かなり美味くてとても……美味い」
ピッと親指を立てて話を盛る。
「でしょうね」
「感想がこれ以上浮かばないんだ、食レポってやつをしてやりたいんだが、難しいな」
「白米しか食べてないのにそれ以上浮かぶわけないじゃない」
「それもそうだな……」
二段目のおかずのミラージュ好みにできていた。
「ああ、
「全部うまいって意味しかないんだけど」
「つまり、そういうことなんだ」
「あなたが下手ってことね」
「否定はしない」
ぱくぱく食べ終えたミラージュは満足そうに弁当を組み立てる。
「ブラッドハウンドって、こんなの食べるかしら」
「こんなのだって?」
「戦闘の後、捕まえたバッタをポケットに収める人なのに」
「ほ、本当にそんなやつだったのか」
ミラージュはポケットの中身を想像して震える。
「本人は何か言ってなかったの?」
「私が食べる分ではない〜とか言ってた」
「ああ! 良かったじゃない!」
レイスの手がミラージュの肩をパンッと叩く。
「な、なにがだ?」
ランパートショッピングネットワーク!かっこいいな!俺がゲストとして招待されるかもしれない、されないって? 夢は本物が良いだろ?
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白羽の矢で止まりやがったのか、アミーゴ!
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私は大砲よ。シーラよりも優れているわ。
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これだけは言える……誰かが死ぬ――
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お! 飲み放題にしてくれるのかー?
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どうしよう、私も出たい。