ミラージュボヤージュ   作:エリオット・ウィット

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ノックス『これだけは言える……』

 

 

 

 コースティック。アレキサンダーノックス科学者。

 

『これだけは言える……』

 

 賢ければドロップシップから出ないが、今にも飛び降りそうなコースティックは誰よりも賢いと言える。

 

『誰かが、死ぬ――』

 

 なぜなら、戦場を実験だと捉えているからである。

 

 

「……そ、そりゃな」

 

 沈黙を割いたのはミラージュ。

 

 

『それはどういう意味だ?』

 

 クリプトはコースティックの意図を探ろうとする。

 

 

「物事にリバーシブルなど存在しない、シンプルに考えて60人中、57人は確実に死を見るだろう」

 

 クリプトは内心『そりゃあ、そうだろうな』って思いつつ、シンプルに言葉を返す。

 

「なあ、アレク」

 

「どうした」

 

「パンを食った人間は、150年以内に死んでしまうらしい」

 

「お前が私に言った物事は真実味を帯びているな」

 

 

 クリプトは口元を抑えて背を向ける。 

 

「み、みら、ミラージュ、後は、たの、んだ」

 

 肩がプルプル震える。

 

 

「お、俺か? 何を頼んでるんだ?」

 

 手だけを振ってジェスチャーでミラージュに託す。

 

「まあいいが、パンを食った人間が150年以内に死ぬのは当たり前だぞ?」

 

「なぜそう言える?」

 

「よく考えろ、人間は100歳で死ぬのが大半、そりゃあ何食っても150年以内に死ぬわけさ」

 

「それは盲点だった」

 

「ひょっとして、俺はじじいと戦場を共にしちまうのか……?」

 

 ミラージュはクリプトを見て負けを覚悟する。

 

 

「私はじじいではない、時事で判断するな」

 

「言っておくが上手くないぞ」

 

「私は常に検証と結果を求める、故に自然の摂理を答えに含む前に結果を探る」

 

「なんだそりゃあ、屁理屈か?」

 

「私は考える前に行動しているということだ」

 

 結局屁理屈じゃないか。ミラージュは我慢することにした。

 

 

「……ここに降りよう、展望だ」

 

「俺はそれでいいが」

 

 クリプトも特に意義はないみたいだった。

 

「急速に迫る死がもっとも生を実感する」

 

 そう言ってジャンプマスターコースティックは展望へ向けて飛び降りる。

 

 併走するミラージュはちょっといいかと口を挟んだ。

 

「臆するなら、それも賢い」

 

「そんなに死が迫ってるか?」

 

「ランクマッチでのポイント減少は死を意味する」

 

 

『そうじゃなくてだな、その、言い難いんだが、展望の周りには誰も降りてねえ』

 

 

「……そう、だな」

 

 それから物資を揃えて最終範囲。

 

 一室に三人で篭っていると全能の目で検知されてしまった。

 

「やべえ! ガストラップがバレちまった!」

 

「俺のドローンはまだ使えない、詰めてくるのは、妥当だろう」

 

「よく冷静で居られるよなアホプト! くそ、相手に釣られてドローンデートなんてしたからだ」

 

「売られた喧嘩は常に買って、手堅く売りさばく」

 

 手元のダイスデバイスを転がしたクリプト。天井を見上げてポツリ。

 

 

 

「……ひょっとして、それを俺に売ってもらうことはできないか?」

 

「お前の為に用意したチューニングホログラムはこの戦いを切り抜けれる、わけがないだろう? これを切り抜けれるならもっとまともな戦い方をしている」

 

「そこは(おご)ってくれ、士気が下がる」

 

「ミラージュ、そのデコイは飾りか? 必要ないなら後ろから破壊してやってもいい」

 

「喧嘩は(おご)るな」

 

「おいおっさん」

 

「怒るぞ」

 

 足音が聞こえてきそうな空気。

 

 

 

「……私は、狡猾に生きているつもりだ」

 

 コースティックはガストラップを回収すると同じ場所へ置き直す。

 

「お、おい、なにしてる? 遺品整理なら後にしてくれ」

 

「スキャンされた罠を回収することで、アドバンテージの喪失を最小限にしている」

 

 

 

「同じ場所に置いたら意味ないだろ……?」

 

 

 

 結果、チャンピオンに繋がった。

 

 

 

 

 

 

ランパートショッピングネットワーク!かっこいいな!俺がゲストとして招待されるかもしれない、されないって? 夢は本物が良いだろ?

  • 白羽の矢で止まりやがったのか、アミーゴ!
  • 私は大砲よ。シーラよりも優れているわ。
  • これだけは言える……誰かが死ぬ――
  • お! 飲み放題にしてくれるのかー?
  • どうしよう、私も出たい。
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